クトゥルフ神話TRPGヨタ話#66~5版&6版あなたのいいトコわるいトコ~

 昨日書いた5版を流し読み(正気度ポイント減少1d2)しての、6版との比較。
 
yuzan_01.gif
 と思わず叫びそうになってしまった。サンプルキャラクターの技能一覧に〈マーシャルアーツ〉がなかったので、6版から追加されたのかと思いまして。ちゃんとキャラクターシートには掲載されてますね、メンゴメンゴってあんな空手バカ一代が20年も放置されてたんかい。「嫉妬深く秘密を守ってきました」という5版の表現がなかなかステキに理解に苦しむ。
 5版だとその〈マーシャルアーツ〉や〈化学〉など、専門的な知識・技術が無いと使用できない技術については、ポイントを振り込まない場合の成功確率が0%になっている。6版でこれらが1%になっているのは、判定の余地を残すべしという判断であろうか。0%だと絶対に成功しない=経験チェックが付かないから、あのくそみたいな技能成長システムだと伸ばしようがないのだが……あ、オプション・ルールで01を出した場合は経験チェックを付けても良い、なんてのがあったのね。これが標準化されたということか。
 また金と時間を使って技能を伸ばすトレーニングについてのルールも書いてあり、何故これを消したのかと血涙流して悔しがったが、6ヶ月に付き1d10ポイント、出席日数はKPが判断、経験チェックを使用とD&D5eのダウンタイムばりに成長させる気ないのを見てやっぱいいやと思い直した。って、金と時間をかけて成長はやっぱりダイス目任せかよ! ロードスの技能成長だってもうちょっと有情だったぞ!
 トレーニングを独学で行う場合は、これまた6ヶ月かけてINTとPOWの平均値のロールに成功することで1d10ポイントの技能成長を得られるというオプション・ルールがある……あの~、これ以上能力値の重要度を偏らせるのは止めてもらえませんかねぇ。ただでさえAPPとか数シナリオに1回使うか使わないかの能力値があるのに。
 しかし魔導書のアホみたいに長い学習期間、正気度回復のための通院期間を考えると、これらのルールも残っていていいような……? いや、そんなに簡単に6ヶ月過ぎたら学生探索者とかコロコロ職業が変わってしまいそうだな。うっかりすると1920年代スタートだったのが第二次大戦終了したりするかもしれんし
 6版でもツッコミどころの多い技能システムであるが、前の版(ボックスで発売されたやつ)から5版に移行するにあたり結構手が加わっているらしい。〈植物学〉〈動物学〉が〈生物学〉に統合、〈診断〉〈治療〉〈毒物〉が〈医学〉に統合、〈雄弁〉〈討論〉が〈説得〉に統合、〈スリ〉がDEXロールに、〈芸術〉技能の設定……エトセトラ。〈雄弁〉とかなかなかときめく響きの技能であるが、わざわざ1枠それで設けるというのもちょっとなあ。〈医学〉統合前は三つの技能に分かれていたとかふざくんなと言われても仕方があるめぇ以前は〈鍵開け〉が〈機械修理〉だったので、犯罪者必携の技能だったという裏話が笑える。曰く、「〈スリ〉の後を継ぐ「犯罪の友」とも言える技能は〈錠前〉(〈鍵開け〉を5版ではこう表記)です。これがあることによって、〈機械修理〉が犯罪から解放されました」。
