We are Pathfinders!#258~Monster Codexがあらわれた! ノール編~

 脅威度詐欺のクソモンスターが横行するTRPG界において、ノールは大抵脅威度相応のイイ奴と思ってきましたが、MCのババリソのアーキタイプを見てやっぱりあんな怠惰で傲慢で残忍外道なハイエナ野郎どもは絶滅させるべきだと考え直しました。
 ちゅうか暴力的で残虐で自分以外を食料としか思わず労働なんて大キライ、てなクソ野郎がD&D系列には多過ぎてぱっと見キャラ被りも甚だしい。そこでノールみたいなハイエナ頭とか強烈な外見で個性付けてるのも上手い所だけど、MCみたいに詳細な記事を読み込んでいくと同じクソ野郎でも方向性が違いとワカって面白い
 特にMCは種族独自の行動原理の表記にセンスがあって(トロルは家族、サフアグンは社会とか)、ノールにとっては
・自分より弱い→餌
・自分より強い→狩るに十分に強い
・群れに属さない奴→動く肉

 という極めてワカりやすい他者認識を持つという。
 また、もうひとつのキーワードは“群れ”で、狩りの相棒ハイエナ同様に群れによる戦術を得意とする。獲物を発見しても急がずゆっくりと取り囲み、追い詰め、嘲笑い、疑心と恐怖と疲労で戦えなくなったところを一気に血祭りにする、そんな気長な戦術が取れる種族である。【知力】ひとケタの分際でよくそんな戦術を理解できんなあ。いや野生的な【判断力】でなさしめているのか。
 そんな群れ戦術をフューチャーしたのが冒頭で触れたババリソのアーキタイプ、集団激怒者チームワーク特技を30フィート以内の味方全員に与えるという吐きそうな能力を持つ。ね、絶滅させたくなるでしょ? 言うても解禁されるのは7レベルからだし、それまで味方に一緒に取ってもらったチームワーク特技がちょっともったいない気もするけど、そのうち2つ3つ与えられるようになるからいいよねそのぐらい。5eのパック・タクティクスはこのぐらい連携戦闘らしい連携をしてみせろと説教したい
 ちなみにダメージ減少が無くなるのが地味に痛い。激怒パワーが激減りするのはすごく痛い
 ブーダはウィッチのアーキタイプ。アーパーのノールに【知力】準拠のウィッチなんかできんのか、と思いきやノールの女性は大抵男性より大柄で頭もよく、一族のリーダーを務めるそうな。トロルといいゴラリオンの異種族は女系社会が多いのね。ブーダはそのようなリーダーに助言者として仕えている神秘の力を秘めたウィッチというワケ……別にウィッチというクラスは女に限らない、てな話はこの際いいっこなしね。クソ野郎のノールのウィッチだけあって悪属性限定という制限がある。
 専用呪術のブーダの目はAC、能力値判定、攻撃ロール、セーヴィング・スロー、技能判定のいずれかにペナルティを与える。8レベルでペナルティが-4になるのもキツイが、さらに1日に1回2つのペナルティを与えられるのがエグイ。効果としては邪眼の上位互換だが、邪眼があるとペナルティを与える対象が1つ増えるため、後述するブーダの例でもばっちりセットで取得している。またダイア・ハイエナ(もしくは普通ハイエナ)に変身でき、その間スピーク・ウィズ・アニマルのようにハイエナと交信できるというドルイドっぽい要素も持ち合わせている。
 群れの戦術を押しているだけあって、種族特技はなんと五個中四個がチームワーク特技。これには集団激怒者もウッハリ。それでいて《追尾》が前提の《協調位置替え》や武器落とし失敗に続けてさらに武器落としを行う《連携武器落とし》というシブさがたまらない(《協調位置替え》は訳がバグっているのだが、正しくは「この特技を持つ味方が、君が機会攻撃範囲内に収めているクリーチャーを機会攻撃範囲に収めており、かつ5フィート・ステップをした時に自分も割り込みアクションで5フィート移動できる」かな)。ただし前提が攻撃ボーナス+9に噛みつきと重いだけに《挟撃噛みつき》即行アクションで噛みつきをカマしてくる恐るべきラフファイトっぷり。こんなチームワーク特技持ってる一団がノールの標準戦力なら覇権種族入り待ったなしだが、そこは基本攻撃ボーナス+9、ちゃんと脅威度というものをわきまえた連中ですからな。噛みつきは《噛み千切り》で取得可能。頭が肉食獣だけに、主要攻撃かつ1d6ダメージ、と並の中型人型生物の得る噛みつきより一段階ダメージ・ダイスが大きい。
