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クトゥルフ神話TRPGヨタ話#87~11年目のキーパーテクニック(前編)~

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 クンヌシサン! Role&Roll Vol.162に私の執筆したパスファインダーRPGサポート記事が掲載されているから買ってくだち! あと告知ツイートでRoll&Rollとまちがってるの見逃してくれないとさっきゅん泣いちゃうんDEATHけお…
 などとけおけお喚いていたけど、そのVol.162で巻頭特集してるのはクトゥルフであった。まあパスファインダー特集は昨年末のVol.159でやったからね。
 その内容はアーカム計画スペシャル「クトゥルフの春 キーパー・デビュー!」。始業シーズンそして出会いの春とゆうことで、新しい環境に合わせてKPを始めようかしらとお花目(古典的少女漫画のようにパッチリした目)で吐息熱く胸ときめかしているヤングもこれにてウサミンハートにメルヘンチェンジということだな。この字面はデビューという字から『メルヘンデビュー!』を連想したのと、俺が安部菜々推しであること以上に特に意味はないので気にしなくていい。

 アーカム計画ではこの手のKPはじめ記事を何度かやっており(キーパーの十戒もそのひとつ)、その都度いいこと言ってるなぁーと感心していたが、Vol.32という初期も初期(でもこの頃は30冊続いただけでも驚いていたんだヨ)の特集号を見たら「なんだこれものすげえいいこと言ってるぞ」と夜中跳ね起きた。ナウいKP指南はVol.162の記事にお任せして、老人ゲーマーらしく今回はかれこれ11年前に掲載されたKP指南を復古するとしよう。

この頃は950円(税別)だったのだ
 取り上げる記事は、Vol.32のアーカム計画スペシャル2(この時は1年ぶりのクトゥルフ特集だったのだ)「クトゥルフの再臨」に収録されている「好奇心は探索者を活かす-内山靖二郎のキーパーテクニック-」かの内山先生自らのKP指南だ

序 好奇心は最高の引き
 内山先生曰く、クトゥルフは「引き」…プレイヤーキャラクターを事件に駆り立てる動機のことだ…が弱い。
 冒頭の話題が前置き無しにコレである。KPならば誰もが悩むクトゥルフの弱点を容赦なく突くシュートスタイル、破壊された指をさらに砕く独歩ちゃん並に容赦ないです。しかしKPならこれほど頷ける話題もないし、しょっぱなから対処せねばならん問題を包み隠さずつまびらかにするあたりが、これより取り組む問題に真正面から向き合うズ根性をうかがえようというものだ。
 事実この課題はクトゥルフにおいて大変頭が痛い。「おれ、しかしなんでこんな事に関わってるんだろう…?」探索者の呟きに胸を痛めぬKPがいるだろうか、いやいまい。探索者の抱える問題というのは常人なら触れたくないっちゅうか投げ出したくなる超自然的な問題であるのだが、それから逃げちゃあおしまいよ、というのが神話的事情というもので、ヤでも正気を危うくする真相究明に踏み込まねばならない。
 これはしばしばクトゥルフの構造的欠陥として指摘されるものであり、「目に見えた危険に自分から近付かねばならない」展開にストレスを感じるというのが主な意見。
 解決策としては「押し」…意思に関係無く、否が応にも事件に取り組まねばならない状況のこと…が挙げられている。なるほどこれを使えば、動かねば死という差し迫った危機のために、探索者は超自然的事件の調査に奔走するのは必至。が、これも結局は自発的に危険に近付かねばならない、という押しつけがましさと変わらない…というか余計にストレスが強くなる恐れがある。それに近代~現代社会を舞台にしたクトゥルフで、毎度毎度全員ケツに火が点くような状況というのも正直考えづらい。米花町かよ! ってな危険地帯だな。
 では何を馬の前にぶら下げるニンジンにするかというと、「好奇心」を内山先生は推している。この好奇心というやつは探索者にとってゲスラにチョコレートみたいなもんで、大体探索者というものは好奇心は猫も殺すというか、猫も近寄らないような危険に好奇心に負けて破滅するような社会不適格者なんだから仕方がない。原作でもそうだしな。が、いくら探索者がそういう生き物だからといって、やはりプレイヤーとは同一でないんだから、好奇心だけで動かせるもんなの? ……という疑問には、次の項でオススメの展開が触れられている。

