We are Pathfinders!#203~Monster Codexがあらわれた! サフアグン編~

 クリーチャーの拡張・選択ルールというGMウッハリ・プレイヤーは読んでも嬉しくならない(予備知識にはなるかも)MC記事、第一弾はやっぱり最初に目を引いたサフアグンだヨ。
 サフアグンと言えば何は無くとも突然変異種、このズラリと並んだ突然変異種用カスタマイズこそが本項の目玉。サフアグンの男爵でおなじみ(実はPFの男爵は四本腕でないのだが)、最もメジャーな“四本腕サフアグン”の「基本CRは3」という表記になんとなく3eのクリーチャーをPCで使った場合の「レベル調整値」という文句を思い出してクスリとさせられる。《複数回攻撃》“多刀流体得”はいいとして、《追加hp》までボーナス特技で付いてくるので、CR3のエリートコースは確定。君なら筆記試験もパスだ。また、アクアティック・エルフ似の“マレンティ”も3eの頃からいたんですねぇ。水棲クリーチャーのみに適用されるコマンド、そして【敏捷力】と【魅力】が+4とガッツリ上がる能力値修正を得た(なんと基本種に適用すると【敏捷力】は脅威の17だ!)。《欺きの名人》《技能熟練:はったり》というボーナス特技もシブイ。水辺の潜入者として、極めて深刻な脅威となることだろう。その代わり外皮ボーナスは+2までとがっくり低下するようになっちまいました。手屁。あと、水棲特性が無くならず、水陸両用もないからなんか陸上の適性が消えてるような……?(“光による盲目化”は完全に失われるのでこれは強化された)
 外皮ボーナス+7で大型サイズのスゴイ奴、“先史サフアグン”ですが基本データを見たらサフアグンってもとから外皮ボーナス+5で2点しか変わってないのな。しかも大型サイズなんで1点下がってました(´・ω・`) 攻撃ボーナスまで下がるしな。後述するギフト・オヴ・ザ・ディープの変異例を見るとエンラージ・パースン同様大型化の能力値上昇の利益は得られるようですが。それよりは広がった間合いを活かすのだ。
 “鮫の血筋のサフアグン”は下半身が鰭と尾になる半魚人タイプ(元から魚人だけど)。噛みつき攻撃強化に加えて水中移動速度が80フィートとさらに伸びる。その代償として地上での移動速度はビビアンリー。完全に水中・水上戦用やね。
 “無明サフアグン”は深海魚のようななまっちろい肌で、目が無い代わりに無視界知覚が発達している。それはいいのだが輝く巻きヒゲで感知しているとかではなく、この巻きヒゲの側にいると目が眩んだ状態になったり、アニマル・トランスを発動したりする。なんだこのヒゲ。ターンAターン的なヒゲか。そりゃあ他のサフアグンからもキモがられるわ
 “有刺サフアグン”は前回言及したオコゼサフアグン。触れたもの皆傷付けるナイフみたいに尖ってる、素手モンクや動物の相棒殺しだ(なのでやっぱりモンクも武器は持つべし!)。防御的なだけでなく、《組みつき強化》も持っているので、CMDの低い秘術呪文使いなどがいたら水中から飛び出してヒルカ様よろしく抱き付くとウザがられること必定。しかし《防御的武器訓練》とは何を指定しておこうかねえ。
 種族特技は“血の狂乱”の拡張が強烈。《上級血の狂乱》のACへのペナルティが無くなってメリットだけになる上に、“かきむしり”まで発動するようになる。こいつは四本腕でむしりまくるしかねぇ……と思いきや、四本腕のサンプルデータで《上級血の狂乱》を取得してる人はほとんどいないのであった。なんでや! 《上級血の狂乱》が前提条件になっている《血潮》は、出血状態かhpが減少している(=wounded、と解釈するなら)相手全てに《大旋風》を使える大技だが、実はコレひとつの対象に1回しか殴れないんで“かきむしり”が発動しないのはご愛敬。肉体武器でないとダメなので図体のデカい“先史サフアグン”や噛みつき自慢の“鮫の血筋サフアグン”が取るといいだろう。
 水中戦特化では水泳移動速度を持たない相手が殴ってくると機会攻撃を誘発させる《水棲の優位》が非常に厄介。前提に《攻防一体》を要求するため実現がチョイ遅なのが救いであるが、こんなもん持った集団と水中戦になったらひとたまりもない。まあ水中戦を要求された時点で大抵のPCはひとたまりもないけどな! フリーダム・オヴ・ムーヴメントが重宝されるワケだよ。
 サフアグンの呪文のエア・ブリージングウォーター・ブリージングの逆バージョンで、水棲クリーチャーに陸上で呼吸する能力を与える。これで“鮫の血筋のサフアグン”も陸上で活動可能だな!(移動力5フィートです) とりあえず地上に潜入するマレンティは使ってもらっとけ。
 ブラッド・イン・ザ・ウォーター自分を傷付けて出血を受ける代わりに、仲間のシャークと“血の狂乱”を持つクリーチャーに“血の狂乱”と同様の状態を与える。ハート様のように血を見て「いてえよ~!
