D&D5e余話#190~ここがすごいぞ日本語版PHB~

 ベリークルシミマス! スターター・セット発売にて第一章のボスに悶絶したであろう5eッ子たちにプレゼント記事だヨ! 本当はグズグズしてたら25日になっちゃっただけなのだが。
 ちゅうか特技の訳とか小話は置いといて普通はこういう記事を先に書くべきだよな! まあ〆切が近かったとか痔が悪化したとか色々あったんだ察してくれや!
 いよいよ通販組の方々の手にも届いた日本語版PHB、ツルッツルの手触りやそこはかとなく立ち上る柑橘系の甘い臭いをたっぷりお楽しみいただけているかと思われます。個人的にルールブックは猛烈にインキ臭いぐらいが好き。事実仮面ライダーAmazonTRPG部門やホビーショップでの売上上位を5eが総ナメしているようで、世のドラゴンスレイヤー達も我が世の春が来たように奇声を上げながらドラゴンベインバッソを振り回していると思われます。「俺【敏捷力】型だからドラゴンベイン・レイピアだしー。【敏捷力】セーヴの方が使うしー」とかぬかすシャバ僧はシゴウしちゃる!
 しかし世には「D&Dってなんだか難しそうだし高いし」と購入をためらっているシャイボーイが存在する、これは歴史の長いゲムソにつきものの問題である。故に今回は日本語版PHBが女房質に入れても買いに行かないといけないビッグタイトルであるかを語りましょう! 高いのは事実なんでがんばってクリスマス資金とかお年玉でお金を貯めよう。大丈夫、十連ガチャ何回か我慢すれば買える値段だよ(筆者はソシャゲの相場を知りません)。

日本語版PHBのここがすごい! その1:日本語である
 のっけから当たり前体操な話で申し訳ないが、あの5ePHBを日本語で読めるのだ! 一時は「お前らのような英語も話せない下等人種にライセンスなんぞ下ろせるか! バーボンで顔でも洗って出直しな! PEッ!」などと絶縁状突きつけられ(かなり脚色しています)、日本のD&D戦士たちが絶望のズンドコに突き落とされたあの頃を思えばなんという感動なんというドラマチカ。ホビーショップで現物を眺めうれションしページをめくって二度ションした人々も少なくないでしょう、おおさ盛大に漏らしたとも。これでハリューサナトリ・テレインのようなフレーバー全開の効果や、グリフ・オヴ・ウォーディングのようなくそ長い文章の効果も安心だ。文句が呪文に集中しているが、翻訳に一番苦労したのがそこなんだ。っていうかクラス特徴ではそんなに訳しづらくてくそ長い文章のデータがそうそう存在しなかったからな。さておき、翻訳で不安があったところを日本語で確認できるというのは力強い。
 ベーシックルール未掲載だったクラス、ババリソやソサなどはこれでめでたく日本語版解禁。同様にエルドリッチ・ナイトのような、ベーシックルール漏れだったアーキタイプも解禁。英語に未習熟だったため、オンセやオフセでベーシックルールのみの仕様に枕を濡らした貴兄も貴姉もヘンテコなクラスどものページを舐めるようにベロンベロン読み込んでいただきたい。実際、ベーシックルールに載ってない連中って変な奴が多くて。あ、ウィザードは占術の系統がトップクラスにくそなので要注目です
 日本語になって特に嬉しいのは、フレーバー部分を読んで楽しめる、これが一番大きいかもしれない。データ的な面はD&D語というかD&D弁がわかればある程度読み込めるものですが、フレーバー文章となると英語習熟してない自分には完全にお手上げ。情緒溢れる種族やクラス解説の文章をこうして読めるのも、日本語版PHBならではのヨロコビです。マイク=ミアルス執筆の「まえがき」はD&D界の味皇桂令夫さん渾身の名訳なので必読やで!
 ちなみに、特技の項でも書いた通り、あまりひねった訳は見られない。筆者が「結社」と訳したドルイドのCircleは「円環」とド直球だった。……それでよかったのか。

日本語版PHBのここがすごい! その2:全ページフルカラー
 村の噂で聞いたんだけど、ハードカバーってあんまり本の価格に影響しないらしい。それよりはフルカラーの方が値段に跳ね返るそうな。まあクトゥルフだってBRPやd20はモノクロだったけど同じような値段だったからきっと同じ結果になったよ! あれをもって「D&Dだって高くない」と言う人を見かけるが、一冊で遊べるアレと一緒にしちゃイカンと思います。
 さて金の話はほどほどにして、日本語版でもPHBはオールページフルカラー! 美麗なイラストが魅力のMtGを擁するWoCだけに、何度か取り上げたようにD&Dにおけるビジュアルの力の入れようは素晴らしい。種族やクラス、そしていずれ出るであろうMM掲載のクリーチャーにDMG掲載のマジック・アイテム、これらがフルカラーのイラストで大々的に紹介されることで、D&D世界のイマジネーション構築に大きく寄与しているのは間違いない。これぞ大判&ビッグタイトルならではの贅沢ってやつだ。きっと原初版を知らない人は22P、1ページブチ抜きでエルフのイラストが飾られていることに度胆を抜かれることだろう。そこいらのゲームじゃこんな神をも恐れぬ所業、そうそうやれるもんじゃありませんぜ(この1ページブチ抜きイラストはその後何度か見かけることになる)。

日本語版PHBのここがすごい! その3:レイアウトが五十音順に一新
 これまた当然いやさ必然ながらクラスや呪文など、各種データがアルファベット順から五十音順に再整理された。我らヤーパン人にとって、検索性は飛躍的に向上したと言えましょう。その代わり、原書を使い込んでいると(特にしじゅう見ることになるクラスの項)、「なんでババリソがこんな後ろにあるねん」と違和感を覚えることもあったりなかったり←原書だとババリソが先頭だったのです。
 個人的にすごいと思ったのが、言語の壁を乗り越えレイアウトを変更してなお総ページ数は原書版と寸分違わず(索引の最期のページを見比べてみよう。どっちも同じ316Pだ)。翻訳事情を知らんからそれがフトゥーなのかもしれませんが、翻訳ティームの方々のテクさには思わずハット・オヴ・ディスガイズも脱げるグッレイト。
 しかし相も変わらず呪文は五十音順でずらずら並べているだけ、しかもどのクラスが取得可能かも書いていなくてこれはすごくない。ついでに言うと呪文リストの横に系統が書かれたことで猛烈に見づらくなって違う意味ですごいことになった。日本語版独自の配慮として加えるなら、呪文名に背景色を付与するとかその程度で良かったんですが……なんでレイアウト技術が3e時代にまで退行するかね!?
 最後に豆知識、実はクラス・オプションに関しては五十音順になっていない。ファイターが「チャンピオン」「バトルマスター」「エルドリッチ・ナイト」の順に並んでいるように、原書のままの配置となっている。て、よく考えたらアルファベット順にしてもチャンピオンが先っておかしいやん。ローグも原書だとシーフが最初に記載されてるし。まあ、このチャンピオンとシーフはベーシック・ルール掲載ということで先頭にされたのかもしれないし、統一感を出すために敢えて他のクラスも原書のままの順番にしたのでは……と思いきやクレリックの領域とウィザードの学派は五十音順に再整理されていたりしてようけわからん

日本語版PHBのここがすごい! その4:エラッタ適用済み
 翻訳までちょいとスパンが空いたこともあって、原初版で発覚したエラッタはきちんと訂正されている。“休息の歌”や”鎖の契約”のような曖昧だったところにはしっかりと追加の規定が加筆されており、より安心感あるプレイが約束されている。もっとも、ゲーム進行に支障をきたすようなエラッタは、四大門モンクの金山鉄壁が11レベル→17レベルと、力術系統ウィザードぐらいのもんだったと思いますが……(マジック・ミサイルと“力術強化”、初級呪文と“限界突破”はDM・マンチPL間でさぞかし醜い論争を引き起こしたと思われる)。
 また、ソーサラーの呪文二重化に出されたエラッタは「その呪文の今回のレベルにおいては2体以上のクリーチャーを目標に“できない”ものに限る」というかなりわかりづらい訳になっているが、呪文スロットが変わると効果も変わるという仕様、そもそも上位の呪文スロットで発動するという原文自体が難解で、相当の苦労がしのばれる。原文に忠実でなくても、訳注で「呪文スロット上昇で対象が増える場合も含む」と書き加えても良かったと思うのだが。
※念のため書いておくと、ホールド・パースンを単体を対象に発動する場合は呪文二重化適用可能、高レベル呪文スロットで複数を対象に発動する場合は適用不可、という意味。
 軍用武器なのに単純武器のスピアとまったく同じデータと言う謎武器トライデントや、データが全く同じグレイヴとハルバードは修正されていない。UAの武器特技のように、武器をフューチャーした新データが予定されているのかもしれないので、その辺で差別化を期待しようか。またレンジャーは当然生レンジャーのまま。この際それは仕方ないにしても、新サプリ『Xanathar's Guide to Everything』で生レンジャー相手のアーキタイプが出ていたようで、UAレンジャーはなんか闇に葬られそうな予感(ノ∀`)アチャー もっとも、これから先のサプリでパッチとして登場しないとも限らん故、希望を捨てるのはまだ早い。

