D&D5e余話#112~一年過ぎての遭遇論~

 PHB発売以来一年に渡りちょくちょく5eを遊んできて、いろんな遭遇を目にしてきた。自分で組み立てたこともあれば、PLとして組み合ったこともあり、色々感じ入る(あるいはかなり腹を立てる)ものがあった。
 およそ一年前にマスタリングについては雑感を語ったことがあるのだが、大体あの時と意見は変わっていない。D&D最初のシナリオはアレという伝統、てなヨタ話にも。加えて、あの時は1レベル環境でしか遊んでいなかったのが、今では4レベルまで体験談が広がった……つっても4レベルだけど。5eは4レベル以降のレベルアップが遠くてねえ。そんなにワシャワシャ遊ぶ時間がないのよ。
 で、それでも多少はレベル帯を広げての遭遇を経験できたことで、あらためてDM、特に遭遇にフューチャーした論を考えてみたい。↑で書いた通り、5レベル以降は未プレイなので、そっから先は意見も変わるかもしれない。

1.PCレベルと同脅威度が出てきただけで大激戦
 3eや4eとの一番大きな感覚的な違いがコレだろう。かつてはPCレベルと同脅威度の敵というと、どうにもチョロそうに感じられたけど、5eではそうも言ってられない。DMGのXP閾値を見ればわかる通り、1体だけでも同じレベルのPC4人に対して「標準~困難」の間の戦いができることになる。なおPCが1レベルの場合、「標準~困難」というのはウソだ。脅威度1になると大抵は上等なhp・AC・ダメージのいずれか2つは持ち合わせており、1人や2人くたばりかねない(ハーフ・オーガやバグベアがいい例)。スリープ一発で寝るかもしれない相手が「困難」や「致死」なわけないじゃないですかという意見も(多分このレベル帯を担当したデザイナーから)聞こえてきそうだが、イニシアチブを取られた場合寝てるのは敵じゃなくてスリープを使える秘術呪文使いになるだろう
 脅威度が1変わるだけでも、モンスターの強さは段違いになる。特に脅威度1未満と1との間には高い壁が、1と2との間には果てしなく高い壁が存在する。それ以降はかなり高い壁になるんで、越えられないというほどでもない感じだが。兎も角、PCのレベルが低い間は、3eや4eのようにちょっと盛るつもりでPCレベルより高い脅威度のモンスターを出すのは止めた方がいい。出してもボス格で1体で十分。1レベルに限れば脅威度1のモンスターをぶつける場合は全滅の覚悟を要するから、安全に行くならデータをいじるか、ノールのような緩めの脅威度1/2モンスターをボスに据えて、さっさと2レベルに進ませてあげるのが良いかと。以後のレベルでも、PCレベルより高い脅威度は+1までに押さえ、かつ単品で勝負するぐらいでもいいと思う。
 単体での強さもそうだが、今回敵の数を増やすとあっという間に経験点枠を使い果たす本当にあっという間に使い果たす。2体出しただけでも1.5倍の経験点枠になるから、例えば1レベルPC相手に脅威度1のモンスターにオマケを添えようとしたもんなら、もう脅威度1のモンスターだけで300点を食っている。3体出すと2倍で400点、これだけで「致死」以上は確定。PCレベルと同脅威度のモンスターとは、そんなに沢山並べるものではないとワカる。なお経験点枠の効率だけを考えると、弱い奴を複数出すより数を絞って強い奴を2体出す方が良いのだが、多分惨事になるのでやめた方がいい。数字の上では正しくても、ゴブリンズ・ボス&ゴブリン×2とバグベア×2(どっちも遭遇枠は600点使用)、どっちが危険かは言うまでもない。

