D&D5e余話#176~5eことはじめ記・いつかドラゴンスレイヤーになるために ウィザード編~

 PFはじめてさん向け記事では、CRBクラス縛りで役割ごとに紹介してきて最後の秘術役がアーケイニストというズッコケをかましましたが、こっちは普通にやりますのでご安心下さい。
 それというのも、ガストも臭気が抜けてグールになるほどに手間のかかる呪文準備システムのせいであり、クレ公同様にそれが是正された今こそ、秘術役の中でも選ばない理由がないってぐらい強力なあのクラスの出番。めでたくはじめてさんにも自信を持ってオススメできるようになりました!

ウィザード

●クラス解説
 ウィザードの行使する秘術呪文の役割は「面の征圧」。多数の敵を焼き払い、あるいは出足を止め、戦力を分断する戦場の制御能力こそがウィザードの真骨頂。この能力、他のクラスでなかなか代えが効かない。
 また、秘術呪文は物理的に突破することが困難な状況……敵が飛んでいて近接攻撃が届かない、無数の人々の注目の中をすり抜けなければならない、など……を解決する様々な効果が用意されている。ファイターの打撃力、ローグの技能、クレリックの回復、それらで対処できないすべての事柄を担当できるのがウィザード、と言っても過言ではない。
 難点は呪文の修得と準備が相変わらずだるい。第5版というこの期に及んで何の指針も無くくそ長い呪文リストから呪文を選び、乏しいリソースでどう切り抜けるかを考えなくてはならない。ただ、ついに呪文の準備に関しては、クレリック同様回数まで指定しなくてよくなった。準備した呪文の中から、スロットの限り好きに発動できる。
wiz_jojo.jpg
 もう一点、物理的にどうにかできない状況を抜けるのが仕事なだけに、物理的にどうにかしろと言われるとつらい。ACは低いし使える武器は質が悪い。ただ妙技特性と習熟ボーナスのおかげで多少はマシになった。

○能力値
知力】>【耐久力】>【敏捷力】>【判断力】>【魅力】≧【筋力

“エルフ流武器訓練”のロングソード習熟がもったいないから」とか剣と魔法を使いこなすのってカッコよくて憧れるけど厨房臭いと思われるのが嫌だからシステマチックな発言にしとこう(長い)、みたいな悪あがきは要らん。いいからその【筋力】に振った能力値ポイントは全て【知力】に注ぎ込めあと“エルフ流武器訓練”をウィザードで活かしたければロングボウを撃ち接近戦はダガーで我慢するんだ。なんせPHB掲載のクラスにおいて、唯一【知力】を重視する存在なのがウィザード。うっかりすると、パーティを見回してみたら誰一人【知力】10以上のPCがいないアーパー揃いだったりする5eにおいて、【知力】担当のウィザードがそれをつまらん欲目で疎かにすることは許されないのだ。
 じゃあ【知力】を伸ばしたから【筋力】伸ばすね、とか寝事ぬかすのはそろそろ止めて夢から醒めよ。あと魔法剣士がしたければ素直にエルドリッチ・ナイトをやるんだ。知力】を上げたら、次はありったけの能力値ポイントを【耐久力】に振り込む番だ。ウィザードのHDは全クラス中最低ランクのd6。最大値を貰っても6点しかない。対して、脅威度1/8のコボルドのダガーでさえ、ダメージは1d4+2。【耐久力】ボーナスが無ければ即気絶する恐れがある。アーケイニスト記事ではゴブリンの突撃一体ぐらい耐えて見せた秘術役であるが、5eにおいては一撃で即危険水域(妙技特性のせいでな)。またクレリック記事の「hpが9点あれば、取りあえず一撃は耐えられる」を思い返してほしい。つまりウィザードがhp9点を欲するなら、ブサメンになろうと貧弱になろうと【耐久力】16に持っていくしかないワケだ。種族の都合上叶わない場合は14~15まで上げて、ゴブリンのシミターの出目がMAXでないことを祈るんだ。
 【知力】【耐久力】を16まで上げたら(種族修正と特技コミ)、もう一つぐらいは14まで伸ばす余裕がある。それで伸ばすのはやはり【敏捷力】だろう。戦場の制御が主な仕事であるウィザードは、イニシアチブは早ければ早い方がいい。それに火力呪文を撃ちこまれたらそれだけで生死に関わるぶん、【敏捷力】セーヴでダメージを軽減できる見込みは気休めであっても少しでも高くしたい。
 【判断力】はセーヴに習熟しているものの、やはり落とすとエライことになる効果が多い。あまり低い数値を振るのも考えもの。
 残りの【筋力】と【魅力】はいずれもウィザードだと積極的に使う能力値でないから、特にこだわりがなければ8で構わない。仮に能力値ポイントが余ったら技能や対エンタングル・対[魅了]あたりを基準に考えればいいが、そのポイントは【敏捷力】か【判断力】に回した方が良いかと思う。

