D&D5e余話#193~呪文カード発売決定~

 昨年末の5ePHB発売、年始のパスファインダーカードゲームにビギナー・ボックス、そして今月はTORGに5eモンスター・マニュアルと的確に財布にボディブローが撃ち込まれ続けているが、そんなグロッキー状態のところにバスチューアプ!(byアクセル=ホーク)とばかしにさらなる関連商品の刺客が。

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 5eのただアルファベット順にずらずら並べてある呪文を見て「これきっと日本語版も同じレイアウトなんだろうな…」と思っていたらまったくもってその通りで結構ダメージ大きく、「呪文をカード形式で管理できるようにしてくれたら文句も減るのにな、しかしそううまくはいかねえだろうな」と愚痴っていたらコレですよ! 要望は口にすると実現するという迷信があるが、もしかしたらイワシの頭も信心の類なのかもしれない。じゃあもしかしたら六門世界やパラブラ復活も言い続けていたら実現するのか!? ビキニアーマーの女戦士がオレの前に突然現れて異世界に誘う終生の夢も実現しちゃうのかい!?
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 閑話休題。
 気になるラインナッペルは『秘術(ウィザード・ウォーロック・ソーサラー用)』『クレリック』『ドルイド』『バード』『パラディン』『レンジャー』という具合に、各呪文発動クラスごとにセットになっているそうだ。これに加えて『武勇と種族の技』が用意されており、ファイターバトル・マスターの“戦技”、ババリソのトーテム戦士用、モンクの技、さらにティーフリング・ドラウ(ダークエルフ)・ハイ・エルフ・フォレスト・ノームに、VGtMで追加された新種族を含めたアアシマール・ジェナシ・トリトン・フィルボルグら、種族特徴で呪文を使える連中用のカードが収録されているという。
 あの猛烈に見づれえ呪文一覧と、結構な呪文数という《大霊堂の信奉者/Disciple of the Vault》《電結の荒廃者/Arcbound Ravager》ばりのやる気クラッシャーな相乗効果も、これで相当軽減されることであろうて。思えばD&Dに望み続けてきた「数の多いデータはカード化して管理する」を、ついに公式自ら対応してくるとは、
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 一応、4eのスターター・セットもパワーのカード化はしてくれたんだけど、あくまでもスターター・セットの範囲内だったからね。他のパワーもカード化されてた覚えがあるが、結局翻訳しての販売はされなかったし。この辺のアクセまで日本語版展開してくれるあたりに、HJ社の5eに欠ける本気(まじ)っぷりがうかがえる
 ちなみに当然のことながらセットごとに枚数も値段も違う。『秘術』は257枚とパンッパンだがいっちゃん少ないレンジャーなんか46枚だ。ウォーロックをやる人にとっては使えんカードがだいぶ多いことになるが、まー何時の日かウィザードやソサをやる日のための投資と思っていただきたい。
 筆者はネットで拾ったExcel版ブランクの呪文カードにペシペシ打ち込んで、印刷しては切り抜いてスリーブに台紙と突っ込むという今考えてもザ・徒労という作業に身を粉にしていたのだが、そんな暗い青春も終わりだね。この調子で魔法のアイテムのカード化もされれば万全だな。
 全部買った時のお値段はざっと1万7千円チョイ。……まあ暗い青春に別れを告げてきらめきときめきに満ち溢れた学園薔薇ダイスに旅立つには仕方ない出費なのだ。でも自分の使うクラスのカードから順次買っていけばいいんじゃないかな。

     

テーマ : TRPG
ジャンル : ゲーム

D&D5e余話#192~5eことはじめ記・いつかドラゴンスレイヤーになるために UAレンジャー編~

 常連四クラスを終えてパラディン・バードと来てさて次のはじめてさん向けクラス紹介、今度も悩んだ悩んだ。おかげで「三ヶ月空いた」とほざいた前回から四ヶ月も経った。でも言い訳は毎回やってるし毎回同じ泣き言を繰り返しているなと前回の記事を見て思ったので今回はササーっと行きます!

UAレンジャー

 ササーっと行きたいけどでも言い訳はさせて下さい。今回だけだから。
 日本語版に載って無くてすまん。

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テーマ : TRPG
ジャンル : ゲーム

We are Pathfinders!#281~パスファインダー・アドベンチャー:ルーンロードの帰還~

 いよいよ明日に迫ったパスファインダーRPG(カタカナ表記にして日本語版浸透を小賢しく謀る)ビギナー・ボックス、新渡戸稲造と消費税分の小銭掴んでゲムショップに走る覚悟はできておるかね!? え? もう5千円札は樋口一葉になってる? すまんねオッサン新紙幣に慣れてなくってついつい最近まで使ってた旧紙幣を……え? 一葉になってからもう14年?
 気まずい空気が一瞬流れたが、今を遡る事二週間ぐらい前にパスファインダーRPGじゃないけどパスファインダー関連商品が出てたのは当然鍛え抜かれたパスファインダー協会員ならご存知の通りであるし、買ってなかったらガルト送りになる厳罰が執行されるのは既に通達済みである故、未購入者はショップ開店と同時に駆けこむ事。アナログゲームを取り扱ってる店は大体昼時開店なのが難点であるが昼休みとか営業回りとか上手いこと隙をついて入手してちょうだい。
 値段はだいたい諭吉(こっちは今も諭吉でいいんだよな、よし)一枚とちいとばかし張るが、これもパスファインダー振興のため、ふるさと納税みたいなもんだと思ってくれや! 俺達の心のふるさとがパスファインダーって意気でな(いい事言った調のムカつく顔で)。当然私はガルト送りは泣いて拒否ったため、発売直後新宿イエサブで討ち死にし「やべえそんなに在庫ねえのかよ」と慌ててR&Rステで確保しました(Amazonでも一瞬で在庫がハケたようで、一度は復活しするもまたまた出品頼み)。財布にダメージで別の意味で泣きましたが。
 そういえば何を発売したのかまったく触れてねえや。
 パスファインダー アドベンチャー:ルーンロードの帰還


 見た感じ「え? これがビギナー・ボックス?」という感じの外装、もしくはパスファインダーRPGアクセサリーorシナリオ集と見まごうてもおかしくないので、なんでえ発売日超前倒しかよ! とかビギナー・ボックス前にこんなグッヅを発売してくれるとはイキなはからいをしてくれるぜ! などと喜び勇んで購入すると、
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 となるので注意。
 ゲーム自体が面白い上に、ビギナー・ボックスとセットで買うとすごくいいアクセサリーになるんで間違って買ってしまってもあまり問題が無いというのが、二重に困る。

