D&D5e余話#120~一年とちょっと過ぎての遭遇論~

 前回の「以前の版と同じノリでやると失敗する」という話に関連して。
 4eで恐らく最も多かった失敗は、3eと同じノリで遭遇を構築したせいで標準モンスターが多数並べてしまうことではないだろうか。おかげで遭遇毎・一日毎パワーを使い切っても敵を殲滅できず、無限回パワーで延々殴りつけるだけの戦闘になって「なんか4eってタルいシステムだなぁ」と思われるケースは誰もが体験したと思われる(筆者もやらかした)。
 長い事4eを遊んだ知人氏曰く、4eの遭遇の構築は「標準(精鋭・単独含む)モンスターの数は控え目にする代わりに大量の雑魚を出す」ことが基本形、とのことだった。こうすることで遭遇毎・一日毎パワーは集中して使用することが可能になり、また被ダメージの総量は雑魚の減少によって少なくなっていくため、ミニチュア戦闘における面の攻撃が大きな意味を持ってくる。戦闘にメリハリが生まれるのだ。
 言われてみると、標準モンスターをバラバラ並べるのでは、プレイヤーも何時どこでパワーを切るのか迷ってしまうし、いざ切って失敗した場合の落胆は大きくなる。それに威力は低いが広範囲に作用する制御役のパワーも効果のほどを実感しづらい。やはりあの頃は4eのシステムの遊び込みが甘く、システムの評判にもプレイヤーにも悪い事をしたなぁ、と思い出す度反省している次第。
 となると、『シャドウフェル城の影』の滝におけるアイアントゥース(だっけ?)との戦闘は、少数の標準モンスターに無数の雑魚という構成、4eの理想形に近かったというワケだな。まあ規模に関してはまるっきり間違っているし、アレ以外の戦闘は大概タルかった記憶があるのだが(関係ないけど↑の知人氏の選ぶ雑魚は倒すと爆発するノーカーとか雑魚の分際でダメージ減少を持つとかクソモンスターばかりだった)。
 この辺デザイナーの方も4e展開当初あんまり把握してなかったフシがあり、PHB素のままで作ったロースペックなPCでACもhpも高めのMM掲載モンスターとぶつかると、標準少数+雑魚多数の構成でもタルくなる可能性は高い。攻撃ボーナスがかなり高めにでき、命中してから宣言可能なパワーを多数持つエッセンシャルのクラスで、Monster Vault掲載のモンスターと戦えば、タルいどころか手に汗握り血の涙を流す熾烈な争いになるはずなのだが。先にエッセンシャルが発売されていれば、一部の4eを鬼子のように罵る一派(と原理主義者とPFに逃げ込んだ3e残党)との溝ももう少し浅かったのではないか、と後の祭りながらつくづく嘆息してしまう。
 さて5eの話だ。
 システム全体の揺り戻しもあってか、5eの公式シナリオは往年のD&Dよろしくかなり戦闘回数が多いように感じる。3eのシナリオはあんまり覚えてないのだが、アレもこんなもんだっただろうか? 流石にクラシックかコンシューマRPGのような三歩進むとまた遭遇、なんて頻度ではな……なくもない……やめろ、そのシナリオをオレに見せるな
Hoard of the Dragon Queen (D&D Adventure)(2014/08/19)
Wizards RPG Team

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 (お茶を飲んで落ち着く)ひとつの遭遇に戦力を集中するのではなく、小出しにぶつけることで回数を稼ぐのが基本方針らしい。昔なつかしい一部屋一遭遇、みたいなダンジョンアタックを覚えておいでの方は「あああんな感じね」と納得してくれるのではないでしょうか。
 ただ、TRPG専用ガレージを持っていてリアルに途中セーブができるような、時間の使い方も空間の使い方もダダダダーイナミックなメリケンならともかく、どっちも限られている日本のプレイスタイルにはあまり合わないような気がする。まず戦闘というのはそれ自体が時間を食う。どんなに短く終えても、敵味方の配置やイニシアチブなどの手順で20分ぐらいはかかるもの。それを何遭遇も重ねるというのは、セッション時間のかなりの割合が戦闘に終始することになる。こうなると時間は勿論の事、疲れる。濃ゆい5eの戦闘を繰り返していけばプレイヤーの脳ミソは茹っていき、終盤には謎解きもボスへの煮えロールプレイも忘れて、火葬場で骨をつつき合うような筆記用具とダイスの音だけがカラコロ響く寂しいクライマックスになることだろう
 プレイヤーの体力もさることながら、PCもそんなに何遭遇ももたない。口を酸っぱくして言ってきたけれど、5eは一度崩れてからの建て直しに8時間の睡眠という結構な時間がかかる。そんなにポンポン気軽にリソースを切れるのは、かなり先の話になってくる。4eの項でも書いた通り、リソースを集中すべき場面が読めないというのは、プレイヤーとDM双方にとって不幸なすれ違いを生む。ここはリソースを投入して凌ぐ時! と判断して打ち込んだ次の遭遇がボス戦で愕然、なんて事故は小生もウンザリする程目にしてきた。体感として3回以上の遭遇というのは、間に大休憩を挟むことになる可能性がかなり高い。小休憩は言うに及ばず、ダンジョンから一時撤退して安全な所で大休憩を取るような判断も必要になるし、DMもそうしたフレキシブルな提案は認めるべきだろう。
 中には普段の遭遇からしてリソースを切らないと生き残れないような「致死」レベルを何度もぶつけながら、最後にその数倍の戦力に挑ませるシナリオもあったりするのが困ったもんですが、そういうシナリオに限って「これは一晩のうちに起こったことなので大休憩は許されない」とかいらん所だけはめざとくてねぇやめろォ! だからそのシナリオをオレに見せるな!
Hoard of the Dragon Queen (D&D Adventure)(2014/08/19)
Wizards RPG Team

