クトゥルフ神話TRPGヨタ話#74~クトゥルフセッションレポート『渇きの泉』・後編~

 その体は小さな子供くらいの大きさしかなかったが、千年も経ったミイラのように干からびていて、シワだらけだった。毛が一本もない頭にも、骸骨のように細い首の上についている目鼻立ちのない顔にも、無数の網目状の筋がついていた。体は一度も呼吸をしたことが無いシワだらけの中絶胎児のようだった。先端に骨のような鉤爪のついている管状の腕は、まるで永遠の手探りをしている形で強直しているかのように、前に突き出されたままになっていた。
 ―クラーク=アシュトン=スミス『塵を踏むもの』―

 見た目は美少年、中身はじじいというがっかり系黒幕とわかったところで、さあ対策を講じなければならない。
 伝承が本当なら、泉の水を飲んだ真人あらため斉市は不死になっている。が、飲まなければ柳川や秋島のように、急激に老化してしまう。そして泉は汚すことで涸らすことができる……ここに解決策がありそうだ。
吉良「秋島さんは資料を探れ、って言ってたからその中にヒントがあるんでしょうが……」
内川「家系図、研究ノート、それに写本か……写本が西洋の書物ってことはわかるんだが、英語じゃなさそうだな」
KP「ですね。〈ほかの言語:ギリシャ語〉に技能ポイントを振っている方は」
一同「いませーん」
KP「まあ、そうですよね(持ってると警告ナシに読む恐れがあるしなぁ)」
穴木「家系図とか研究ノートはともかく、外国語になってると私ら見当もつきませんからねぇ」
 前回千代が話した、銀鮒の言い伝えに加え、研究ノートは主に中国の不老不死伝承に関しての記述が多数見られる。また、家系図には幡 斉市の一族のルーツが記されており……その頂点には徐福始皇帝より不老不死の探求を命じられた者の名があった。彼の一族の中には、前々回のレポートに登場した羽田貞義の名前もある。幡もまた、邪悪な手段で不老不死を追及する一味だった。
 そして、始皇帝が目指していた不老不死の完成形……水で濡れず、火で焼かれない超人、それは“真人”と呼称されるのだ。
 研究ノートの後期に度々登場するのが写本についての言及であるが、言語が言語だけに三人には理解できない。
吉良「秋島さんってギリシャ語の辞書を持ち歩いていたんですよね。なら、それで訳せたりしないんでしょうか」
KP「可能ですな。辞書を片手にタイトルを訳すと、『カルナマゴスの遺産』という本を写したものでした。……では、〈オカルト〉ロールを」
吉良「……また01で大成功。これまでの出目がウソのようだ」
KP「凄い、吉良さんの頭脳がキレッキレだ。えー、そこまでの成功ならかなり具体的な書物に関する噂を聞いたことがありますね。噂によると、読んだだけで年を取ることがあるとか
内川「……まあ、写本だからきっとそんな呪いがあるワケないよハハハ」
穴木「ですよね! じゃあ、皆で手分けして訳していきましょう」
KP「(ぜ、全員で読むんだ)……では皆さん1D10をロールして下さい」
穴木「え? 私3」
吉良「9でした」
内川「同じく」
KP「……穴木さんは3歳、吉良さんと内川さんは9歳年を取りました
一同「えええ―――!?(ガビーン)」
穴木「せ、成人式を迎えてもいなかったのに……」
吉良「アンタなんかまだええやろがい! コッチは花の二十代が終わったんやぞ!?
