東にドミする人あれば#49~思い出にするにゃ早過ぎる!? 東方ドミふりかえり話 前編~

 だいぶ東方ドミの頻度も減ってしまった。遠ざかっていたせいかゲームシステムを聞かれて「3d6の下方修正じゃなかったっけ?」とか答えてしまうぐらいサ。嘘だけど。あとこれはオレの得意ギャグなので気に入ったからってパクらないように。
 発売当時のデッキ構築型ゲームフィーバー(死語)は凄かったな。まるでTCGブームの再現を見ているかのようだった。「一体これどの辺にデッキ構築型にする意味があるんだろう……」と首を捻るような題材も散見されたりしたもんよ。MTGはデッキが魔術書で、プレイヤーは魔術師となって一枚一枚ページをめくりながら(カードのドロー)呪文を唱えるという設定だったように、ドミニオンにも資金(リソースカード)を使って人材獲得や策謀を進め、領土を広げていくというシステムに合致したバックグラウンドがあった。そういう、運用に直接関係しないけれど、そのシステムでなきゃダメという必然性を伝えてくる雰囲気づくりも大事にしないとダメやとあっしは思うのですが。
 地霊殿編が発売されてから1年と半年が過ぎた。なんか三年ぐらい前に発売された気がするのだけれどまだそんなもんか。新作の音沙汰はないし、デッキ構築型フィーベルもすっかり鳴りを潜めた感がある。まあ妖々夢編が出るまで一年ぐらいかかったりしてるので、新作が出ないわけではないと思うのだが。元ネタにもちょくちょく東方ドミに参入しても問題なさげな気がするカードもあるし。まあそういうカードはえてして地味で商品的イソパクトに欠けるものではありますが。コイントークンとか勝利点トークンとかポーションとか余計な物が増えてきてたのも、地霊殿以降展開がない原因なのかもしれない。
 百万回遊べるゲームという売り文句に偽りはなくまだまだ遊べるし、元を取るぐらいの回数は遊んだ気がする。買ったきり遊ばないTRPGのシステムとかと比べれば(本棚に並んでいる1999年~2000年頃発売したタイトルを眺めつつ)。ただ飽くることなく東方ドミに打ち興じていた頃と比べると、デッキ構築型ゲームのブームと共に自分の中でひと段落した感もあるんで、今回はちょいと振り返りモードの記事です。

●紅魔郷編
東方祀爭録 ~東方紅魔郷編~()
ドミニオン

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 筆者はだいぶ展開が進んでからドミに触れたクチであるが、いや誕生時を知る人にとってはそりゃあデカルチャーな新ジャンルの登場に「オラァぶったまげただ」と無意味に訛ったことであろう。ただでさえ楽しい楽しいTCGの「デッキ構築」という過程をシステムに取り込むというこの死角からの発想。『パンデミック』がなんでドイツゲーム大賞を逃してるんだYo! と憤怒した筆者であるが、その理由がドミニオンという超強力なライバルがいた、と聞かされればグウの音も出ない。東方ドミを初めて遊んだ時に走った「これは時代が変わる!」という直感は、この先そうそう味わえないであろうな。まあ本家ドミニオンの方はシステムを呑み込めないまま《鍛冶屋》にボコられたのに腹を立てて離れちゃったんだけどさ。
 たまに初心に帰る意味で紅魔郷編だけで遊んでみると、すごーくのどかなゲームでビックリする。コンボといっても《魔法の森》の後に《禁忌「レーヴァテイン」》とか、《博麗神社の巫女さん「博麗霊夢」》の後に《信仰を量る賽銭箱》ぐらいで、最近のゲーム風景にありがちなヘンタイ的挙動なんて入る余地もない。なんだか心が洗われるようで、やれ《豊符「オヲトシハーベスター」》だ、やれ《呪精「ゾンビフェアリー」》だ、と騒いでいるが、俺たちは《知識と日陰の少女「パチュリー・ノーレッジ」》の強さを再確認すべきではないか、と主張したくなる。もっとも、基本と言っても基本だけにカードのクオリティは今でもシンプルに強い、一線級で戦えるものが揃っている。《小悪魔》《奇術「ミスディレクション」》《博麗神社の巫女さん「博麗霊夢」》この辺は俺の中で永遠のエースって感じですな。
 それと、本家ドミの基本セットに入っていたちょっとアレなカードとコスト⑥のカードを抜いて、比較的大人しいカードを後のセットから引っ張ってきているあたりも配慮が感じられて嬉しかった。この辺の選抜は、流石MTGで鍛え抜かれた方々が関わっていただけはある。言うてもプロモで《割と困ったちゃん「八雲紫」》が加わったり、地霊殿編で《破壊工作員》が解禁されたりするまでの話だったけどね。
 ただ《恋符「マスタースパーク」》があると、先手が超有利になるのは本当になんとかしてほしかったが。これから先も、後手のフォローが勝利点集計時に有利以外「特にありません」のままにしてしまったのは、ドミニオンのアキレス腱だと思う。あと《神槍「スピア・ザ・グングニル」》でソロプレイゲーになるのは許さへんよ。本当にアメ公は自分で作ったゲームを壊すのとソロプレイが大好きなんだな(暴言)。MoMaとか見てるとそう思う。
 リソースが出ない時についつい《お賽銭》を買っちゃうのは初心者あるあるってやつね。嗚呼あの頃には戻れない。

