We are Pathfinders!#16~PFキャンペーン『ザ・ペナルティメイト・トゥルース』第ニ話「少年は荒野をめざす」後篇~

 そして少年は旅立った。
 腰には父の遺した剣、懐には母の作った糧、背には恩人の荷具。
 そして、彼らの手にある真っ白の地図に描かれるべき旅路には、何が待ち受けているのか。
 地平は広がるばかりで、何も答えない。

 ヘシオドスの子供達同様、眠りこけていたこのレポートも再開だ!
 行方不明の親父や襲撃者を放置しての睡眠だがこれも全て回復魔法を使い切ってしまったのがいけないんや
 仕方ないんだよ! 君たちだって回復力を使い切ってしまったらダンジョンだろうと要塞の中だろうと大休憩取るだろ? 誰だってそーする俺もそーする。
 そんな不本意な眠りに沈んでいた彼らの耳朶を、打ち寄せる海水に紛れて接近する靴音が打った。
 俺は休憩を許しても回復するまで待ってやるほど優しいGMではない
 まあ〈知覚〉判定を許すのはフェアなジャッジでしょう。
 負傷したラムダを隠し、臨戦態勢を固める子供たちの前に現れたのは、単眼をあしらったヘルメットを被る黒装束の男。それに続いて、両肩が異様に盛り上がった仮面の巨漢が腰をかがめて侵入してくる。サイズからして、こいつがクリフの車椅子と戦ったらしい。
 周囲を見回すなり、首魁とおぼしき男は悪態をつき始める。
「なんだなんだ、隠された場所と思ったが、ガキが数人潜んでただけかよ? なあダンコフ」
「「マルキサス様、こいつらクリフの息子だよ。ティーフリングの言ってた、村で戦ってた奴らだ」」
 “ダンコフ”と呼ばれた巨漢の声は何故かサラウンドで聞こえてくる。二重カッコは誤字ではないのだ。
 さらには村を荒らした二刀流HENTAI仮面と、放火仮面も集結してくる。
 “マルキサス”なる首魁は彼らを一瞥すると、「ダルジャン、エルダール、それにガッシュランも来たか」
 気付けば、マルキサスの傍には類人猿じみた前屈みの姿勢の影が控えている。「これで“屍鬼隊”集結か」と呟くマルキサス、どうやらこの五人が“蒼ざめた月”の幹部らしい。
 そして、マルキサスはナニやら「見つけたか?」と屍鬼隊に尋ね、続いて子供たちをジロジロと見ると、「どうやら、お前らもまだ見つけていないらしいな」と嗤う。
 チクショウこっちは休憩の途中なんだ! 用が無いんだったらさっさと帰れよ! 逆ギレ気味の子供たちにも、ただニヤニヤとするばかり。まあ悪党というのは意味もなく顔見せを序盤でしておきたがるものだ!
 さておき、今回は「裏切り者のクリフへの制裁のために来たから、お前らにはついでだ」とのこと。第一話から「裏切り者」のフレーズを聞いてはいるが、具体的に老父は一体何をしたのか?
「知らねえのか? だったら本人に聞いてみなよ、もっとも手遅れかもしれんがなぁ、ゲヒャヒャヒャ! …ウッ、ゲホゲホ、ゲェ!
 笑い過ぎてむせたのか、バッカでーと冷ややかに見ていると、口元からは血が流れ、やがてはべっ、と薔薇色ののたうつ物体を吐き出す
「いかんいかん、また肺を吐き出しちまった」
 ヒューヒューと空気音を漏らしながら、そいつをヒョイ、と飲み込むや、何事もなかったかのように手で血を拭うマルキサス。これには子供らもドン引き。格好こそ最も人間に近いものの、どうやら首魁も尋常な存在ではないようだ。
「マルキサス様、そろそろお体にさわりますぜ。クリフも吐かなかった、こいつらも手に入れてない、となれば次の一手を打つべきでしょう」
「そうだな…お前ら、まだクリフを探すつもりがあるなら、急いだ方がいいぜ。一応、遺言を伝えるぐらいの時間は残してやったからな、俺ァ気配りがきくんだよ、ギャハハハ!」
 結局何もせず帰るのかよ! いいから出てけよ!
「まあそう腹を立てるな、言っただろ、俺は気配りがきくんだ、土産をやらずに帰るほど野暮じゃねえよ」
 マルキサスの影から、ズルリと黒装束の矮人、動き回る死体、そしてマントの間からは喉を鳴らすたてがみもまぶしい百獣の王が! うむ狂人にはライオンがつきものだからな! 理由は『国境の城砦』を見ればワカる(参考)。
「せいぜい頑張りな、うまいくいけばあの世で親父と会えるからよ、ゲヒャヒャヒャ……」
 汚い笑いを残して、マルキサスと屍鬼隊は姿を消す。残った矮人たちは、影の如くひそやかに子供らへの接近を開始した!