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テーマ : カードゲーム
ジャンル : ゲーム

We are Pathfinders!#280~2018年になった今ならわかる《技能熟練》 を取るあの人の気持ちが~

 以前は「《強打》のような実用性の高い特技と、技能2つに+2のボーナスを与えるような特技が同列に扱われているのはどうだろう」と申し上げていたが、最近では割と技能にボーナスを与えるタイプの特技を取るのもアリなのではないかと考えを改めるようになった。
 Pathfinderでは技能が戦術の中核になるようなビルドも存在しており、例えば《抜け目ない軽身》に命を賭けるローグにとっては、敵のどんどん無体になっていくCMDに対抗するために《技能熟練》 で+3点の底上げを図ることは間違った選択とは言えまい。いくら魔法のアイテムで底上げができると言ってもPFのボーナスは重複させづらいし、技能において恒常的に+3とは3レベルぶんの先取りになるのだ。CMDを3点上げる労力と比較してもこの差は大きい(例えばBABが標準のクリーチャー相手ならより意義は大となる)。そして技能ランクが10になったらボーナスは+6(2つに+2の場合は+4)となる。ここが特に重要っていうか酷い
 以前紹介したワンド・キー・リング(ACG)を組み込んだビルドならば、《魔法の才》《技能熟練》 を仕込んでおくと、1ランクだけ〈魔法装置使用〉を取っているだけでもボーナスは+16~17。これに能力値のボーナスが乗るとなればもうワンドは振り放題だ。ハーフエルフで得られる《技能熟練》 をアテると無駄が無いだろう。一方、《魔法の才》の場合は〈呪文学〉は+2がなかなか美味しい。ローグの下級魔法ディテクト・マジックを使えるようにしておくと、自力で魔法のアイテムの鑑定ができる……って、ローグだと〈呪文学〉がクラス技能じゃないぢゃん。ここはうまいことキャラクター特徴でクラス技能にしといて頂戴。
 クラス特徴で固定値がガンガン伸びるようなクラスに技能特技を重ねてやりたい放題の固定値でブイブイ言わせるのも気持ちが良い。アルケミストの〈製作:錬金術〉やインクィジターの〈威圧〉〈真意看破〉がこれに当たる。インクィジターは“審問”(UM)によって〈威圧〉を【判断力】ボーナスを行えるようになるので、これを選択するといよいよ【判断力】で無法を働くクラスになって楽しくって仕方がない。〈威圧〉はPUで追加された技能解放によって恐怖の段階を深化させるようになり、潜在能力が一挙に高まった。ガラガラ薬(ACG)のような、比較的安価で大きなボーナスを乗せられる錬金術道具が登場したのも追い風。アルケミストがパーティにいたらじゃんじゃん量産してもらおう。……相変わらず[精神作用]の効かない相手にはどうしようもないけど。
 サプリメント『Heros of the Wild』に収録されているウィッチのアーキタイプ、ハーブの魔女/Herb Witchは〈職能:薬草商〉で病気や毒、各種状態異常を解除できる「万能薬」を精製できる。脱法ハーブみたいな危ないもんじゃなくてちゃんと効果はあるから安心してくれ。「万能薬」は自称だけどな(ウォーハンマーのママ・メルキンの薬みてえなもんだろう)。DCは病気や毒など原因のDCになっているので、《技能熟練》 で底上げして確実性を向上させる価値は非常に高い。アルケミストのように〈職能:薬草商〉にボーナスを得られるが、クラス・レベルの半分とやや頼りないので、この補強は強く推奨しておきたい。なんなら人間で“畑の心”(ARG)を突っ込んでもよい。これだと、クラス・レベルをそのまま足せるようなもんだ(ウィッチ・レベルの半分+キャラクター・レベルの半分)。ハーブの魔女の呪術が2つ潰れる(1レベル置き換え、2レベルは大釜固定)欠点を人間のボーナス特技で《呪術追加》をもって埋められるのも利点。
 より技能に特化する場合は、人間で“集中訓練”(ARG)を選択すると、1、8、16レベル時に《技能熟練》 が降ってくる。スパンはかなり長いものの、勝手に技能解放されていくPUローグはこれを選択してみるのもアリか。
 これらを活用するには、何度か言及している技能解放を併用するとさらなる相乗効果を見込める。恐怖を深化してく〈威圧〉も良いし、ハーブの魔女では〈職能:薬草商〉を2回ロールできる。それも、常にだ。ローグ以外のクラスでは《二つ名たる技能》(PU)を取得しないといけないが、技能解放の項にもあるように、ローグのみの能力に限定するGMもいるからそこんとこは確認しておこう。
 魔法の罠に対する〈装置無力化〉のように、単純に無理難題過ぎるDCを突破するために取るのも立派な取得の根拠である(25+呪文レベル。高レベルならともかく……)。

テーマ : TRPG
ジャンル : ゲーム

D&D5e余話#191~今さら聞けない5eのいろいろ~

 気付いたら新年からもう2週間も経過しようとしているが、まあ遅れてきた年賀状気分で読んでくれや。
 さて日本語版PHBもめでたく発売され、アナルの青い子ゼルでもなければ皆買うてくれたと思う。もしも青い子ゼルがいたら親御さんにねだって買ってもらおう! あと肛門科行くべし。そして同時発売したスターター・セットで楽しくどついたりどつかれたりしているとでしょう。第一章のボスはここでも散々ネタにしてきたしいっぺん遊んだ人は色々言いたい事あると思うけど、まあこれからの方々はうまいことやってちょうだい。私がPCで遊んだ時は「こいつは余裕綽々で立ち上がるので、移動速度は半減します。んで、このターンは移動するだけ」という温情をいただきました。うまい演出だよねコレ。後はパラディンさんが延々回避で壁になってもらってるところをローグが急所攻撃を必死で撃ち込んでた。あとは盾を外すとか初手はジャヴェリン投げるとか色々調整の手はあるべな。(ネタバレ回避のため伏字)
 これからD&Dを始める人はロンモチ、鍛えられたドラゴンスレイヤーも次々5e世界に突入していると思われますが、5e発売から3年が経過したとはいえそれは原語版の話、イベントに参加したり、ベーシック・ルールで遊んでいるんでもなきゃ以前の版の知識のままで遊ぶことになる故混乱することも多々あるでしょう。俺はこの間逆に「あれ? 遮蔽ってACボーナス+2じゃなかったっけ」とPFで発言した。
 てなわけで、今年初の記事はこれから5eを始めるにあたって、前の版と比較して忘れがち&混乱しがちなアレコレの話ダヨー。

