We are Pathfinders!#285~ビギナー・ボックスのここが違う~

 先の記事に書いた通り、『ビギナー・ボックス』のルールは簡略化したもので、CRB掲載のルールより削除されたものがちょくちょくある。
 まず『ビギナー・ボックス』を遊び、それからCRB環境に移行する人、あるいはCRB環境で遊んでいた人が『ビギナー・ボックス』をやってみようという時にはこれを把握していないと混乱するかもしれない。
 『ビギナー・ボックス』解剖記事をやったところで、今度はCRBとの差異を取り上げ、シームレスに移行できるよう助力したい。
 なお、取り上げるのはルール上の差異を中心にするため、単なるデータの拡張(呪文や特技、クラス)は省略し、ルールに抵触する内容に限った。

●キャラクター作成
・小型種族がいない
 『ビギナー・ボックス』では多くを古来D&Dの作法に倣い、種族・クラスはCD&Dに登場したものに限られて……ないハーフリングがハブられてるのだ。これは「生まれついての奴隷根性の小人など濁世内海地域からの先兵には不適格よ! PEッ!」などという小型種族差別ではなくて、導入した場合のルール掲載するヒマがなかったんだろう。ダメージ・ダイス、荷重、AC・攻撃ロールなど、小型種族が与える影響というのは、こうして見ると少なくない。いちいち武器のサイズ違いによるダメージ・ダイスなんて書くスペースがありゃしないし、荷重に戦技へのペナルティは『ビギナー・ボックス』だと作用しようがないしな(あ、この辺は後述する話だったい)。
 モンスターのデータには小型種族のルールが適応されているが、プレイヤーの使用するデータとは異なる書式だから、サラッと見ていると気付かれないかもしれない。例えば、ゴブリンの使うショート・ソードがd4ダメージなのに一見して違和感を覚えた人は鋭い

・技能が少ない
 『ビギナー・ボックス』だと毎レベル得られる技能ランクが2のクラスばっかだが、技能の数が絞られているからそこまで気にならないかもしれない……が、CRBになった途端怒涛の拡大、さらに未収得判定不可技能が襲いかかる。8ランク貰えるローグさえ足りなくなるんだから、こりゃ大変なことですよ。目に付くのは〈魔法装置使用〉だが、〈知識:次元界〉の追加もモンスター情報の把握において忘れてはならない。それにつかみからの脱出手段、〈脱出術〉、これも大事だった。
 パスファインダーRPGには「クラス技能がしょぼいクラスに限って技能ランクもしょぼい」というジンクスがあり、『ビギナー・ボックス』でも技能の割り振りに苦労したクレリック、ファイターはさらにしんどい思いをすることになる。『ビギナー・ボックス』のうちから「クラス技能にランクを1点でも振っておくと段違い」「集中してランクを振る技能を決めておく」、これを意識すると多少は悩まずに済むかと。

・適性クラスボーナスがない
・言語が無い
 技能の項にも関わる問題2点をまとめて解説。
 まず、適性クラスのボーナス。これは割と忘れやすい存在だったから、混乱を避けるために削除したのだろうか? hpが欲しい人はレベルごとに1点のトク、技能が欲しい人は1ランクのトクがあると覚えておけばOK。
 次に大きいのが言語の有無。『ビギナー・ボックス』には言語および〈言語学〉が無いから、相手がゴブリンだろうとボガードだろうとブラック・ドラゴンだろうとオレのケツを舐めろと叫べば通じたが、CRB以降では共通語を相手が理解しなければ「何コイツいかついカオしてワケわからんこと叫んで…怖…」と引かれるだけだ。異文化との接触の際に、言語におけるコミュニケーションは極めて大切。いちいちコンプリヘンド・ランゲージズに頼るわけにもいかんし(当たり前だけど、言語のルールが無いからこの呪文も『ビギナー・ボックス』には無い)。〈言語学〉に振ったランク1点が身を助くと言っても過言ではない。
 ちなみに、初期の言語の数は【知力】ボーナスに依存する。元からバカキャラには厳しいゲームなのだが、CRB導入後はますます【知力】の重要性が増すことになる。

