D&D5e余話#143~Unearthed Arcana:特技の話~

 Unearthed Arcanaの翻訳、今回はきっと皆も待ちに待っていたでしょう、おおさオレは待っていた、新しい特技の話
 個人的にはレイヴンロフトみたいな閉じたセッティングよりも、こうグローバルに使えるサプリを出してゲームを広げる&地盤をしっかりさせた方がいいと思うのですが。
 訳は毎度お世話になっているカゲシタさん、掲載は第五隧道(仮)さんだ。
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多謝であります。
 一応、筆者も記事を知って自力で訳してみようとはしたのだが、一発目の作例からして「私は何故この特技を嫌っているか……」という仕切りの文句に「え? いきなりヘイトから始まるの? 追加特技なのに? てかそんなに言うほど悪い特技かねコレ」と混乱して一気にやる気をなくした、という言い訳はしておこう。
 新特技ではあるが、ツイッターで調査・募集したアイデアが基になっており、かつ冒頭では特技に関するデザイナー側のコンセプト開示がなされている。このような意図からすると、これをすぐに追加特技として採用するのは早計というものかもしれない。あとは、攻撃ロールのボーナスはついに来たかー、という感じで、習熟ボーナスをこんだけ上げづらく絞ったのにまた特技で上げるようにすんの? と個人的には疑問である。【筋力】or【敏捷力】20で体得特技を持ってないPCは武器戦闘PCに非ず、みたいな風潮になっても嫌だしねえ。まあ1レベルなら悪いこと言わないから《重装鎧の熟達者/Heavy Armor Master》を取っておいた方がいいと思うがね。重装鎧を着られない人は選択肢が増えてE感じになるだろう。
 特技名に関しては勝手にこっちで付けた。というか、名付けたと言えるほどのものでもないのだが。以前、特技名を勝手に付けた時は同じMasterでも色々と変化を付けようとしたが、もう面倒くせえということでMasteryは4eに倣って全部体得ということにした。何故かウォーハンマーだけがMasterだったりMasteryじゃなかったりするやつがいて統一感なくて困るのだが。その辺のニュアンスは英語に堪能な方が拾ってくれるだろうと投げちまおう。

《ウォーハンマーの精通者/Warhammer Master》
 いきなり「嫌い」呼ばわりされた特技。だったら紹介すんなや! と言いたいが、まあ反面教師として冒頭に紹介したかったのかもしれない。曰く、殴る度にいちいち追加のダイスロールが発生する、盾を落とすことがこの特技のみに許されるように思われてしまう。
 が、武器が持てると見るやどいつもこいつもシールドを持たせてお手軽にACを上げてくる5eのモンスターデザインに対してこそ、こういう特技が必要なんじゃねえの、などとオレなどはヒネた見方をしてしまうのだが。そんなことだから1レベルでは生き残りたければ盾を持て、とか両手武器が言われなき非難を浴びるのであるよ。シールドを着用するのに1アクションかかるようになった5eなればこそ輝く特技でないのかね。シールドを叩き落とす効果は特技に限定するべきではないと言ってるが、だったらそのルールとか書いといてくれねえかなあ……いや実用性ないだろうからいいっす。その手の小細工に実用性があると非常にろくでもないゲームになることはイヤというほど体験してきた。っていうか武器落としが強力になると、一番その被害をこうむるのはPC側だからな(どうせクリーチャーは落とす武器なんか持っちゃいねえ奴が跋扈するのだ)。
 追加のダイスロールは確かに鬱陶しいが、これも大抵のクリーチャーのセーヴに習熟ボーナスが乗らない5eでは、かなり強力な追加効果に思える。クリティカル・ヒットを与えた時……では状況が狭過ぎる、あとオレなんかはそんな事態キャンペーン通しても一度もこねえと断言してしまうから特技を取る意味が激減するな。《大業物の達人/Great Weapon Master》みたいに、攻撃にペナルティを受けて、とかなら使う/使わないの切り替えもあるのでは……しかし、かといってそうすると特技を取ることで常時得られる特典が無くなってしまうし。もう少し工夫する必要があるのは否定できない。
 ただ、限定的な効果の特技という点では、5eより前の版でもそうだったが、今でも《運動競技者/Athlete》みたいな狭いデザインしてるアンタらに言われたくないよ!