●技能
〈宗教〉
〈捜査〉
〈魔法学〉
〈歴史〉

 ウィザードだから〈魔法学〉に習熟していると誰が決めたんだ(歌:ヒデキ)。
 技能ランクのくびきから解かれた途端にどいつもこいつも【知力】8のアーパーばっかしになった中において、唯一高い【知力】を持つウィザードが【知力】の技能を担当しなくて何とする。が、5eの多くの例に漏れずクラスで習熟できる技能は2つ。残りは背景や種族特徴ででンまいこと埋めていくしかない。〈医術〉なんて取ってるヒマなし。
 他にろくな固定値を取れる人がいない事だし、〈魔法学〉は押さえたいが、実は他の技能にしても同じことが言える。クラスで習熟する機会を考えたら、〈宗教〉はクレリックで〈捜査〉はローグ、それならウィザードは〈歴史〉を担当すべきだろうか?(クレリック「えっ私の習熟〈医術〉と〈看破〉なんですけど……」)

●装備品
 初期の装備品ではなんとライト・クロスボウすら貰えなくなった。いくら初級呪文があると言っても、固定値を取れる射撃武器を求められる時だってあるのに……で、武器はクォータースタッフとダガーの二択であるが、ウィザードがクォータースタッフのダメージ・ダイスの大きさや両手持ち特性を活用できる見込みはまずない。使うとしたら物品を叩いて反応を確かめる用途であるが、それならその辺の棒っきれでいい。素直に【敏捷力】で斬れるダガーにしておこう。
 呪文構成要素ポーチと秘術焦点具は殆ど差はない。ただ、ウィザードでも秘術焦点具で常に手が埋まっている状況というのは、あまりよろしくないように思える。1レベル時は呪文構成要素ポーチを選び、後に物質要素の補充が難しい環境を想定して、秘術焦点具を買えばいいか。ライト・クロスボウを後々買ったり、“エルフ流武器訓練”でロングボウを活かしたりしたければ、片手は装填用に空けておかないといけないので、呪文構成要素ポーチとなる。
 ウィザードは防具に一切習熟していないから、そちらに気を払う必要はない。マウンテン・ドワーフの場合は中装鎧まで着られるが、所持金の都合上1レベル時にハイド以上を買うのは難しい。

○呪文
・初級呪文
フロスト・バイト(EE)
メイジ・ハンド
・1レベル
グリース
コンプリヘンド・ランゲージズ
(儀式)
シールド
スリープ
ディテクト・マジック
(儀式)
ファインド・ファミリア(儀式)
フェザー・フォール
マジック・ミサイル