日本語版PHBのここがすごい! その5:ページがバラバラにならない
 AD&Dのモンスター・コンペンディウムかよとつっ込まざるを得ないページの分解ぶりも、日本語版PHBでは微塵も気配も見せない力強い頑丈さで……と思ってたら、あのバラバラになるのって普通に製本上の不手際だったそうです。バラバラになった写真を撮って送ると交換して貰えたとか。あ、そうなんすか……。

 5eの面白さはここでも散々語ってきた上、売り上げという折り紙まで付いてきている。売れる物=良い物とは限らないが、なあに売れる物にはそれ相応の理由とクオリティがあるものよガッハッハ(ここぞとばかりにマジョリティっ面する奴)。各版のいいとこどりに成功した上、D&Dのエッセンスを残しつつもシンプルな遊びやすさを達成した川柳的なこの傑作、せっかく我らの母国語日本語となりEDU×5で読めるようになったんだから、遊ばねば大和魂が廃れるってもんだぜ! 皆遊ぼう!

テーマ : TRPG
ジャンル : ゲーム

D&D5e余話#189~訳語のもんだい・特技の話始末記~

 5e(とPF)の翻訳で一番の懸念は、特技の和名であった。そんなことが一番かい、と言われたらその通りでなんか文句あっか。
 日本語版で特技の名前が英名をカタカナ表記にしただけだったら、俺はゼラチナス・キューブの角に頭ぶつけて抗議の自決をする覚悟だったのであるが、ちゃーんとかっちょいい和名が用意されていてよかったよかった。Pathfinderは大丈夫かな。
 それらを見てみると、以前筆者が独自に付けた和名と一緒のものもあればまったく違うものもあり、近いものもあり、しかし自分の考えた訳と実際のブツが同じだったりすると意味もなく不敵な含み笑いをしたくなりますね。いや、誰が考えても同じ訳が出てきたってことか……。
 列挙してみると、こんな感じになった。

《警戒/Alert》→同じ
《運動競技者/Athlete》→《運動選手》
《名優/Actor》→《役者》
《突撃手/Charger》→《突撃者》
《クロスボウの練達者/Crossbow Expert》→《クロスボウの達人》
《堅牢なる決闘者/Defensive Duelist》→《守りの決闘術》
《二刀の駆使者(最初は二刀の振るい手だった)/Dual Wielder》→《二刀の使い手》
《ダンジョン探究家/Dugeon Delver》→同じ
《頑強/Durable》→《壮健》
《エレメンタル熟練者/Elemental Adept》→《元素の達人》
《組み打ち/Grappler》→《組み技の達人》
《大業物の達人/Great Weapon Master》→《大業物の使い手》
《癒し手/Healer》→同じ
《重装鎧習熟/Heavily Armored》→《重装防具習熟》
《重装鎧の熟達者/Heavy Armor Master》→《重装鎧の達人》
《鼓舞する指揮官/Inspiring Leader》→《激励する指揮官》
《鋭敏記憶/Keen Mind》→《鋭敏なる頭脳》
《軽装鎧習熟/Lightly Armored》→《軽装防具習熟》
《言語学者/Linguist》→《語学の才》
《幸運/Lucky》→《強運》
《魔術師殺し/Mage Slayer》→《魔導士退治》
《魔術の参入者/Magic Initiate》→《魔法のたしなみ》
《戦術熟練者/Martial Adept》→《戦技のたしなみ》
《中装鎧の体得者/Medium Armor Master》→《中装鎧の達人》
《機動力/Mobile》→同じ
《中装鎧習熟/Moderately Armored》→《中装防具習熟》
《騎乗戦闘/Mounted Combat》→《騎乗戦闘者》
《観察力/Observant》→《観察眼》
《長柄武器の名人/Polearm Master》→《長柄の使い手》
《セーヴ習熟/Resilient》→同じ
《儀式執行者/Ritual Caster》→《儀式発動者》
《獰猛なる攻撃者/Savage Attacker》→《凶暴な戦士》
《番人/Sentinel》→《守護戦士》
《射撃の名手/Sharpshooter》→同じ
《盾の巧者/Shield Master》→《盾の使い手》
《技能習熟/Skilled》→《技術習熟》
《忍びの者/Skulker》→《影に潜む者》
《呪文狙撃手/Spell Sniper》→同じ
《酒場の喧嘩屋/Tavern Brawler》→《酒場流喧嘩殺法》
《追加hp/Tough》→同じ
《戦闘発動/War Caster》→《戦場の術者》
《武器習熟/Weapon Master》→《武器の使い手》

 無数に存在したMasterシリーズは、結局「使い手」で統一されたようだ。必死こいて考えたオレの苦労はなんだったのだとブゼンとするものもあるが、あれは「Crossbow ExpertとGreat Weapon Master、単語が違うなら、何か別の訳を考えるべきだろうか…しかしクロスボウだけ別の訳だと浮くよな…」という懸念から端を発していたので、そうやって統一されたならそれはそれで…と思いきや、クロスボウだけはやっぱり「達人」と別の訳だった。そりゃExpertだからMasterとは違うがしかし、何故クロスボウだけ鎧のMasterシリーズと同じく「達人」なんだ。珍しく武器の特性ではなく、個別に武器を指定する特技だからか。
 鎧のMasterシリーズが「達人」訳なのは、「使い手」だとちょっとしっくりこないからだろう。そういえば、Armoredは全て「防具」になっている。3e以降の慣習でつい《○装鎧習熟》と訳していたが、Moderately Armoredだと盾習熟も一緒についてくるので、「鎧」では誤解を招くと判断されたと思われる。同様に、Skilledは道具にも習熟できるから技能習熟では足りんかった。
 他クラスの能力をつまみ食いする特技は「たしなみ」に。ちょっと戦車道の気配を感じますね。
 全体的な印象として、4eまで続いてきた凝った言い回しを避けた、素直な訳になっていると感じる。《セーヴ習熟》《追加hp》のような少数の例は除き、原語から大きく外れた訳は見られないし、昔使われていた特技名も殆ど消滅した。新規のTRPGユーザが出現してきていることもあり、5eからD&Dに入るヤングのことも考えて平易な言葉選びをしているのかも。そんな中、《語学の才》だけは懐かしい名前としてひょいっと顔を出している(君と会うのも4eのPHB以来だねぇ)。新顔で異色なのはTavern Brawlerの《酒場流喧嘩殺法》、なんかこれだけ毛色が随分違う。地獄爪殺法みたいだ。筆者も訳に困ったが、翻訳チームの方々の相当の苦労がうかがえる。
 こうして日本語版の特技名が確定したことで、これまで使用してきた筆者の私訳特技名は役目を終えたことになる。以後、5e記事における特技名は日本語版PHB準拠となる故、私訳の方を見ることはもうない。PFの冒険者セットと共に安らかに眠ってくれたまい。合掌。

テーマ : TRPG
ジャンル : ゲーム

D&D5e余話#188~PHB日本語版本当に発売~


 私はR&Rステーション様で入手しました。
 白状しますが、入荷日を守るとは信じてませんでした(「5e入荷っていつ頃ですかね?」と聞いたら15日ですがどうなるかわかりません、と言われた)。
 何はともあれ、PHB日本語版発売本当に嬉しいよ
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洗脳されていない…!
 皆もどしどし買って激怒ドルイドを遊び倒したり特技を使い倒したりしてネ。
 なお、仮面ライダーAmazonだと18日発売だけど大晦日一歩手前~元旦到着という配達業者さんの事をまったく考慮していないド外道スケジュールという噂があるので出来るだけ店頭で買ってくれや! っていうか休ませてやれや!

テーマ : TRPG
ジャンル : ゲーム

TRPGこぼれ話#305~BRPレイトショウ・草案~

 前回提示したBRPレイトショウにどのぐらい本気か、具体的なアイデアをもってしてその本気度をお見せしましょう! 必死で考えましたからね! 尻から屁が出るほど! 2分ぐらい!