 どこにでも住んでいる、それこそトリンタン村から大樹の大要塞、浮遊城まで出張するフットワークの軽い種族であるが、ノール本来の住処は熱砂の不毛地帯。ノールの魔法のアイテムは、そんな過酷な暑熱と砂塵から生き抜くためのサバイバルキットになっている。ハイエナ・ショールは着用していると砂嵐に視界を遮られなくなり、嵐で非致傷ダメージも受けなくなる。さらに、不快な笑い声によって聞いたものを恐れ状態、セーヴに失敗しても1d4ラウンド怯え状態に陥れるいやらしい特殊能力付き。獲物を不安に陥れる嘲笑も、コレが一因で語られるようになったんではあるまいか。ハンターズ・ノーズ・リングは文字通り鼻輪。着用者に鋭敏嗅覚を与えると共に、獲物を追跡する判定にボーナスを与えてくれる。プラチナが編み込まれているためか、妙に高い(10,000gp)。まあ、技能2つに+4ボーナスと鋭敏嗅覚となればそのぐらいはするのかもしれんが、10,000gpの鼻輪かぁ……うーん。
 何かとノールと縁のあるグレムリンのバグワンピ(Bestiary2掲載)の生皮を使ったバグワンピ・ブレイド(刃のBladeではなく紐のBraid。MTGのガロウブレイドと同じ)は1分間の間副種別(ノール)以外全てのd20ロールを2回振って悪い方を選ばねばならないというかなりサイテーなオーラを放つ災厄のおまじない。バグワンピをノールは毛嫌いしているのでそりゃあガンガン素材にするために始末されていることでしょう。幸運ボーナスがあれば無効化できるためノール討伐の際にはクレ公に豊富にディヴァイン・フェイヴァーを用意させたりするのであろうな。
 野生的な種族ながら戦術に長けるためか、ノールの例におけるクラスは案外幅が広い。またD&Dならイーノグフ、ゴラリオンならラマーシュトゥのように異形の神への信心深いだけあり、信仰系の例も多いのが特徴。
 ノールの蛮族はバーバリアン。ノールの激怒狂(バーバリアン/集団激怒者2レベル、脅威度3)は激怒で上昇した【筋力】によるグレートアックスと噛みつきの複数回攻撃が持ち味だが、チームワーク特技は《協調位置替え》というシブさが光る。その上位種はノールの群れの長(バーバリアン/集団激怒者8レベル、脅威度9)。パックロード! 5eにも出ていたパックロードじゃないか! あっちでは割とフトゥーの上位種だったがババリソ8レベルと気合入ったクラス・レベルだけあって《挟撃噛みつき》がばっちり火を吹く。これでノールの激怒狂なんかを連れ回されたら手が付けられん。が、思ったほどチームワーク特技を取りまくってないところにやはり奥ゆかしさが感じられる(他は《連携武器落とし》《連携武器落とし強化》だけ)。《追尾》はあっても《協調位置替え》取ってないし。
 天性の狩人であるノールにとってノールの遊撃兵はごく自然なサンプル、当然クラスはレンジャーってノールの乱暴者は違うじゃありませんのん!?(ファイター1レベル/ローグ1レベル、脅威度3) それも乱暴者て! 確かに遊んで撃ってそうだがそういう意味ぢゃないと思う。などとつっこみつつも、戦い方は《強行突破》による斬り込みや足留め袋など乱暴者にしては小回りが利き、しっかり遊撃役を務めているやり手デアデヴィル・ブーツなんてものを用意しており、〈軽業〉のすり抜けもかなりの腕前である。例え判定ペナルティを受けない物もあろうと鎧を着ないところは流石空気を読める畜生ノールの用心棒は今度こそレンジャー(9レベル、遊撃兵アーキタイプ使用、脅威度10)。腕っ節が自慢のノールながら、弓術スタイルであるところに群れの戦術に本領を発揮する性質が表れていると言えよう。砂混じりの風の中を見通す巧妙な射撃支援攻撃で仲間を援護し、《機動射撃》で撃っては逃げ、隙を見ては《速射》してくる、こんな狩人を相手にしてたら疲労とストレスがマッハである。