 呪文の達人であるウィザードも、意外と初級呪文は3個と余裕が無い。さらに、PFと違って初級呪文は呪文書に書き込んで増やすことができない。呪文修得が自由なウィザードも、ここでは慎重にならざるを得ない。
 ウィザードたるもの一枠はメイジ・ハンド(動かせる重さが10ポンドになりました!)に費やしたいとして、もう1つは戦闘中何もすることがありません、を避けるためにも呪文攻撃ができるものを選びたい。1レベルじゃダガー投げたらそれっきりだし。ダメージと射程に優れるファイア・ボルト、移動速度を落とすレイ・オヴ・フロストなどいろいろあるが、Elemental Evil Players Companion(以下EE)で追加されたフロスト・バイトを推奨したい。
 まずセーヴに失敗した場合、そいつの次の武器攻撃に不利を与えるという効果が凄い。そういうことができるのはヴィシャス・モッカリーだったのに(ヴィシャス・モッカリーは武器攻撃以外にも乗せられる)。
 また【耐久力】セーヴを振らせるところが二重に素晴らしい。
 まず、そもそもクリーチャーはセーヴに習熟している奴が少ない。だいぶ有情になったセーヴDCであるが、それでも普通は通る見込みの方が大きい。その一方でACは特に人型生物の場合、シールドで簡単に上げられるので高くなる傾向になる。ゴブリンでさえACが15、ちゃんと【知力】を上げたウィザードでも10以上を振らなければ当たらないのだ。
 そして【耐久力】セーヴであることの強み。例に出たゴブリンのように、序盤で出会う人型生物などは、妙技特性があれば食っていけるとばかりに【敏捷力】の高い奴が多い。既存の初級呪文では【敏捷力】セーヴのものが多く(セイクリッド・フレイムなど)、いくらセーヴを攻めるのが有効でも通じづらい方。そして【敏捷力】いっぽんで食っていけるとか甘っちょろいことを考えている小物の【耐久力】が高いワケもなし。
 一応、ポイズン・スプレーという【耐久力】セーヴ狙いの初級呪文もあったのだが、これは射程が10フィートと短過ぎて実用には苦しい所があった([毒]ダメージのせいで効かない敵も非常に多い)。まあ、大方公式シナリオを売り出してみたら「雑魚相手に攻撃は当たらねーし初級呪文も通らねーしでどうなってんだコラ」なんてクレームが殺到して大慌てで【敏捷力】セーヴ以外の呪文も増やしたんだろう……ごめん、失言だった。正直攻撃に不利を乗せるのはやり過ぎ感もあるが。
 メイジ・ハンドフロスト・バイト、残りの一枠は他に修得してる人がいなければライトも止むを得ないが、せっかくの秘術役なら悪さをしやすいマイナー・イリュージョンプレスティディジティション、それに便利なメッセージメンディングを選びたい。特にマイナー・イリュージョンは映像でも音でもOKになり汎用性が広がった。プレスティディジティションは同時に3つまで起動できる懐の広さが魅力。
 ブレード・ウォードの武器ダメージ半減や、フレンズの【魅力】判定に有利など「おっ」という効果は初級呪文にちょくちょくあるものの、よくよく考えてみれば「わざわざ武器ダメージ半減を付けるより、素直に撤退した方がいいんじゃ」だったり、フレンズは使った後100%バレて態度が敵対的になったり、局地的に役立つかもしれないが、上記のような呪文と比べて有用性は大いに劣る場合が多い(余談ながら、フレンズの使った後のしっぺ返しは、この手の心術呪文を使う事の倫理的是非や、使った後の影響に関してグダグダと論争が巻き起こったが故の対処と思われる)。
 トゥルー・ストライクウィッチ・ボルトのように絶対に当てないといけない呪文の仕込みにできなくもないが、そこまでするか、という感もある。それならロールプレイを頑張ってインスピレーションを貰った方が早いような……。
 なお敵術者にショッキング・グラスプを持っている奴がいるが、それは「PCの前衛なら厚い鎧=金属鎧を着ているに違いない」というくそみたいな前提に基づいているので参考にするんじゃない。PCが戦う敵は鎧を着ている奴より素肌の奴の方が多い。
 1レベル時に覚えている呪文は6つ。まずは大正義マジック・ミサイルに、使い勝手が圧倒的に向上したスリープ、そしてアーケイン白羽取りことシールドはウィザード三種の神器。フェザー・フォールもリアクションで発動できる、相変わらず便利な落下対策。戦力の分断では、グリースも健在。転倒からの立ち上がりが緩くなってしまった代わりに、効果範囲内が移動困難地形となった。さらに、敵の周囲をグルグル回ることは出来ても、2体以上のクリーチャーに張り付かれると動きづらい仕様上、グリースの上にハメ倒すのも夢ではない。
 また、儀式発動できるコンプリヘンド・ランゲージズディテクト・マジックファインド・ファミリアも推したい。儀式発動自体が呪文スロットを消費しない、俺たちの待ち望んだルール。そしてウィザードはさらに「呪文書に書いてある呪文なら、準備していなくても儀式発動できる」、クレリックの聖印にも匹敵するくそ特典がある。呪文の発動時間さえ許容できれば、呪文書に書いておけば準備することなくガンガン使うことができるというワケだ。呪文準備数は結構キツめのため、ウィザードの柔軟な呪文修得を腐らせないためにも、儀式発動できる呪文は見つけ次第書き込んでいくべし。
 コンプリヘンド・ランゲージズは無いと詰まる可能性が高いのでこれは優先するとして、ディテクト・マジックファインド・ファミリアはいずれも探索能力の強化という点で似通っているものの、ピンポイントの識別能力と広範の調査能力と役割は分かれる。屋内、特にダンジョンならディテクト・マジック、野外ならファインド・ファミリア優先だろうか。
 5eでは呪文全体の火力がだいぶ底上げされて、ウィザードでもダメージディーラーを担当するのは夢ではない。ただ、1レベル時点では大ダメージを与えようとすると攻撃ロールが必要、外したら数少ない呪文スロットがパアというのが痛過ぎる(しかも人型生物クリーチャーのACは高い)。大ダメージを狙うなら、スリープでそいつだけを入るようにしての一点突破で擬似的に無力化させた方がいいかもしれない。その中でウィッチ・ボルトは毎ターン1d12ダメージを与え続ける序盤は「通れば勝ち」確定の呪文。即効性では4d8のクロマティック・オーブに劣るが、ロマン度は極めて高い。敵がデカブツ単体(できれば低いACでありますように)なら攻撃ロールという不確定要素を乗り越えても撃つ価値有り。