・能力値
 まず前回申し上げたEDUの廃止であるが、これはちょっと保留。俳優の教養を示せる数値というのはなかなか面白いのではなかろうか。レイトショウだと知性/BRNが頭の良さと勘の良さの両方を備えていた(故にBRN基準の技能がすごく多い)から、これを2つに分けるぐらいの気持ちで導入してもいいかもしれない(学術系はEDU、頭の回転や知覚はBRNという感じで)。ああ、でもクトゥルフみたいにEDUが技能ポイント供給能力値みたいな露骨な扱いはしませんよ。そもそも職業技能という概念が無いし。
 むしろ精神的なタフさはレイトショウだと人気で決まるから、POWの方がいらんかもしれない(ついでに言うと運がいいか悪いかも人気だ)。物理的にどのぐらい酷い目に耐えられるかも人気で決まるから、STRとCONも統合しちゃっていいような(レイトショウに合わせると体力/BLDとなる)。SIZは面白いので残しておこう。デカブツとの対決の時脅威の指標になるし、元からクリーチャーのデータにだけはSIZって存在しているしね。当然、APPはレイトショウに必須の能力値だ
 EDUとINTあらためBRNの扱いが変わったのに加え、SIZも子役で遊ぶことを考えたら+6の保証はいらんだろう(2010によると小学生のSIZは2D6で決定する。余談だが頭の良さ即ちINTは大人と同じ2D6+6子ゼルの時に決定されて一生変わらないのが泣けてきた)。というわけで男らしく3D6で決定。レイトショウの能力値と比べると半分程度となるが、ぶっちゃけ実際の扱いでは数%の差にしかならんのであまり気にしなくていいと思う。と言うか、後述する技能のシステムを考えると差が無いどころかレイトショウの方が判定の面ではシンドイ
 あ、そうそう、レイトショウにおけるhp、サバイバル・ポイント(SP)は体力と人気に依存していたが、BRPレイトショウではSIZとAPPも反映させることを是非とも推奨したい。何故映画上の耐久力にAPPが用いられるのかって? そりゃあ、ね。

・技能
 レイトショウの技能決定は1D10を20回振り、ひとつひとつの出目を各技能に割り振るという体当たり気味な方法だった。
 まあなんだ、技能ポイント制でいいんじゃないかな。BRPにするんだし。あと、技能が何%あろうと大した問題ではないシステムであるし。どうせ映画で必要な技能は特別技能指導が入るんだ。システム自体があってなきようなものという話もあるが、おいちゃんにそれを言われちゃおしまいだよ!
 実際に使える技能ポイントは、レイトショウの決定法から算出すると平均110ポイント、これはキリよく100ポイントとしておく。10ポイント減った代わりは以下の措置で埋め合わせる。
 クトゥルフの技能と言うと、技能ポイントを集中的に振らないとまず成功しない初期値の上にべらぼうに数が多いのが特徴(そして初期値の格差が酷い)であるが、レイトショウは能力値を反映できる代わりに技能にポイントを振っていないと判定すらできない、そして技能数がクトゥルフをはるかに上回る90個という激烈に厳しいシステムだったりする。まあ、クトゥルフ同様〈水道工事〉とか珍技能にかなり枠を割かれているのだが。
 クトゥルフのように能力値がまるで技能に活かされないのも悲しいモンがあるが、かといってまるで判定のチャンスを与えないのも無駄に厳しいしつまらない(例えばくその役にも立たなかった奴が突然の閃きで突破口になるのも映画的でいいじゃない)。判定の値は能力値+割り振った技能ポイント(0なら能力値そのまんま)で別に問題はないだろう。……もしかしたら、技能ポイントとを振ってないと判定できないのは、「ここに書いてある技能の大半はインクの染みだから気にするな」とシステム側で暗に語っているからだったりして。
 集中して技能の判定値を伸ばすのは難しくなったものの、レイトショウでは映画をひとつ終えたら割と豪気に伸びるから心配しなくても大丈夫だ。具体的に言うと、ひとつの撮影が終わったら、1D10を10回振って足せる。今回のアイデアと合わせると50点ぶんの技能ポイント。あの意味不明かつくそみたいなクトゥルフの技能成長とは違うのだ。なに、PCロストが無いんだから初演作でコケても気に止まずに次の機会にうまくやればいいさ。どうせ今までだってコケ続きだったんだし。
 恐ろしい事にクトゥルフに搭載されている技能の殆どはレイトショウでサポートされているのだが、〈マーシャルアーツ〉は消えることになるだろう。それと、〈回避〉も(レイトショウでダメージを避ける手段は明記されていない)。〈心理学〉〈精神分析〉〈図書館〉の重要性も大幅に変わるため、それがあってこそ一流の探索者のような固定観念の軛から解放される(俗悪映画の登場人物の精神を分析したところで、解決する事態って何かあるだろうか)。
 ……ああ、俳優が映画で殴り勝てる相手とぶつかる保証はないけれど、酷い目に遭うのはまず間違いないので、〈応急手当〉は大抵の俳優が覚えているかも(これは珍しくSPを回復できるという明確なゲーム的使い道がある)。ま、SPは人気が上がると増えるし戦闘が終わったらお色直しで回復できるから、必須と言うわけでもないですが。何と言っても、スタントは何のために君の背後で待機しているんだ

・その他いろいろある
 鼻息荒く始めた割にはもう書くことが無くなってきちゃった。だってレイトショウって基本ルールが凄くシンプルで、撮る映画ごとのオプション・ルールが本体だったりするし
 あ、クリーチャーのデータのデータは手を入れる必要があるな。レイトショウでクリーチャーのサイズは1点につき1フィート換算のようで、これはクトゥルフを参考にSIZを当てはめていけばいいだろう。ダメージも固定なのをダイス方式に変えるのはさほど難しくないだろうし、グレート・オールド・ワンの平凡パンチよろしく素殴りで100点とか真面目に適用する気がないダメージがしょっちゅう出てくる(そして命中率がびみょうに低いのもよく似ている)から、これもそんなに悩まず決めていけばよかっぺ。問題は20点とか40点とか耐えられるか耐えられないか微妙なセンの打撃力だな。BRP準拠だと固定値があまり入ってこないから、再現するにはちょっと工夫がいるかも。
 ともかくシステム的にはシンプルであり、種々雑多な映画撮影ならではのルール(と、それにまつわるバカ話)がメインなので、ここで語るにはあまりにも分量が多過ぎる。その詳細は、来年か来世で公表されるであろう、筆者謹製のBRPレイトショウサマリーを待てい!