2.脅威度2以上の敵を並べてはいけない
 じゃあPCレベルより低い脅威度なら並べてもいいのか、というと、これもレベル帯による。
 PCは2レベルになると劇的に強くなるが、これはダメージや攻撃ボーナスが上がるのではなく、多芸になるという感じで、それとhpが上がって一度の被弾に怯えなくなるという意味の方が強い。爆発的に火力が伸びるパラディンでも、伸びるのは2d8。攻撃ボーナスに至っては変化するPCはレンジャーの弓術スタイルぐらい(弓術ファイターなら1レベルからこの数値)。ライトフット・ハーフリングのローグのように、有利を取りやすくなるキャラクターもいるが、基本的に打撃力はあまり変わらないと思っていい。
 2レベル以降でも、片手武器で安定して10点以上を出すというのは今回難しくなっている。リソースを投じれば10点は固いが、20点以上となるとかなり苦しい。嵐の領域のラス・オヴ・ザ・ストームのような、出目の最大化のような極端な手段を使えば突破は出来るがあくまでも極端な手段の場合だ。
 それに比べて、モンスターのhpは脅威度に比例してばんばん伸びていく。脅威度2なら40点は当たり前、脅威度3だとモノによっては80点以上ある奴もいる。脅威度1までは20~30点なので2~3回のヒットや上手くいけば即死させられる目もあるが、脅威度2以上は倒すのにかなり時間がかかると思っていい
 さらに、脅威度2以上、早ければ脅威度1の段階で、モンスターは大抵追加ダメージ・ダイスを得るようになっている。何のリソースも使わずにPC以上の打撃力、それも複数回攻撃と合わせてこれが発揮されると、あっという間にPCを壊滅させる恐れがある。いくらPCレベルよりも脅威度が低いと言っても、脅威度2以上のモンスターだと、hpも火力もPCより上という期間はかなり長い(4レベルPCより脅威度2のオログやオーク・アイ・オヴ・グルームシュの方がタフで硬くて痛い)。これがPCと同数以上出たりすると、hpも火力もPCより高いのが頭数多いんだから、普通はえらいことになる。
 脅威度1なら短期間で倒せる可能性もあるからまだしも、火力の向上が難しい5eでは、脅威度2以上のモンスターとは高レベル圏に至らない限り前座気分で複数並べるのは如何なものだろうか
 これらを考慮すると、5eの遭遇の構築は4eに近いものがある。3eを長く遊んできた人が4eで犯しがちな過ちは、「標準モンスターを並べたせいで、高いhpを削り切るまでダラダラした戦闘になる」ことだった。正しくは数を出すなら標準や精鋭モンスターは絞って雑魚を大量に出すと、軽快に戦力を削りつつ、主要なパワーはボスや副官格に集中できて、テンポが良くなる。アレだ。PCレベルと同脅威度のボス1体、PCレベル-1~-2の副官1体、あとは脅威度1未満の下っ端で固めるのが5eバージョン
 ACや攻撃ボーナスに限ると脅威度1未満の下っ端とさほど変わらないし、デフレ傾向に相まってそうした下っ端でも案外高レベルPC相手にも当てて避ける可能性はあり得る。数値上ではPCレベルより大幅に劣る奴でも、壁や前座としては十分役目を果たせるもんだ。繰り返すように、片手武器でノーリソースで10点以上安定して出すのは難しい。前述した脅威度1/2の中でもおとなしめのノールだって、ACは盾で防御していれば15あるし、hpも22点もあるのだ。効率ばかりに目をやらず、下っ端連中の数を増やすことに経験点枠を使った方が、理不尽となじられない遭遇は組み立てられると思うのだが。こうして作った遭遇は、「致死」の1.5倍ぐらいに達しても、割とちょうどいいぐらいのバランスになったという経験を添えておく。