●種族相性
◎ノーム(ロック・ノーム)、人間
○ノーム(フォレスト・ノーム)、エルフ(ハイ・エルフ)

 ついに固定で伸びる能力値が【知力】故後回しにされてきたノームの出番がやってきたぜ! 特にロック・ノームは【耐久力】+1という種族修正、〈歴史〉の習熟ボーナス2倍の特性もバッチリ。フォレスト・ノームの【敏捷力】も【耐久力】ほどではないが、やはりウィザードには嬉しい。初級呪文でマイナー・イメージがついてくるため、修得呪文の余裕もちょっとできる。
 敵にNPC術者がいないと呪文セーヴへの有利はあまり活かすことが無いかもしれないが、他種族からすれば歯ぐきから血が出る程羨ましい特性だからね。
 人間も【知力】と【耐久力】16を実現でき、特技と技能のオマケ付き。能力値で言えばハーフエルフも可能だが、種族特徴がちょっと地味でな(一応、VGtMのホブゴブリンも)。《戦闘発動/War Caster》や《エレメンタル熟練者/Elemental Adept》で呪文能力を向上させるのはもちろん、《警戒/Alert》でイニシアチブ修正値を確保したり、特技のアレンジの可能性はいくらでもある。
 ハイ・エルフは初級呪文を自由に1つ、“エルフ流武器訓練”でロングボウを使用可能、追加言語というシブイウィザード向け特典の数々が光る。ACの高い雑魚が多いと書いたが、シールドを持ってない奴になると途端にチョロくなる。そういう輩だとかえって【耐久力】が高く、フロスト・バイトが通じづらかったりするので、とっとと固定ダメージ付きのロングボウでばしばし射殺した方が早い。

