We are Pathfinders!#12~PFキャンペーン『ザ・ペナルティメイト・トゥルース』第ニ話「少年は荒野をめざす」中篇~

 海からとどろく不思議な音。
 あれは何の音だろう。
 あれは“蒼い野獣”の寝息だよ。
 違うよ、目覚めた後の欠伸だよ。
 湾に浮かんだ木の館。
 これは何の箱だろう。
 これは魚のお家だよ。
 違うよ、誰かの乗り物だよ。
 古ぼけた紙に書かれた僕の名前。
 これは何のためだろう…?

 父クリフ、母ラムダ、そして子供らの不在という最悪のタイミングを狙われたヘシオドス。
 辛くも謎の手勢を撃退はしたものの、父が彼等“蒼ざめた月”と何らかの関連を持つ疑惑は残った。元からクリフは村に住んでいたわけではなく、彼の前身について、詳しく知っている者は村にはいない。
 ともあれ、まずは父母の身元を確保しなければ話は始まらない。
 ここで、ラムダについては釣竿を所持していたのを思い出す
 彼女の持つ釣竿はパラソル謹製の魔法のアイテムで、さながら…とゆうか名前までまんま“ビーチ・ボーイ”で、釣り針に触れた相手を物凄い力で引っ張り上げたり、岩の出っ張りにひっかけてウインチ代わりにしたりする業物。あ、この説明だと“ワイアード”っぽいな(byポーク・パイ・ハット小僧)。何より恐ろしいのはこのアイテム、AD&Dの頃から存在してたってことだ
 元々海での釣りで食料を用意してきた彼女であるが、加えて、クリフとこの村に来てすぐ、海岸の“階(きざはし)岬”に何かと釣竿を持って出かけたらしいのだ。それを考えると、恐らく海に向かったのではないかと推察される。この緊迫した事態に釣竿でナニをするかは未だワカりませんが。混乱の渦中を釣りで解決しようとするのは三平君か魚紳さんぐらいのものです。
 それにクリフの待機地点で飛び散っていた血痕も気になるところ。一度北の林に戻って、問題の場所を経由してから海岸に向かうことにする。

 血痕は〈生存〉がクラス技能のガルボに、〔赤貧〕でサバイバビリティ溢れるベベが中心となって追跡。
 その先では、強烈な轍が地面のみならず木々に刻まれ、鋭利な刃物で切断された黒衣の遺体が転がる惨状となっていた
 そう、クリフは脚萎えとなってはいたものの、刃物を車軸に仕込んだ殺人車椅子の使い手となり、自由自在に空間を支配する戦法を得意としていたのだ! イメージとしては『アウトフォクシーズ』のドクター・チンを連想していただきたいッ。とうぜん、背後からの攻撃はダークウッド製の背板で無効化します。

out.jpg
下段左端がドクター・チン。特に話題に関係ないが隣は世界で唯一のバナナを報酬に人殺しをするサル。

 思わぬ親父のヘンタイ機動ぶりにちょっと感心の一同一部後継者を望む人もいましたが…うーん…《特殊武器習熟:車椅子》とか…か? これでクリフも何らかの襲撃を受けたことが確定。
 さらにその後を追跡すると…そこでは、地面に染み入る大量の血液と、バラバラに打ち砕かれた車椅子。凄まじい力で叩き伏せられたらしく、クリフの空間殺法にも耐え得る車軸はヘシ折れ、背板にもヒビを入れられている。下手人と思われる巨大な足跡…それこそ「巨人」という言葉がふさわしいサイズの跡が続いていた。
 風雲急を告げる父の行方だが、林を抜けた先は固い地面が続き、足跡を追うのは困難となる。その上追跡の出目が振るわず、断念して海岸付近を捜索することに。
 海岸にも戦いに敗れた黒衣の連中が倒れているが、こちらは急所を鋭い刺突武器で貫かれたり、手足の関節を引っこ抜かれたり、と林とは別の方法で仕留められている。これはラムダのビーチ・ボーイによるものであろう。
 さて、肝心のラムダは…と探し回っていると、岬の下、“大咆哮湾”から不気味な轟きが伝わってくる。大咆哮湾はある時期になると不気味な唸りを発し、それは“蒼い野獣”の寝息であるとも、鼾であるとも、半覚醒の欠伸とも伝えられていた。そして、不吉な音色が聞こえる時…それは、子供たちがヘシオドスにやってきた季節、今、なのだ。