・有利・不利を測るのはd20一個
 5eに踏み込むにあたってD&Dユーザが最初に受ける洗礼はコレだろう。3eにせよ4eにせよ細かな修正を積み上げて積み上げて判定に至る過程を知っているあまねく全ての人々はこのあまりに簡素、あまりに豪快な処断に圧倒されるであろう、おおさ圧倒されたとも。
 判定において、チャレンジするものにとって有利であればd20を2個振って良い方を取る、不利であればd20を2個振って悪い方を取る、5eにおける昔からの「修正」はこれでほぼ一本化されたと思ってよい。状況毎に受ける修正が変わらないことに不満はあるかもしれないが、取りあえず「では有利(もしくは不利)で判定してみて」という一言で済むようになったのはある意味ユーザーフレンドリーではあるし、これも時代の流れとゆうものか。
 なお、有利と不利が同時に存在する場合は打ち消し合うし、いくつ不利が乗っていても関係なし。《強運》のような特殊な例でもなければd20を3個以上振ることは無い。
 ただ、状況による修正自体が消えたわけではなく、クラス特徴や呪文でボーナス(もしくはペナルティ)が乗ることもあるが、それらの大半はダイス自体を追加するブレスなら攻撃ロールとセーヴに+1d4)。これまたなんとも大切断おろしな思い切った変化であるが、いちいち細かい数値を計算する手間を取っ払った故の判断と思われる。細かい数値は重ねなくていいが、ダイス自体は結構重なるので割と大変なことになったりするぞブレスと“バードの鼓舞”と戦技ダイスが組み合わさったりすると…)。
 ちなみに、数値そのものの修正もごくわずかであるが生き残っている。遠隔攻撃において遮蔽が存在する場合、攻撃ロール-2はその一例。シールド・オヴ・フェイス武器聖別も、稀少な数値そのものの修正。

・習熟ボーナスを乗せられるのは「能力値判定」なら「技能」「道具」、「攻撃ロール」なら「武器」(呪文含む)、「セーヴ」なら「能力値」に習熟している時のみ
・これに属さないものは習熟ボーナスを乗せない

 非常に誤解を招きやすいのがココ。
 よく聞くのが「○○(能力値)セーヴに習熟してるから○○判定に習熟ボーナス乗りますか?」という質問。それも「能力値判定」という書き方がいかんと思うのであるが、「能力値判定」と「セーヴ」は別個のものなのでこの質問には「乗りません」が正しい。
 習熟している判定には習熟ボーナスが乗る、が5eの原則であり、各判定ごとに習熟しているか否かを判断する要素は以下の通り。
・能力値判定→技能習熟、道具習熟
・攻撃ロール→武器への習熟(呪文攻撃含む)
・セーヴ→クラスによって与えられる各能力値のセーヴ習熟
 これに当てはまらないものは習熟ボーナスを乗せない。つまりダメージ・ロールには習熟ボーナスが乗らないし、能力値単独の判定に習熟ボーナスが乗ることも(バードの“なんでも屋”などを除いて)ないとわかる。それと、ヘックスで不利を与えられるのは「能力値判定」だから、例え【耐久力】を指定しても【耐久力】セーヴに不利が乗ることはない。【敏捷力】を指定して隠れるのにフリを与えるなんてことはできるが。
 忘れがちなのがイニシアチブは能力値判定なので有利・不利が乗るし、インスピレーションを使うこともできる
 余談ながら、頑健・反応・意志というセーヴ御三家は撤廃され、各能力値ごとにセーヴが存在することになった。……が、結局のところ【耐久力】【敏捷力】【判断力】が主要なセーヴであるのに変わりはなく、つまりそれ以外のセーヴの頻度はと言うと……拘束から抜ける【筋力】セーヴや魅了に抵抗する【魅力】セーヴはともかく、【知力】セーヴは……しかもやたらと習熟するクラスが多いのはいやがらせか!?(幻影を見破るのもセーヴではなく【知力】〈調査〉判定。なんでじゃ!)

・技能は必ずしも能力値を指定しているわけではない
 ↑と関連してのお話。
 技能には能力値が指定されているが、別にその能力値で常に判定しなくてはならない、というわけではない。腕力で〈威圧〉する場合は【筋力】による判定になるだろう、という例示がPHBでもされている(いちいち技能の横に能力値が併記されている理由はこのため)。
 まあ、それもDMから許可を得られた場合ではあるだけれど……一発ネタなら兎も角、【耐久力】で〈看破〉とか繰り返しやったら不興を買うであろうし。

・敵の周囲を回る分には機会攻撃を誘発しない
・移動で機会攻撃を誘発するのは、敵の間合いから「離れる」時のみ

 一番目の理由は二番目のルールに従ってのこと。5eで機会攻撃を誘発するのが敵の間合いから離れる時ならば、距離が変わらない=敵の周りをグルグル回るだけなら、機会攻撃は誘発しないという寸法。挟撃がオプションになったのはこの仕様のためかと思われる。一見するとあまり意味のないような挙動に見えるが、離脱をボーナス・アクションで行えるローグやゴブリンの場合、これで手薄な後衛に簡単に飛び込むことができるようになる。
 合わせて、敵の動きを封じたい場合は斜めに挟み込むようにすると良い。
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 「C」はクレリックから、「F」はファイターから、「C&F」は両者からの機会攻撃を誘発する移動。このような位置取りなら、一歩でも動けばいずれかの機会攻撃を誘発することになる。
 敵の間合いから「離れる」ことを、PFのように単に間合いの中で「動く」ことと定義するDMもいるかもしれないが、これは各卓によって判断が分かれるところなので要確認。筆者DMの場合は「離れる」だから接近するだけなら誘発しないと判断する。ハーフリングで敵をすり抜けようとする場合は…うーん、「離れる」ではないから、誘発しなくてもいいかな? 股裂きスライディングのようでカッコイイし。
 5フィート・ステップ及びシフトは完全に撤廃された。安全に敵の間合いから離れるには離脱アクションを取るか、機会攻撃を封じる何かを使うかしかない。