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てな具合だが、自分の血じゃなくても狂乱状態に入れるところは流石生まれついての海の略奪者。ダメージを負わずとも味方全体を狂乱状態になれるのは割と便利だ。まあ出血が止まると呪文が止まるので、本人はどんどん弱っていくのだが。他の出血ダメージが重なったりすると泣けてくる。
 ギフト・オヴ・ザ・ディープは突然変異種押しのサフアグンらしく、対象のサフアグンに突然変異種の姿と能力を与える悪夢の呪文。突然サフアグンの軍団がメキョメキョと天津飯の四妖拳よろしく余分な腕を生やすとかデッカくなるとかこのサフアグン生来目が見えぬとぬかすとかサイケにも程がある。最速でもクレ公4レベル呪文というランクの高さも納得。対象は割とポンポン増えるんで、是非とも大群の指揮官に使ってほしい。
 さて、こっから先は上記のルールとキャラクター・クラスを組み合わせた作成例。
 サフアグンの諜報員はローグのカテゴリで、サフアグンの偵察兵(2レベル、脅威度3)、サフアグンの潜入者(6レベル、脅威度7)。クリーチャーらしく手数の多さを急所攻撃で活かす上に、“ローグの技”で出血状態という選択が非常に嫌らしい。これだけの攻撃回数で殴りつけられると、流石に出血を受けずに切り抜けることは難しいだろう。ちなみに潜入者が選んだ“ローグの技”は高速隠密。なかなか半魚人の趣味は通好みだな。戦闘技術で二刀流の道を進んでいるようだが、う~んダガーを使うぐらいなら爪で二回殴ればいいんじゃ? と考えてしまうのは効率厨の思考か。
 サフアグンの略奪者はバーバリアン。被弾しやすいババリソにダメージを受けてないと使えない“血の狂乱”のシナジーもさることながら、二つのボーナスが重なるってだけでもうゲンナリサフアグンの悪漢(1レベル、脅威度3)の時点で《上級血の狂乱》まで持ち合わせて……って、殴る時のデータがハープーンしかない。そこは爪で行けよ! サフアグンの戦闘士(7レベル、脅威度10)になると四本腕でちゃんとかきむしれる……と思ったけどこいつもメインはハープーンとシールドバッシュだったり。タハー
 鮫の対話者はレンジャー。サフアグンの深海暴走狂は“鮫の血筋のサフアグン”で、“両手武器レンジャー”というちょっと意外な選択にロングスピア&《押しやり強襲》という戦術がネーミングとピッタリでグッ(2レベル、脅威度4)。サフアグンの鮫の歩哨(4レベル、脅威度6)はガラリと変わった肉体武器レンジャー
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 何故取らぬと筆者が血の涙を流して問いたかった《肉体攻撃強化:爪》もしっかり完備。そしてポーションは肉体武器全てを強化のグレーター・マジック・ファングですよグフェフェフェ。《水棲の優位》も取得とぬかり無し。できれば水中以外からまず近接攻撃を受けないであろう“鮫の血筋のサフアグン”な深海暴走狂に持ってほしかったところだが。