テーマ : TRPG
ジャンル : ゲーム

TRPGこぼれ話#304~BRP深夜三流俗悪映画の逆襲!!~

 みんなーッサメ映画好きーッ?
 俺ふつー。
(ヒラコー調)
 ちょっと前(おっさんの言う「ちょっと前」は十年前まで含まれる)オンセにおけるルールブック未所持問題で騒いでいたが、常識知らずは叩き出せの一言で済むところを雪ダルマ式に小難しい話題にしちまうのがTRPGクラスタの悪習とかそういう事は置いといて、世には未所持以前にルールブックが手に入らんシステムというのもあるのです。人を集めたくても。例えばメガテン覚醒篇とか。でもXの方がプレミアになってると聞いてびっくらこいた。
 この問題を解決するには私家版を作るなり電子化するなりしてオンライン上で閲覧可能にすることだが、著作権的にかなりアウトっていうかモロアウト、それもいくらセキュリティを施そうとコピーしやすい電子媒体という時点で裁判キャンセル監獄のデッドライジングを極(き)められる危険性は高い。公表から50年後の失効待ちという時間勝負も手ではあるが、多分切れる頃には我々は土の下にいるか、ちゃんとものを喋れなくなってTRPGどころぢゃなくなっていると思う。ちゃんと版元と交渉して企画通すとか、そういうまっとうな立ち回りをできる立場ならいいのでしょうが、うーむ。
 もちっと現実的な路線を考えると、みんなが持っていそうなシステムで代用するというのが手だな。例えばソード・ワールド旧版をやりたければシステムはSW2.0で世界観を合わせるなり、旧版に合わせたルールの調整を加えるなりすればいいだろうし、それこそ気力と根性次第によっては全然別のシステムで代用することだって可能だろう。はるか昔のTRPGユーザがD&Dを使って現代学園モノをやっていたように(GM「そう言って彼女は君の首筋に熱い息を吹きかけてきた。さあドラゴン・ブレスに対するセービング・スローだ」)。d20システムでクトゥルフやトラベラーをやったりしてたんだからやってやれないことはない……もっとも、d20システムって言うほど汎用性はなかった気もするけど……ガープス? んーとね、悪いけど俺その話題になると頭痛がするの。
 イット・ケイム・フロム・ザ・レイト・レイト・レイトショウもそんな代行システムを立ててでも遊びたいゲームの一本である。
 イット・ケイム・フロム・ザ・レイト・レイト・レイトショウ(正式名称はこれに深夜三流俗悪映画の逆襲!!が続く。以下レイトショウ)とは、TRPG界でも珍しい映画撮影をモチーフにしたTRPG
 映画撮影でTRPG? とピンと来ない人もいる、いやこんな吹き溜まりに書いてある記事を読むような人達なら説明いらんかもしれない(読者ディスりすいません)が、あらためて語ると「GM=監督、PC=俳優、舞台=映画のセット、シナリオ=脚本、セッション=撮影」と考えてもらえば想像しやすいのではないだろうか。監督の語る状況説明と脚本に沿って、俳優たちは様々な困難に立ち向かっていかなければならない。同時に、俳優たちも監督や共演者と相談して制作に参画することができる。こうして見ると普通のTRPGのセッションに近い物があるとワカる。
 んで、ここからがミソで、レイトショウで撮る映画とはまともな映画ではない、サブタイにあるような三流俗悪映画、B級やC級というのも生ぬるいというかB級C級に失礼な、Z級と称されるくそ映画中のくそ映画だ。冒頭で触れたサメ映画なら、サメが竜巻に乗ってやって来る……こんなまっとうなプロットじゃ全然Z級じゃないな、「ナチス・ドイツの科学で蘇り、ブードゥー教の呪いによって竜巻を呼べるようになった三本首のゾンビ・シャークVS人類の自由と希望と正義を賭して戦う、大統領操る核弾頭搭載のフルメタル・シャーク」これならどうだ。
 そんなくそ映画につきものなのは、映画会社の屋台骨を支えるよりぶっ壊す方に貢献している、何故絞首台に上らないのか不思議な監督、出来の悪いCGにしか存在しないと思われている劣悪な化石舞台セット、そして破綻した脚本だ。シナリオライターがよこした書きかけの、それこそプロット以下のプロットで投げ出された代物を元に、監督と俳優は映画を撮っていかなければならない。大雑把な筋書きしかないが故に、監督はその間を埋める創意工夫に無い知恵を絞らねばならず、そしてそれはしばしば出演者の安全や物語上の保証を顧みない無茶ブリとなって俳優たちに降り注ぐことになる。そいつをうまくかわして人気を獲得するために、俳優たちはあの手この手を尽くさねばならない。時には監督を含めたスタッフに口を出してでも――実を言うと、「大雑把な筋書きを元に、ホストが語る物語に対して行動を決定し、結末へと導いていく」という構造は普通のTRPGと同じ。それを(くそ)映画撮影というテーマに合わせて落とし込んだ結果がこうなのではないかと分析する。
 そして筆者がレイトショウをTRPG史に残る傑作いやさケッサクと信じてやまないのは、メタ・フィクション要素を大々的に取り入れた作品である、ということだ。PCは現実世界の俳優であり、セッション=撮影中で演じる姿は架空の役柄という、まったく別の人物だ。舞台設定も同じく映画のセットなのだから、茂みの裏を除いたら書き割りの板が見えたりする。故に、舞台を外れた場外乱闘を仕掛ける要素が無数に用意されてある
 なんと人気をタテに物語の展開を捻じ曲げる方法が規定されているのもその一面。俳優がつむじを曲げて舞台から降りることで、監督が泣きついて無茶な状況を変えてくれるルールが存在するのだ。もっとも人気が無い俳優がやっても鼻で笑われるだけだけれど(そして、大抵の俳優は人気が無い。あったらこんな映画の撮影になんか出演しない)。それ以外にも、フィルムを破損させてまずい場面の撮影を中断するブレイクスルーあり、耐えられないダメージをスタントに受けさせるシールドあり、緊迫したシーンの後のお色直しという名の回復タイムあり、どれもこれもが映画撮影ならでは、そして映画撮影を扱ったTRPGならではの、このタイトルでしかありえない徹底的なメタ・フィクションとシステムの融合。デザイナーは相当の手練れでしょう。そういえば、監督もこれを逆手にとって、メタ的な演出を作ることもできるんだった。プレイヤーに考える時間を与えたい場合は、突然撮影を中断して休憩を申し渡した後に、スマホに耳を当てつつこう囁くとか。「すいませんお金あと2日待ってください」
 中でも出色なのは俳優と役柄(またはGMと監督)の分離によって、TRPG上のメタ的なぶっちゃけをルールにしてしまっているところ。言ってしまえばTRPGではGMはクリアできない物語は用意しないし、何らかの解決策を持ち込んでのセッションという、ある種それを言っちゃあおしまいよ的な安心感のあるプロレスである(たまに用意しなかったり持ち込んだりしないGMもいるがそういう話は今回触れない)。しかしレイトショウでは、役柄というPCの視点と共に、俳優=プレイヤーの視点も許容されている。キャラクターの目線で考えると共に、プレイヤーの目線で考えて発言し、それを楽しんでしまうことができるという寸法
 クトゥルフで言えば「絶対に見に行きたくないがシナリオ上見に行かないといけない怪物の住処」があったとして、そこにノリノリで行くか嫌々行くかは人によって異なるだろう。が、レイトショウでは監督や共演者に対して、「これはどう考えても見に行くのは頭がおかしい奴の行動なんで、もうちょっと上手い手はないだろうか」という相談タイムに入ることができる(ただし、もっと上手い手段、あるいは面白おかしく頭のおかしい手段を講じなくてはならない)。もしくは「ただ見に行くだけじゃ面白くないよ。僕は数歩ごとに自分の足音が大きくないか確認しながら進んで、角まで来たらずるりと足を滑らせて、そこでやっと床の血のりに気付くんだ。“うわあ、なんだこれは!”と叫びながら」と自主的にくそ映画につきものの頭がおかしい奴の行動で笑いを取りに行ってもいい――ついでに言うと、このくそ映画につきものの頭がおかしい奴の行動をすると、観客は大喜びして人気が上がる。故に、慣れてきた俳優は自然と命を顧みない体当たり撮影に飛び込んでいくようになる(スタントが使える限りは)。
 段々察してきたかもしれないが、レイトショウの目的は皆でネタにするしかないおもしろ変なくそ映画の完成なのだから、基本的にウケが取れれば何でもいい。ちょっと『番長学園!!』などの前時代HJ系システムや1PTRPGに通じるものがある。プレイヤーからはどんどんアイデアを出してもらい、監督がどんどん採用することもできるし、それこそ監督の方から「シナリオからぶっ飛び過ぎてこの状況を打破するいいアイデアが無いんだけどどうしたらいいと思う?」とぶっちゃけてもいい。監督が無理難題を押し付けるにも、それは楽しく追い詰めて悩ませるものでなければならないし、プレイヤーもそれをワカってより楽しくなるよう立ち向かい、あるいはさらに苦しむ方に転がっていってもいい参加者全員がこれはバッドエンドに行くしかないな、だってその方が面白い映画になるんだもん、と覚悟完了したらそれで映画をしめくくってしまってもまったく構わない。実際に俳優が死ぬわけではないんだから、PCのロストは起こり得ないんだし(俳優が死ぬようなメタ要素を持ち込まれたらその限りではない)。意地の悪い人なら出来レースとくさすTRPGの構造自体を笑い飛ばしちゃうこのアイデアは、なかなか他所では見られたものじゃないですよ。てか凶器攻撃なんで他所であんまり見られちゃいけないと思うんだな、ギャグの大敵は陳腐化であるし。
 これらの説明を読んでちょびっとでもレイトショウに興味を持ってくれたヤングには申し訳ないのだが、前フリの通りレイトショウも年季の入った(くそ映画TRPGの割に意外と歴史がある。日本語版として20年前に出たのは生意気にも第3版)システムの例に漏れず入手は困難である! 仮面ライダーAmazonによると中古品がお値段たったの55,800円(2017年12月現在)という数字に俺は脱糞しかけた。

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こんな感じ
 ソシャゲに突っ込んだ額がン万円なら回らない寿司屋で豪遊できるという説教にもまあ金の使い方は人それぞれでないの、と思うけど、それにしてもこの額を払って入手するなら、55,800円の価値を考えていいんじゃない、と一口添えずにはいられない(面白いのは保証しますが、うーむ)。ちなみに版元がバイチャダストされたせいで再版もできないという噂も聞いた。翻訳のセンスが迸りまくっているんで是非現物を読んでもらいたいのに実に惜しい。D&D界の味皇こと桂令夫さんの仕事としては、RPGマガジン&ゲームぎゃざのガンダム記事と双璧をなすものではないでしょうか。
 ルールブックの確保が難しい以上、あんまり怒りを買わずにオンセで遊ぶなら、既存のルールに手を加えたヴァリアント的な扱いで、具体的なデータは頒布しないようなやり方になるが、さていい代用ルールはないか……と考えるまでもなく目の前にありました物凄く近しいルールが。BRPっちゅうかクトゥルフがほぼそのまんま使えますやん。システムからして好奇心が肥大化して自ら危険に体を晒す(その上探索能力は尖って凡人より強力ではある)一般人がPCのゲームですし。それに、
・d100を用いた%ロール
・無駄に多くマトモに運用することを考えているとは思えん技能群に、大雑把なポイント配分方式
外見という直球の、他のシステムであまり見られない能力値
・くそ映画では無体なクリーチャーや超自然的存在との対決がしばしば起こる
 と、親和性も高いぞ。そういえば、クトゥルフのシナリオ上必要な技能の成長機会を開始前に与えるルールはレイトショウの特別技能指導と似てるな(その作品の撮影中に限って、特定の技能の成功率が50%になる)。……いや、クトゥルフをレイトショウがパロったんだろうな、というのは言われんでもよーくワカってますがね(クトゥルフの正気度ロールや一時的狂気表とクリソツのルールが存在する。ただし、レイトショウで恐怖に耐えられるか否かは人気である)。あ、そういえばクトゥルフにもB級映画のノリを再現する『ホラーショウ』なんてサプリがありましたね。でも、こんだけ真正面からメタ・フィクションを見事に取り込んだシステムはやっぱり無二のものだと思うんだな。現物見てないんで断言はしませんが、多分フィルム燃やしたりできないでしょうし。