・荷重が存在しない
・防具の判定ペナルティが存在しない
 個人的に、CRBに移行した際、最もキツイのはここではないかと思う。
 パスファインダーRPGはバカキャラに厳しいが、ゲームを開始して暫くはヒョロガリにもかなり厳しい。『ビギナー・ボックス』と同じ気分でひょいひょい背負い袋にモノを詰め込んでいくと、あっという間に中荷重になる。ローグなんかもう盗賊道具とレザーとショート・ソード以外ほん投げたくなることだろう(メリシエルさんが【筋力】13のややマッチョなのは決して間違った選択ではない)。中荷重によって生じる移動速度20フィートと技能へのペナルティがどんなにツライかは、いっぺん遊んだ人には言うまでもない。いらない道具は【筋力】の余裕のある人やドワーフに預ける(当然『ビギナー・ボックス』仕様のドワーフには荷重にまつわる種族特徴がない)、もしくは投げ捨てやすく袋に入れておく知恵を身に着けておきたい。
 荷重のルールが存在しなければ、防具の判定ペナルティも存在しない。おかげでヴァレロス君やキーラが割と軽やかにアスレチックできていたのだけれど、CRBの導入と共にこのようなムーブも憤死。鎧を着ながらの運動技能は、残念ながらペナルティを軽減する手段が無ければかなり劣ると言わざるを得ない。
 『ビギナー・ボックス』に防具の判定ペナルティが無いと聞くとエズレン君がフル・プレートに飛びつくかもしれないが、ウィザードには「鎧を着ることができない」という一文がキッチリ書かれているので無理竜。それと、判定ペナルティこそ存在しないが移動速度の低下は生じる。

●戦闘ルール
・機会攻撃がない
 まずはこれに触れねばならぬ
 機会攻撃がないから、メリシエルはガンガン挟撃を取りに行けるし、キーラも敵前で堂々とキュア系呪文を使える。エズレンは…後で話す。その代わり、敵も同じように挟撃を取りに行ける上に、後衛に殺到することも可能になった。足止めするための位置取りは、CRB環境以上に重要かつ難題となる(もっとも、『ビギナー・ボックス』なんだから新規さんに優しくGMは多少の手心を加えて最適解の位置取りに走らずとも良いのではなかろうか)。順序は逆なんだけどちょっと5eっぽくあるな。
 逆に言えば防御の薄いPCが敵に詰め寄られても、距離を取ることは容易になった。それに大型クリーチャーの長い間合いによるカウンターパンチに怯える心配もない。移動に関しては別ゲーと言えるぐらい自由で、これに慣れてしまうとCRBで迂闊な挙動に走る恐れがある。CRB導入後の戦闘では、ここんとこ重点的に解説するのが望ましいだろう。離脱アクションも当然のことながら無いよ。
 ……そういえばテスト段階ながらパスファインダーRPG2ndではファイター以外機会攻撃が存在しないという話であったな。

・全ラウンド・アクションがない
・即行アクションと割り込みアクションがない
・待機アクションと行動遅延がない
 アクションまわりの話をまとめて。
 「全ラウンド・アクションを開始する」という標準アクションがあることを皆さんは覚えておいででしょうか。「次のターンの標準アクションも使って全ラウンド・アクションの行動を完了する」という処理を聞けば納得できるでしょうが、字面だけ見ると何が何だかよくわからん。
 『ビギナー・ボックス』で存在するアクションは移動アクション、標準アクション、フリー・アクションのみ。全力攻撃(というか全ラウンド・アクション)を行う時は、移動アクション+標準アクションを使用したという扱いになる。これは前回書いた通り。5フィート・ステップは存在するから、複数回攻撃をした後の移動も可能(ただ、機会攻撃が存在しないから、意義はやや薄くなったかも)。
 それよりも即行アクションと割り込みアクションの削除だよ。即行アクションはまだいい。割り込みアクションを自分のターン中に使った時は即行アクションと同じ、自分のターン中以外で使った場合は次の自分のターン終了まで使用することはできない、それと立ちすくみ状態のときは割り込みアクションを使用できない…えーともういいや! なんちゅうか、使ったか使ってないかを忘れやすい能力というのはいくないので、『ビギナー・ボックス』で削られたのは極めて納得である。せめて自分のターン以外で使った場合が無ければまだ得心がいくのだが。『ビギナー・ボックス』からCRBに入る人は、一度はつまづくルール。CRB発売の折には、よーく読んでおこう。
 待機アクションが無いので移動に関しての制約が少なくなった代わりに、状況毎の柔軟な対応力はやや低下した。イニシアチブカウントの変化が生じるのも、行動遅延の存在しない『ビギナー・ボックス』では不適と判断されたか? そういや行動遅延も無いあたり、ますます5eっぽい。これに関しては5e記事でも書いたように、ターン開始・終了の処理や、延々イニシアチブを遅延させ続けた場合の処理をグチャグチャ書き連ねることになるからだろう。本当、ペナルティを逃れるためなら何でもする奴というのは色々考えるもんだよ!
 地味に「基本攻撃ボーナス+1以上なら、移動と一緒にフリー・アクションで武器を抜ける/盾を準備できる」ルールは生き残った。

