D&D5e余話#173~5eことはじめ記・いつかドラゴンスレイヤーになるために ファイター編~

 新春シーズソということもありPFはじめてさん向けPC作成記事のリブートを敢行したワケであるが、となれば5eにも触れずばいられまい! 5eとて翻訳決定しかもコアルール三冊は確定、完璧な環境で遊べると来たもんだ! こちとらNEXTの頃からイベントに参加した生粋の5eッ子でぇ、特技名の日本語訳を独自に考えるという貢献をしておいて(しょぼい貢献の仕方)、今更PFだけに先行を許してなるものか! いい加減さわりのさわりなんて言ってられねぇ、これからは堂々とおさわりに行きますよ!
 そして3eではそんなに初心者向けではない、PFではまあ初心者向けと言えなくもない、4eではあんまり初心者向けではなかった、イメーヂの割に初心者が取りあえず選ぶクラスでない期間の長かったアイツ、5eでは立派に自信を持って初心者向けと言える姿になって帰ってまいました!
 5eはじめてさん向けPC作成記事、当然一発目はこのお方だ!

ファイター

●クラス解説
 PF同様、5eのファイターも自分の腕前いっぽんで食っていく生粋の戦士。だが、PFと比べてボーナス特技で様々な戦法を開発していくというよりは、ベーシックな戦い方で最大の効果を生むという点がより鮮明になっている。ゲーム上の「戦士」のイメーヂに近くなったと言えよう(特技を取る機会は多いのだが、特技自体の仕様が変わった故の変更だろう)。
 5eファイター最大の特徴は攻撃回数の増加と能力値上昇の機会が多い事。通常のクラスが2回までの攻撃がファイターは高レベルになると3回、最終的には4回もの攻撃が可能になる。5e世界のファイターもまた、平凡パンチが最強最悪の攻撃なのだ。次に、能力値上昇が通常の4・8・12・16・19レベルに加えて6・14レベルにも存在する。このため、能力値を素早く固めるだけでなく、特技に置き換えやすくもなっている。この辺は3e時代を連想させる。
 そして貴重な重装鎧への習熟。習熟ボーナスの上昇が遅く、敵も味方もそんなに攻撃ボーナスが伸びない中で、プレートでガッチリACを固められる安心感は計り知れない。物理ダメージ3点軽減のくそ特技、《重装鎧の熟達者/Heavy Armor Master》を利用できる点も素晴らしい。
 パーティとしての剣と盾、その両立は5eのファイターでもしっかり実現されているのだ。

○能力値
筋力】>【耐久力】>【敏捷力】>【判断力】>【知力】=【魅力

 妙技特性のおかげで【敏捷力】で殴ってダメージを出せるようにもなったが、中装以上の鎧を着ようとすると高い【敏捷力】を活用し切れない。中装鎧ではACに加えられる【敏捷力】ボーナスは+2が上限(特技で伸ばせはする)、重装鎧では【筋力】がないと移動力が低下する、というか【敏捷力】がACに反映されない。ついでに言うと初期装備から軽装鎧を選ぼうとすると、何故かスタデッド・レザーでなくレザーを渡されたり
 やはり、基本的には【筋力】を高めて殴り飛ばした方が面倒が少ない。また、前述の通り【敏捷力】は突出して高めても反映されない点があるので、それよりは【耐久力】を優先した方がいいだろう。もっとも、重装鎧を着ていても不利を受けるのは〈隠密〉だけ、と制限が非常に緩くなったので、【敏捷力】がそれに次ぐ優先順位なのは間違いない。イニシアチブを先取して、敵より早く前に出るのは5eでも必要な戦法。
 5eは能力値全てにセーヴが設けられたが、意志セーヴ同様【判断力】セーヴを落とした場合は悲惨な事態を招きやすい。下みっつの中でも余裕があれば12、そうでなくても9以下に落とすことは避けるべき。
 で、残りの【知力】と【魅力】であるが。技能ランクに影響していたPFならともかく、【知力】はクラスで使わなければ、ほぼ能力値判定専用となってしまった。元から必要性の低かった【魅力】も同様で、これはプレイヤー各人の趣味でバカキャラになるかブサメンになるかを選んでもらえばいいだろう。なんなら両方でも。並(10)より下にすることを前提にしているみたいに聞こえるって? まあ、そうです。一応、セーヴを振る機会は【魅力】の方が多い。【知力】セーヴはイリシッドに脳ミソ吸い出されそうな時とかホントに稀。ただし、後述するエルドリッチ・ナイトにするからには【知力】で呪文を発動することになる。