1.何事もスタートが肝心
 その手法とは、「シナリオの導入にインパクトのある事件を置くこと」。
 ド定番もド定番であるが、これは「キーパーの十戒」でも言及されていた基本にして至高の手段。まず大事なのは、探索者もろともプレイヤーにシナリオの方を向いてもらうこと。そのために必要なのが、クトゥルフならではの怪奇事件だ
 そして、ここで起こす事件は奇妙な殺人事件が取り上げられている。ミステリ小説には不可解な状況で死体が発見されるパターンが多用される。誰も入ることのできない密室、首のない死体、それに童謡や旧習を再現したかのような見立て殺人…これらは、見た人の知的好奇心をかき立てる小道具として最適。
 さらに、クトゥルフは超自然的存在という大変便利なガジェットがある。本格的なミステリのように、いちいち整合性を考える必要はない。密室でも殺人やらかすなんて、ティンダロスの猟犬や夢のクリスタライザーの守護者なら朝飯前だ。トリックを超自然的な魔力に頼んな、とはノックスの十戒のお言葉であるが、キーパーの十戒なら事件は超自然的な魔力に頼らんかいと言うておることだし、こういう時は都合の良いギミックにテッテ的に頼るのがクトゥルフとしては正しいのだ。それにクトゥルフにおいてトリックが超自然的存在の仕業だなんて! とフンガイするのはカツ丼を頼んでおいて天丼の味がしない! とイチャモンつけるようなもんだから、その手のクレームは心配しなくてよかろう。
 もう一点、殺人事件をクローズアップしたのは、れっきとした犯罪ということだ。いかに奇妙であろうと、犯人は探し出さねばならないし、動機を明かさなくてはならない。好奇心で「引き」つつ、社会規範で「押し」にかかる、ハサミ討ちの形になるわけだな。
 まとめ、導入はインパクトが大事。怪奇な殺人事件は王道かつ、効果的なイベントである
 ……殺人事件に話が収束しちまっていいの? というツッコミはもっともであるが、それは次の項の「フリ」であるのよ。

2.探索者だけが知っている事実
 んで、いきなし「殺人だけではどうもマンネリだなあ」という読者の代弁からこの項始まっていきなりズッコケさせてくる。然りごもっともなんだけど、あんだけ殺人事件を推しておいてこの立ち合いの変化のうまさ、ほんまにようやるよ。
 ではどやって他に魅力ある事件を考えるかというと、ヒントになるのが実際のニュース。事実は小説よりも奇なり、まんがよりむちゃくちゃなり、の言葉通り、なかなかに現実世界の中でも不思議な事件というのは多い。特に狙い目はテレビで放映されないような胡散臭いニュース。
 内山先生がススめているのは、そのような事件に遭遇させる場合、探索者が突っ込んでいける「すき」を作っておくこと。
 いくら心惹かれる事件を作り出すことができても、ただ目の前で起きただけでは、一般人の探索者では何もできない。目の前で大地が沈み、家が飲み込まれるような光景はインパクト十分だが、探索者は事件の目撃者以上の行動を起こすことはあるまい。事が大きすぎて、どう手出ししてよいかわからなくなってしまうからだ
 そこでKPが与えるべきは、探索者だけが知っている、事件との因果関係をほのめかす情報。大陥没の前に呪文のような声とよだれをすするような音を聞いた、断層に白い触手のようなものを見かけた…など。このような情報は、明らかに事件に関連しそうではあるが、あまりにも現実離れしているため、警察など公的な機関に頼るのは難しい。なんかあったら官憲に駆けこむというのは、クトゥルフだと大いに困るが現実では大いに正しい。そのような「見えている禁じ手」をあからさまに封じずに済み、かつ自発的に探索者が事件に関わらねばならない、動機づけとなる。これが「すき」だ。
 この「すき」となる情報は、ちょっと露骨すぎるぐらいの方が、見過ごされる心配もないし、行動方針を決めやすい。それに大事なのはつかみのインパクトという前項の要点を忘れてはならない。
 最後に、カコミ記事として現実の事件への配慮が書かれている。リアリティを持たせるために現実の事件を参考にするのは大いに有効であるが、選択する事件には十分配慮しなければならない。悲惨な事件はもちろん、宗教・思想・政治・国際問題に関わる事件となれば、一度間違えれば面倒臭い思考を叩き起こしてセッションおいてけぼりの空中戦に発展しかねない。シナリオに含めるにしても、サラリと触れる程度に留めるのが無難だろう。一方、生物学・考古学・天文学のような知的発見に関しては奨励されている。
 まとめ、探索者につけいる「すき」を与える。独力で探索に赴こうとさせるのが大事