○妖々夢編
東方祀爭録 ~東方妖々夢編~()
東方Project

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 基本で形作られたゲームがこれでブァーっと広がった感じ。《罔両「八雲紫の神隠し」》の使い方を悟った時、次のステージに上がった気がしましたね! デッキの回転や廃棄といった戦術そのものを考えさせられるカードが一挙に追加されて、しっかりした土台が紅魔郷で築かれた上に、絢爛豪華な東方ドミの可能性がここに花開いたと言えるでしょう。
 カードの幅の広がりも素晴らしい。ドローとアクション、それに仮想コインの組み合わせという組み合わせの中でいかにしてバリエーションを増やすか? 二つ目のカードセットにして、既にその発想の自由さが如何なく発揮されている。《知識と日陰の少女「パチュリー・ノーレッジ」》からコストを下げつつ「手札を1枚戻す」という要素を加えることで《騒霊キーボーディスト「リリカ・プリズムリバー」》新カードにする、このヒネリ具合を思いつけるところが凡人とゲームデザイナーの一線なのでせう。しかもこのちょっとしたヒネリを戦術に転化できるのもまた、ドミニオンというゲームの奥深さが提示されていた。《すきま妖怪の式「八雲藍」》のように、ドミニオンのルールをほんのちょっと覆すカードのハッタリと実用性のバランスが絶妙なのも好感度大。持続カードはちょっと忘れやすかったかな。
 今でも大好き《幽明結界》にドローに防御にデッキ操作となんでもござれの《式輝「プリンセス天狐 -Illusion-」》、アタックカードじゃないから防げない《普通の黒魔術少女「霧雨魔理沙」》と二番目のセットにして味のあるカードが揃っている。《楽園の素敵な巫女「博麗霊夢」》みたいな珍カードもボチボチ顔を出し始めた頃ですな。
 でも《罔両「八雲紫の神隠し」》《神隠しの主犯「八雲紫」》《割と困ったちゃん「八雲紫」》要するに紫関連のカードは全部よくなかったと思うんだよ! 《罔両「八雲紫の神隠し」》のおかげで高速圧縮が可能になったのは評価するが、②で4枚破棄はやり過ぎ。《神隠しの主犯「八雲紫」》はまだしも初手から買える《割と困ったちゃん「八雲紫」》にはノーコメント何故デッキ構築型ゲームなのにアメリカ人は他人のデッキを滅茶苦茶にするカードを入れたがるのかまあアメリカのゲームデザイナーがゲームを作るのは上手でも回すのはヘタクソというのは某システムの販売展開とか某システムの公式シナリオでワカっていたことですが。すまん言い過ぎた。

●特別拡張編
 筆者の記憶が確かなら、東方ドミに初めて触れた時はEXTRAこと特別拡張編まで出ていた。
 そんな初めて触れた時分だったのに言うのもなんだが、個人的に東方ドミを一番落ち着いて楽しんでいたのって、この特別拡張編が出てた頃だった気がする。紅魔郷編で作られた基本を妖々夢編で広げて、それを手堅く確固なものにしたのが特別拡張編って感じ。カード枚数はそれほど多くなく、派手な効果も少ないのだけれど、それだけに紅魔郷編・妖々夢編で登場したカードの蓄積を反映したような
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 というカードが多く、ひねくれ者の筆者には一際楽しめたカードセットだった。一番好きなカードが《幽明結界》なら、一番好きなカードセットはこの特別拡張編。
 《四季のフラワーマスター「風見幽香」》《伝統の幻想ブン屋「射命丸文」》のような強さと脆さがはっきりしたカード、コンボパーツ《降り注ぐ星の光「スターサファイア」》《静かなる月の光「ルナチャイルド」》、安心の防御カード《小さなスイートポイズン「メディスン・メランコリー」》、どれも「おーこれは新しい!」という驚きより、「ああそういえばそんなカードがあってもいいよねぇ」という、痒い所に手が届く感がカードセット全体にあってええ塩梅。カードの一つ一つがデッキの軸になり得るギミック搭載なのも高評価である。《紅魔館地下室》《すきま妖怪の式の式「橙」》に続いて、⑧を出すことのみを最終目標にしない《有頂天》デッキの、どれほど《有頂天》を集めつつ他の勝利点を買いながらデッキを回すかのアツイせめぎ合いの興奮は忘れ難い。筆者の得意技は《今どきの念写記者「姫海棠はたて」》を使用したデッキ操作&高速回転であるが、デッキを高速で回す割にカードをさばく時間がひじょうにかかるせいで、あまり周囲の評判はよろしくない。本人も疲れるので最近はあまりやってない。
 手札or山札を自発的に落とすカードがサプライにあると途端に安易なゲームになる《無縁塚》はちょっとアレだが。また初手で買われると防御手段が無い《三途の水先案内人「小野塚小町」》には使う輩にブーイングや飛び蹴りやパイプ椅子が飛んでいったものであるが、後に風神場になると《御神札》を奪えないことで評価ガタ落ち、下位互換呼ばわりされていた《奇妙な魔法使い「霧雨魔理沙」》が脚光を浴びるようになったのはこれぞメタゲームの妙。どっちのカードも他人のデッキを滅茶苦茶にするカードなんで俺は嫌いだけど。

 今回は前編なのでここまで。特別拡張編が「一番落ち着いて楽しんでいた頃」だったように、ここから先は引き返すことのできない修羅道に突き進んでいくことになる。その悪鬼羅刹も泣いてゲザる冷酷非情悪辣無惨弱肉強食焼肉定食大盛無料我欲回鍋肉っぷりは次回にて。
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