 細かいことを言うと、技能として残ってはいるが表記が変わったのが〈泳ぐ〉→〈水泳〉、〈錠前〉→〈鍵開け〉、〈登はん〉→〈登攀〉、〈投げる〉→〈投擲〉。動詞をそのまま技能名にする方針が変わったのか、と思いきや、〈隠す〉〈隠れる〉はそのまんまだったりする。技能ポイントが5版に移行するにあたり、平均120ポイントも多くなったというのは、なんか算出法にドラスティックな変化があったんでしょうか?
 5版と6版の差異で最も目に付くのがイラスト。結構5版から流用されているイラスト(クリーチャー、ラヴクラフト作品中の登場人物)は多いのだが、判型がでかいだけに5版はより細部を観察することができる。ランドルフ・カーター25歳時やエーリッヒ=ツァン、ブラウン・ジェンキンのご尊顔を拝めるのは5版だけだ(拝めて嬉しいかは別として)。そうそう、表紙イラストは当ブログ的には『ファンタズム・アドベンチャー』でおなじみの韮沢靖さんだ! 細かいところだと、サイズの比較のイラスト図は、5版では単に掲載イラストを拡大・縮小したものではなく、クトゥルフ、シュド=メル、ショゴスのようなでかい奴はさらに細かい書き込みが入れられている。
 5版のクリーチャーのイラストは、ほとんどがGene Day氏の手によるもの。6版ではイスの偉大なる種族、宇宙からの色(異次元の色彩)、ガスト、空鬼、クトーニアン、黒い仔山羊、シャッガイからの昆虫(シャガイからの昆虫怪物)、シャンタク鳥、砂に棲むもの、ダゴンとハイドラ、ドール、ノフ=ケー、飛行するポリプ(盲目のもの)、ビヤーキー、深きもの(ディープワン)、炎の精、ミ=ゴ、ロイガー、アザトース、アトラック=ナチャ、イグ、イタクァ、下級の異形の神々、トゥールスチャ、ハスター、オオカミ男、骸骨、吸血鬼、ゾンビ、亡霊、ミイラは新規にイラストが起こされている。星の精は角度だけ変えて再利用。変更された中にも「光の点」という表現通りの炎の精やギョロ目のシャッガイからの昆虫のように、結構味のあるイラストは多い。特に盲目のものこと飛行するポリプの5版のイラストは、主流のイメージとはかなり異なっている。
 現在のクトゥラー(そんな言葉ない)が飛行するポリプと聞いて思い浮かべるのは↓
flyingpolyp.jpg
「呼んだ?」
 このモリッと正気度削られそうなツラ構えだろう。それが5版だと
flyingpolyp_5e.jpg
君なんか写真と違わない?
 筆者は一瞬「クトーニアン?」と思ってしまいました。
 また各クリーチャーの表記も細かく変わっていて、( )内が5版の時のもの。夜のゴーントが夜鬼に変わっていたりする。
 5版から6版に移行するにあたり、『蠢く密林』に登場したニャルラトテップの化身アトゥとハスターの化身黄衣のキングが削除されている。アトゥはあからさまにどうでもよさそうな化身であることだし、数多の化身の中からコレだけ採用されるのは不自然(ってかなんでコレが5版で選ばれたんだろう)であるから削除も納得であるが、名前だけならメジャーな方の黄衣のキングがハブられたのはなんでだろう。濃くなる一方のラヴクラフト原理主義色の影響でダーレスお気に入りのハスターがワリを食ったのではあるまいな