・遠隔攻撃・呪文で機会攻撃を受けることはない
 機会攻撃関連ではこれが2番目にデカい変更点。
 よく4eやPFを遊んでた方々から「敵の間合い内で射撃or呪文詠唱すると機会攻撃受けるんじゃ?」と心配顔されますが、5eではこれらの行動では機会攻撃を誘発しません。特技《魔導士退治》を取得していれば呪文に対しては機会攻撃をできるようになりますが、特技に限った話なのでクリーチャーにおいてはほぼ無縁の話でしょう。というわけで隣接した敵への遠隔攻撃&呪文で機会攻撃に怯える心配はないのですムハハハ。
 言うても遠隔攻撃に不利は乗るし、射手や術者が挑まれて無事でいることはあんまりないので、早めに距離は取った方がいいと思いますけどネ。重要なのは、不利が乗るのは遠隔攻撃のみであり、セーヴを振らせる効果ならば関係が無いという点。敵に詰め寄られているが、別の場所で起きている混戦に加勢しなければいけないという場面に合わせて、初級呪文でもセーヴ効果で射程の長いものは用意しておきたい。「初級呪文は」と限定したのは、呪文レベルが上がると、攻撃ロールが必要な呪文自体が減ってくるので、あまりこのような心配をする必要が無くなるから。

・移動の途中でアクションが可能
 つまり全員が全員《一撃離脱》仕様に……あ、《一撃離脱》じゃ呪文が使いから適切じゃないな。じゃあ《かすめ飛び攻撃》……これもダメだな。
 これで恩恵を特に受けたのは遠隔攻撃&術者だろう。間合いが遠いが近付くまでが怖い、という状況でも必要な距離まで移動→使用後元の位置まで戻る、という一連の動作で距離を保つことが可能になった(通称反復横飛び)。ロングボウのような長射程武器なら物凄く簡単に「退き撃ち」が可能に。前衛クラスでも移動後の攻撃で敵を倒して移動力が余った、という場合は次の敵に接敵することができる。攻撃回数が2回以上の場合は、攻撃の合間に移動を挟むことが可能(さながら全力攻撃の合間に5フィート・ステップするように)。シンプルに見えて戦闘の機動性は実はかなり高いのですよ5eは

・アクション及び移動の置き換えは不可
 アクション関連で混乱の原因となっているのが、恐らくコレ。
 5eにおけるターン中にできることは「移動」「ボーナス・アクション」「アクション」「その他のアクション」で、それぞれを別のアクションに置き換えることはできない。では早足は? というと、あれは「早足」という「アクション」はなのであって、「アクション」を「移動」に置き換えているのではない。それと、アクションをボーナス・アクションに換えたり、移動をその他のアクションに換えたりするようなこともできない。それぞれのアクション及び移動はターン中に1つずつだけ、特例(“怒涛のアクション”のような)を除いてこの原則が崩れることは無い。強いて言うなら「その他のアクション」の2つ目が「アクション」に換えられる、という具合か。
 ついでに細かい事言うと5eにおける「移動」はアクションではない。なので「移動アクション」という単語は存在しない。その昔移動アクション(たまにマイナー・アクション)相当であった行為はほとんどが「その他のアクション」となった。また「ボーナス・アクション」はクラス特徴や呪文など特殊な能力で使用する、文字通りボーナス的なアクションで、素のままでこれを使うことはあまりない。マイナー・アクションとは違う概念な事に注意。
 ターン外の行動は「リアクション」に一本化された。これも1ターンに1回しかできないので、自ターン以外に何かできるチャンスは1回きりだと思った方がいい。流石のファイターでもこれを増やすことはできない。

・ダメージへの抵抗は半減・脆弱性は倍加
 何らかのダメージ種別への耐性は、全て「抵抗」=半減という扱いに。細かい数値計算を省くシステム上の方針と同じく、特定の数値をダメージから引くのではなく、一括で半減に。脆弱性は倍加と非常にキツくなった。
 ダメージ減少とエネルギー抵抗が一本化され、非魔法的な武器への耐性も「抵抗」に含まれる(4e時点でも似たようなもんだったけど)。5eの武器への抵抗(より正確に言うと[殴打][刺突][斬撃]への抵抗)は魔法の武器であれば大抵貫けるから、手元に無ければマジック・ウェポンのひとつも準備しておくと安心。タラスクさえも武器への抵抗は魔法の武器なら無効化できる。

・hpは0を下回らない
・現在hpを抜けたダメージが最大hp以上だと死亡
・死亡セーヴはセーヴだけど能力値を使ったセーヴではない

 5eには負のhpが存在せず、どんなに大きなダメージが現在hpより抜けても、生きてさえいれば0で留まる。ただ、この「現在hpを抜けた」ダメージ(負のhpという概念が無いからこう表記する)が最大hp以上となるとPCは死亡する。1レベルの時点でさえ一撃死に至るのはクリティカルでもなきゃ考えづらい。人々がD&Dに抱くイメージは「すぐ死ぬ」であろうが、正しくは「すぐ気絶する」「すぐ死にはしないがリソース切れでじわじわと死んでいく」である、これは5eでも受け継がれている(それが良いか悪いかはおいといて)。
 で、hpが0のPCは死亡セーヴを振らねばならないのだが、習熟ボーナスを乗っけたくないという判断からか、死亡セーヴはセーヴなんだけど特定の能力値を指定しないセーヴという何が何だかよくわからん扱いになっている。ここだけは4eに返り咲いた感じで、単にd20を振って10が出れば成功という扱い。それにしてももうちょっとなんとかならんかったのだろうか。

・習熟さえしていれば防具は呪文を阻害しない
・防具の制限は〈隠密〉と移動速度のみ

 信仰だろーと秘術だろーとその防具に習熟してさえいれば、呪文発動を阻害されることは無い。ウォーロックやバードが《中装防具習熟》を取ってもよいし、なんならクレリックマルチしてもいいぞ。5eで重装鎧に習熟する最短の道はクレリックをマルチクラスして、重装鎧に習熟できる領域を選ぶことだからな……いーのかなー、本当にこれで。
 一方習熟していない防具を着ている場合は信仰だろーと秘術だろーと一切呪文が使えない、とより一層制限がキツくなった。ちびしい。
 防具の制限自体が非常に小さくなっているのも5eの特徴で、重装鎧を着ていてもデメリットは〈隠密〉への不利、それに【筋力】が足りていなかった場合の移動速度ぐらい。【筋力】型なら素直に重装鎧を着込んでおいて悪い事は何もない。