 サフアグンのクレリックは女性(というかメス?)限定、サフアグンの女神官が紹介されている。確か4eのEncountersでもサフアグンの神官は女だったな。サフアグンの下級女神官(4レベル、脅威度5)は過給と言いつつ4レベルなのは勿論、基本データだと13しかなかったはずの【判断力】が18まで増強されており、実は結構な使い手。当たり前のようにエネルギー放出は負のエネルギーです。【魅力】は人並みなおかげでDCがチョロいのは救い。それよりかはワンド・オヴ・キュア・モデレット・ウーンズで負傷した狂乱状態の仲間を治しまくる方が鬱陶しいか。なおこの人がブラッド・イン・ザ・ウォーターを使うので、本人にワンドは使えませんサフアグンの高位女神官(7レベル、脅威度9)となると目玉は当然ギフト・オヴ・ザ・ディープ。ジャイアント・テンプレートが付加されており、《肉体攻撃強化:噛みつき》まで取って殴る気まんまんの割と本人も武闘派だ。“先史サフアグン”でなくジャイアント・テンプレートなので、自身をギフト・オヴ・ザ・ディープの対象に出来るのもずっこいブラッド・イン・ザ・ウォーターは使わない。そういう痛い仕事は下級女神官任せのようだ。
 サフアグンの軍人はファイター。サフアグンの副官(3レベル、脅威度5)はストレートに《武器熟練》と《強打》で殴ってくる、ひさびさに登場した策や術を使わない『正統派クリーチャー』だ。上位はお待たせ、サフアグンの男爵(7レベル、脅威度9)。“武器修練”はトライデントの槍……ではなく、肉体武器。《武器熟練》《武器開眼》も爪を指定している。それもそのはず、フロスト・アミュレット・オヴ・マイティ・フィスツで肉体武器全てに1d6の[冷気]ダメージが追加されるのがミソだ。攻撃回数の多さとファイターの攻撃ボーナスの伸びを熟知したビルドである……って、だから《上級血の狂乱》まで持ってるならそこは爪×2で行けよ!(トライデントも高品質どまりだったり) 取りあえずギフト・オヴ・ザ・ディープで四本腕もらっとけ!
 サフアグンの王子はキャヴァリアー10レベル(脅威度13)の一例だけが高位だけに掲載。当然と言えば当然のようにランスと《猛突撃》が襲いかかる。ただでさえ足回りの利かない水上でコイツに《駆け抜け攻撃》されるとかもうイヤ。そんでもって乗騎のシャークの相棒もAC26とエラく硬かったり。
 サフアグンに関連するデータとして、超大型のシャークのフィーダー・イン・ザ・デプススも紹介されている。サフアグンの女神官が手塩にかけて、邪悪な儀式と13の越冬を経て誕生する改造種であるが、自分とサフアグンを対等に見なしているという、性根と同じくふてぇサメである。出血を治癒呪文で止めるのにDC20の術者判定を要求してくるとか、噛みつきを全力攻撃で2回行ってくるとか、骨の折れる誕生過程に見合った危険さで、一度噛みついた相手をブラッド・バイオグラフィで問い詰める執念深さのドグサレっぷりも実にサフアグンの一味っぽい。もちろんムカつくと飼い主のサフアグンに牙を剥きます。自発的に出血する奴までいるサフアグンと“致命出血”(出血量がどんどん増える)“血の饗宴”(近距離の出血の分だけhp回復)のフィーダー・イン・ザ・デプススってザンギエフとダルシムぐらい相性悪そう。
 サフアグンの遭遇では、紹介されてきた様々なサフアグンを使った遭遇例を紹介。やはりサフアグンの下級女神官が血を見せて生サフアグンと偵察兵が「いてえよ~!