 血のように赤い夕暮れに、大咆哮湾の唸りが響く中、一向にラムダの姿は見当たらない。
 ふと、階岬の先端から大咆哮湾を見下ろすと、普段と比べて水位が下がり、岸壁に穿たれた空洞が見えるようになっている。音の正体は、海流と風がここに流れ込むことで生じていたようだ。
 岬にラムダの向かいそうな場所といえば、最早ここしか残っていない。壁を這い下りて進入した空洞…そこでも、やはり黒衣の連中と戦った跡が残されている。足を速める子供ら、しかしそこで待っていたのはラムダではなかった。
 空洞の行き着いた先、そこには広大な空間が拡がっており、見たことも無い木造の構造物が朽ちかけた巨体を晒していた。子供たちの知識では、これほどの規模の人工物など存在自体が信じられなかったが…かつてラムダに海で乗せてもらった、“”というものに似ているような気がした。これは我々の言葉でいう“帆船”…舳先に一角の騎馬をあしらわれた、多くの旅客を乗せていたであろう立派な船だった。
 しかし、規模だけでなく、存在自体がヘシオドスやデリリウムには不自然であった。このような船を操る者もいなければ、発着する場所も無い。誰が、何のためにこんな物を造り、何が起きて流れ着いたのか?
 捜索のために取り付き、甲板に上がった時、気付いた。
 マストの影、船室に何かがいる
 既にここにも、黒衣の連中の手は伸びていたのだ。
 船室の上からゴブリンが射かけ、マストの影からは暗闇の絞め落とし屋・チョーカーに、病気持ちの猟犬ゴブリン・ドッグが飛びかかる!
 先陣を切ったのはガルボ。立ちすくみ状態のチョーカーにグレート・ソードを一閃、これがクリティカルしてチョーカー即死。ええ、何もしない間に即死。…イニシアチブに勝利していれば、間合い10の機会攻撃が炸裂してたのになぁ。一方で発見されなかったバグベアが飛び出し、ジャヴェリニストハ君ダケジャナイノダヨ、とばかりにジャヴェリンを投げつける。
 なんてことだ。とうとう「これなんてジャヴェリンゲー?」と嘆いていたGMまでジャヴェリンを投げ始めてしまったこれから毎日ジャヴェリンを投げようぜ?
 続いて自慢の剛力でモーニング・スターを振り回してベベやガルボに手傷を負わせるも、やはり相方のチョーカーが早々に退場してしまったのは痛い。援護射撃のゴブリンのショートボウは3.5e以降では小型クリーチャーには逆風、その上【筋力】のペナルティまでついては蚊の刺すようなダメージしか与えられない。逆に反撃のカトーレwith一人芝居のクロスボウに打ち落とされる始末。ゴブリン・ドッグもゾーラの堅固なACに阻まれ、病気をうつす前に刀のサビと相成った。
 ベベの連打でバグベアが倒れると、ガルボは船室の梯子を登ってゴブリンを強襲。血まみれの大剣を担いだハゲでヒゲにびびったゴブリン、「こんな危険な所にいられるか! 俺は一人で逃げる!」とダイブを決行したが、あえなく〈軽業〉に失敗して落下ダメージを受けて墜落死。これにて襲撃者一同は全滅。

 バグベアたちの間で交わされていた会話から、ラムダを追って手勢を送って返り討ちに遭い、増援として彼等が送り込まれたのは察していた。もっとも、バグベアもまだラムダの発見には至っていないらしい。
 帆船の中を探索中、一室にて奇妙な書物が見つかった。そこには見慣れない数字と単位…日付が記入され、時々に起きた事柄が語られていた。曰く「ここは“レッド・ラッカム(血だるま)”をはじめとした海賊の戦闘地帯、気をつけなければ」「遠方に雲の渦巻く塊が見える、さながら雷雲の壁のようだ」…どれも、島民たちにとっては馴染みの無い、しかし子供たちには既視感を覚える内容であった。
 また、同時に発見されたのは“乗船名簿”…ガルボやゾーラ、ベベ、カトーレ、他の子供たちと、知らない名前が無数に書かれた記録。何故見たことも聞いたこともない構造物で発見されたものに、自分達の名が?
 と、積み上げられた貨物の下から流れ出る血が。その下には、包帯を腹に巻いたラムダが倒れていた。クリフに命じられたある目的でここを訪れていたのだが、そこで襲撃に遭い、撃退には成功したものの失血が酷くて気絶していたのだ。
 〈治療〉に成功して目を覚まし、ひとまずの無事に安堵はしたものの、答えてもらわねばならないことは沢山あった。彼女の赴いた目的、それにこの構造物や乗船名簿について問い質す子供たちに、「いずれわかることだった」と前置きをしてから語り出すラムダ。
 実はヘシオドスの子らは、家族でもなければ兄弟でもない。出自の不明な、この帆船“ユニコーン号”の乗客だったのだ。
 ラムダの知る限りでは、彼女と子供らはかつてこの船に乗っている際に嵐に巻き込まれ、気付いたときにはデリリウムに漂着していた。そこを助けたクリフが何らかの思惑を持って「子供として育てる」と宣言し、ラムダも母親役を頼まれたのだ。ラムダ本人はかなりイヤだったらしいが
 まあ、ベベよりはるかに小柄なカトーレが姉だったりしてる時点で兄弟じゃないのは薄々感づいていただろうけど、彼女の語ることが本当なら、島民の持病“夢病”に子供らとラムダが罹患していないのも道理…と、なるが、生憎本人たちは船に乗るまでの経緯や、それ以前の記憶をまったく持っていない。自分のパーソナリティ全てが未知の物
ひょっとしたら岩で頭でも打ったんじゃあ…
 と傷のある禿頭を抱えるガルボには誰しも「ああ、なるほど」とゆう視線を向けていたが。
 ラムダは自分はいいからクリフを探しに行け、と命じるが、ここに捨て置くわけにはいかないし、何より先ほどの戦闘でカトーレのキュア系呪文が底を尽いてしまい、仮に遭遇が生じると、戦力的にかなり不安が残る。涙を呑んで、一時休息を取らざるを得なかった。
 水と大気の起こす音色に不安を煽られながらも、ゆっくりとヘシオドスの子らは眠りに疲れた体を委ねていった。

 …つづく。


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