 『モンストロム』にはちゃんと両方掲載されている。
 5版ではドリームランドの生物もイラストのみ少数収録されている。ブオポス、ワンプ、ノール、蝶ドラゴン、レンからの男がそれ。6版のサプリメント『ラヴクラフトの幻夢境』ではノールがノオリ、蝶ドラゴンがチョウドラゴンと表記変更。ノールのノオリはともかく、チョウドラゴンは何故カタカナになった

 あの使えな……ゲゲフソ、サンプルキャラクターは全て5eに掲載されていた人物。ただ、退役軍人アームスビイ=ブリット少佐、スパイのマーガレット=ウィティア、プロ・フットボール選手マット“クルーズ”ポーボディ、ボヘミアン芸術家兼ライターのウィル=ジェンキンスは削除された。職業柄使いづらいと判断されたんでしょうか(特にスパイとか)。まあ増えようが増えまいがアメ公が作ったサンプルキャラが実用に耐えないというのはシャドウランやGURPSで実証(以下略)
 ルール的な面ではほとんど変わっていないが、読み物としての文章としては版ごとにかなり独自の内容が含まれている。いずれもTRPGの本国だけあって、拝聴の価値ありだ。〈機械修理〉の冗談めかした改訂点や恐怖症(フォビア)とフェティッシュの詳細な解説など、洒落っ気ある文章という点では5版の方に軍配が上がる。「クトゥルフのシナリオとは、玉ネギの皮の層のような形をしているべき」というのは言い得て妙である。
 総合すると、6版への改訂はルールを改めるというより、旧版から10年過ぎて入手しづらくなったことや、グラフィックデザインの進歩を受けての事ではないかと思われる。5版で一番つらいのがこのグラフィックデザインで、正直言ってかなり読みにくい。特にクリーチャーはクリーチャー名のフォントやサイズを変えるような工夫が殆ど活きておらず、どっからどこまでがそのクリーチャーの説明なのかが非常にわかりづらい。公式シナリオも、三本が改ページされずに掲載されているので、これまた区切りが判じがたい。同じホビージャパンでも『番長学園!!』で魅せた気合はどこに行ったんだろう……純国産と翻訳版を比較するのも酷な話だが。はたまた4年(番学は1997年、クトゥルフは1993年)で一挙にグラフィックデザインが進化したのか。でもルリルラもクトゥルフ5版と大差なかったりした覚えが。
 クリーチャー表記、作品名は翻訳と言うだけあって、6版になるにあたり比較的新しい、現在手に入る訳(『ラヴクラフト全集』のような)に合わせてある。
『殺人狂騒曲―チャールス・デクスター・ウォードの怪事件』→『チャールズ・デクスター・ウォード事件』
『闇の跳梁者』→『闇をさまようもの』
『おそろしきもの潜む』→『潜み棲む恐怖』
『超時間の影』→『時間からの影』
『インズマスの影』→『インスマスを覆う影』
『魔女屋敷で見た夢』→『魔女の家の夢』
『異次元の色彩』→『宇宙からの色』
『戸をたたく怪物』→『戸口にあらわれたもの』
『狂気山脈』→『狂気の山脈にて』
 現在の訳に慣れると、5版の頃の作品名に違和感スゲエっすね、こうして見ると。5版の頃から『宇宙からの色』『狂気の山脈にて』は推奨文献なのな。オレの中では一、二を争うラヴクラフト作品なのに。ちゅうか『潜み棲む恐怖』は5版の頃から必読扱いされているけどそんなに面白くないような。『闇をさまようもの』も必読かというと、うーん。
 6版になるにあたり、推奨作品から『レッド・フックの恐怖』(5版だと『レッド・フック街怪事件』)『ユゴス星より』が外れ、『銀の鍵』『サルナスをみまった災厄』『アウトサイダー』が追加された。『ユゴス星より』は収録の『真ク・リトル・リトル神話大系2』が入手しづらくなっていた(現在は『新編 真ク・リトル・リトル神話大系〈2〉』で入手可能)になったためか。『レッド・フックの恐怖』が消えたのは……うーん、モロにラヴクラフト先生の大都会への失望と人種差別主義が顕在してたから、とか……。追加作はどれもラヴクラフト先生の世界観を知るに役立つ内容なので納得。
 冒頭の『クトゥルフの呼び声』をまるっと掲載する大盤振る舞いは当然6版だけだが、5版は5版で独自の見所はある、タイトル『気○い男』は5版でしか遊べない公式シナリオだ! ってこれ6版で『ストラフトン山の火』にタイトル変更されただけだ! てっきりタイトルが直球過ぎて改版にあたり削られたもんかと。原題は『The Madman』だから『気○い男』で間違ってはいないのであるが。にしてもこの訳はあんまりにもあんまりである。なんか、5版と6版の時代の変遷を一番感じがポイントがここでした(そこかよ)。マッドメンと言っても諸星大二郎先生は勿論関係ない。
Mudman.gif
こいつも関係ない。

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