○運用
 物理的に何とかしないといけない状況を打破するのが秘術呪文の役目なら、物理的に何とかできる状況では数少ない呪文スロットを温存したい……といかないのが5eの1レベル時。
 早い話が
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 ってことね。
 いくら仲間を信じたいとしても、hpのおぼつかない1レベルでは、ウィザードが動かざるを得ない状況にすぐに追い込まれてしまう。そもそも5eの脅威度の低い敵には強い奴が多い。例に挙げたゴブリンも高いのはACだけでなく、攻撃ボーナスは+4、ダメージは1d6+2、となかなかのもの。チェインメイルとシールドで固めていても、時に抜けてくることは十分にあり得る(ついでに“素早い脱出”で後衛に斬り込んでくる)。「やばいな」と感じたら、貴重な呪文スロットでも迷わず切ってしまうこと。そうした方が後に響かずに済む。特にクレリックが呪文を全て使い切ったまま行軍を続けなくてはいけない状況は、ウィザードが呪文スロットを削る以上に悪い結果、これだけは避けたい。いつ使っていいかワカらないなら、「使った方がいいかも」と疑問が生じた時こそ使い時だ! 幸い、ウィザードには“秘術回復”のおかげで1発なら呪文スロットを取り返せる。1時間休めればな……。
 追い込まれた戦況をひっくり返すには、スリープが最適。数で押してくる相手ならバタバタ寝かすことができるし、数が少なければ対象を絞って5d8を収束させることで高いhpにも対処できる。この時心がけることは、起こしに行く奴を出来る限り作らない事。1体でも起こす奴がいると、そいつに起こされた奴が別の奴を起こしに行くという連鎖で足止めが1ターンしか利かなかったりする。結果的にそうなってしまったなら仕方ないけど、ファイターやクレリックが足止めできる奴なら、そこでスリープの合計hpを費やすことはないから外しておこう。また、仲間も多少強引でも起こしに行ける奴が出たら足止めに行きたい。敵を孤立させて寝かすには、待機も有用。寄ってきた奴を寝かした方が戦力の分断はよりやりやすい。
 単体の大物を眠らせた場合は、いくらクリティカル・ヒット確定とは言え倒し切れない恐れがある。オススメは一番低いイニシアチブの仲間が殴るのをトリガーに待機で攻撃すること。これなら命中した場合全部クリティカル・ヒットになる。スリープは効く奴が意外と多いから、レベルが上がってからも収束睡眠で残りhp20点前後の奴を寝かす使い方は覚えておくべし。
 グリースのような、地形による戦力の分断は、即効性を求められる序盤だと少々出番に欠けるかもしれない。こういう呪文が活きてくるのは、スリープによる一発無力化が通じなくなるレベル、及びずっとグリース範囲が残り続ける効果を活かせる時(なんと精神集中不要)。例えば狭い通路に敵が押し寄せてくる場合はスリープで全員を寝かし切れずに起こされるより、グリースを一発張っておくだけで相当な時間を稼げる。
 敵の無力化という点ではスリープという極めて強力な呪文があるものの、1レベルでのウィザードの打撃力は少々頼りない。クロマティック・オーブが炸裂すれば結構なダメージは与えられるが、攻撃ロールが必要、それも呪文スロットの少なさを考えると、これをもってしてダメージディーラーを名乗るには厳しい。それよりはマジック・ミサイルで確実に削りに行くダメ押し役の方がウィザードとしては適している。なんせ非力な1レベル、呪文の一撃が勝負を決めるのではなく、戦況を動かす目的となるのも仕方がない。間違ってもマジック・ミサイル一発で敵が倒せるなんて思わないように。3本まとめて撃たないとコボルドでさえ殺しそこなうことがあるのだから。撃つ時は3本まとめて単体に叩き込むのが基本となる。
 というか、敵を倒したいだけなら、スリープを固めて撃った方が早い場合が多い。5d8相当のhpを無力化させるのは、考えようによっては1レベル呪文の中でも最大火力と言えるし、最高の範囲攻撃とも言える。1レベルの間は、いかにスリープで敵を無力化するか、がウィザードの勝負どころだ。マジック・ミサイルグリーススリープの通じない奴、それにスリープを通すまでの仕込みに使いたい(マジック・ミサイルはhp削りにまさに最適)。
 なお、スリープで寝かす奴と起こす奴を分断する、この基本のムーヴはレベルが上がってからもスリープが別の呪文に置き換わるだけで、ずっとウィザードの基本的な仕事となる。どこにどのタイミングでどう呪文を撃ち込めば敵を分断できるかを、よく覚えておこう。
 それと、呪文を使う場合は、移動の合間に発動できることを忘れないこと。射程の短い呪文でも、近寄り発動後また遠ざかることで、距離を維持できる。キュア・ウーンズで近寄る必要があるクレリックならともかく、ウィザードが前線のドンパチに近寄っていいことは何もない。hpも悲惨ならACも悲惨はウィザードは、保身と言いたくば勝手に言え、呪文の射程距離ギリギリで冷静に戦況を観察する生き物なのだ。それに5eでは敵の周囲を回れる仕様上、思いのほかウィザードまでの直線上が空きやすい。機会攻撃が1回しかできない都合上次から次へと殺到されると止めきれないし、接敵できるなら機会攻撃を受けてでも100%ウィザードに突っ込ませるDMもたまにいる(体験談)。欲を言えば60フィートの距離は前線との間に確保しておきたい。また、このルールのおかげで遮蔽が非常に利用しやすい。
 しぶちんな1レベル時の呪文スロットを考えたら、戦闘外での呪文のフォローは儀式発動した呪文に頼りたい。ジャンプみたいないい呪文がいっぱいあっても、どうしても呪文スロットが回せなくってねぇ。