・攻撃回数・能力値の増加はクラス特徴
・特技は能力値上昇と選択

 攻撃回数は前衛クラスで5レベルになった際、能力値は4レベルになった際増加する。これらがクラス特徴になったため、マルチクラスをすればするほどこれらを得るのは遠のいていく。さらに、固定値1点を伸ばすのが大変のため、能力値は早めに最大値の20まで持っていきたいが、特技が能力値上昇と引き換え。色々と出来る事を増やそうとすればするほどに首が締まっていくこの調整が絶妙。それにババリソを1レベルだけ仕込んで激怒を得たり、ファイターの弓術スタイルを取ったりするのは能力値上昇を1レベルを遅らせても取る価値はあるしね。追加攻撃を遅らせるのはちょっとどうかと思うが、つまりは成長のタイミングを楽しく悩ませてくれる良調整って事さな。そして一本伸ばしで能力値上昇の機会が多くて特技を取得しやすく、攻撃回数も伸びていく5eのファイターは素晴らしいぞ

 以前の版と比べて混乱しそうなところは大体こんな感じ。ついつい「遠隔呪文攻撃は【敏捷力】判定だっけ」などと口にしてしまい、「エディション・ウォーズから抜け出せないこの老害が! PEッ!」とナウくてイマいD&Dユーザに侮蔑されないためにもこの辺頭に叩き込み、並み居るライヴァルに差を付けろ!(進研ゼミ調)

テーマ : TRPG
ジャンル : ゲーム

TRPGこぼれ話#306~来年2018年の目標~

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 もうひとつの目標は、「恩を仇で返さない」です。
 来年はもちっと更新率を上げていきたいと思いますのでyrsk。

テーマ : TRPG
ジャンル : ゲーム

We are Pathfinders!#279~ここがすごいぞPF特集~

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 結局、(クリスマスセッションには)誰も来なかったということか…!

 いや、来たんですけどね。オンセながら。
誰か一人ぐらい見栄を張ってゴメンその日予定があるんだと言ってもいいのになあ
 と思いつつも、力強く参加を宣言した皆様の勇姿も頼もしく健やかに遊べました。感謝感激♡
 セッション中のPL・GM全員揃って物凄い出目には割とマジで「何がクリスマスじゃあい!」と叫びそうでしたが……。
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 さてクリスマスプレゼントは当然5eのPHBをお子様に送ったでしょうが師匠の死に走ると書いて師走、年末進行と正月進行がツープラトンで襲いかかってくるこの時節には親御さんの財布が顧みられる余裕はないのです! クリスマスプレゼントをきわどくかわした次にはお年玉という第二の爆弾がコッチヲミロォ~と迫っている! しかしてなんか用意するにもMMは2月発売だもんなぁ、とお悩みのお父さんお母さん、ピッタリのお年玉候補がありますよ!
 今月発売されたRole&Roll vol.159には、なんとなんと20ページ超のPathfinder特集記事が組まれているのです!

 日本における公式なPathfinder紙面サポートとしては(たぶん)これが初!
 ビギナーズ・ボックス&アドベンチャー・カードゲーム発売が来年1月にドンと鎮座まします今、ついに来るべき時が来た事を告げる号砲と言えましょう! 本当は今年の四半期に出るはずだったんじゃ? とかヤボテンなことはこの際お口にチャックノリス。
 して見所はビギナーズ・ボックスのガイド、コンポーネントが写真入りで詳細に解説されている。それによるとプレイヤー用・GM用の冊子、ダイスセットという5eのスターター・セットと同様の仕様に加え、80個以上のフルカラー・ペーパーポーン(本文中ではコマと表記)&台座、そして何よりシナリオ中のダンジョン&汎用のフリップマットが付属という超豪華仕様。一部では「5eのスターター・セットと競合するんじゃ?」などと懸念されていましたが、5eがPHBとマスタースクリーンを入れることを前提とした(あの超上げ底にはそういう意図があったらしい)シンプルなコンポーネントにみっちりむっちりシナリオで攻めてくるのに対し、PFは80ものペーパーポーン、1枚入れるだけで2千円はかかると噂されるフリップマット同梱の大盤振る舞いという異なるファイトスタイルなので、それは杞憂のようだ。範馬勇次郎の名言を思い出せ!
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というか5eとPFって共通点はもうD&D系列ってぐらいしか残ってない別ゲーだからね。
 また大きな違いとしては、気合の入ったレイアウト。サンプルを見る限りこれまでのd20系列の中でもかなり見やすそうである。例えば特技では4eのパワーを彷彿とさせるボックス形式の表記。特技名に背景が置かれることで視認性アップ。取得可能なクラスが顔アイコンで示される配慮もこれまではなかった工夫だ……本当は、あんだけデータの多いゲームなら、最初からこれぐらいやってくれてよかったと思うんですが……贅沢は承知ながら、ひたすら文章だけがズラズラと並ぶ5ePHBの特技や呪文リストを見てると、なんかこう、ねえ。顔アイコンは無理にしてもこのレイアウトのキアイはCRBに続いてくれることを祈りたい。
 PFを遊んだことがねいという人にはソロプレイ用シナリオも収録されているので安心。どちらかというと、ソロプレイ用PCのおじさんのびみょうに腰の引けた気弱そうなポーズが気になる
 GM用冊子にはシナリオの『ブラック・ファングのダンジョン』が収録。そのブラック・ファングがなんでえという質問には、『スピタのコピタの!』曰く「パッケージで思いっきしネタバレしている」そうなので、まあそうなんだろうけど、俺は出来ればそうでないと願っているよ。だってパッケージのアレと戦いたくはねえからな! 戦うことになるんだろうけどさ!

熱いネタバレ
 先ほどのレイアウトの気合はこちらでも健在で、魔法のアイテムには全てイラストが掲載(プレイヤー用冊子のアイテムの項でも同様)。最大の目玉は状態異常、PFの状態異常といえばべらぼうな多さであるが、そのひとつひとつにPFのアイドゥ、ゴブリンのイラストがアテられている。『Pathfinder Condition Cards』『We Be Goblins!』を知っている人たちならクスリとさせられる人選もといゴブリン選のようで、これは楽しみ(ガットワド様、そんなところで何やってんですか!)。
 続いて、アドベンチャー・カードゲームはビギナーズ・ボックスを先駆けた来月13日に発売予定。8,500円のスーパーヘビー級でありながら最初から追加パックを収納可能という強気の構成で、その力の入れようが窺える。売上が好調なら拡張セットがばんばん出るという話なので皆買おう。あと買う時はビギナーズ・ボックスと区別がつかなかったら店員さんにすいませんどっちがTRPG用ですかと尋ねる勇気を持とう。理想は両方買うことだけどさ。タイトルがアドベンチャー・パスと同じなんで紛らわしいし。