●技能
〈運動〉
〈看破〉
〈生存〉
〈知覚〉

 技能が整理統合され、また選べる技能も優良なものが多く、ファイターも戦闘外でも結構頑張れるようになってきた。と、言っても習熟できる技能は2つきりなのだが、まあこれは多くのクラスだって同じなんだから文句は言うまい。
 それに、いまいち不遇な感が否めなかった【筋力】関連の技能にも、救世主〈運動〉がある。4eでできたこの技能のおかげで【筋力】で〈軽業〉っぽい挙動ができるのが嬉しい。残りの一つは、汎用性を考えるなら〈知覚〉がやはり強い。他に、〈看破〉〈生存〉も、パーティの技能習熟と相談して視野に入れるといいだろう。

○クラス特徴
 ……ん? 特技は?
 と思った方、
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 そう、5eで1レベルから特技を取得できるのは、覇権種族人間様のみ! それ以外の種族は、4レベルまで耐え忍び、かつ能力値上昇と引き換えでなければ取得すらできないのだ! キャアアー! てなわけで、人間しか使えない特技の話を1コーナー使ってするのもなんなので、それは備考にでも回します。あとヴァリアントを使わない人間の価値はくそ以下なんで忘れていいです。
 その代わりと言っちゃなんだが、5eでは1レベル目からちょくちょく選択肢が存在するようになっている。
 ファイターの場合は戦闘スタイルの選択片手武器戦闘弓術護衛二刀流防御両手武器戦闘の6つから1つを選ぶことになる。
 以前は護衛スタイルを推奨していたが、リアクションを使用してしまうため、数で攻められると有効に機能させるのは難しい。どうせ盾を使うなら、片手武器戦闘でダメージを安定させる方がいいと思う。もしくは防御でガチガチに固めるか。
 火力を求める場合、どいつもこいつも二刀流に走っているので、まあ二刀流を選べばいいんじゃないでしょうか(なげやり)。一方、両手武器を使う場合は、両手武器戦闘よりは防御を推奨する。両手武器戦闘唯一ダメージが低下するリスクのある戦闘スタイルなので。それよりは確実に効果を発揮し、特に生き残るのが不安な1レベルでの生存率を高める防御の方が安定感がある。一応、グレソを使っている場合は両手武器戦闘を活用する機会も多いと思うが(ダメージ・ロールでなく、ダメージ・ダイスなので、振ったd6の中から、1か2が出たものを振り直せる)。
 あと弓術スタイルは攻撃ボーナスを伸ばすどえらく珍しいスタイルなんだけど、これを厚い鎧のファイターでやろうとすると面倒が多い、っていうか人間ヴァリアントとハンド・クロスボウという一つの定型になるんで、それは別記事で。