 ノールの戦争指揮官ノールの軍曹もレンジャー(3レベル、脅威度4)。戦闘指揮官というからには、もう1レベル伸びたら仲間との絆を持っていそうなのだがちょっと間に合わなかった。それにノールに「仲間」との「絆」というのも、な。こちらも弓術スタイルで、やはりノールの恐れるべきはSOMに倣って弓か。クセのない《速射》メインの射手ながら筋力】等級4などとどえらく上等なコンポジット・ロングボウを持っている。砂漠に来た冒険者とノールの軍曹の間では熾烈なコンポジット・ロングボウの奪取戦が発生することであろう(高いし)。ノールの副官はファイター(5レベル、脅威度6)。ただでさえ技能ランクがくそなファイターの上に【知力】6、その全てを結集した《威圧演舞》で敵の士気をくじくマイトガイだ(見よ技能の〈威圧〉のみという侠らしさ)。筆者もこれには直に出会ったことがあるが、敵で使われると[精神作用]の効きづらさや相手のHDの高さを大して気にしなくてよく、大抵のPCの士気をヘシ折る恐るべき効果を発揮するのだ(だって固定値で6レベルの【判断力】ボーナス無しのPCの士気をくじけるんだぜ)。なおそん時筆者はゴブリンだったんでいやあ士気が折られに折られまくったぜ。おしっこちょっと出た。
 前述したようにラマーシュトゥの信徒であるノールは信仰系クラスにも縁がある。ノールの信奉者がそれ。ノールのクレリック(クレリック4レベル、脅威度5)は欺きと力の領域を授かっている。混沌にして悪だけに負のエネルギー放出であるが《選択的エネルギー放出》なんて持っちゃいねえ。隣のノールもお構いなしに餌食にするのだ。そもそもキュア系呪文を任意発動できなければ準備すらしてないので癒す気まるで無し。ノールの強奪者(アンティパラディン10レベル、脅威度11)は善を討つ一撃&《クリティカル強化》ヒューマン・ベイン・ファルシオンという激アツな殺戮者だが、実はイケメンというほどではなくややイケ(【魅力】13しかない)ぐらいで、善を討つ一撃による攻撃ボーナス上昇は+1のみというあたりにやはりそこはかとない控え目さが(そろそろ表現する言葉が無くなってきた)。
 階層構造の指揮者である選ばれし者もクレリック(11レベル、脅威度12)。実は選ばれし者と大層な名前が付いている割にノールのクレリックのレベルが上がっただけで、劇的に変化した感は薄い。てゆーか神に選ばれたと自称するぶんざいで並クレリックと【魅力】が同じというのはいかがなものかヘッドバンド・オヴ・アリュアリング・カリズマ+2でやっと14)。まあ11レベルまで成長した実績と、《エネルギー放出強化》より《選択的エネルギー放出》を取る判断力が選ばれし者の所以か……。
 助言者ながらノールの例の最上位がノールのブーダ(ウィッチ/ブーダ12レベル、脅威度13)。ブーダの項で触れたように、邪眼ブーダの目を両方修得しているところにデバフ要員としてのやる気まんまん。これらでセーヴを下げてやったらクラウド・キルスティンキング・クラウドで一網打尽だ。他の呪文もバングルビストウ・カースを筆頭に盲目状態にするやつが2つもあったりとデバフの本気に抜かりはない。なお、秘術呪文はノールにあまり縁がないそうで、秘術クラスの例はブーダのみ。種族呪文も存在しない(信仰呪文ならあってもよかったような)。
 ノールの亜種ではこれまた5eにも出演していたフリンドを紹介。5eみたいな変な特殊能力は持っていない、純粋にノールのアップァーバージョン(脅威度も3)であるが、緻密な交配によって生まれた独立した種族という背景を持つ。種族アイテムのフリンドバーは文字通りフリンドが愛用するヌンチャカ。武器が整理された5eではただのフレイルであるが、珍妙な武器データが豊富なPF、こっちは軽い武器ではないが足払い特性に[殴打]および[刺突]に対応する独自性を持つ。まあフリンドは《足払い強化》も《武器落とし強化》も無いのだが、そこでノールの群れの長が《連携武器落とし強化》を提供するワケか。軽い武器じゃないから両手で持てるし。ちなみにフリンドバーはノールにフリンドが一本一本オーダーメイドで作らせる一品もので、たいそうこだわりを持つという。作成にしくじるとフリンドから痛い目に合わされるらしいから、〈製作:フリンドバー〉も命懸けだろう。