《打ち倒す握り/Fell Handed》
 斧とウォーハンマー、モールの攻撃ロール+1と、有利/不利に関する特典がある。有利を得ている時に両方の出目がヒットしていたならば相手を伏せに、不利を得ている時に高い方の出目がヒットしているなら、ミスしたとしても【筋力】修正値ダメージを与えることができる。
 確かにこれならいちいち殴る度に追加のダイスロールが無く、敵を伏せ状態にできる。実にスマートである。っていうかわざわざ悪い例として掲載せずとも最初っからこうすればいいじゃねえか。ロングソードの下位互換でしかなかったバトルアックスにも、新しい使い道が拓けそうだ。不利を与えられる際にありがちな、片方の出目はいいのに、という悔しさも無駄にならない喜びに転化されている。独特な有利/不利の5eならではの、ゲームシステムをうまく把握したやり口と言えましょう。散々ディスって悪かった。
 対象の武器を使った際の援護はシールドのAC上昇を帳消しにする+2ボーナスを与えられる。単純武器しか習熟していない前衛、例えばクレリックなんかはハンドアックスを握っておいてコレを使うと役立つかもしれない。こっちはそんなに絶賛されるほど有益とは思えんのだけれど。盾持ってる奴にしか効かないし。まーオマケ程度と考えた方がいいでしょう。

《刀剣体得/Blade Mastery》
 4eの時から剣に関する特技特徴は防御的だったりちょっとテクニカルだったりするが、5eでもその傾向を継続。習熟ボーナス同様に上げるのが大変なACをリアクションを使って+1、それも出目を見てから使うか使わないか判断できる「リアクション」なのが素晴らしい。ACの上昇は《堅牢なる決闘者/Defensive Duelist》には負けるが、そこは持続時間と攻撃ボーナスで勝負だ。
 機会攻撃の有利は《番人/Sentinel》と併用できれば万全。リアクションを使ったAC上昇と同時に使えないのが残念。

《フレイル体得/Flail Mastery》
 冒頭でウォーハンマー特技をディスっておいてフレイル限定かよ! とか公式自ら使うのに手間がかかるとか認めるような武器をなんで作るんだよ! とかツッコミどころは色々あるのだが、データ自体はボーナス・アクションでフレイルを伸ばして盾を飛び越えて殴れるとか、機会攻撃がヒットした際足払いができるとか、なかなかどうしてフレイルらしい戦い方ができる
 結局効果はウォーハンマー特技以上に限定的なのだが。あと、あんだけデータに差異が少ない5eの武器の中でわざわざフレイルを選ぶプレイヤーがどれだけいるのも疑問(というかフレイル自体TRPG全般で扱いがヨカッタ覚えがない。SW2.0は『ミストグレイヴ』で「あーフレイル使い相手に商売する気ないんだ」と実感したな)だが、ともかくフレイル使いには朗報である。