普通にRPG関連商品に見える
 ゲーム自体は協力型のデッキ構築型ゲームで、用意されたシナリオを手札とダイスで攻略することになる。軽量化・シンプル化が進む日本のボドゲ業界と比べてこのメリケン的カロリーよ……と言いつつも、アドベンチャー・カードゲーム自体が数年前のゲームであり、キャッスル・レイヴンロフトなど4eの協力型ボドゲが日本でも展開されていたことを考えれば単純に時期の違いということであろうな。ゲームの構想自体も結構近いものを感じる。
 しかし財布への大規模ダメージを与えるだけに、こちらのコンポーネントも抜かりなく、カードゲームのぶんざいでキャラクターシートが用意されており、さらに各キャラクターにはRPGと同様のバックグラウンドが掲載されているという。悪意まんてんのゴラリオンに生きるだけに、彼らのストーリーは泣かせてくれるのでこれは必読であろう。またカード化されたキャラクター、アイテム、クリーチャーはRPGの小道具として利用するのも便利そうだ。なんと日本語版の特別仕様では、ゴブリンの歌があしらわれたプロモカードが12枚も付属しているという!(おいそのうち4枚はブリンスタンプ湿原のあいつらじゃないだろうな) PFのアイドゥであるゴブリンのプロモカード、言うなればこれはPFのアイマスいやさ物がカードだけにPFのデレマス、このためだけにでもアドベンチャー・カードゲーム、振ればお金が出てくる魔法のカードに頼ってでも買わなあきまへんで! そういやシナリオはゴブリンの放火魔に襲われるサンドポイントから始まるらしいよ。ビギナーズ・ボックスといい『We Be Goblins!』といい、あそこ何回襲われてるねん。
 記事の最後には緑一色先生執筆によるビギナーズ・ボックス&カードゲームのプレイレポートが付属。残念ながらビギナーズ・ボックスの方は本格的なアタックを前に終わってまうのであるが、先生の手によるアイコニック・キャラクターを見られただけでありがたく思いましょう。ちなみにコミックに出てくるキーラとメリシエール(二人とも♀)、あいつらデキてるらしいぜ
 この後のPF展開は冒頭でコア・ルールブックの発売が宣言されており、割ともうひっこみつかない感じ。PF特集号は売上ランキングに居並ぶ5e関連商品の間に食い込んだそうで、高まる潜在的PF勢の期待がヒシヒシと感じられる話です(であるといいなあ)。PF展開がCRBだけで終わったとかだと切な過ぎるんで、いざ発売したらビギナーズ・ボックスとアドベンチャー・カードゲーム、皆買ってPF団員ここにありの喊声を世に訴えよう(切実)。

テーマ : TRPG
ジャンル : ゲーム

D&D5e余話#190~ここがすごいぞ日本語版PHB~

 ベリークルシミマス! スターター・セット発売にて第一章のボスに悶絶したであろう5eッ子たちにプレゼント記事だヨ! 本当はグズグズしてたら25日になっちゃっただけなのだが。
 ちゅうか特技の訳とか小話は置いといて普通はこういう記事を先に書くべきだよな! まあ〆切が近かったとか痔が悪化したとか色々あったんだ察してくれや!
 いよいよ通販組の方々の手にも届いた日本語版PHB、ツルッツルの手触りやそこはかとなく立ち上る柑橘系の甘い臭いをたっぷりお楽しみいただけているかと思われます。個人的にルールブックは猛烈にインキ臭いぐらいが好き。事実仮面ライダーAmazonTRPG部門やホビーショップでの売上上位を5eが総ナメしているようで、世のドラゴンスレイヤー達も我が世の春が来たように奇声を上げながらドラゴンベインバッソを振り回していると思われます。「俺【敏捷力】型だからドラゴンベイン・レイピアだしー。【敏捷力】セーヴの方が使うしー」とかぬかすシャバ僧はシゴウしちゃる!
 しかし世には「D&Dってなんだか難しそうだし高いし」と購入をためらっているシャイボーイが存在する、これは歴史の長いゲムソにつきものの問題である。故に今回は日本語版PHBが女房質に入れても買いに行かないといけないビッグタイトルであるかを語りましょう! 高いのは事実なんでがんばってクリスマス資金とかお年玉でお金を貯めよう。大丈夫、十連ガチャ何回か我慢すれば買える値段だよ(筆者はソシャゲの相場を知りません)。

日本語版PHBのここがすごい! その1:日本語である
 のっけから当たり前体操な話で申し訳ないが、あの5ePHBを日本語で読めるのだ! 一時は「お前らのような英語も話せない下等人種にライセンスなんぞ下ろせるか! バーボンで顔でも洗って出直しな! PEッ!」などと絶縁状突きつけられ(かなり脚色しています)、日本のD&D戦士たちが絶望のズンドコに突き落とされたあの頃を思えばなんという感動なんというドラマチカ。ホビーショップで現物を眺めうれションしページをめくって二度ションした人々も少なくないでしょう、おおさ盛大に漏らしたとも。これでハリューサナトリ・テレインのようなフレーバー全開の効果や、グリフ・オヴ・ウォーディングのようなくそ長い文章の効果も安心だ。文句が呪文に集中しているが、翻訳に一番苦労したのがそこなんだ。っていうかクラス特徴ではそんなに訳しづらくてくそ長い文章のデータがそうそう存在しなかったからな。さておき、翻訳で不安があったところを日本語で確認できるというのは力強い。
 ベーシックルール未掲載だったクラス、ババリソやソサなどはこれでめでたく日本語版解禁。同様にエルドリッチ・ナイトのような、ベーシックルール漏れだったアーキタイプも解禁。英語に未習熟だったため、オンセやオフセでベーシックルールのみの仕様に枕を濡らした貴兄も貴姉もヘンテコなクラスどものページを舐めるようにベロンベロン読み込んでいただきたい。実際、ベーシックルールに載ってない連中って変な奴が多くて。あ、ウィザードは占術の系統がトップクラスにくそなので要注目です
 日本語になって特に嬉しいのは、フレーバー部分を読んで楽しめる、これが一番大きいかもしれない。データ的な面はD&D語というかD&D弁がわかればある程度読み込めるものですが、フレーバー文章となると英語習熟してない自分には完全にお手上げ。情緒溢れる種族やクラス解説の文章をこうして読めるのも、日本語版PHBならではのヨロコビです。マイク=ミアルス執筆の「まえがき」はD&D界の味皇桂令夫さん渾身の名訳なので必読やで!
 ちなみに、特技の項でも書いた通り、あまりひねった訳は見られない。筆者が「結社」と訳したドルイドのCircleは「円環」とド直球だった。……それでよかったのか。