ってこれまたプレミアかよ!
 システム的に親和性が高いと言ってもいくらかは削らなければならない。例えばEDUとSANが削られ、その代わりに人気が入ってくる。またくそ映画の俳優が運がいい事はほぼないので、〈幸運〉ロールの存在も消えるだろう。幸運か否かを問う時は人気ロールになるはずだ、それも×5などという甘い数字ではなく、人気そのままで。余談だけれどレイトショウは人気さえあれば大抵どうにかなる。流石は映画撮影TRPGだ。さておき、クトゥルフを元にしたこのBRPレイトショウ、なかなかイケてるアイデアではないでしょうか。上手く行けばザギンで懐石料理でもつつくか、待遇がいいという府中刑務所で壁相手にキャッチボールすることになるぐらいの成果は見込めると思うんですが、どうよ?

テーマ : TRPG
ジャンル : ゲーム

We are Pathfinders!#278~『We Be Goblins!』ありありコンストラクション~

 前回『We Be Goblins!』のプレロールドキャラクターについてちょこっとつっこんだが、もちっと本格的に考えてみよう。
 まず全体的に言えることとして、プレロールドキャラクターのゴブリン達は火力の点でやや弱い。サイズでダメージ・ダイスが落ちているのもあるし、サイズ差を問われない火力呪文を持っているのがプーグ君(しかもバーニング・ハンズの1d4)ぐらいのため。まあ、ブサメンの上に識字率が絶望的なゴブリンに秘術呪文というのはハナっから無理もいいところでしょうが……OAクラスに走れば何とかなりそうだが、できればクラスはいじりたくないので。恐らくメイン火力はモグマーチ君の爆弾と、チュッフィ君の急所攻撃となるだろう。
 ところで、モグマーチ君の装備品を見てみると錬金術師の火を3つも持っている。爆弾と比べて射程は短いが、威力自体は1レベルなら遜色ないし、ちゃんと“万能投擲術”もしくは‟炎の砲手”(ARG)も適用される。飛散ダメージは反応セーヴで半減できないから、爆弾の威力が上がるまでこっちをメインにするのもアリではないか。もっとも、一発20gpがすっ飛んでいくのは懐に優しくないが、そんなことはゴブリンなら気にするない。さらに、錬金術師の火は爆弾には適用できない《焼け!焼け!焼け!》(ARG)でダメージアップできるという非常に大きな利点がある。直撃した場合は1d6+1d4+【知力】ボーナス、これで一挙ポイントゲッターに昇格だ。さらに〔放火魔〕を乗せれば“万能投擲術”と併せて攻撃ロール+2。良好な攻撃ボーナスを持つクラスぐらいの命中率を出せる(しかも接触攻撃)。
 《焼け!焼け!焼け!》が適用されるのは錬金術師の火だけではなく、松明の打撃にも1d4ダメージを足せる。こちらはなかなか使い減りしないし数を用意できるのが魅力。ただ、松明でぶん殴るには炎の爆弾魔アーキタイプや《炎の手》(ARG)が必要のためちょっと非現実的……と見せかけて、代用武器の未習熟ペナルティを被らない、しかも攻撃ロールに+1の〔商売道具の武器〕というナイッスなキャラクター特徴が用意されている。〈職能〉〈製作〉とも背景技能(導入されているなら)でランクは振れるし、松明を使う仕事なんてゴブリンにはいくらでも考えられることだろう。〈製作:松明〉はもちろん、〈職能〉で松明で飯を食うゴブリンと言い張っても俺は許可します(俺以外のGMには確認を取って下さい)。
 惜しいのは《武器の妙技》を適用できるか否かが曖昧な所。代用武器のサイズは各種武器から判断するよう示唆されるのみであり、そのクリーチャーにとって軽いか否かという問題はGM判断に任される。松明の重量(1ポンド)からするとゴブリンにも軽い武器扱いになりそうだが、クリーチャーに適したサイズかというと、松明はそういうことを考慮されて作られていないだろうし(この理由で筆者としては軽い武器ではないのでは? と判断する)。それと、《炎の手》にせよ〔商売道具の武器〕にせよ、ペナルティを受けなくなるだけであって、習熟を得るというわけではないようだ。故に《武器熟練》で指定するような事はできない(炎の爆弾魔なら単純武器として扱えるので可能)。
 さてプレロールドキャラクターの中で松明をぶん回す戦法に適したキャラと言えば、イマイチ方向性が見えなかったリータちゃん。ファイターの特技の多さを活かして、《焼け!焼け!焼け!》とのプラスアルファを生むって寸法よ。例えば《炎の手》(ARG)を取れば攻撃ロール+2、特徴ボーナスと無名ボーナス故に各種ボーナスと重複させやすい。《武器熟練》を使えないデメリットはこれで補える(《武器開眼》については言わねえでくれや)。《武器の妙技》に頼らない前衛で行くと決めたからには【筋力】優先ビルドとなるため、《強打》を取ることだってできるだろう。もっとも14以上を望むのはかなり厳しい話だけれど。「軽い武器でない」という扱いを逆手に取って、両手で持って【筋力】ボーナスと《強打》のボーナス1.5倍という情け無用の残虐ファイトも一応選択肢には入るものの、「松明は両手で持っても(レイピア同様)メリットはない」と蹴られる可能性は常に覚悟しておくように。前回紹介した《犬殺し、馬狩人》を残しておきたい場合は、〈職能〉or〈製作〉、〈装置無力化〉、〈動物使い〉とちょっと技能ランクがファイターには辛い。背景技能を導入するか否かで【知力】も変わってくる。
 また前衛を張るなら鎧はレザーから判定ペナルティを飲んでももうちょっと鎧ACは高めておきたい。チェイン・シャツはちょいと高いのと、【敏捷力】ボーナス上限を考えるとベストは革製ラメラー。スケイル・メイルにするという手もあったが、やはり移動速度30フィートは確保したかった。加えて、盾の習熟はファイターならではであり、《武器の妙技》を使うとペナルティを受けるという欠点を気にしなくてよいところもマッチしている。これで【敏捷力】ボーナス+3、鎧ボーナス+4、へヴィ・シールドで+2、サイズ・ボーナスで+1。一挙AC20に到達できる。プレロールドキャラクター共通の欠点、立ちすくみ状態を狙われても17でかなりの安心感がある。安心してチュッフィ君に挟撃を提供できるし、自身で殴りに行ってもドッグスライサー以上の打撃力が期待できる(地味に松明の[火]ダメージ1点の追加が大きい)。難点としては戦闘中に火が消えてしまうと再点火が面倒であること。プーグ君にスパーク(APG)は準備してもらうようお願いするか。
 《武器熟練》が取れないのも困るが、“武器修練”の対象にできないのも大いに困る。いくらファイターでも代用武器までは修練する気ないでしょうし。“武器修練”を捨てるアーキタイプ、鎧の達人(UC)などを入れるか、もしくは片手一刀流戦士(APG)ならカテゴリ関係なく“武器修練”同様のボーナスを得られる。が、盾が使えなくなるのと、クラス特徴が対武器使いに限定されがちなのが悩ましい。それと、代用武器というなら《代用武器体得》も目指してみたくはなるが、元が1d2だけに修得しても1d3、これではちょっとねえ…っていうかそのレベルまで松明武装で使い続ける人もいないよな。……いませんよね?