内川「これ職場に戻ったら、絶対人が変わったと思われるよなぁ……」
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 状態に陥ってしまった三人。まぁ、「読むか?」って聞かれたら読むよなぁ。一応、研究ノートだけでも不完全な形でヒントは得られたのですが。
 なお本家だと10年固定で年を取るとさらに容赦がなく、これでも控え目だったりする(20%の確率でクァチル・ウタウスが来るのオマケ付き)。……リプレイの人達は大丈夫だったんだろうか。なお、スマホで翻訳サイトを使うことも想定していたのだが、その場合はスマホが経年で劣化、バッテリーも尽きて使用不能になる予定でした☆(ゝω・)vキャピ
 まじめに辞書で訳すと言ったから、これはこれで良かったのか悪かったのか……。
吉良「そういえば千代さんは大丈夫だったの?」
KP「全然変わってないっすねぇ。皆さんの突如の加齢で仰天していますが」
内川「元から時の流れから外れた人だから大丈夫なのか……」
穴木「いやそれ以上考えるのは正気度が減りそうだからやめときましょう」
KP「あ、一瞬で年を取るという体験は当然ながら正気度ロールの必要があります」
一同「当然だよコンチクショォ―――!」
 さて若さと正気度を犠牲にして読み込んだだけに、目当ての情報は入手できた。
KP「例の泉ですが、『カルナマゴスの遺産』に出てくる、クァチル・ウタウスという存在の力を借りて作りだしたもののようですね。クァチル・ウタウスというのは時間に何らかの影響を与えることができるといいます。不老不死は、時間の停止という形でクァチル・ウタウスの力が顕現しているんでしょうな。クァチル・ウタウスと契約すると全ての形態の死から守られるといいますから、飲むと不死になる水というのは、その応用でしょう」
穴木「んで、その水を涸れさせるにはどんな手段があるんでしょ」
KP「クァチル・ウタウスの力から身を守る、ないしは力を弱める方法として、“ナコトの五角形”というものが掲載されています」
pnakotic.jpg
KP「ナコトの五角形は遼丹という精神的な時間旅行を可能にする薬を使う際、時空を超えて襲ってくる外敵(ティンダロスの猟犬など)から身を守るものです。写本や、研究ノートに記載されているのはそれを利用し、五角形の中でクァチル・ウタウスの力を弱めたり、クァチル・ウタウスが出現した際の被害から身を守る避難所にしたりすることが可能だそうですね」
内川「クァチル・ウタウスの力を弱める……ってことは、泉をその五角形で囲えばいいのかな」
吉良「しかし、五角形を作るといっても……あ、それが泉の周りの杭か!
穴木「あれを抜いたから、クァチル・ウタウスの力が戻ったってことですかね(正解。後に斉市は《クァチル・ウタウスの契約》を行って水銀の泉を作った)」
内川「でも注連縄は……俺らワー○マンで山用装備を買ってあるから、その中からロープを出せばいいか
KP「本当は千代さんに頼めば持ち出してくれるはずだったんですが」
吉良「五角形の見本を持っていきたいところだけど……なーんか写すだけでも悪いことが起きそうな気がするなー」
KP「〈オカルト〉に大成功している吉良さんは、『カルナマゴスの遺産』を読んでいると、うっかりクァチル・ウタウスを召喚する“禁じられた言葉”を唱えてしまう可能性があることも聞いたことがありますな(今回は写本なんで一回目は免除されてます)」
吉良「ヒェエ……ますます読み返したくねぇ……ん、そういえば五角形というと私ら見たことがありません?」
内川あ、あの旅館で見た器だ! アレと見比べてみます」
KP「バッチリ符合しますね」
穴木「よし、これで見本を持ち歩けるんで正確な五角形が出来そう」
内川「ちょうど四個一セットで買ったんで一人ずつ持ち歩けるし」
KP「すごいな、ロープといい器の数といいKPも全然想定していなかったのに全て場に適した事態になっている。あ、ただ、クァチル・ウタウスの契約は破棄されるとクァチル・ウタウスの怒りを買う可能性があり、その場合クァチル・ウタウスが出現します。その際、時間の進行に異変が起きるとか。出現する際は周囲の時間が猛烈に加速するそうです。また、クァチル・ウタウスの契約者がいると、クァチル・ウタウスはその人物を連れていくといいます
穴木「出た時の対処法も用意した方がいいってことね」
内川「よし、となれば善は急げ。すぐに泉に行きましょう」