●装備品
 4e、PFでは武器特性の違いで武器の選択を楽しめたが、悲しいかな5eではそこらへんがバッサリ断捨離、単なる下位互換・上位互換の武器が数多存在する。効率だけ考えたら、バトルアックスがロングソードに勝っている所なんて値段しかない(しかも初期装備で武器を自由に選べる5eにとって、この差はあって無きが如し)。一応、UAで提示されていた武器ごとの特技が実装されれば、武器のタイプの違いも生きてくるのだが……まあ、上位互換下位互換と言ってもそこまでの差はないので、好きに選んでもそこまで問題は無い。強いて言うなら、片手武器では両用特性は欲しい。また、二刀流をするなら《二刀の駆使者/Dual Wielder》がないと2本とも軽武器じゃないとダメ。
 両手武器は相変わらず安定の2d6グレソか超ロマーンの1d12グレートアックス。いまいち両手武器戦闘スタイルが頼りにならんので、どちらを薦めるかと言えばこれは圧倒的にグレソを薦める。アックス系のクリティカル三倍段も無くなってしまったことであるし。
 遠隔武器はライト・クロスボウの他ロングボウという選択肢(レザーとのセットでなくとも、2個貰える軍用武器から選べばよし。矢は後で買おう)もあり、ありがたく使わせて貰おうと言いたいところだが、5eでは盾を外すのにアクションが必要となり、片手武器と盾を併用している場合、矢弾遠隔武器に切り替えるのがえらく手間取るようになってしまった。なので、タイムラグにガマンできんなら射程単位が20フィートとかなり短いが、涙を呑んでハンドアックスで妥協するしかない。確かに【筋力】で攻撃ロールもダメージも振れるのだが。
 両手武器も殴る時だけ両手で持てばいいという裁定なので、ハンドアックスをブン投げるには、実は持ち返る必要が無い。ただ、武器を拾う行動がその他のアクションに入っているため、武器を捨てること自体はそんなに気にならない。【敏捷力】を使う分、命中率とダメージがやや劣るものの、遠隔武器としてはハンドアックスよりライト・クロスボウの方が頼れる。両手武器ならこっちを推すかな。
 防具は、スタンダードに【筋力】ファイターと決めたからにはチェインメイル一択。

○種族相性
◎人間
○ドワーフ(マウンテン・ドワーフ)、ハーフオーク

 ヘドが出るほど強いと評判の《重装鎧の熟達者/Heavy Armor Master》を1レベルから使用できるというただ1点だけでも人間至上の優位性は揺るがない二刀流スタイルでも、《二刀の駆使者/Dual Wielder》よりは辛い1レベルを生き延びるべく、こちらを優先した方がいいのではないかと思う。
 一時期は能力値2つが伸びる唯一の種族として脚光を浴びたマウンテン・ドワーフも、人間ヴァリアントが解禁されてからはすっかり影を潜めた感がある(ユーザなんて勝手なもんだ)。“ドワーフ流武器訓練”や“ドワーフ流防具訓練”などの特典がファイターの特徴とモロ被りで仕方ないところもあるのだが。とは言え人間ヴァリアントの野郎が強過ぎるだけで、【筋力】【耐久力】+2とドワーフ独自の[毒]への耐性の強さはやはり大したもんだ。多くの亜人種に使われるドワーフ語の読み書きができるところも地味に便利。
 ハーフオークはクリティカル時のダメージ・ダイス増加に、どんなダメージでもhp1点で踏みとどまれる、局所的な爆発力が強み。その分、能力値修正はマウンテン・ドワーフに【耐久力】で1点劣り、凶暴性も大休憩まで回復しない、と安定感にはやや欠ける。