 ノールの遭遇サンプルは役割分担がはっきりしているせいか、あまり複雑な戦力の構成にはなっていない(複数の襲撃部隊が編成されるという記述もある)。狩猟隊(脅威度5)はノールの激怒狂率いる並ノールであるし、野生の群れ(脅威度5)はなんとMCで紹介されたノールの例が一体も含まれていない(これはMCでは珍しいと思う)。普通ノールとハイエナのみの構成である。フリンドの群れ(脅威度7)はフリンドの群れと言いつつフリンドは一体だけ、ほかのノールの乱暴者も脅威度は同じだったり。まあ、それでいてノールを従えられるのがフリンドという地位というワケか。呪術師と用心棒(脅威度14)はブーダと用心棒のみで、畏怖されがちなブーダなら側における戦力もこのぐらいシンプルでないといけないかな。
 その中で夜の恐怖(脅威度10)はまさに夜の恐怖で、クレリック、乱暴者、群れの長の混成部隊。こんな奴に夜間追い回され続けたら睡眠できないし昼間は暑熱で疲労するし、で長く生きられる者は少なかろうて。というか急所攻撃つきの噛みつきが即行アクションで襲ってくるとか普通に真正面から襲われても殺られそう
 先にも触れたように、ノールの女性は大柄で頭も良いので、リーダーになるのは女性となる(ブーダや選ばれし者もそう)。その代わり絵に描いたようなゲス野郎だけに、リーダーが衰弱したり面目を失ったりすると「リーダーなんていらんかったんや! オレが法律や!」と即座に熱い手の平返しを見せて結束を忘れた血生臭い内紛に身を投じる。結果失敗した指導者候補や支持者は群れから叩き出されるので、ノールの群れは分散しやすく、大きな群れをつくるのは難しい。真に強固な軍勢を作り上げるのは類稀なるカリスマ性と、移ろいやすいノールの群れの性質を掌握し切った者でなければならない。故にそれは強力なノール、あるいは外部から来た第三者的視点を持つ者であるそうだ。フリンドのような種族を作ったのも、恐らくこうした特A級のノールの女帝だろう。
 ノールの食生活は厳然とした肉食であり、特に知的生物の肉を好むが、これは痛めつけると意味のある言葉で嘆き悲しむという嗜虐的な理由でなく、いやそれも含まれてると思うんだけど喰らった肉からそいつの能力を吸収できるというお前は『荒野に獣慟哭す』のチプカ族か、てな迷信に基づく。ただしノールに媚びるバグワンピだけは、食べると弱体化の呪いを受けるということで皮をバグワンピ・ブレイドの素材にして肉は腐らせるのが普通。こんなクソ野郎を神と崇め奉るバグワンピもよっぽどの好き者であるが、ノールなんて種族をフューチャーしたグレムリンを作る方も作る方だよ
 自分たち以外の動くものは肉と考えるノールながら、単純作業を厭う怠惰さから奴隷として暫く使うこともある。そして、虐待して十分に弱ってくるとノールの子供が行う狩りの最初の獲物にするという。その目的のために奴隷は若い方が好まれるが、最終的には戦闘能力を失っていることがサイコーの条件とかサイテーな事が書いてある
 怠け者で頭も足りないのに群れの戦術を確立しており、かつ長期的な狩りに熱心というのは矛盾しているようだが、ノールの性質を考えるに、これだけ注力できるのは獲物を追い詰めて殺すのが楽しいから、という一点に尽きるんだろう。やる気のある所には全力を注ぐがそれ以外はだるいっぺれ~とプセるのはそれはそれで混沌にして悪らしいスタンスではある。整理された分業と執拗かつ巧妙な追い詰める手口、この2つをうまく表現できると、そこいらに溢れるただの乱暴者でない、ノールの独自性をアプィールできるでarrow。そして繰り返し言うが、トロルみたいに種族そのものがくそみたいな変な特殊能力は持っていないし、独自色もくそな方向性ではなく、あくまで脅威度相応の範囲で持ち味を発揮しているので比較的GMにもPLにも優しい。適性レベルの遭遇を存分に楽しみつつ、こっそり集団激怒者でチームワーク特技を撒いたりノールの副官で《威圧演舞》したり、健やかなダーティファイトを繰り広げていただきたい。

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