テーマ : TRPG
ジャンル : ゲーム

We are Pathfinders!#277~『We Be Goblins!』シナリオ以外のつっこみ三昧~

 オンセ開催に向けてちゃきちゃき『We Be Goblins!』準備中、その一環としてプレロールドキャラクターのデータの見直しをしておりました。シナリオ自体が古め(2011年)のため、データの中に再整理されたりパッチが当たったりしたのがあるのですね(例えばローグはPUローグを適用すると《武器の妙技》がボーナス特技になり、チュッフィ君に特技一個の空きが出来た)。今回はその辺の細かい小話。なおシナリオに関するつっこみは、シナリオがつっこみ所しかないというか、ゴブリンの存在自体がつっこみ所で出来ているため、それやってると年が明けちゃうのでしません。
 さて真っ先に目に付いたのがプレロールドキャラクター、モグマーチ君を除いた全員の獲物。ゴブリンの魂ドッグスライサーを皆手に突進していく様が目に浮かびますが、この時点で気付いた人、なかなかのゴブリン通だね。ドッグスライサーは軍用武器なので、本来ならクレリックのプーグ君やローグのチュッフィ君は使えない筈。後にプーグ君は信仰するザロンジェル様の好む武器がドッグスライサーということで後付けの説明が付きました(『Goblin's of Golarion』に掲載)が、チュッフィ君に関しては本当に謎。ARGで追加された代替種族特徴を使用した形跡もナシ(だとすると〈隠密〉のボーナスの計算がおかしい)。〔愛用の武器〕を取ったわけでもないようだし……。
 ありそうなのは、ドッグスライサーをゴブリンの象徴として取り上げるために出したのであって、軍用武器などのカテゴリはまだ考えていなかったのではなかろうか。意外な事に『Goblin's of Golarion』にもドッグスライサーのデータは掲載されていない。ていうかそもそも生ゴブリンはショート・ソード使いだしな。ちなみにショート・ソードのデータは[刺突]と[斬撃]の違い以外ドッグスライサーとクリソツ。というか壊れやすいぶんドッグスライサーの方が弱い(一応、重量はドッグスライサーの方が軽い)。……なんか、これを書いててあんまり考えずに載せたんじゃないかなという予想がかなり固くなりました。まあ、ブリンスタンプ湿原に住まう者ならドッグスライサーは使えて当然という地域的なボーナスと思っておきましょうか。モグマーチ君は頭が(特に)おかしいので使い方を覚えてません。そういえば、この段階ではホースチョッパーを誰も使ってないのね。あったらきっと犬馬絶対殺すガールのリータちゃんはサブ武装にしてたろうに(彼女は射撃ファイター)。
 んで、そのリータちゃんの特技、《忌まわしき犬の臭い》/Dog-Sniff-Hateは、『Goblin's of Golarion』にてキャラクター特徴となった。効果が限定的な上に前提で《技能熟練:知覚》 を要求してくる重さだったので、これは納得。流石にダメージ・ロールに+2は失いましたが、攻撃ロールのボーナスが+2になりました(特徴ボーナスなのでバッチリ士気ボーナスと重複するように)。また別バージョンとして同じく『Goblin's of Golarion』で、《犬殺し、馬狩人》/Dog Killer, Horse Hunterが追加された。攻撃ロールとダメージ・ロールに+2、前提条件は〈動物使い〉1ランク、効果は強力に前提は緩くというアップァーバージョン。さらにクリティカル確定ロールに+2のボーナスが乗り、犬馬に対する絶対の殺意を感じさせる(PCとして取るか? と言われると、まあシナリオに依りますかな)。
 しかし《忌まわしき犬の臭い》が特徴になったため、〔頭でっかち〕と併用することができなくなってしまいました(どっちも種族特徴のため)。《犬殺し、馬狩人》が新たに作られたこともあるし、狭い所を通り抜けるのが苦手という萌え要素は残したいから、残すなら〔頭でっかち〕の方かな。続編の『We Be Goblins Too!』でも同様のビルドとなっている。
 続いてはプーグ君の崇める神格、ザロンジェル。犬殺しにして炎の偉大なる神、そして至高の聖なる騎獣であらせられるザロンジェル様の解説は『Goblin's of Golarion』にあり、ゴブリンに騎乗の術を教えてくれる、燃える体毛を持つバーゲストであるという(プーグ君が〈騎乗〉ベタなのは御愛嬌)。犬を殺すこととその死体を燃やすことに日々を費やす……って、これゴブリンの生活とあんまり変わらないなー。プーグ君の布教活動がどのぐらい上手く行ってるか定かではないけれど、普通に生きてるだけでもザロンジェル様の崇拝につながりそう。前述の通り、神格の好む武器はドッグスライサーのため、クレ公であるプーグ君は習熟を得ている。なお、プーグ君の装備品を見ていると邪印が見当たらないのであるが、ザロンジェル様の邪印は切り取った犬の肢であり、首から下げてるロッティーちゃんの毛皮付き前肢がそれであるってこれチュッフィ君の装備品じゃねーか! 『Too!』にも邪印は持ってないし、どういうこっちゃい? 邪印なしでもオーラ放出できるぐらい神格に近い存在であるとか。それじゃオラクルだよ。余談ながら、『Too!』でも干物になった先代幸運のカエルを持ってるんだけど、いつまでとっとくんだろコレ。そんなもん大事にするぐらいならバックラーのひとつも持った方がいいと思うのだが。
 ザロンジェル様は火、動物の他に悪、旅の領域を持つ。副領域は毛皮、煙、ダイモン、放火。放火は当然のことながら『Goblin's of Golarion』で追加された。どおりでAPGを必死こいて探しても出てこないわけだよ! 領域特典は炎の招来/Call Fireで、標準アクションとして直線60フィートの炎のリボンを放ち、その上にいた者に1d4ダメージを与える(反応・無効)。炎の矢と比べて攻撃ロールが必要ないのが利点だが、ダメージが伸びないのが不満か(副次効果として炎のリボンを放った手に持っている物を燃やして消すか、明かりを灯すことができる)。領域呪文はフレイミング・スフィアーフレイム・ストライクディレイド・ブラスト・ファイアーボール。ばっちりファイアーボールウォール・オヴ・ファイアを残してくれている所が嬉しい。フレイミング・スフィアーのシブさも光る。放火の神様だけに、より攻撃的な姿勢が窺えよう。ゴブリン及び悪の神格以外になさそうな副領域であることが惜しまれる
 あとはビルドに関する話を。この頃は代替種族特徴が無かったようだが、ARGが出た今ならプーグ君の<騎乗>ベタという設定を活かして、特異技能を置き換えることを是非推奨したい(〈隠密〉+4はもったいないけど、小型で元から+4あるしね)。何と置き換えるかというと……高い〈知覚〉を活かすために‟でか耳”とか? 〈知覚〉キャラはリータちゃんとちょっとかぶるが、〈知覚〉要員なら何人いても問題はあるまい。あとは何らかの手段で〈知覚〉をクラス技能にできるならベストなのだが。そういえばプーグ君が『Too!』で取得した特技は《神速の反応》であり、絶対に《選択的エネルギー放出》なんて取るもんかという強い意志を感じる。……というか、ただでさえモグマーチ君が味方を巻き込んで爆弾を投げそうなのに、この上無差別攻撃が増えるのはカンベンして欲しい。
 反対にチュッフィ君の特技は『Too!』だと《回避》《イニシアチブ強化》(うち1つは戦闘技術で取得)という非常に堅実な選択。性格の違いが感じられて面白い。PUを導入して空いた一枠は《回避》で、《強行突破》で攻めていくのも面白いかな。
 モグマーチ君はARGで炎の爆弾魔なるモグマーチ君のためにあつらえたようなアーキタイプが出来たので、これは使うしかないでしょう。[火]ダメージを与える爆弾でないと威力激落ちであるが、ゴブリンならば[火]以外の爆弾を投げることはそうあるまい! 一応[火]ダメージ以外の爆弾でも[火]ダメージを混ぜることができるし。そんでキャラクター特徴は〔放火魔〕(戦闘)でキマリだ。特技は松明を単純武器としてぶん回せることだから《焼け!焼け!焼け!》 とかどうよ? 【筋力】8で殴りに行くかはともかく。つうか本命は錬金術師の火ね。
 リータちゃんは射撃ファイターというちょっと変わった選択肢だけど、前線でどつきあいをするのはチュッフィ君とプーグ君という2人がいるし、高い【敏捷力】を活かそうとすると《武器の妙技》でチュッフィ君とかぶるから、という事情があったのかもしれません(PUローグを入れるとダメージまで【敏捷力】で出せちゃうし)。ファイターとしての立ち回りを重視するなら、ホースチョッパー使いに進むことかな? OUローグでは扱い切れない武器だし。もしくは、特技枠に余裕があるし、【敏捷力】15を達成しやすいから、二刀流コースに進むか。『Too!』では《忌まわしき犬の臭い》が特徴になったぶんで、ちゃんと《近距離射撃》は取ってます。でも乱戦に撃ち込むなんて細かいことは考えず《精密射撃》なんて使わねえ、あたしにゃ《武器の妙技》がお似合いさ……だからチュッフィ君と路線まるかぶりじゃん! ……一応、中装鎧を着ても“鎧修練”のため移動速度30フィートは保っているのだが、いいのかそれで。っていうかそこまでするなら要特技が多い射撃なんてせずに前衛に出た方が(以下略)。
 『We Be Goblins!』は自分でゴブリンPCを作成して参加することもできるのだが、財産に換算できない装備品があまりにも多い(金属製の股間ガードとかどうしろと)せいで、初期の所持金を決めることがやたらと難しい(筆者はギブアップした)。自作PCを許可する場合は所持金の決定法に、価値のわからないアイテムを集めた「ゴブリンが持っているくだらない装備品」表でも作ってあげると喜ばれることでしょう。

テーマ : TRPG
ジャンル : ゲーム

We are Pathfinders!#276~『We Be Goblins!』オンセプレイヤー募集中(終了)~

 今年の目標はオンセをがんばることでしたが確かにオンセはがんばった。もっともプレイヤーとしての立場でがんばったのでありかつ結果が伴ったとは口が裂けても言わないが(今年はほうぼうに迷惑をおかけしました)。とはいえ知らない人と会話するのが怖くて仕方がないオレにしてはまあよくがんばったよ! と自分に言ってやりたい肩の一つも叩いてやりたいところですが、昨年末の記事に「オンセをがんばる」ではなくしっかり「来年はオンセを開催したいナー」と書いてあった。ぎゃっふ~ん。
 というわけで、年の瀬も迫り師匠の死に走ると書いて師走の頭に当方がGMを務めるオンラインセッションのプレイヤーを募集中です!