●運用
 ファイターはいつ何時どんな時代にもパーティの剣と盾、勇気を持って前に進むべしと言いたいが、1レベルの間だけはちょっと慎重になった方がいいかもしれない。定番のディスリネタにしてきたように、1レベル時のhpがやたらと低く回復リソースも少ないのに、敵の攻撃ボーナスとダメージがやたらと上がっているため(主に妙技特性のせいでな)。ゴブリンの攻撃2発で沈む可能性すらある。《重装鎧の熟達者/Heavy Armor Master》があるとだいぶマシなのだが、っていうかコレと《癒し手/Healer》があるかないかで別ゲーみたいになる1レベル時のバランスは翻訳までに何とかした方がいい気がするけど、それは今言っても仕方ない。
 まあ、かと言って鎧の厚いファイターが前に出ないわけにはいかないのだけれど。相変わらず機会攻撃は1ターンに1回という制限、さらに敵の周りをグルグル回っても機会攻撃を誘発しないという謎裁定のために、後衛に抜けられる危険は結構多い。これを防ぐには、前衛と後衛の距離が開いた状態で敵に隣接するしかないため、やはりファイターは素早く前に出て敵を食い止めるのが大切な仕事。幸い、1レベルから“底力”を使用できるおかげで、負傷してもある程度独力で巻き返すことが可能。修正値はファイター・レベルなんで低レベルではしょぼしょぼ、ダイス目が悪いと泣きたくなるが、そこは専用呪文がまんするでこらえてくれ。
 それと、敵の攻撃ロール・ダメージの上昇もそうだが、ワンドのように気軽に使いまくれる回復手段が消え、4eと比べて回復量も減少(生命領域のクレ公は別)傾向で、持久戦をやると明らかにPC側の方が不利。いくら高いACやhpがあっても強敵に殴られまくるとファイターでもあっという間にくたばりかねない。闘志に燃えてボスに殴りかかったファイターが1ターンで燃え尽きているようでは話にならん。長時間壁となって踏み止まるよりは、確実な打撃力で倒せる敵を倒していった方が自分にも他人にも安全。雑魚一匹とて、1レベルのPCにとっては十分脅威だ。無論、誰かが止めに行かなければならない場合は率先して向かわなければならない役職ではある(ババリソがいる場合話は別である)。2レベル以降、hpやACが向上したなら、敵の攻撃を食い止め続けることにもだいぶ望みが出てくるが、1レベルの間はくれぐれも無茶は禁物だ。
 攻撃面に関しては片手武器戦闘ぐらいしか強化が用意されてないのでパッとしないように思えるが、軍用武器を使えるだけで十分エリートなので安心してほしい。両手武器を叩きつけようもんなら、小型種族はだいたい死ぬし、中型種族でもたまに一発で死ぬ。また片手武器戦闘を使っていると、コボルドなんかは固定値だけで死んだりする。これだけ安定した固定値を持てるのは、この時点だと他には激怒したババリソぐらいのもん。
 斯様に引け腰のアドヴァイスをせねばならんのも
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 辛い1レベルを生き抜きレベルアップした後はパラダイス銀河。hpの上昇によって、雑魚の攻撃一発や二発に怯えずに済むようになる(敵の火力はこっちと比べてアホみたいに簡単に上がるんで、結局ボス相手には一発でくたばりかけたりするのだが)。仲間の特殊能力も解禁されたことで、雑魚の対処は任せてボスに突っ切ったり、逆にボスを押さえてもらっている間に雑魚を確実に潰していく臨機応変な対処が可能に(2レベルでやっとその程度のことができるようになるのかよ、って? ええまあ)。どっちを潰しに行くかは、味方のリソースと相談で。