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する深海の儀式官(脅威度8)が目を引く。できれば高位女神官がギフト・オヴ・ザ・ディープする遭遇も見てみたかったところだが、そこはGM諸氏の創意工夫を発揮する余地を残してくれたと考えましょうか。
 最後に、MCではBestiaryではカヴァーしきれなかったクリーチャーの生態を事細かに紹介してくれる。こういう豆知識がとっても楽しい。無くても遊べるが、こういう詳細な情報はそれだけでシナリオを組めるネタになるんでGMには有難い限りだっちゃ。
 それによると、サフアグンは超実力社会で海の覇権を握る戦いに身を投じると共に飽くことのない自種族間の闘争を運命づけられている。種族こそ秩序にして悪であるが、唯一の秩序は力即ちパゥワァ、武勇と武勲のみがその地位を決定するし、無能や弱みを露呈すれば地位を問わずに降格・処刑の危険と隣り合わせである。一応、王族や貴族という家柄こそ存在するものの、サフアグンの間では血筋はほとんど重視されないそうだ。PCが出会うサフアグンの男爵も、どん底から腕力と無銘のトライデントいっぽんで勝ち上がってきた、血と汗と涙の経歴を持つ筋金入りのハングリー・ファイターだったりするのかもしれない。……ところで、屠殺された男爵の息子が皿に上るってことは、サフアグンの中で共食いはフツーの行為ってことで。まあこんだけ邪悪な輩に対して今更ナニ言ってんだって感じですが。
 サフアグンは卵生で、一度に最大で200個もの卵が産卵室で三ヶ月ほどを経て孵化し、その姿はウナギの稚魚に似ているという。既にこの時点で稚魚同士の共食いが始まるというから、サフアグンの生存競争の激しさが窺える。1年が経過すると両親が帰って来て臭いで子供を識別して引き取っていく。この時養育権を主張されなかった者は兵営で育てられ、トライデントを握ることができる年頃になると即戦場へ送られる。臭いで識別できなくなることもあるというから、時には取り違えでキン肉王位争奪戦みたいな騒動にも発展してるかも
 サフアグンの成長は早く、生後半年で四肢が生え、1年以内に身長5フィートに達し、6歳の頃には元服。以後、地位が低い者は自活できなければ死んでいくし、地位の高い者でも十分な期間を持って学習と訓練を受けられるのは一部。そして暴力によって大半は三十路に至るまでに死んでいく。が、実際の寿命は不明であり、数百年王族が統治を維持しているのを見ると、もしかすると無限なのかもしれない(この辺、クトゥルフの深きものに似ている)。種族全体で見ると非常に突然変異が起きやすく、その大半は生まれた段階で死んでいくが、生き残りは神の恩寵として幼いころから尊敬を獲得するという。
 当然のことながらサフアグンは自分以外の水棲人種を奴隷か食いもんとしてしか認識していないが、アボレスとクラーケンは海の統治の最大の障害であり、仇敵であると同時に尊敬すべきライヴァルとみなしているとか。
 邪悪で凶暴な半魚人というのがサフアグンのイメージであるが、その暴力性は惰弱を嫌う先祖返り的な衝動に基づき、また凄絶な生存競争を生き残ってきた人生観の産物だろう。またその一方でサフアグンは鋭い感性を備え、軍人社会という秩序と建造物を求める、衝動的な暴力と相反する思考も持ち合わせている。統率された冷酷な計画者でありながら、些細な怒りで粗暴な殺人鬼に変貌する二面性。その矛盾が生じさせる災厄や苦悩を考えると、またサフアグンが違ったキャラクターに見えてくるかも。というか、MCの記事を読んでサフアグンがかなり好きになりました武勇を尊び、力を誇示する上っ面の裏で、内実は血と衝動に突き動かされる暴漢とか最低で最高のゲス野郎じゃん。この記事だけでもシナリオがネリネリ組めるし。弱きを克服するか、同族とサメの餌になるかを突きつけられて自棄になったサフアグンの男爵の息子が暴走する話とか。

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