●秘術の学派
 ウィザードは2レベルで秘術の学派の選択が存在する。
 いいから手っ取り早く強いのを教えてちょうだい、という人、話が早くてありがたい。黙って占術の学派を選ぼう。出目を事前に振っておいたソレにするという効果からしてくそなら、それを2回も使える、しかも2d20の中から選んで、という超弩級のくそがこの学派だ。低い出目なら敵の判定に、高い出目や半端な出目なら自分の判定に、1d20というレンジのデカいシステムに確定状況を持ち込めるこのくそさはいくら語っても語り尽せない。6レベル時の占術呪文発動時により低いレベルの呪文スロット回復も相当にくそだが。
 ダメージ呪文を重視すると素人っぽい……もういいや。力術の学派もストレートに強い。エンジンがかかってくるのは6レベルとちょっと遅いが、そこから初級呪文のセーヴに成功されても半減ダメージ、10レベルからはさらに力術に【知力】修正値が加わる。つまりフロスト・バイトを使ったら1d6+【知力】修正値ダメージの半減が確定。マジック・ミサイル抜きでも瀕死の敵に確実なる死をお届けできる。
 考えてみたら、なんも力術が遅いのではなく、2レベルの特典で占術が図抜けてくそすぎるのだな。大体の学派は本気を出すのは6レベルからだった。で、本気出した変成術の学派は【耐久力】セーヴに習熟とかいきなりとんでもないことを言い出しやがるぞ。最後の特典も、一番とんでもないことになるのはこいつかもしれない。
 召喚術の学派は6レベルの位置入れ替えも決まればカッコイイが、10レベルでダメージを受けても召喚術の維持が切れなくなってからが本領発揮ウェブのような呪文の制御能力が格段に上昇する。ちゃんとコンジュア・マイナー・エレメンタルも9レベルの時点で解禁されている。
 防御術の学派は防御術呪文発動時、一時的hpを獲得し、6レベルからは味方にそれを飛ばすことができるがちょっと回りくどいか。呪文抵抗を自前で持てるというのはなかなかスゴイのだが。心術の学派は通じない奴が多い(6レベルの特典は同士討ちと強烈なのだが)し、幻術の学派はいかんせん6レベルまでが地味。死霊術の学派は意外と2レベルの特典が使いやすく、6レベルで作り出したアンデッドのダメージに+習熟ボーナスとなかなかイカス。……それ以外は限定的だけど。
 というワケで、最も外道なのが占術、攻撃面では力術、防御面では変成術、制御能力では変成術がオススメの学派