 山小屋の倉庫からカケヤを持ちだし、泉に急ぐ。まずは泉の近くに四人が入れるほどの大きさの五角形を作り、クァチル・ウタウス出現の際の避難所とする。続いて泉の周囲に取り掛かる。
KP「泉の中の杭は手を付けられていませんが、注連縄は消えています。なので、ロープを投げて引っ掛ける必要があります」
穴木「右下に杭に引っ掛けられそうもないのが一本あるんだけど」
KP「まあ、それは正しい方向に投げられれば良いとしましょう。泉の水が水ですから、沈んでいくこともないでしょうし」
 そうして二本ほど打ち込んだ所で、山小屋の方角から飛来してくるものがある。
KP「クジラのようで真黒な皮膚の、翼と尻尾を持つ無貌の者が二匹、小さな人物を抱えながら泉に向けて降下してきます。さてこの中で夜鬼を見たことが無い人は……」
吉良実は私、直接見るのは初めてなんだよねぇ……フゥ、正気度ロールには成功したんで狂気には陥らない」
穴木「あれ、ぶら下がってるの斉市だよね。なんだ、アイツも夜鬼にとっ捕まる方だったのか?」
KP「いや、運搬してもらっているんです。夜鬼は泉の反対側に、手を離して斉市を落とします。高所から落下したんで、子供の体の斉市は、グシャッと音を立てて衝撃で体が潰れ、血だまりの中に沈みます」
吉良「潰れてんのかい! どうせ落とすなら安全な高度にしなさいよ!」
KP「いやいや、そんな気遣いはしんぱいごむよう。何故なら、どんなに傷ついたところで斉市には関係ないんですから……斉市は首や手足があり得ない角度で曲がっているのに、何事も無かったように、ギクシャクとした動きで立ち上がってきます」
内川「うげ、そこまで人間やめてたのか……」
真人あらため斉市「これぞ水で濡れず、火に焼かれず、死を、時間を超越した“真人”のあるべき姿……その素晴らしさ、美しさを理解できぬ者どもは、死ぬがいい!
 斉市の指示に従って、夜鬼は三人に向かって襲い掛かる。さらに、何かの前兆であるかのように、夜の闇にも関わらず、頭上からは月の光以外に、灰色の輝きがわだかまっていたのであった――。
 さて、五角形を作りながらも戦わねばならない局面。杭を打つにはSTRロール(カケヤがあるのでボーナス有)で、ロープを結ぶにはDEXロール。攻撃や〈回避〉を放棄すると、杭かロープの判定を一回余分に行うか、ロープを確実に結ぶことができる。作業中〈幸運〉ロールに失敗すると、泉の水に触れてしまう。再度〈幸運〉に失敗した場合は、皮膚に直接触れてしまうことになり、一時的にSTRとDEXが1点低下する。
 最初は、誰かが夜鬼や斉市を引き付けて時間を稼ぎながら、五角形を素早く作ることを想定していたのですが……。
穴木「立ってる杭にロープを結びつつ夜鬼にカポエイラ蹴りします!」
内川「杭を打ちつつ夜鬼を柔道で投げ飛ばします!」
吉良「杭を打ちつつ夜鬼に特に〈武道〉はないけど殴りかかります!」
KP「えーと……夜鬼は超自然的存在なんですけど……2ポイントの皮膚しか装甲ないって書いてあるな」
 まさかの全員ダメージ・ボーナス持ちの上に、攻撃手段の成功率が内川は70%、穴木・吉良に至っては80%という超肉弾戦探索者猛然と夜鬼を殴り飛ばしにかかる。全員戦闘能力持ちという時点でイヤな予感はしていたんですが。一方夜鬼は超自然的存在は超自然的存在でもBRPのデータらしく30%というトッポイ命中率で、一度も組み付けることなくサンドバッグと化す。
 しかし肉弾戦だけがクトゥルフではない(っていうか普通クトゥルフはこんなに肉弾戦ばっかりじゃない)、往古の時代から禁断の知識を受け継いできたカルティスト・斉市には呪文の知識がある
KP「穴木さんと内川さんは聞いたけど、吉良さんってAPPいくつですか?」
吉良「14ですよ。割と高い方」
KP「ウ~ム、SIZ19でも美形は美形だしなぁ。斉市の性格から考えて、やっぱり攻撃対象からは外すよな。となると、やっぱり狙うのはさっきから物凄い蹴りを放ってる穴木さんか物凄い投げを打ってる内川さんか」
穴木「なんだとこの野郎! APP12以下は人間じゃないってのか!」
内川「それにしてもこれほどまでにAPPが意味を持つセッションは初めての気がする
KP「オレもそう思う。というわけで、クァチル・ウタウスの話が出たのなら、この呪文を使わずにはいられますまい」
斉市「(吉良に)貴方は、その美しさを後で永遠に保存してあげよう。だが、貴様は別だっ! 穴木さんに向かって《クァチル・ウタウスの接触》こと《手足の委縮》を使用!