3.NPCは情報提供の華
 さて死体や事件で興味を引くのもいいが、セッションを進めていく中でプレイヤーを引っ張ってくれる存在では、やはりNPCが欠かせない。情報収集がメインのクトゥルフでは対話は欠かせないし、日記や新聞のような提示手段と比べて探索者のアクションによって反応が変わるNPCは感情移入しやすく、KPにとっても大変便利なギミックである。
 このNPCを扱い際に、内山先生が気を付けるべし、と指示しているのは以下の二点。
 ひとつ、性格付けを疎かにするなかれ
 あったりめぇのことじゃねえか、と言われそうだけれど、「慣れたKPだとアドリブで対応すればよいと考えて、結果没個性なNPCになってしまう」という本文の指摘に胸を痛めないKPはいないのではないか。俺はとっても痛いぞ。
 ただ、ここで指南しているのは「名前を付ける」「口調を決める」という大変簡単な性格付け。どちらも最低限であるけれど、シナリオに関係するNPCならこのぐらいは意識せずに用意したいもんである。ちなみに外見ではなく口調にしているのは「どうせプレイヤーには見えていないんだし、くどくど説明しても覚えてくんないから」ウウッまた胸が!
 口調は誇張気味にした方がどんなNPCなのか印象付けやすい、これは名前にも共通する。シナリオの根幹に関わるようなら、多少ムチャノリでも一度聞いたら忘れられないような響きぐらいの方がちょうどいい。公式シナリオに出てくるNPCの名前もこのような倣いか特殊なものが多い。んが、ちょっと捻った程度の名前だと実在の人物やプレイヤーの本名とカブってしまうというジャイ子的な事情の方が大きいのかもしれん。
 そしてふたつ、NPCの数は適当であれ
 やたらNPCを大量に出してプレイヤーを困惑させるのは新米マスターなら誰しもはうあ心臓が苦しい!(今日はやたらと胸が痛くなってばかりだ) てなよくある失敗ながら、NPCが少な過ぎる……というか、名有りNPCが一人しかいません、というのはいくらなんでも問題がある。黒幕でも協力者でも探索者対一人のNPCというのは、構図としてシンプルに過ぎるものになってしまう。これが二人、三人と増えていくことで情報の検証はより難しくなり、さらにNPCの態度が別のNPCの態度を変えていくようにすれば、物語の構造は複雑化していく。
 大切なのは、この複雑化で「楽しく悩む」ことを実現すること。悩むこととは関心を持っていてくれることとニアイコールである。関心を持ってくれているならば、その関心対象のNPCに力を入れて演出することで、よりゲームに引き込むことができる。これぞ理想的なNPCの使い方。一方で、NPCを増やし過ぎて複雑になり過ぎると、プレイヤーは情報の整理だけでウンザリして、ただ「苦しんで悩む」だけになってしまう。この「楽しく悩む」と「苦しんで悩む」の見極めができるか否かが、KPステップアッペレの第一歩であろう。個人的にNPCの数はプレイヤーの人数と同数以下に押さえた方が、ちょうどいいと思う。探索者一人一人に何か関係を持つNPCを配置することができれば、存在を忘れられることもないし、把握しきれないということは防げるはずなので。探索者は最低限、自分と関わりのあるNPCだけを覚えておけばヨシ。何かNPCとコンタクトを取る時は担当探索者が決まる、アイドルとPの関係いうわけだ。今回はよくわからんがバンナムの回し者ぎみになっているらしい。
 まとめ、NPCでプレイヤーの関心を引こう。口調に気を付けるだけで、NPCの個性付けは可能だ

 キーパーテクニック心得の条はその6まであるのだが、記事が長くなってきたので今回はここまでい!(擦) 4以降は次回に回すとしよう。特に6は全6ページ中、1ページ+αを占めてまで熱を入れた語りとなっているので、心して読まねばならぬ。後編も突然胸が痛くなるありがたい指南がいっぱいあるぞ! くれぐれも心肺機能には気を付けてな!

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R&RにてパスファインダーRPGのサポート記事を担当させていただいております。

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