 中でもファイターは“怒涛のアクション”の解禁で劇的に行動範囲が広がる。このクラス特徴、効果自体は追加のアクションを得るとシンプルなものだが、その裏には限りない可能性を秘めている。何と言っても、追加の「アクション」なのがポイント。攻撃でもう一発を叩き込むのは勿論、疾走でさらに距離を詰めてもいい(なんなら残りのアクションでさらに疾走も)し、ポーションを飲んでhp回復後“底力”で回復、一気にhpを取り返した後に攻撃、のように、尋常でない多様な行動を可能にしてくれる。無骨なクラスに見えて、細やかな動きが可能なのが5e流ファイターだ。そしてこれが唸りを上げるのが追加攻撃を得てから。追加攻撃は1回のアクションで複数の攻撃を可能にし、“怒涛のアクション”で追加されるのは「アクション」、つまり追加攻撃を得ての“怒涛のアクション”は実に4回もの打撃をブチ込むことになる。これが追加攻撃(2)、(3)を得た場合どうなるかは触れるまでも無い。HFOを揶揄の意味で使っている輩は
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 と惨殺される死の運命あるのみ。5e(とPF)のHFOが専用呪文「がんばる」「がまんする」を使うと相手は死ぬのだ
 防御面に関しては、5eのファイターは“不屈”でセーヴを振り直せるし、能力値上昇のタイミングが多いぶん、《セーヴ習熟/Resilient》を取れたり、と案外物理面以外にも強い方。呪文のDCもそこまで無体ではなくなったので、搦め手に弱いという欠点は克服しつつある(“不屈”は9レベルとちょっと遅め。また強力なだけに珍しく大休憩を取らないと再使用できない)。流石に飛行とか特殊な移動を求められると独力では何とかし難いが、遠隔武器を使うのにあんまり五月蠅い事を言われなくなったので、ロングボウは用意しておこう。追加攻撃で連射できないのでクロスボウじゃダメ
 なお、ファイターのクラス特徴は大半が小休憩で回復可能。1時間確保できるなら、すぐに立て直せる。この回復力もファイターの強さのひとつ。小休憩を取れると踏んだなら、思い切って使用してしまえる全力投球が可能だ。まあ、かといってバカスカ使って戦闘の度に小休憩を要求すると仲間から迷惑がられるし、DMからも休憩中に襲撃を差し向けられたりもするが。
 おっと、戦闘外でも技能の改善、それに背景で技能が貰えるようになったことで、ファイターでも戦闘外の活躍はなかなかのものだ。【筋力】を使う技能が〈運動〉だけなので固定値はやや劣るものの、1レベル時の能力値の天井が17になったことで、そこまで絶望的な差と言うわけではない。鎧の制限がある〈隠密〉以外では戦闘外の探索だって、十分に貢献できる余地がある。その気になれば盗賊道具で罠の解除にだって協力可能だ。特に【判断力】を使う技能(〈知覚〉、〈看破〉、〈生存〉)は便利なものが揃っている。戦闘以外でも積極的に行動に出よう。