 たとい11ヶ月間何もしなかったとしても一度でも開催すればオンセを開催したことには違いねぇ!
 などというせせこましい話はさておいて、システムはPathfinderでシナリオはPaizoが誇るバカシナリオの『We Be Goblins!』だヨ。
 現在四名まで集まっており、もう1名余裕があります。年末を健やかないしはブラックな笑いで洗い流したい方は、ツイッターやコメント欄でお気軽にどうぞ。
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・おかげさまで五名の方が集まりました。ありがとうございました。

テーマ : TRPG
ジャンル : ゲーム

D&D余話#106~D&Dのビジュアル(3eから5eまで)~

 ずいぶん前にティーフリングは版が上がるごとに(あるいはPFになって)姿が変わり過ぎだ、と書いた。
 せっかく5eも翻訳されるんだから当時作った比較画像と最新版の5eティーフリングを並べてみよう。
Tiefling_hikaku_02.jpg
 D&Dの美的感覚にケチをつける気は毛頭ないのであるが、どうか悪意と取らずに聞いてほしい。3eだったらともかく、4eと5eのティーフリングが【魅力】が上がってPFのティーフリングは下がると聞いたら多くの人は納得できるだろうか(【魅力】が単なる外見的優位を示す数値でない、という認識を欠いたとしても)。【魅力】が下がる理由は本質的に奇妙な存在に見えるということだが、4eの殆どエイリアンに見える女性ティーフリングを前にしてどの口が言えたもんだろう。
 まあ、魅力的であるか否かは判断基準の違いから意見が分かれるところとして、もうちょっとくだけた可愛いか可愛くないかという判定ならPFのティーフリングはまず可愛い方に入るのに異論はないと思う。もし可愛くないというやつがいたらアキバ48だか無縁坂46だかのメンバーを捕まえてあんなの全然かわいくねーよ! とかツッパッてる高二病患者だね
 もっともPathfinderのティーフリングで検索すると結構ごっつい風体の絵が出てきたりするので、恣意的な画像選択をしたという誹りも免れないかもしれない。あとなんか舌を伸ばして武器にするとか【魅力】だだ下がりの事するじゃないですか。
250px-Tiefling.jpg
 しかし、こうして並べてみても、当時の記事で取り上げたクリーチャーに限らずビジュアルの変遷というものは時代を映す鏡ですね。3eで使用されていたイラストを見ると、時代が時代にしてもかなりのメリケン臭が立ち上る。死語になるがバタ臭いというやつだな。
elf_3e.jpg
今見てもこのエルフはけっこうキツイ
 3eのエルフが美形の象徴みたいに言われる割に【魅力】が上がんないのは、「美しい」というより「長い」(主に顔が縦に)という表現がしっくりくるからなんじゃあ、というのは筆者の持ちネタになった。4eではだいぶマイルドになりました(少なくとも頬骨は目立たなくなったし顔もそんなに長くなくなった)。一方Pathfinderのエルフは虫目(正確に言うと白目がほぼ無い)という斜め上の独自進化を遂げていた。
ElfPHB.jpgPathfinder3_Rogue.jpg
別に→も問題はないと思うがなんか特殊な趣向に目覚めそうな恐れがある
 ただ3eのビジュアルが時代遅れと貶めたいのではなく、ちょうどデジタル彩色が普及してきた過渡期の時代ならではの、アナログとデジタルの調和という独特の持ち味を生んでいる。3eの頃のイラストを顔を近づけてよーく見てみると、鉛筆のラフな線画を残しつつ濁った複雑な色合いの塗りをデジタル彩色で乗せていることがわかる。これがアナログというには眩しくデジタルというには瑞々しい画を生むこととなり、特にトッド=ロックウッド氏の手によるモンスター・マニュアルのイラストで最大限の効果をもたらしていると言えよう。3eレッド・ドラゴンの迫力と、過剰な書き込みを押さえながらリアリティを描き起こしたイラスト的技巧を見よ。
Red_Dragon.jpg
 懐古と呼んでくれて構わないが、D&D関連のビジュアルでは氏の手がけたドワーフ・ファイターのトルデク君が最高峰だと個人的に今でも思っている
Fighter_3e.jpg
この一枚に3eD&Dの何たるかが詰まっている(気がする)
 ちなみにCGらしいCGという絵もあるが、浮きっぷりが当時の技術を彷彿とさせてなんかほほえましい(トロルにライト・クロスボウをぶっぱなすリダ嬢とか)。
 4eではデジタル彩色のみならずデジタル作画も一般的になってきたせいか、このようなアナログ風味を残したイラストはあまり見られなかったように思える。技術的にも受け手としても、デジタルで引かれた線に違和感を覚えなくなってきたせいだろうか。また4eのビジュアルの特徴としては、鉛筆画やオールドファッションに合わせた渋く淡い色使いの多かった3eに比べ、ヴィヴィッドな色彩表現がある。3eと4eのPHBに掲載された各クラスのイラストを見比べれば、その色使いの差は歴然だろう。
Paladin_Alhandra_PHB3e.jpgPaladin_Players_Handbook.jpg
 AD&D路線から抜け出し、4eという新しいD&Dの歴史を築かんという意気込みが打ち出されたかのような鮮やかな色合いが目に眩しい。また装備品などのデザインについても新機軸を探る試行錯誤が見受けられる。ゴチャゴチャした装飾品はD&Dのビジュアルの味であるが、4eはさらにゴチャゴチャしていた。色彩的にも。
 ↓な感じに。
Vergadain.jpg
今までボトムズ(PS専用ATとかバトリング用ATを除く)世界だったのがいきなりZガンダムに移行したような気分
 4eのビジュアルの魅力はこの色鮮やかかつ混沌とした色使いで、ページの背後が白一色となったことで、このカラフルな絵がバシッと決まるのだ
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実際のルールブックでも背景は白抜き。おおこの浮き上がるような迫力
 素晴らしいイラストあってなのは言うまでもないがそれだけではなし得ないこの印象、グラフィックデザインの勝利と言えよう。
 さて、5eのイラストはなんとなくまたバタ臭さが戻ってきたような感触がある
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言葉にし難いツラ構えもそうだがそのドレッドヘアーが凄まじくメリケン
 画風もそうであるが、俗に言う「厚塗り」、それも細部の書き込みを簡略化した彩色のせいだろうか? きょうびアマチュアとプロの区別がつかないような技術の一般化が進む中で、あまりこなれていない感じの塗り方であるし。また、違和感のないデジタル作画の実現を感じさせた4eに対して、アナログの荒々しさを思わせる作画も復活している。
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 これもシステム自体が先祖返りを果たしたと言われる5eの姿勢のあらわれということだろうか?(レトロ・フューチャーってやつか) 逆にコアルール三冊のカバー・アートはデジタル作画技術の正統進化と言える出来栄えで、いずれも劣らぬド迫力ながら、カラフルというより色調が統一された落ち着いた色合いになっている。
  