日本語版PHBのここがすごい! その2:全ページフルカラー
 村の噂で聞いたんだけど、ハードカバーってあんまり本の価格に影響しないらしい。それよりはフルカラーの方が値段に跳ね返るそうな。まあクトゥルフだってBRPやd20はモノクロだったけど同じような値段だったからきっと同じ結果になったよ! あれをもって「D&Dだって高くない」と言う人を見かけるが、一冊で遊べるアレと一緒にしちゃイカンと思います。
 さて金の話はほどほどにして、日本語版でもPHBはオールページフルカラー! 美麗なイラストが魅力のMtGを擁するWoCだけに、何度か取り上げたようにD&Dにおけるビジュアルの力の入れようは素晴らしい。種族やクラス、そしていずれ出るであろうMM掲載のクリーチャーにDMG掲載のマジック・アイテム、これらがフルカラーのイラストで大々的に紹介されることで、D&D世界のイマジネーション構築に大きく寄与しているのは間違いない。これぞ大判&ビッグタイトルならではの贅沢ってやつだ。きっと原初版を知らない人は22P、1ページブチ抜きでエルフのイラストが飾られていることに度胆を抜かれることだろう。そこいらのゲームじゃこんな神をも恐れぬ所業、そうそうやれるもんじゃありませんぜ(この1ページブチ抜きイラストはその後何度か見かけることになる)。

日本語版PHBのここがすごい! その3:レイアウトが五十音順に一新
 これまた当然いやさ必然ながらクラスや呪文など、各種データがアルファベット順から五十音順に再整理された。我らヤーパン人にとって、検索性は飛躍的に向上したと言えましょう。その代わり、原書を使い込んでいると(特にしじゅう見ることになるクラスの項)、「なんでババリソがこんな後ろにあるねん」と違和感を覚えることもあったりなかったり←原書だとババリソが先頭だったのです。
 個人的にすごいと思ったのが、言語の壁を乗り越えレイアウトを変更してなお総ページ数は原書版と寸分違わず(索引の最期のページを見比べてみよう。どっちも同じ316Pだ)。翻訳事情を知らんからそれがフトゥーなのかもしれませんが、翻訳ティームの方々のテクさには思わずハット・オヴ・ディスガイズも脱げるグッレイト。
 しかし相も変わらず呪文は五十音順でずらずら並べているだけ、しかもどのクラスが取得可能かも書いていなくてこれはすごくない。ついでに言うと呪文リストの横に系統が書かれたことで猛烈に見づらくなって違う意味ですごいことになった。日本語版独自の配慮として加えるなら、呪文名に背景色を付与するとかその程度で良かったんですが……なんでレイアウト技術が3e時代にまで退行するかね!?
 最後に豆知識、実はクラス・オプションに関しては五十音順になっていない。ファイターが「チャンピオン」「バトルマスター」「エルドリッチ・ナイト」の順に並んでいるように、原書のままの配置となっている。て、よく考えたらアルファベット順にしてもチャンピオンが先っておかしいやん。ローグも原書だとシーフが最初に記載されてるし。まあ、このチャンピオンとシーフはベーシック・ルール掲載ということで先頭にされたのかもしれないし、統一感を出すために敢えて他のクラスも原書のままの順番にしたのでは……と思いきやクレリックの領域とウィザードの学派は五十音順に再整理されていたりしてようけわからん

日本語版PHBのここがすごい! その4:エラッタ適用済み
 翻訳までちょいとスパンが空いたこともあって、原初版で発覚したエラッタはきちんと訂正されている。“休息の歌”や”鎖の契約”のような曖昧だったところにはしっかりと追加の規定が加筆されており、より安心感あるプレイが約束されている。もっとも、ゲーム進行に支障をきたすようなエラッタは、四大門モンクの金山鉄壁が11レベル→17レベルと、力術系統ウィザードぐらいのもんだったと思いますが……(マジック・ミサイルと“力術強化”、初級呪文と“限界突破”はDM・マンチPL間でさぞかし醜い論争を引き起こしたと思われる)。
 また、ソーサラーの呪文二重化に出されたエラッタは「その呪文の今回のレベルにおいては2体以上のクリーチャーを目標に“できない”ものに限る」というかなりわかりづらい訳になっているが、呪文スロットが変わると効果も変わるという仕様、そもそも上位の呪文スロットで発動するという原文自体が難解で、相当の苦労がしのばれる。原文に忠実でなくても、訳注で「呪文スロット上昇で対象が増える場合も含む」と書き加えても良かったと思うのだが。
※念のため書いておくと、ホールド・パースンを単体を対象に発動する場合は呪文二重化適用可能、高レベル呪文スロットで複数を対象に発動する場合は適用不可、という意味。
 軍用武器なのに単純武器のスピアとまったく同じデータと言う謎武器トライデントや、データが全く同じグレイヴとハルバードは修正されていない。UAの武器特技のように、武器をフューチャーした新データが予定されているのかもしれないので、その辺で差別化を期待しようか。またレンジャーは当然生レンジャーのまま。この際それは仕方ないにしても、新サプリ『Xanathar's Guide to Everything』で生レンジャー相手のアーキタイプが出ていたようで、UAレンジャーはなんか闇に葬られそうな予感(ノ∀`)アチャー もっとも、これから先のサプリでパッチとして登場しないとも限らん故、希望を捨てるのはまだ早い。

日本語版PHBのここがすごい! その5:ページがバラバラにならない
 AD&Dのモンスター・コンペンディウムかよとつっ込まざるを得ないページの分解ぶりも、日本語版PHBでは微塵も気配も見せない力強い頑丈さで……と思ってたら、あのバラバラになるのって普通に製本上の不手際だったそうです。バラバラになった写真を撮って送ると交換して貰えたとか。あ、そうなんすか……。

 5eの面白さはここでも散々語ってきた上、売り上げという折り紙まで付いてきている。売れる物=良い物とは限らないが、なあに売れる物にはそれ相応の理由とクオリティがあるものよガッハッハ(ここぞとばかりにマジョリティっ面する奴)。各版のいいとこどりに成功した上、D&Dのエッセンスを残しつつもシンプルな遊びやすさを達成した川柳的なこの傑作、せっかく我らの母国語日本語となりEDU×5で読めるようになったんだから、遊ばねば大和魂が廃れるってもんだぜ! 皆遊ぼう!