○武勇の道
 素のクラス特徴だけだと、追加攻撃(2)が解禁される11レベルまでオフェンス面に物足りなさを覚えるかもしれんがしんぱいごむよう、3レベルから始まる武勇の道がその辺はバッチリフォローしてくれる(してくれない奴もいる。チャンピオンのことですが)。
 武勇の道はチャンピオン、バトルマスター、エルドリッチ・ナイトの3つ。
 チャンピオンは正統派の5eファイターの中でも超正統派で、本当に「ただ殴るだけ」の道。クリティカルが20以外で発生する非常に珍しいクラスである(3レベルで19から、15レベルで18から)。ファイターの攻撃回数とコレがうまく決まった時の殺傷力は随一であるが、困ったことにコレぐらいしか変わることが無く、ダメージを伸ばしたり、有利を得たり、攻撃を防いだりする能力がまったくと言っていいほど欠如している。難しい事を考えなくていい道ではあるのだが、あまりにもシンプル過ぎるきらいがある。使うからには、少しでもクリティカルが発生するように攻撃回数やダイスロールの回数を増やす工夫が必要となるだろう。二刀流スタイル、《幸運/Lucky》、それにクリティカル前提ならハーフオークが特に相性良い。
 ちなみに、クリティカル以外にも、2つ目の戦闘スタイルを選べる、習熟していない能力値判定に習熟ボーナスの半分が乗る(つまりイニシアチブにも乗る)、と稀有な特性を複数持っていたりする。イニシアチブに習熟ボーナスを乗せられるのは、他にはバードぐらいんもんだ。
 バトルマスター卓越ダイスという独自のリソースを用いて、特殊能力“戦術”を使用できるようになる。戦術の効果は攻撃に様々な効果、チャンピオンで
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 と嘆いていたダメージを伸ばしたり、有利を得たりする能力(と身を守る能力も)が搭載されていて、「攻撃しかできない」というファイターの不満を解消してくれる(こちらはより3e系列のファイターっぽい)。勿論、卓越ダイスは小休憩で回復可能。基本的にはこっちをオススメする。
 戦術は3レベル時点で3つ選択できる。
 堅実なのは攻撃前に有利を取れるフェイント攻撃。ダメージも伸びるし【知力】のない相手には通用しないとか七面倒くさいことは問われない。5eでは人造でもアンデッドでもあっち向いてホイに引っかかるのだ。次に、攻撃ヒット時に卓越ダイスをダメージに足した上、続く味方の攻撃に有利を与える幻惑打撃、出目を見てから卓越ダイスをそれに加えられる精密攻撃。そして近接攻撃のダメージを卓越ダイス+【敏捷力】ボーナスぶん軽減できる受け流し
 上記は主に攻撃の確実さを優先して選んだが、それ以外にも間合いを伸ばす踏み込み攻撃、ファイターへの攻撃を外した相手に攻撃をブチ込む突き返し、一時的hpを渡す指揮役っぽい奮起など、その効果は戦術の名に恥じず多岐に渡る。セーヴを落とした場合に限られるが、マークのように自分以外の攻撃に不利を与える挑発攻撃、15フィートという物凄い距離を突き飛ばす押しやり攻撃も強烈。
 中には攻撃ヒット時に隣にいる奴に問答無用で卓越ダイスぶんのダメージを与える薙ぎ払い、移動中ACに卓越ダイスを足せる《強行突破》っぽい回避機動など、懐かしい効果を持っているものもある。威嚇攻撃なんかは〈威圧〉で士気をくじくオプションっぽいですな。打撃指揮なんか死んだはずのウォーロードが使ってたコマンダーズ・ストライクじゃないですか
 オススメなのは堅実な4つ、それに攻撃ヒット時に宣言できる戦術であるが、まあ趣味なり懐古なりでひとつふたつ選んでもいいと思います。使えるやつが1個でもあれば、それに全部戦術ダイスを振り込んじゃってもいいんだし。
 エルドリッチ・ナイトは呪文が使えるようになる、おおこれぞ華麗な剣捌きで近寄る敵をなぎ倒し、遠からん者は呪文で打ち倒す、思春期の文字通りの意味で中二病患者御用達(ド偏見)クラス魔法剣士様! 貴族の血筋で超美形、剣の腕も呪文も一流だけど病弱で時々血を吐くの、なんてRPG用誤辞典みたいな寝言を吐ける若人なら飛びつくだろうが、そういう人種はもう絶滅危惧種なんだろうか。いや、この手の妄想は世代を超えて存在するからな。
 ただし飛びつくのは勝手だが戦士の道の中で最も難易度高いのがこのエルドリッチ・ナイト。まず呪文を発動する能力は【知力】。呪文の腕前を上げるのにはファイターにとって無縁だったはずの【知力】を上げねばならん都合上、能力値はやや平たくなる。ついでに言うと【知力】まで上げなくてはならんのだから【魅力】に回す余裕なんて無く、超美形どころかブサメンの部類は免れないだろう。あと、血を吐くような【耐久力】でも死ぬ。まあこれはどうでもいいや。