《スピア体得/Spear Mastery》
 4eでもPFでも使いやすい間合い武器であるはずのロングスピアであるが、何故だか人気が無かった気がする。貧乏くさいからか
 さておき、何故《槍体得》ぢゃないのかというと、《槍体得》だとロングスピアも含まれるのではないか、と誤解を与えそうだったので。そう、驚くべきことにスピア限定。長いとダメなんである。
※訂正。よく見たら5eにはロングスピアそのものがなかった。パイクを使えということか。
 スピアというとフレイル同様に使う意義が薄い、ちょっと中途半端な武器という印象だが、こちらは驚きの数々の特典(と言っては《フレイル体得/Flail Mastery》に失礼だが)。まずダメージ・ダイスがd8に上がり、両手で持った場合にはd10となる(単純武器では絶対望めないダメージ・ダイスだ)。さらにボーナス・アクションを使うと間合いが10フィート上昇。ターン中なので機会攻撃の間合いこそ伸びないが、盾を持ちながら間合い武器、というなかなか味のあるファイトスタイルが可能になる。
 D&Dで槍と言えばおなじみの「突撃に対して備える」ボーナスも健在。これで『300』よろしくライノセラスが突進してきても機会攻撃で迎撃できるな! ……って5eでは突撃のルールが無くなったのにどうすんの、というと20フィート以上離れている敵一体を指定する、という仕様になっていた。間合い内に入ってきたら近接攻撃をリアクションで行い(機会攻撃ではないのがミソ)、ヒットした場合追加のd8(両手ならd10)ダメージを与える。《長柄武器の名人/Polearm Master》と比べて指定した奴にしか効果がないのが難だが、これを逆手に取って敵の隣接を防ぐというのも立派な防御策と言えよう。指定した敵に隣接されなくては意味がない、のではなく指定した敵に隣接されないことにこそ意味があるのだ! 間合いが長い敵相手だとほんとに意味ないけど。そういう場合は間合いを10フィートにして機会攻撃を避けよう。
 単純武器用の特技と言えど、敢えて単純武器を選択の余地に入れるに値するクオリティ。こういうデータを見ると冒頭で述べられているデザインのコンセプトにもnrhdと頷かされるものである。

 そしてD&Dの特技は戦闘関連だけではない(効率厨なのでそっちに偏りはするが)、道具特技/Tool Featsとして、様々な道具への習熟に関するデータが掲載されている。この項にて語られる、「戦闘・交流・発見がゲームの中心」という認識はD&DスタッフのTRPG観が窺えるようで興味深い。

《錬金術師/Alchemist》
 PFのドーピングコンソメスープで「あ゛はぁ~いい気持だぁ~」したり天地を喰らう2の曹操の如く爆弾を投げたりするクラスではない。
 錬金術サプリの習熟ボーナスを2倍にするのに加え、ポーション・オヴ・ヒーリングの出目をMAXにできる。ポーション・オヴ・ヒーリングを迷わず買えるぐらいの金満パーティになってきたら候補に入るやもしれぬ。ポーションを飲まずして確認できるというのも防護策としては地味に役立ちそう。

《泥棒/Burglar》
 盗賊道具の習熟ボーナス2倍! これでローグがいなくても安心して罠解除できる!(最初から習熟していることが望ましい)
 でも盗賊道具は持ってないと思うからみんなでお金を出し合って買おう!
 【敏捷力】も伸びるよ。

《美食家/Gourmand》
 Gourmandというと食通という意味で使われる「グルメ(gourmet)」よりも大食いとか意地汚い意味の方が強いそうだが、それよりもオレはGourmandの響きから真っ先に連想するのが『グルマンくん』で困る。当然美食と聞いたら美食倶楽部が出てきます。
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 実際の効果としては、大食いらしいのは【耐久力】が上がるぐらいで、料理に含まれた毒を嗅ぎ分ける(きっと化学調味料も嗅ぎ当てるんだろう、美味しんぼ的に)とか、美味しい料理を作って大休憩時に回復するHDを増やすとかgourmetの方に近い。そう、忘れがちだけれど大休憩でhpは全回復するが、HDは半分だけしか回復しないのだな。それよか凄いのはこの人が用意してくれた料理を食べると、翌日病気に対する【耐久力】セーヴに有利を得られること。『美味しんぼ』よりも死人も起き上がらせるようなリアクションを誘発する『ミスター味っ子』『鉄鍋のジャン!』風味な料理人かもしれない。ロボコックを名乗れそうなフルプレートに習熟していたり凄い悪人ヅラで料理は勝負とか言い出しそうだったりすると尚理想的。
 