 アナログ的な味とデジタル的な味がくっきり分かれつつも、同じルールブックに放り込まれているというのは、なかなか興味深い話である。

テーマ : TRPG
ジャンル : ゲーム

D&D5e余話#187~UA:ビースト狩猟団どったんばったんおおさわ議~

 プライドも外聞もなく流行り物に乗っかっていくスタイルです。じゃあなんですか。UA使っていいよってゆーえーとかの方がよかったですか。ほら水溜りに落ちた肉マンを見るような目をする!(既に流行りから周回遅れしてる気がする)
 さて「強過ぎるものを調整しても一部が怒るだけでおおむね環境は改善されるし、弱過ぎるものを調整すれば誰も悲しむことはないしごく一部が怒るだけだ」、これ筆者のゲームバランスに関する信条なのであるが、それで5eレンジャー話をするということはまあつまり、モンクとレンジャーはどんなに弱くても一定数の人が使うという市場評価にいつまでも甘えるのは如何なものかということですよ。もしくは「特定の状況下でこのような能力を発揮できるんだから決して弱くない。適正なバランスだ」と言い張る老害をゲームデザインから叩き出すべきだということだな。いやこれ今回の本筋とだいぶ離れてきた。
 まあレンジャーに関してはUAで公式スタッフ自ら「ビーストマスターが使いづらいという意見を聞いている」「もう一人のPCを扱うようなクラスは扱いが難しい」とユーザからの反応と泣き言を吐露していたぐらいだからいいか!(ディスりは控えようと決めた手前あまりよくはない) にも関わらずUAレンジャーの使用にOKを出しているレギュレーションが公式イベント・野良セッションで皆無というのは一体どういうことかね!?(´・ω・`) 一部では壊れデータと警戒されているようだが、他のクラスだって相当やりたい放題やってるんだからそこまで壊れてるって程でもないんでは(1レベル積んだだけで強力なのは認めるが)。っていうかこのぐらいやって初めてスタートラインに立てたような……
 そんな風に嘆いていたらUAレンジャーも使ってええでという許可をいただける上、開始時点で狩猟団解禁というセッションがあったので早速二刀流ハンドアックスを引っ提げて参加してきました。選んだ狩猟団がその「使いづらい」「パワー不足」とやり玉に挙げられた後餓狼伝説スペシャルのキムの如き猛プッシュを受けたビースト狩猟団なのは怪獣モチロンさパパ!
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 んで使った感触だが確かに強い。それも最初から発揮できる特殊能力(特に“自然の探索者”)が強力。1レベルのPCの力が軒並み英雄級から英雄候補生級に後退した中でこれだけ特典があると、壊れているように見えるのも無理はないかもしれない。特にイニシアチブに有利を得る能力、これ目当てのために1レベルだけUAレンジャーを積む人も出てくるかも(オレは《警戒/Alert》を取った方がいいと思うけど)。
 また“得意な敵”に関してはやっとのことで得な敵感が戻ってきた。というか3eの頃とそんなに変わってないから5eでいらん下方修正を受けたということだろうなやっぱし。相変わらず対象外の敵には完全置物なのが辛い(こういう特定状況下でしか使えない能力ほど容易に範囲を広げられるか、そうでない奴相手にも何らか効果がないといけないと思うのだが。そういやPFのレンジャーもprdだと特技で“得意な敵”が増やせなかった)が、3レベルの“始源の意識”が解禁されると一気に使い勝手がアップ。これを考えると、“得意な敵”で選択するのは人型生物を推したい。別に最悪依頼人に襲いかかる時に重宝するとかうがった話ではなく、難所の人命救助や捜索に物凄く重宝するのだ(生存者や人質の確認もこれでOK)。中でも廃墟での失踪事件とか、周囲に人がいない状況での使い勝手は最高と言ってよい。同時に範囲が広過ぎるぐらいに広く、DMもただ機械的に情報を出すのではなく、煙に巻いた返答をしやすいところが二重にベスト。
 そして肝心の動物の相棒は命令が無ければその辺で草でもはんでることもなく、hpがウィザード以下ということもなく、きちんと独自に行動し、本体と同時に攻撃できるようになった。……これまた本当ならこれぐらい当たり前だったような……もっというとそういう仕事はドルイドがやることだったような……いや、死んだ子の歳を数えるようなマネはいい加減よそう……。また習熟ボーナスをAC、ダメージに加える仕様はそのままのため(攻撃ロールには「レンジャーのものを適用する」となった)、攻防においてレンジャー本体より強力な場合もままある。ACは元々【敏捷力】ボーナスに天井が無い外皮に、さらに習熟ボーナスが足されるのがでかい。ダメージに【敏捷力】を適用しているウルフのような動物を選択すれば、さらにそれを実感できるだろう(4レベルで【敏捷力】を伸ばしてやればACは16とチェインメイル並に)。めでたく全てのセーヴに習熟ボーナスを足せるようにもなったしな!ロドニー=トンプソンの「習熟ボーナスが乗るのは動物が習熟してるセーヴだけです」←動物の相棒が習熟してるセーヴはない、この回答を俺は次の版まで忘れないよ!) 攻撃面に関しては、これに“得意な敵”が乗ると恐ろしいことになる。レンジャーの特徴だけでダメージがなんと+4だ。
 ただしhpの脆弱さだけは解消されていない。レンジャーのレベルが上がるごとにHDが上昇するだけマシだが、それでも加入当初は高くてエイプの19点。攻防で使いやすいウルフだと11点しかなく、3レベルパーティにぶつかってくる相手では一撃で昏倒する危険性がある。元からのhpが低いだけにこの欠点は時間をかけてhpを伸ばしていくしかなく、使い勝手がよくなったと言っても、やはりただ無闇に突っ込ませていいものではないあたり、ちゃんとバランスは取れている。hpの高いエイプも攻撃でメインに使うのが【筋力】となるとウルフのように【敏捷力】一本でACを高めるような選択が難しく、戦い方には気を使うことになるだろう(動物用の防具を許可してもらえればまだ……でもバーディングを着て文句を言われなさそうなミュールってすげえ弱いしな……そうか、そこで騎乗戦闘か)。
 それとこれは重大な弱体化なのだが、いや“呪文共有”が無くなったことじゃなくて、「なんで追加攻撃が狩猟団ごとに書いてあるんだろう?( ・ω・)」とかマヌケ面してたらビースト狩猟団の場合追加攻撃は修得しないのであった!
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 相棒の複数回攻撃が消えたのは処理と解釈上大変めんどくせぇからと見当がつくのだが、嗚呼これで本体の二回攻撃+二刀流に動物の相棒の攻撃&“連携攻撃”の5回攻撃の夢が……いや「できるかんなもん」と言われたらその通りなんですけど、はい。んでこれを補うための“連携攻撃”があるわけだが、意外に扱いが難しい。レンジャーのイニシアチブが突出しやすいために、1ターン目にこれを使うことはあまりないし、基本的に動物の攻撃は5フィート以内にしか届かないから(そもそも近接攻撃限定だし)、常に敵に張り付いていなければフルに活用することは叶わない。ACは将来的にともかくhpに不安のある動物の相棒にはちょっとつらい話だ。またヒット&ウェイをしてくる敵にはまず機能しないと思ってよい。“連携攻撃”が発動するのは「攻撃」アクションのため、レンジャー本体が「動物の相棒が隣接したら攻撃する」という待機じゃダメだろう。それ以上にまずいのが空中にいる敵と戦う場合。……“連携攻撃”を一体どう使えと……。銀の武器や魔法の武器を用意できないところも頭が痛い話である。
 冒頭でチラと触れたように、二刀流をするなら確かに妙技武器&【敏捷力】一本の方が効率はいいがあまりにも安直であるし散々ディスってきたし荷重のルール(荷重が【筋力】×5を超えると中荷重、×10を超えると重荷重のアレ)があるし、投擲することを考えると妙技ではダガーになってしまうことから敢えて【筋力】レンジャーにして、ハンドアックス二刀流にした。敵を初撃で斬殺したら、離れた敵にハンドアックスを投げつけたり、間合いが開いていても投擲で“連携攻撃”のトリガーを満たしたり、機動的な戦闘が可能を楽しめている。ただ、総合的に考えるとビースト狩猟団を選ぶなら射撃レンジャーの方が良いのではないかと思う。距離を問わずに“連携攻撃”を発生させることができるし、レンジャー本体のAC自体が中装鎧どまりというのも少々苦しい(〈隠密〉の不利に涙を呑んでハーフプレートにした)。エンスネアリング・ストライクを用いた4eハンターを彷彿とする戦法も、距離を詰めなければならない&攻撃に晒されるため集中が切れやすい二刀流よりは弓術スタイル&イニシアチブの有利のシナジーが大きい射撃レンジャーの方が安定するのではないだろうか(片手武器スタイルと防御スタイルはレンジャーのクラスに対して中途半端過ぎるのでパス)。この初手エンスネアリング・ストライクからの射撃も何処かでやってみたいので誰かお願いします
 あと、動物の相棒は本体が射撃だからと言って遠隔攻撃が要求されるわけではないけれど、せっかくだから唯一それが可能なエイプだろうか。こいつも使おうかと考えたのだけれど、複数回攻撃の削除とPC側で“連携戦闘”(パック・タクティクスの方)を使うというゲスい欲求のためウルフにしたんよね。
 遊んだのはビースト狩猟団だけであるが、強力ながらゲームを壊すほどではなく、程よく頭を使うやりがいのあるクラスであるという感想。まだ触れたことの無いプレイヤーやDM諸氏も一つびびらずに触れてみたらどうか。レンジャー1レベル時の苦行を味わわずに済むと言うだけでも、導入する価値はあると思うんだけどな。

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