○呪文(レベルアップ後)
・1レベル
アイデンティファイ(儀式)
プロテクション・フロム・イーヴル・アンド・グッド
・2レベル
インヴィジビリティ
ウェブ
シー・インヴィジビリティ
フレイミング・スフィアー
マジック・ウェポン
ミラー・イメージ

・3レベル
ウォーター・ブリージング(儀式)
カウンタースペル
スティンキング・クラウド
ディスペル・マジック
ファイアーボール
フライ
ヘイスト
マジック・サークル
リムーヴ・カース

・4レベル
ストーンスキン
ディメンジョン・ドア


 使うかどうかわかんない呪文はどんどん巻物で用意すべし、とPFでは言えたのだけれど、5eだと魔法のアイテム購入のルールが無いだけに、そんなこと言ってられなくなった。そういう呪文が儀式発動できることを祈ろう(そういう呪文の筆頭、ウォーター・ブリージングは儀式発動可能。よかった)。
 1レベル時点でアイデンティファイをリストに入れなかったのは、構成要素の100gp相当の宝石を絶対に用意できないから。一度確保できれば儀式発動できるからガンガン解析して回ることができる。プロテクション・フロム・イーヴルも、クレリックだけでは不安なので、有効な相手が敵と事前情報でわかっているならウィザードも準備しておきたい。
 2レベル呪文では、ウェブの移動困難地形+拘束状態、脱出に要アクションという制圧能力が光る。グリースにアクション潰しが加わったようなものだ。攻撃面では、継続的にダメージを与え続けるフレイミング・スフィアーがオススメ。火球の周囲5フィート以内という、意外と広範囲を焼くせいで味方が巻き込まれやすいのはちょっと困るけど、総合的なダメージ量に加えて敵の移動を阻害する副次効果も買いたい。そしてミラー・イメージ非常に非常に貴重な、精神集中のいらない防御手段。射手やフレイムスカルのような、攻撃対象にならないことが難しい場合に頼りたい。
 武器に対する抵抗を持つ奴は低レベルから頻出するため、魔法の武器揃えるまで、マジック・ウェポンは用心の一手となる。
 3レベルでは有用な呪文が沢山あって目移りしてしまうが、まずはヘイスト、それに飛行対策のフライ、そして範囲火力のファイアーボールが三本柱。
 ヘイストで追加される攻撃、前衛PCにとってこれほど強力なバックアップはない。AC+2と【敏捷力】セーヴへの有利も実に頼もしい。ただし、バックファイアがでかいフライも中断してしまったら目も当てられないため、精神集中は死んでも切らしてはいけない。
 ファイアーボールは解禁時点で8d6ダメージとなかなか頼もしい火力になった。脅威度1ぐらいの大群ならこれで一掃できるし、タフな敵でも直撃した場合のダメージは侮れない。抵抗持ちが多い[火]ダメージであること以外は文句なし。
 セーヴDCの低下と通じづらい[毒]のせいで有効度はだいぶ下がったものの、スティンキング・クラウドのアクションもぎとりの価値は暴落というほどではない。使うなら、視認困難の活用と集中の要らないグリースとの併用が望ましいか。
 カウンタースペルは確定の呪文キャンセルのために非常に優秀な呪文対策であるが、大抵敵の術者も持っているため、カンスペの打ち合いで無効化される、不毛極まる光景が繰り広げられることになる。1つの呪文で2つのスロットを使わせたと思うしかないが、もう少し何とかならなかったのかねえ、あの呪文リストは(ブチブチ)。高い呪文スロットで撃っても、結局同じレベルの呪文スロットで撃たれたら意味ねえしな。呪文を使う敵が出ないとただの置物だから、DMの出すクリーチャーの傾向によって有効度は上下する(呪文を使う敵が出てきた場合は結局カンスペに消されるのだが)。ディスペル・マジックの使い方はクレリック回を参照のこと。これも術者が出るか否かで価値は上下する。まあ、装置に使える分アベレージはカンスペよりは高いか。
 ディメンジョン・ドアは自身と1体までの仲間しか対象にできなくなったため、緊急手段としての意味合いが強くなった。
 ストーンスキンで得られるのは、あくまで非魔法的な武器による攻撃。抵抗は極めて強力ながら、過信は禁物。
 クレリックも準備できる呪文に関しては、お互い融通すること。プロテクション・フロム・イーヴルリムーヴ・カースのような呪文はクレリックだけでは足りない恐れがあるため、二人で用意しておきたい。