《百面相/Master of Disguise》
 最後は変装道具の習熟ボーナス2倍。他の道具特技に比べると具体的な特典とは言い難いが、アクションという短時間で別の人間に成り代われるというのはシティアドベンチャーのみならず強力な偽装。尾行を撒くために物陰に隠れて素早く変装とか、機転次第で化けそう。他人になりすます能力はシステムを問わず大きな社会的影響力を持つのと同義ですからな。

 読者から集めたアイデアが元ということで、正規採用するかどうか、というとまだまだ難しい問題だと筆者は感じる。前述したように、攻撃ボーナス+1はダメージには適用されなくとも能力値+2と同義。ババリソなどがこれを取るか否かは相当の戦力差となるであろう(カンタンに“無謀な攻撃”で有利を取れるのと《打ち倒す握り/Fell Handed》がすこぶる良相性)……ああますます人間ヴァリアントがハバを利かせそう。4レベル以降なら能力値+2で命中・ダメージ・それに能力値判定やセーヴを底上げするか、種々の特典を取るかといういい選択肢になると思うのですが。オレならまず攻撃に使う能力値を限界の20に引き上げてからにするかな。
 道具特技の方はかなり好感触です。技能や道具へのボーナスというのはどうしても戦闘関連の特技と比べて後回しにされる(和マンチ呼ばわりされてもさあ、戦闘特技取らんと死ぬし)けど、そこをウマいこと特技の雰囲気にピッタリ合った特典を乗せて一線級に仕立て上げている。《美食家/Gourmand》とかキャラクターは立つし病気に強くなるという目に見えたメリットはあるし滅茶苦茶美味しい特技じゃないですかいや美食家だけにプススーッとか言うつもりはありませんよ。技能など戦闘外のボーナスを与える特技には能力値+1とか、データ面以外の強みとデータ面の強みを両用させるバランス感覚が5eの特技の巧妙さで、ココをきっちり押さえるやり手BBAのような妙手には舌を巻かされます。他のTRPGもじゃんじゃん見習ってほしいっすね。
 戦闘特技はもう一歩練り込みが欲しいのと、もっと武器を色々フューチャーして欲しい。例えばボウは独自の特技が未だない(クロスボウはある)し、「技巧特性の無いレイピア」なウォー・ピックみたいにただの下位互換になってしまう武器はバトルアックスだけじゃありません。武器を選ぶ楽しみがスポイルされてしまっただけに、特技で付加価値を与えるというのはD&Dシーンを変える可能性を秘めているかもしれませんぜ! ついに存在自体が謎だったトライデントにも光明が当てられたりしち。
 最後に、気になるのはこうして作られた新しい特技などのデータを、どんな形態で発行するんだろう? という点。いずれウェブ上で発表したデータを再調整して収録した追加データサプリとか発売されるんですかね。

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ジャンル : ゲーム

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No title

特技が能力値上昇と同等の強さみたいなデザイン思想らしいですから、それ考えたらWarhammer Master単品はそんなに強くないなあとは思いますなあ。複数回攻撃するキャラクターが攻撃ロールを行うたびにそれに付随してST振らせられんのは確かにたるいからMikeが言いたいこともわかるっちゃわかりますが、載せんなよwには同意ですわー

No title

本文中であんだけクサしてますが、実際シールドを叩き落とす効果が重宝されるのは序盤だけだと思うので、そうなると伏せ状態誘発が本命かと……そうなるといちいち【筋力】セーヴがひじょうに鬱陶しい事になるので、《打ち倒す握り/Fell Handed》でいいんじゃないでしょうか。実用性としても処理としても。

てか《打ち倒す握り/Fell Handed》にウォーハンマーが含まれるのにわざわざ槍玉にしなくてもええやねん。
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