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 (お薬を飲んで落ち着く)アメリカぐらいセッションの時間をたっぷり確保できるなら、それこそCD&Dよろしくベトナム戦争の若手兵士のようにバタバタ死んでも「あー死んじゃったねー」と笑って許せるかもしれんけど、月一回数時間しか集まれないような忙しい日本人ユーザでそういうプレイスタイルというのはどうだろう(それでいいというなら構わないけど)。一つのセッションに集中し、キャラクターに愛着を持つという意味では、戦力を小出しにして回数を増やすよりも密度を上げた方がいいんではないでしょうか。キャラクターが皿洗いのバイトのように入れ替わるのもそれはそれで味があるが、やっぱキャラクターは何度も使い込んで愛着を持ってナンボだと思うのですよ
 で、筆者の考えた遭遇というのがこちらで書いた通り「PCレベルと同脅威度のボス1体、PCレベル-1~-2の副官1体、あとは脅威度1未満の下っ端で固める」という編成。今回PC側のAC・火力・攻撃ボーナスがそう簡単に伸びないため、脅威度1/4~1/2の所謂雑魚でも割と長い間敵として使っていける。ACも攻撃もそこそこ、恐るべき機動性を秘めた種族特性を考えたら、ゴブリンなんかレベルが上がってからも十分後衛に対する脅威としての仕事をできるだろう。オーク、ホブゴブリンなど、かなりの猛打者がひしめいているのも見逃せない。中には脅威度1/4と言い張る明らかな詐称野郎どももいるしな呪文と毒が使えてhpもACも高いドラウとか、聳え立つクソデータの山のフライング・ソードとか。ケッ
※フライング・ソードは何度も言ってきたが、ドラウもあんだけ恵まれた性能と多芸で脅威度1/4を騙るのは相当の太さであるダークネスが使えるようになるのは、PCだと5レベルからですぜ?)。どーせジェームズ・ワイアットあたりの差し金だろう。
 あとは、遭遇の回数は普通は3回、多くて4回ってところか。これぐらいに押さえると大体戦闘にかける時間が1時間半~2時間ぐらいで、小刻みに繰り返すよりも緊張感を維持しつつ、戦闘してばっかりという印象を与えなくて済む……と思う。
 公式の遊び方を踏襲するのもひとつの価値観であるが、メリケンがそうでも我らは大和民族だけんね、日本男児には日本男児なりの遊び方があるけんね、と主張しながら、今日もそれが正しい事を実証したろやないかいと鼻息荒く来るべきキャンペーンに向けて構想と遭遇を練っている。始めたいのはやまやまなんですけど、なかなかメンツが揃わなくてねえ。
 もちろん、本国のようなTRPG専用ガレージを持っててリアルに途中セーブができるほど場所と時間の有り余っている方々は、じゃんじゃんアメリカンスタイルのプレイをしていただきたい。っていうか出来る人が居たら連絡下さい。取材に行きつつ永住する準備を整えておきます

Monster Manual (D&D Core Rulebook)(2014/09/30)
Wizards RPG Team

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テーマ : TRPG
ジャンル : ゲーム

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No title

アズマさんが悪夢にうなされているHotDQ(多少ネタバレしますが)の最初のGreenestの一夜は、我々だけでなくamazon.comとか向こうのレビューを見てるだけでもかなり賛否両論のようですね。自分のケースは、キープにたどり着くまでに4遭遇あり、この時点でリソースはほぼ使い果たし、パーティも一度全滅しましたので、あの一夜は本当に長かったですね。大休憩取れないですし、何せ1レベルですし。
メリケンゲームやTRPGではないですが、初期FC版DQ2のロンダルキアの洞窟や、これまた初期の裏ゼルダのデスマウンテンの迷宮とか、脅威の難易度に結果なってしまったアンバランス感は、逆にクリアしたときの爽快感が人一倍でプレーヤの記憶に強く残るので、ラーメン二郎のように「もう来ねえよ!」と食べ終わった瞬間は思っても、またあれを味わいたくてまた行ってしまうんですよね。
HotDQに関しては、アズマさんの感想に自分も完全に同意なのですが、現在エンカウンターズに参加してるのも、あの一夜のアンバランスな難易度(遭遇の多さと大量のコボ達)があったから、ある意味やみつきになっているのかも知れないと最近思っています。

No title

D&Dはベトナム戦争の暗喩という珍説もあながち間違いではないな、とあの戦場を見て思いました。わしもう歳なんで厳しい遭遇は腰と精神に来るんよ。
今でもアレの反応を見て慌ててDMG掲載の遭遇経験点枠を直したんじゃないかと疑っている。それにしちゃあ以後もDMGの指針ををまるっきり無視したような遭遇が作られ続けていますけど。
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頑張りましょうと言えないのがとても残念です

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