テーマ : TRPG
ジャンル : ゲーム

D&D5e余話#189~訳語のもんだい・特技の話始末記~

 5e(とPF)の翻訳で一番の懸念は、特技の和名であった。そんなことが一番かい、と言われたらその通りでなんか文句あっか。
 日本語版で特技の名前が英名をカタカナ表記にしただけだったら、俺はゼラチナス・キューブの角に頭ぶつけて抗議の自決をする覚悟だったのであるが、ちゃーんとかっちょいい和名が用意されていてよかったよかった。Pathfinderは大丈夫かな。
 それらを見てみると、以前筆者が独自に付けた和名と一緒のものもあればまったく違うものもあり、近いものもあり、しかし自分の考えた訳と実際のブツが同じだったりすると意味もなく不敵な含み笑いをしたくなりますね。いや、誰が考えても同じ訳が出てきたってことか……。
 列挙してみると、こんな感じになった。

《警戒/Alert》→同じ
《運動競技者/Athlete》→《運動選手》
《名優/Actor》→《役者》
《突撃手/Charger》→《突撃者》
《クロスボウの練達者/Crossbow Expert》→《クロスボウの達人》
《堅牢なる決闘者/Defensive Duelist》→《守りの決闘術》
《二刀の駆使者(最初は二刀の振るい手だった)/Dual Wielder》→《二刀の使い手》
《ダンジョン探究家/Dugeon Delver》→同じ
《頑強/Durable》→《壮健》
《エレメンタル熟練者/Elemental Adept》→《元素の達人》
《組み打ち/Grappler》→《組み技の達人》
《大業物の達人/Great Weapon Master》→《大業物の使い手》
《癒し手/Healer》→同じ
《重装鎧習熟/Heavily Armored》→《重装防具習熟》
《重装鎧の熟達者/Heavy Armor Master》→《重装鎧の達人》
《鼓舞する指揮官/Inspiring Leader》→《激励する指揮官》
《鋭敏記憶/Keen Mind》→《鋭敏なる頭脳》
《軽装鎧習熟/Lightly Armored》→《軽装防具習熟》
《言語学者/Linguist》→《語学の才》
《幸運/Lucky》→《強運》
《魔術師殺し/Mage Slayer》→《魔導士退治》
《魔術の参入者/Magic Initiate》→《魔法のたしなみ》
《戦術熟練者/Martial Adept》→《戦技のたしなみ》
《中装鎧の体得者/Medium Armor Master》→《中装鎧の達人》
《機動力/Mobile》→同じ
《中装鎧習熟/Moderately Armored》→《中装防具習熟》
《騎乗戦闘/Mounted Combat》→《騎乗戦闘者》
《観察力/Observant》→《観察眼》
《長柄武器の名人/Polearm Master》→《長柄の使い手》
《セーヴ習熟/Resilient》→同じ
《儀式執行者/Ritual Caster》→《儀式発動者》
《獰猛なる攻撃者/Savage Attacker》→《凶暴な戦士》
《番人/Sentinel》→《守護戦士》
《射撃の名手/Sharpshooter》→同じ
《盾の巧者/Shield Master》→《盾の使い手》
《技能習熟/Skilled》→《技術習熟》
《忍びの者/Skulker》→《影に潜む者》
《呪文狙撃手/Spell Sniper》→同じ
《酒場の喧嘩屋/Tavern Brawler》→《酒場流喧嘩殺法》
《追加hp/Tough》→同じ
《戦闘発動/War Caster》→《戦場の術者》
《武器習熟/Weapon Master》→《武器の使い手》

 無数に存在したMasterシリーズは、結局「使い手」で統一されたようだ。必死こいて考えたオレの苦労はなんだったのだとブゼンとするものもあるが、あれは「Crossbow ExpertとGreat Weapon Master、単語が違うなら、何か別の訳を考えるべきだろうか…しかしクロスボウだけ別の訳だと浮くよな…」という懸念から端を発していたので、そうやって統一されたならそれはそれで…と思いきや、クロスボウだけはやっぱり「達人」と別の訳だった。そりゃExpertだからMasterとは違うがしかし、何故クロスボウだけ鎧のMasterシリーズと同じく「達人」なんだ。珍しく武器の特性ではなく、個別に武器を指定する特技だからか。
 鎧のMasterシリーズが「達人」訳なのは、「使い手」だとちょっとしっくりこないからだろう。そういえば、Armoredは全て「防具」になっている。3e以降の慣習でつい《○装鎧習熟》と訳していたが、Moderately Armoredだと盾習熟も一緒についてくるので、「鎧」では誤解を招くと判断されたと思われる。同様に、Skilledは道具にも習熟できるから技能習熟では足りんかった。
 他クラスの能力をつまみ食いする特技は「たしなみ」に。ちょっと戦車道の気配を感じますね。
 全体的な印象として、4eまで続いてきた凝った言い回しを避けた、素直な訳になっていると感じる。《セーヴ習熟》《追加hp》のような少数の例は除き、原語から大きく外れた訳は見られないし、昔使われていた特技名も殆ど消滅した。新規のTRPGユーザが出現してきていることもあり、5eからD&Dに入るヤングのことも考えて平易な言葉選びをしているのかも。そんな中、《語学の才》だけは懐かしい名前としてひょいっと顔を出している(君と会うのも4eのPHB以来だねぇ)。新顔で異色なのはTavern Brawlerの《酒場流喧嘩殺法》、なんかこれだけ毛色が随分違う。地獄爪殺法みたいだ。筆者も訳に困ったが、翻訳チームの方々の相当の苦労がうかがえる。
 こうして日本語版の特技名が確定したことで、これまで使用してきた筆者の私訳特技名は役目を終えたことになる。以後、5e記事における特技名は日本語版PHB準拠となる故、私訳の方を見ることはもうない。PFの冒険者セットと共に安らかに眠ってくれたまい。合掌。

テーマ : TRPG
ジャンル : ゲーム

D&D5e余話#188~PHB日本語版本当に発売~


 私はR&Rステーション様で入手しました。
 白状しますが、入荷日を守るとは信じてませんでした(「5e入荷っていつ頃ですかね?」と聞いたら15日ですがどうなるかわかりません、と言われた)。
 何はともあれ、PHB日本語版発売本当に嬉しいよ
DOmy-7SW4AEGGel.jpg
洗脳されていない…!
 皆もどしどし買って激怒ドルイドを遊び倒したり特技を使い倒したりしてネ。
 なお、仮面ライダーAmazonだと18日発売だけど大晦日一歩手前~元旦到着という配達業者さんの事をまったく考慮していないド外道スケジュールという噂があるので出来るだけ店頭で買ってくれや! っていうか休ませてやれや!

テーマ : TRPG
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R&RにてパスファインダーRPGのサポート記事を担当させていただいております。

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