●備考
 ウィザードの能力値成長は【知力】一直線で迷うことはない。20まで伸ばしたら、次は精神集中に使う【耐久力】の番。ただ、《戦闘発動/War Caster》は【耐久力】を伸ばす前に取っておきたいかな。
 5レベル以降は、初級呪文のダメージが上がっていくため、下手にスロットを投じるより高いダメージを与えられるようになってくる(力術の学派だったりすると特に)。そうなったら、1レベル呪文をメイジ・アーマーアラームのような呪文に回す余裕も出てくる。初級呪文で2dダメージを与えられるのを見ればワカるように、ウィザードも平常の打点は高い部類に入る。ここまで来れば呪文スロットを節約しつつ戦力になるのも難しくない。
 難のあるACは長時間続くメイジ・アーマーシールドの併用である程度何とかなるが、hpはどうしてもしんどい。飛んでくるのが呪文ならカンスペで消すこともできるのだけれど、クリーチャーから呪文が飛んでくる機会も以前と比べて減ってしまったし。プロテクション・フロム・エナジーのような防御手段は、申し訳ないけれど自分を優先させてもらおう(フォールス・ライフは効率あんまりよくないしなぁ)。くれぐれも位置取りには気を付けること。移動→呪文発動→移動のサイクルを身体に刻み込んでおこう。
 たまにACを伸ばせるアイテムもあるけど、どうせ最初っから絶望的なACのウィザードなら、他の固い人が持ってさらに固くなった方がいいような気もする。ブレイサーズ・オヴ・ディフェンスなら迷うことないだろうが。
 ACを向上させる手段としては、マルチクラスがある。【判断力】13が少々厳しいものの、クレリックで然るべき領域を選べば、それだけで重装鎧と盾に習熟できる。5eでは防具に習熟さえしていれば呪文発動の阻害はしないから、これでカンタンに解決……その代わり、ウィザードの成長を遅らせていいかは非常に難しい問題であるが。
 UAレンジャーをマルチクラスして、イニシアチブに有利を得るのも制御能力を向上させるのだけれど、これは《警戒/Alert》の方がいいかね。

 とにかく辛いのはhpが低く呪文スロットも少ない1レベル! そこを生き延びれば呪文を「使わされる」状況にはそうそう陥らなくなる。そして呪文スロットのやりくりに怯えなくてよくなったウィザードほど恐ろしい奴はいない。単身突撃して後続が来ないナーと思って振り返ったら、自分以外が全員寝てた、そんな状況を作り出せる輩なんて敵に回したくないだろう!? ウィザードはそういうことができるクラスなのだ。
 そのためにも敵が最も嫌がる場所を迅速に見抜く判断力と呪文の選別がウィザードには必要なのだが、まあ考えるのが面倒臭かったなら、一番敵が沢山集まってる所に、自分の思う一番強い呪文(そいつらが弱そうなら火力を、強そうなら足止めを)をブチ込むだけでいいよ。それだけで、きっとDMのこめかみに青筋が浮かぶから。

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テーマ : TRPG
ジャンル : ゲーム

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ハーフエルフも知力耐久16を達成出来ますよー

それからヘイストの追加アクションは、攻撃(1回の武器攻撃のみ)とあるので追加攻撃(ExtraAttack)は行えないかと

No title

ヘイストの件は見落としておりました、流石にファイターと併せたら無法過ぎたか。
ハーフエルフも実現可能なのは覚えていたのですが、言及するのを忘れていた。
プロフィール

銀河アズマ

Author:銀河アズマ
頑張りましょうと言えないのがとても残念です

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