穴木「ゲゲエー! なんて危ない呪文を使いやがる!(KP経験が多いので、やばい呪文は一通り知っている)」
KP「つってもコレ、マジック・ポイント消費がめちゃめちゃ多いのにマジック・ポイントの抵抗ロールなんすよね……8点も使うから、7点しか残ってないよ」
穴木「それでもかかる可能性が30%はあるんだよなぁー……危ねぇー、1差で成功」
KP「ちゅうかこんな呪文を探索者のMPを消費させた後使っちゃいけないと思うのですが
※シナリオ解決に必要なアーティファクトでMPを削った後に《手足の委縮》を使用したリプレイがある。もちろん内山先生作

 冷や汗をかかされる一面はあったが、怒涛の勢いで夜鬼を打ちのめし、たちまち敵は斉市一人になってしまう。その間にも作業は進んでいたのだが、どうにも縄を結える判定に失敗が多く、ロープはその辺にだらんと投げ出されたままだったり。水に触れる判定は全員POWが決して高くないにもかかわらず、太い強運で穴木と内川の服に一回触れただけ。
吉良「夜鬼弱かったネ」
穴木こんなに物理手段で解決できたのも初めてかもしれない
KP「やっぱり貫通する武器は最低限のダメージとか、物理ダメージは半減とか、それぐらいは無いと駄目っすねえ。が、斉市はまだまだ健在ですぞ」
内川「実はあいつ〈組みつき〉に行って押さえつけた方がいいんじゃないかな」
KPばれちゃしょうがねえ(子供なのでSIZ6、STRも低い)」
内川「……うっ、しかし〈組みつき〉に失敗した」
KP「ならば斉市は《ヨグ=ソトースのこぶし》を使用! 通らば即気絶、そうでなくとも強制移動なんで間合いが稼げる」
吉良「それ、角度によっては泉に落ちることになるな
KPそれいいねえ。でも向かってくる方向的に今回はムリなんで、次そうしよう。で、マジック・ポイント1点につきSTRが1D6か……かなりマジック・ポイントがきついので、3点ぐらいで。おっ、3D6の結果が14だから、かなり上等な方ですな。で、内川さんは……え? CONとSTRの合計値で抵抗? ……こんなにショボイの?」
内川「合計値が26だから、それ自動的に成功するぞ」
KP「も、もっと盛大に叩き込むべき呪文だった……中途半端に使ったせいで、残りマジック・ポイントを全部使っても通じる気がしないし……うわーん」
 やむなく斉市はナイフを取り出して刺しに行くが、軽くいなされた挙句内川の柔道殺法の餌食となって大地に叩きつけられる(内川「気絶させたりできんのか?」KP「その手の攻撃は対人限定っすからな」内川「人間やめてるしなぁー」)。しかし不死の斉市はしぶとくグシャグシャになった体を立ち上がらせ、執拗に邪魔をしてくる。戦局は決したも同然なので、こうなれば五角形を完成させるのを優先したいところだが、例によってロープ投げに手間取り、なかなか作業ははかどらない。しかも……頭上の灰色の光は、今やはっきりと目視できるほどになってきていた!
穴木「ウギャアーなんかもうだいぶ近くまで接近していらっしゃる!?」
KPこっちから呼んでなくても、『カルナマゴスの遺産』を読んでると来る可能性はあると言いましたなぁ」
吉良「ヒィイー早く早く! このまま中途半端な五角形のままだと我々もどうなるかわかりませんよ!」
内川「倒すのは諦めて押さえ込んでいるから、五角形の完成を! あと一本でできるんだ!」
穴木「……しかし、私が一番最初の行動だから、そこで完成させると皆が避難所に逃げる間もなくクァチル・ウタウスが来る可能性があるんじゃ……それならばまだ早い! ここは組みつかれている斉市を蹴って行動を封じます!