 もう一つは、呪文発動に関する様々な制約。まず、動作要素や物質要素を満たすためには、片手を空けておかなくてはならない。つまり、盾との併用は難しく、そのぶんACは劣る。もう一点が精神集中。ファイターは前に出て戦う機会が多いためにダメージを負いやすく、精神集中を持続させるためのセーヴを強要されやすい。【耐久力】セーヴに習熟しているので、(なぜか)並の術者より得意ではあるが、やはり《戦闘発動/War Caster》は欲しい。動作要素を省略することで、盾も使える見込みが出てくる(物質要素を求められた場合はやはりダメ)。ボーナス・アクションが余っているなら捨てた武器を“武器との絆”で引き寄せることもできるのだが、“戦の魔術”や、ボーナス・アクションで発動する呪文も案外少なくない。
 それに、呪文の選択も難しい。【知力】が高くなければ攻撃ロールが必要な呪文は当たらないし、セーヴDCも低くなって無効化され、もう素で殴ったり弓撃ったりした方が早いじゃんという結論になってしまうが、かといって前線で戦うファイターには、高い【知力】まで用意する余裕はなかなかない。一応、セーヴの方は敵だと習熟している奴は稀なんで、呪文攻撃ロールよりはマシだが
 解決策としては、まず知力】が関係しない呪文を選ぶこと。例えばマジック・ミサイルのような問答無用のダメージ手段、それにシールドのような補助呪文。これらは力術・防御術であり、エルドリッチ・ナイトの呪文修得の制限にもバッチリ噛み合っている。ファイターの苦手な多数の敵を一度に黙らせる手段として、スリープなんかもいい感じだ。インヴィジビリティロングストライダーエクスペディシャス・リトリートのように探索・強化手段としてスロットを使うのも面白い。グレーター・インヴィジビリティを使ったファイターが4回攻撃とか想像したくもねぇ(逆にシー・インヴィジビリティで敵の不可視を見破るのも強力)。また、仲間内にウィザードがおらず、呪文修得数に難がある場合は、フェザー・フォールのような便利系呪文を準備して負担を軽減してあげるのもいいかもしれない。ただ、防御術か力術以外の呪文を覚えるには8・14・20レベルしかないため、厳選が必要。
 【知力】が絡む場合は、セーヴに成功されても半減ダメージを与えるものがオススメ。呪文でガンガン焼き払うというよりは、攻撃ロールを介さず「強引にhpを削り取る」手段としての意味合いが強い。“身かわし”がある敵にはどうしようもないが、その場合は素直に別の呪文にスロットを当てよう。“妖撃”が解禁されれば、武器で殴った相手のセーヴに不利を与えられるようになるため、だいぶ通りやすくなる。フレイミング・スフィアーとの併用で斬りつけた相手を丸焼きにしてやるのが楽しそうだな。
 この道で何より素晴らしいのは、ミスティ・ステップスパイダー・クライムフライのような、通常でない移動手段を自力で用意できること。ファイター単体では如何ともし難かったこれらの状況を対処できるのは、エルドリッチ・ナイトの密かな、そして大なるメリットだ。扱いは難しいが、一番オールラウンドの素地がある選択肢である。
 初級呪文は“戦の魔術”を併用すると考えると、近接呪文攻撃できるものが望ましいが、【知力】で攻撃することを考えると、単に追加攻撃でブン殴った方が早い気もする。それなら、AC以外を狙えて付随する効果もあるフロスト・バイト(EE)か、トゥルー・ストライクを仕込んで次のターンの攻撃に賭けるか。多くの敵に囲まれている時は、ブレード・ウォードが非常に役立つだろう。一番はコレか。範囲呪文のサンダークラップもなかなか。なお、敵の術者はよくショッキング・グラスプを修得しているが、これは使う相手がPC=金属鎧を着ている可能性が高いというくそみたいな前提に基づいての選択なので、参考にするのはやめとけ。
 ところで【知力】の問題について、5eには能力値を固定で19にしてくれる、ヘッドバンド・オヴ・インテレクトという素晴らしいマジック・アイテムがアンコモンというレアリティの低さで存在する。エルドリッチ・ナイト以外でこれをうまく活用できるのはアーケイン・トリックスターぐらいだったりするから、優先して回してもらおう(セーヴを振らせず攻撃ロールもしないとぶっちゃけ大して【知力】いらんのだけれど)。
 最後に、エルドリッチ・ナイト用のオススメ呪文を掲載しておく。※は防御術・力術でないため、修得できるタイミングに制限がある(1レベル呪文を除くと、8・14・20レベルでしか修得できない)。