3.戦場は前後に広く
 下っ端で数を揃えるのを推奨したが、その際合わせてコレも推しておく。
 5eではリアクションが1ターンに1回、機会攻撃も1ターンに1回になってしまったので、足止め能力は非常に低下した。FEARゲーのようなエンゲージという概念もないので、その気になれば数さえ上回っていれば簡単に前衛を抜けて後衛に殺到できる。しかも、一度張り付かれると移動距離で上回っていない限り、そこから脱出するのは非常に困難。そうでなくても60フィートぐらいなら簡単に接敵できる奴は多い(ゴブリン、オークなど)。ただ数で上回られてイニシアチブを取られただけで接敵されて嬲り殺しにされるのでは、位置取りや戦術のへったくれもない。くそみたいに多いパック・タクティクス持ち相手だと、戦場が狭いとあっという間に寄られて袋叩きにされて1ターンで気絶、なんてケースも非常にありがち。こうして見ると、何故挟撃の概念がなくなったのか、よくわかるな
 なので、バトル・グリッド(懐かしい言葉)を採用するなら、ある程度前進後退の余地がある広さを用意してあげるといいヒーリング・ワードのような30フィートと短めの呪文はもちろん、“バードの鼓舞”のような効果も60フィートと結構難しい射程距離なので、戦場の押し引きは十分存在するはず。広いマップを用意しても、後衛がマップの端から120フィートのレンジからずっと撃ち続ける、なんて状況にはならないだろう。ちゅうか単体でそんな所にジッとしてるなら、それこそ手空きのモンスターが急行してやるといい。逆に恐怖の150フィートレンジを持つロングボウの射手をどう対処するか、なんてのもPCの腕の見せ所。
 一度張り付かれたら離れるのが難しい、という点でも脅威度2以上のモンスターを数出すのは控えた方がいい。脅威度1以下だとスリープなど然るべきリソースを切れば脱することができる場合もあるが、脅威度2以上では倒さない限り断ち切るのは難しく、延々張り付かれたまま、毎ターンシールドを使い続けるようなウンザリした展開になる。数シナリオに1度ならともかく、毎戦闘のように数にモノを言わされてこういう状況になるPLのストレスたるや察するに余りある(体験談)。

4.イニシアチブは同種のモンスターでも多少は分けて振る
 以前イニシアチブは面倒がらず1体1体振った方がいい、と言ったが、あれはちょっと言い過ぎた
 でも、数が多いなら武器の違うごとにイニシアチブを分けるぐらいはやっぱりした方がいい。3で申し上げた通り数が多いと後衛に殺到するのは容易であるし、PCが脆い低レベル圏なら尚更。イニシアチブを取られただけで気絶するというのは、いくらhpの低いD&Dでもあんまりと言えばあんまり。もちろんPCに配慮するばかりでなく、先手を取られて雑魚モンスターが固まっている所を範囲呪文で薙ぎ払われてアディオス、なんて事態の防止にもなる。
 単体でPC以上の実力を持ち得る連中、特にタフな脅威度2以上なら1体1体分けて振っても良し。hp40点ぐらいなら瞬殺できるほど火力が高まってきて初めてこういう連中はジッパヒトカラゲに扱おう。

5.連戦はつらいよ
 当たり前の話だけれどリソースにシブい5eで連戦は厳しい。特に1レベルの間は呪文回数もHDもたかが知れている。小休憩を行っても、ハッキリ言って事態が好転することは少ない。立て直すためには大休憩が必要な場合が多々あるだろう。敵地のど真ん中でなくとも、一端入り口まで引っ返して大休憩という選択肢はええ度胸やのうおまんと言いたくなるが、そうでもしないと回復しないリソースが多いんだから仕方がない。
 こういう状況に陥りやすい5e(特に低レベル圏)では、シナリオに最初から大休憩を挟む余地を入れておくとE感じ。昼~夜に戦いを終えたら一晩時間を置いてボス戦に挑むとか。無論、大休憩を挟むまでもなくPCがイケイケならボス戦の難易度が容易になるようなボーナスはあって然るべき。このような条件に合致するシナリオとなると、ダンジョンシナリオよりは敵との距離を取りやすい、野外の方がいいのかな? ランダムエンカウントのスリルもあるし。もしくは休む場所を見つけやすいシティ・アドベンチャーか。
 で、連戦をさせる場合の遭遇は、「簡単~標準」を初戦に、次戦以降は「標準~困難」ぐらいに抑えておくが吉。事前に大休憩が入るなら「致死」ギリギリぐらいの遭遇からボス戦に雪崩れ込むことも可能ではある。
 小分けにして何度も遭遇を起こすなら、出し方やクリーチャーのデータをちゃんと見て組み立てないと、「簡単」や「標準」の遭遇でも回数を重ねるとたちまちリソースが枯渇したりする。ふとしたことで呪文もクラス特徴も使い切り、後がないまま前進を余儀なくされるというのは精神衛生上よろしくないので、戦わせるなら小分けにするよりはまとめてぶつけた方が良いかと。経験点枠的に考えると小分けに出した方が効率はいいのだが、マスタリングにおいて効率ばかり考えるのもそれはクソマスターの思考だろう、ということで、ひとつ。

Dungeon Master's Guide (D&D Core Rulebook)(2014/11/18)
Wizards RPG Team

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