KP「え、えー、〈回避〉もできないからもちろん命中ですね(引いてる)」
 縦四方固めで押さえ込まれている十歳児の頭部にサッカーボールキックという、倫理的に非常にアレな光景なのですが、ともかく斉市の頭部はゴキャッと音を立てて回転し、一時的に動きを止めることに成功。その隙に吉良や内川は避難所に向かって下がり、次ラウンド頭で穴木が最後の杭を打つと、彼女も一目散に走り去る。
KP「無事、全員避難所に入ったところで、空から灰色の光線が泉に向かって降り注ぎます。その光に乗って、子供ぐらいの大きさの影が降りてきます……それはまるで胎児がシワクチャになったミイラのようで、顔立ちも表情も、網目状に走った皺のせいで判別できません。鉤爪の備わった両腕は前へならえ、をしているかのように突き出されています。それを見た斉市は、血相を変えて呪文を唱え、木々の間から増援の夜鬼を呼び寄せるのですが……その腕に触れられると、夜鬼は一瞬の内に塵と化します。あれに死という概念があるのかはわかりませんが、一瞬の内に存在も許さないほどの時間が過ぎた……ということでしょうね」
吉良「うわぁ……本物が来ちゃったよ。五角形が完成していてヨカッタ」
KP「そうですね。避難所の外か、五角形が完成しないで顕現されると、正気度が1D6/1D20減りましたので。皆さんはナコトの五角形に守られているので、1D3/1D10で済みます
一同「それでも多いよ!」
穴木「よっし、私は成功!」
内川「失敗したが……3点で済んだ」
吉良「ぐはっ、7点の損失……相変わらず出目が極端過ぎる。しかも〈アイデア〉に成功してるんで、一時的狂気に陥ってるし」
KP「吉良さんはクァチル・ウタウスの本質的な性質、時間を超越した場所、暗黒の辺土に棲むものの到来を把握してしまいましたな……というわけで初一時的狂気、〈クトゥルフ神話〉+5%をどうぞ」
穴木「(表を見ながら)この中で一番悪い結果は……2の全力で逃げ出そうとする、ですなぁ」
吉良「そういうことを振る前から言わないで……ほら2が出たし!
KP「((((;´・ω・`))) あと、その出現に応じて、水に触れた人は引っ張られるような感覚があるんですが……結局、失敗してるのは内川さんと穴木さんが一回だけ、しかも直接触れてはおらんのよな。SIZ6との抵抗判定に失敗すると避難所から出る恐れがあります」
内川「7差だから、流石に失敗しないと思いたいが……うん、大丈夫だ」
穴木「私SIZ17だから自動成功です」
KP「吉良さんの19に霞がちだけど、そういえばこの人も人類の限界値に近いんだった……が、問題は逃げ出そうとしている吉良さんと、猛烈な勢いで引っ張らている千代さんですな
内川「なんだとぉ!? そうか、千代さんも泉から上がって来たからか! ええい、俺がしがみついて止める!」
KP「なら、今度はSIZ15との抵抗判定です」
内川「く、苦しい……うおお、失敗した!」
 ジリジリと内川は避難所から引き剥がされようとする。
千代「内川さん、離して下さい! 私は一度死んだ人間なんですから、戻るべき所に戻るだけなんです! このままでは貴方まで死んでしまう……」
内川「何を言うんだ! 俺は一緒に東京に行こうと言った、その約束は守ります!」
穴木「そうですよ! サイケな口紅でメイクしようって言ったじゃない!」
KP「穴木さんの言葉はびみょうにイイ話なのかそうでないのか難しいけど、そうまで言われたら千代さんは内川さんに身を委ねますね」
内川「ようし、今度こそ抵抗成功! もう大丈夫だ!」
穴木「さて問題はSIZ19のこの方なんですけど」
吉良「そらもう全力も全力で避難所を突き破ろうとしてますけど(もうヤケクソ)」
穴木「内川さんは千代さんで手いっぱいだし、私じゃ止めようにも分が悪いし……やはりここは手加減しながらのカポエイラ蹴りしかない! お願い吉良さん、正気に戻ってぇ―――! ダメージは14点!」
吉良高ッ! 普通に受けてたら死んでますやん!」
KP「えー、で、では穴木さんの蹴りが吉良さんの意識を断ったということで(呆気に取られてノックアウト攻撃のルールの確認も忘れている。まあ吉良さんのCONは6なんでほぼ成功していたでしょう)」
吉良「耐久力MAXを2点も上回ってる打撃なのでそれはもちろん……ぱたり」
内川「ミルコのハイキックを受けたように、見事に縦に崩れたな」
 さて、もう一人クァチル・ウタウスに引きずられる人物がいる。