 まず敵の筆頭はライオン。伝統と信頼の爪爪牙に、突撃をすれば引っかき×2まで追加される。いつも通りボス戦になるとチョロいGMのイニシアチブに助けられ、五回攻撃は避けられたものの、矢面に立ったガルボが複数回攻撃でズタズタにされる。元から両手武器の上に激怒でACが下がるため、ババリソとは食い合わせが悪い相手。
 一方の黒小人、ダーク・クリーパーは得意のダークネスからの乱戦を試みるが、PFからの調整でグッと作り出される暗闇の効果が弱体化してしまったためGMガッカリ。仕方ないので、急所攻撃を目的とした撹乱戦術に走る。
 意外な難敵がゾンビ、ダメージ減少/斬撃のため、思った以上にベベ、カトーレに対して足止めとしての効果を発揮する。弱点は攻撃と5フィートステップを繰り返されると何もできなくなることだが、これにはダーク・クリーパーの機動とダークネスで妨害。脅威度の割に高火力でじわじわと追い詰める。
 最前線の激突の中、なんと急所攻撃とライオンの猛攻を受けて、ガルボが昏倒。その上、思わぬ長期戦にカトーレの勇気鼓舞の呪芸の効果が切れる、とゆう危機。
「マズイ、そろそろ一人芝居のネタが切れるッ! 誰か、ネタ出して!」
 …演芸の効果時間が切れる、ってそういうことだったんですか。
 元から回復能力に劣り、長期戦に劣るパーティのため、最大火力のガルボが倒れたのはかなりの痛手。なんとか鎧と盾で固めたゾーラが攻撃を引き受けつつ、ライオンを仕留めることに成功。一方、ダーク・クリーパーが作り出した闇は暗視を持つベベにとって少ないペナルティで済むため、強引に突破し、連打で叩きのした。
 その頃にはガルボも戦線復帰を果たし、ダメージ減少を突破できるグレートソードでゾンビを両断。またも回復呪文を使い切るほどの苦戦ながら、手下を撃退することに成功した。

 後は、クリフの捜索だが…外には4つの足跡が残されていた。巨人とみまごう足跡は西へ。のたくる焼けた跡は北へ。そして鉤爪で土を掻いた跡は東へ。最後に、形も大きさも人間と変わりないものは、林の一角へ…化け物が呪いで石に変化した、と言い伝えのある、巨岩へ。
 その巨岩には骨を砕かれ、切り刻まれ、火で焼かれて瀕死のクリフがスパイクト・チェインで拘束されていた。最早治癒を受け付けないほどの重体で、下ろされたクリフは息も絶え絶えに真相を語り始める。
 かつてクリフは、“蒼ざめた月”の一員だった。彼もまた、“蒼い野獣”の力を解き明かす計画に参加していたのだ。
 彼の研究によれば、“夢病”とは病気ではなく一種の予知夢で、あの怪物も実在するのだった。首領・マルキサスはその力にコンタクトする超常の力を持ち、それが怪物に与えられたものと主張していた。事実、団員にも様々な力を彼によって付与されており、それはデリリウムに眠る“悪魔の手のひら”のような奇妙なパワーにも符号している。
 クリフもそれに魅入られ、自ら被験者として参加していた。あの“スフィア”を埋め込み、よりクリアな夢病の実体を探ろうとしていたのだが、あまりにその壮絶な光景に発狂しかけ、目覚めた時には脚萎えとなり、髪も真っ白と化してしまったのだ
「こう見えても、本当の歳は、ラムダとそう変わらんのだよ」
 そう言って付け髭を取った顔は、確かに皺は刻まれてはいたが、どことなく若々しさは残されていた。
 そして実験後、“蒼い野獣”のパワーが力を与えるどころではなく、世界を破滅させかねない、と予感したクリフはスフィアを強奪すると、教団を脱走。逃避行の果てにヘシオドスに流れ着いたのだった。
 辛うじて生きながらえたものの、夢病は悪化するばかりで、阻止の手立ても見つからない。苦悶の日々を送る中、ある時大咆哮湾に難破船が漂着し、それに乗っていたのが子供らとラムダであった
 “雲の壁”を抜け、夢病にも脅かされない外の世界から訪れた彼等は、きっと何らかの使命を帯びているに違いない。そう確信したクリフは、いずれ伸びるであろう教団の手に立ち向かえるよう、訓練を授けてきたのだ。
「お前達は今まで通りヘシオドスの一員として生きてもよい。だが、もしも真実を受け入れるならば、自分の人生を生きろ」
「自分を騙し、他人を騙し、お前達を騙した挙句に村まで巻き込んでしまった…自分がこうなるのも当然の罪、全て偽り続けた代償だ。しかし、お前達に注いだ愛情だけは本物のつもりだ」
「私のことを、村の皆にどう伝えようと構わん。だが、遺体は見せないでくれ…これ以上心配をかけたくない。そして…すまなかった」
 その言葉が終わると、どこからともなく流れてくるクスクス笑いと共に、クリフの力が不可視の力でフワリと持ち上がると、凄まじい力で捻り上げられ、そして全身から血が吸い上げられていく。その流れていく先には真紅のゼリー状で、鉤爪と触腕を持つ塊が、ゲタゲタと下品な笑いを上げて、最後の一滴を吸い寄せると、どこへともなく飛び去っていった。その先には、あの類人猿じみたガッシュラン、という男が、全てを見届けていた…。

 クリフの埋葬を終えると、ラムダはクリフに言い残されていたもの、として難破船の船底に釣り糸を垂らすと、小さな箱を引き揚げた。その中には、島の全容を記した地図…西のドワーフの砦の“ガラガラ谷”、北の大森林“ちらつき蛾の森”、東の物悲しい“脛切り沢”、先刻捜索した林、そこに印が付けられていた。恐らくは、ここにスフィアに類似した存在があるのだろう。それを集めれば、何かがわかるのかもしれない…最初の目的地はグレヴェンと取引をしていた縁のあるドワーフが待つガラガラ谷と決定
 クリフの残した車椅子の刃を打ち直した剣、背板のブラックウッドを使った盾、それにグレヴェンとパラソルから提供されたマジック・アイテムを手に、子供たちはヘシオドスを経った。
 父の無念を晴らすため、世界を守るため、そして、己の真実を見届けるため。 
 ……つづく。


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(2007/03/02)
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