・敵に隣接されていた場合、接触呪文でない呪文の発動と遠隔攻撃を行えない
 なんだかエズレン君をぬか喜びさせてばかりで気が引けるのであるが、機会攻撃のルールが無いから安全に敵の間合い内で呪文を発動……できるのは、キュア系のような接触呪文。敵に隣接されていると通常は呪文を発動できないシィィットッ! 機会攻撃を受けなくて済むぶん、呪文発動時は大人しく距離を取ってからにしよう。CRBになってからは、逆に腹をくくって敵の眼前で呪文を発動する度胸が要求される……でも精神集中のDCって高いから、無理せず離脱アクションを取る思慮を優先しても咎めはされまい。あと、『ビギナー・ボックス』では精神集中判定が存在しない。それに呪文発動に必要な要素なのはCRBとも共通ながら、『ビギナー・ボックス』では「敵に隣接されていると精神集中ができない」、と大きく扱いが異なる。
 遠隔攻撃も最低でも10フィート以上離れていないと行うことができない。その代わりといっちゃなんだが、最大射程範囲までペナルティ無しで撃てるもんだから、飛び道具が物凄いレンジを持つことに。ダガーでさえ50フィート先まで飛ばせるから、メリシエルはヒマがあったら投擲用に抜いておこう。シレッと書いてあるけど、ロングボウが1000フィート先まで射ることができるのだが、本当にいいんんだろうか。
※訂正。いいわけありませんでした。ちゃんと射程単位ごとのペナルティは存在します。申し訳ぬぇ。

・戦技がない
 機会攻撃がないとノーペナルティで行えるのもそうだが、戦闘がかんなりゴチャゴチャしたものになるからだろう。おかげでつかみや足払いが自動的に発生するようになりかんなりしんどいが、これは耐えよ。戦技というよりは、つかまれた状態や伏せ状態を生じさせるバッド・ステータス付き攻撃とみた方が『ビギナー・ボックス』内では適切だろう。ところで組みつき状態とは異なり、つかんできた側はつかまれた状態にはならない。文面的につかんできた側がつかまれた状態になったらおかしいのも道理だが、ずるい。
 PC側から戦技に類する判定を求められた時は、CRBに準拠した判定を行う(その場でCMBとCMDを算出)するか、スポット・ルールをGM・PCと協議の元立案するか、のふたつ。あくまでのスポット・ルールであるから、CRB発売の際には使用できなくなることも合意しておかねばならない。
 CRBで戦技のルールを見るとそれだけでうんじゃりするかもしれないけれど、プレイヤーで扱うぶんには「使いたい人だけ使えばいい」というルールだから、その気がなければ無いもんだと思っても構わない。敵に仕掛けられた場合は自分のCMDだけ伝えれば後はGMが処理してくれるだろう。ただその結果理不尽な事が起きても立腹しないよう、事前に読み込んでおくというのも精神安定上悪い事ではない。特に組みつき関連はよく出くわす割に異次元化してるルールだから、せめて脱出する手段ぐらいは把握しておきたい。
 組みつきや足払いはともかく、武器落としとかチョイ変わった戦技は仕掛けるのが難しくなっているから、武器落としが幅を利かせる往年のゲームみたいに、そこまで怯えることも無いだろうけど。ただレベルが上がってきたら、武器は壊されるものと心の片隅には留めておき、予備の武器を持ち歩くようにはしよう。いるんだよ高レベルシナリオには1体ぐらい、武器破壊を異様に高いCMBで仕掛けてくる奴がよぉ!(被害妄想)

 ザバッと『ビギナー・ボックス』・CRB間で生じるルール違いを洗い出すと、大体こんな感じ。
 探ればまだまだ出そうだけど、特に重要なのは機会攻撃まわり。呪文発動にも影響を与える、ある意味パスファインダーRPG(と3e系列)の戦闘の一柱でさえあるこのルールを『ビギナー・ボックス』から引っこ抜いたのはかなりの英断…というか敢行であったろう。これのあるなしが戦闘システムの随所に響くぐらいである(今回、機会攻撃が消滅したことで生じる変化を何度言及しただろう)。せめて敵から離れる時、敵の周囲を移動する時に生じるぐらい簡易なルールで残してもよかったような気もするのだけれど。
 それ以外の点でCRBで追加するルールはちょいと手間がかかるけど、冒険や戦闘を多彩にしてくれる一味。『ビギナー・ボックス』で遊び慣れてからも、まずは初心に帰ってジックリ読み込んでいただきたい変わるわよ
 CRBから『ビギナー・ボックス』を遊ぶ人は、蛮声を上げながら果敢に挟撃を取りに行って下さい。誰も止める者はいません。

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R&RにてパスファインダーRPGのサポート記事を担当させていただいております。

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