初級:トゥルー・ストライク、ブレード・ウォード、フロスト・バイト
1レベル:シールド、スリープ※、マジック・ミサイル、
2レベル:インヴィジビリティ※、シー・インヴィジビリティ※、フレイミング・スフィアー、ミスティ・ステップ※
3レベル:フライ※、マジック・サークル、リムーヴ・カース
4レベル:グレーター・インヴィジビリティ※、ストーンスキン、ディメンジョン・ドア※

●備考
 能力値成長は、ひとまずファイターなら【筋力】を20まで上げて、能力値の天井を目指してしまうのがいいだろう。異種族の場合は、1レベル段階で【筋力】を17まで上げておき、4レベルで《重装鎧の熟達者/Heavy Armor Master》を獲得しつつ18に持っていく。二刀流スタイルで《二刀の駆使者/Dual Wielder》を取っていない場合は悩ましいが、ACも上がることだし4レベルで早々に取ってしまうか。
 【筋力】を20にしちまえば取りあえずファイターとしての面目は立つので、後の選択は各自の判断に委ねられる。【耐久力】を伸ばしてhpとセーヴに強くするも良し、hpだけが目当てなら《追加hp/Tough》にするもよし。オススメは《セーヴ習熟/Resilient》で惨事になりやすい【判断力】セーヴを強化しておくこと。盾を使っているなら、《盾の巧者/Shield Master》で【敏捷力】セーヴへの耐性を付けておくと尚良い。エルドリッチ・ナイトの場合、ヘッドバンド・オヴ・インテレクトが手に入らない場合はコツコツ【知力】を伸ばしていくしかない。
 両手武器を使っており、かつ味方にブレスを使える者やバードがおり、かつ有利を得られる(精密攻撃があると言うこと無し)場合は《大業物の達人/Great Weapon Master》というロマン技にも光が当たる。ただ単に使うと攻撃ロール-5というごぉっつい(ミゾグゥチ調)ペナルティも、これらのダイスの支援(それにバトルマスターなら戦術もある)があれば、十分実用的なレベルまで持っていける。ダメージ+10のボーナスを得た攻撃がファイターの追加攻撃で飛んでいく様はさながらマグロ解体ショーの如し。そこまでロマンでなくても、10フィート直線移動すればダメージ+5の《突撃手/Charger》も使いやすい。
 《機動力/Mobile》で、敵の集団に複数回攻撃をバラ撒いてからじゃあ僕帰りますとヌケヌケと撤収したり、《警戒/Alert》でイニシアチブを高めたり、戦法の幅は無数に用意されている。それも必要とされる能力値が少なく、能力値上昇の多いファイターならでは。戦闘のプロがプロである所以を思う存分見せつけてやろう……もっとも、それが発揮されるのは8レベルぐらいかもしれないが。

 5eのファイターは「基本的な戦い方が最強」を維持した上で、攻防しかも戦闘外に渡って底上げがされており、非常に使いやすくなった感がある。初心者に優しく玄人も唸る、それでいて誰が使っても強力な安心して使える良クラスと太鼓判を押せる。
 数少ない難点と言えば、本領が発揮されるのは【筋力】を20まで持っていった後に訪れる能力値上昇の8レベル、そして追加攻撃(2)を得られる11レベル、とやや遅いところか。攻撃回数が3回になるまでは爆発力の面で見劣りするかもしれないが、そこはファイターの持ち味安定性で耐え抜こう。なあに、ファイターは地味でも“怒涛のアクション”からの猛連撃がある。通常攻撃が鴨川ジム門下生のジャブなら、“怒涛のアクション”+追加攻撃はデンプシー・ロール。ジャブを放ち続けていても相手は死ぬが、デンプシー・ロールは「放てば」相手は死ぬのだ。

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