KP「倒れていた斉市は、凄まじい力で泉の中央へ引っ張られていますね。爪を地面に立てて抵抗するけど、むなしくずるずると土に掻き跡を残しながら引き寄せられていきます」
内川「あんだけ水を飲んでればなぁ」
KP「その間にも、見る見るうちに斉市は年を取っていきますね。少年から青年へ、そして青年から中年、そして実際の年齢を超え、枯れ木のように痩せ細った老人になりながら、斉市は叫びます――」
斉市「た、頼む! 助けてくれ! 助けてくれれば、望みの物をくれてやる、金も、名誉も、永遠の若さも――!」
穴木「うーん、全部いらないかなー」
斉市「あ、ああぁ……“真人”に至ったこの私が、何故このような……」
 斉市の体は地面の上を転がって、やがて強制的に立ち上がらされ、クァチル・ウタウスの前に直面することとなる。斉市の顔は、恐怖と、後悔と、絶望でクシャクシャに歪み……それはまるで、クァチル・ウタウスの写し鏡のようだった。
KP「クァチル・ウタウスの爪が斉市の肩をトン、とつつくと……まず斉市の皮膚が一瞬で全て塵と化して、骸骨と臓腑だけの姿となります。その直後、残った骨と内臓も崩れ去り……後には、銀の泉の上に、一山の塵が残るのみです」
内川「正気度がまた減りそうな光景なんだけど大丈夫なんかな……」
KP「クァチル・ウタウス本体を直視していることに比べれば些細な事なんでこれ以上の正気度ロールはねえっす。そして、クァチル・ウタウスは斉市だった塵の上にほんの少しつま先を埋めて足跡をさくりと作り……後、来た時と同じように、灰色の光線に乗って、天へと昇っていきます。クァチル・ウタウスの姿が消えると、泉は濁ったただの水に変わります。張力を失い、水面に乗っていた塵も水に沈んで、散っていきます」
 こうして、銀鮒を巡る怪異は終わりを告げた――。

内川「何はともあれ、これで一件落着かあ」
吉良「9年一気に年を取った件は全然解決してないけどな。なんて言い訳すればいいんだろ」
KP「あと、秋島さんの遺体をどうするかですね」
穴木「絵と一緒に荼毘に付すとか」
内川「燃えんだろ! 火力が足りんてば。仕方ないから、その辺りの林に埋めるか
吉良「いいのか」
KP「いや死体処理的法的にメッチャよくないと思うんですけど」
穴木「で、内川さんはいつ千代さんと結婚するんですか」
内川「うーん、明日かな
吉良「早ッ! もうちょっとこういうことはお互いの意志とかなんとか」
KP「まあ千代さんは内川さんの望むままに、って感じですね」
穴木「明日は会場とか人員とかの問題で無理として、とにかくめでたい。しかし千代さん、戸籍とかどうするんでしょうかね?」
内川「それは警察の権限でうまく偽造しておくからいいんじゃないのか」
吉良「いいのか」
穴木「あと……クァチル・ウタウスの力で蘇った人って、果たして年を取るんですかね? 『カルナマゴスの遺産』の効果もありませんでしたし」
吉良「年を取らないとしたら、また徐福の一族が目を付ける……ってこともありそうだよね
KP「以前の徐福話にあった、八尾比丘尼のような存在に千代さんがなってる可能性はありますね。その結論は、非常に良いシナリオソースになることですし、また後程ということで」
 15年ぶりに開かれた幡 斉市の個展は盛況であったが、開催者の柳川の怪死という事故に見舞われた上、幡本人がまったく現れず、マスコミが突き止めたG県K市山中のアトリエにも不在で所在を掴むことすらできなかった。結局センセーションを巻き起こすには至らず、謎多き画家はやはり多くの謎を残したままに終わった
 ひとたび賑わわせた幡の名前が人々の頭から忘れ去られようとする頃、東京某所で行われた結婚式には、惜しみない祝福の言葉が交わされていた。その式の間、幸福を噛みしめている新婦に、式場の外から不気味な視線を送る者がいたとも言うが――その野心は、別の機会に語られるべきであろう。

(完)

※本シナリオはRole&Roll17~18号に掲載されていた『クトゥルフと帝国』リプレイ『渇きの泉』を、舞台を現代にした上で独自に手を加えたものです。流石に公式はよくできている、と一同唸る高評価でしたので、興味がわいた方は該当する号を探してシナリオ化してみては如何でしょうか。『汝は悪臭放つもの』のように、再掲されていないシナリオもR&Rには多いのDA!

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