クトゥルフ神話TRPGヨタ話#57~KPの十戒~

 過去のR&Rを掘り返していたら、これは集中して読み返すべき、という記事を発見した。
 99号、アーカム計画スペシャルの一環として執筆された、『キーパーの十戒』というコラム。
 推理小説ファンならばこのタイトルにピンとくるであろう、「推理小説においてコレをやったらマタギ神拳でアナルを二つにしてくれよう」という禁じ手を集めたかの有名な『ノックスの十戒』のパロディです。筆者はこれを聞くと『虚無への供物』を思い出して、ムカつくヒロインへの憤懣にハラワタ煮えくり返りそうになるのだが、それはおいといて。
 元ネタが元ネタだけに、この記事はKPに対する戒めを、『ノックスの十戒』になぞらえて提唱しています。KPの心得のみならず、TRPG全般のシナリオ執筆においても拝聴の価値があると思います。ここに列挙してみよう。

1.事件はゲームの初期の段階で発生させねばならぬ。
 元ネタは「犯人は、物語の初期の段階から登場している人物であらねばならぬ。しかしまた、その心の動きが読者に読み取れていた者であってはならぬ」。
 『快傑ズバット』のように、いきなり最終回直前の31話に出てきた神竜が総統D(デー)の正体だった! って言われても視聴者としては
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 だよな。いやあの番組は色々とそれ以前の問題があるけどさ。全部ズバットだから仕方ないで片付いちゃうとか。
 んでクトゥルフ版のこの戒めは「プレイヤーに共通認識を持たせる」ことの重要さを説いている。探索者は謎を解き明かし、事件を解決する役割を与えられている(よく勘違いをされるが決してやばいものを見て狂うことでも、他者を犠牲にしてでも生き残ることではない)。が、その事件へのとっかかりは千差万別である。公式シナリオを見ても職業やNPCとの関係がテキトーで「なんでこの面々が一堂に会したんだろう……?」という疑問が湧くような、曖昧な動機で始まる場合がままある。
 そんな時に早々に超自然的事件が起きることは探索者全員が「謎を解明し、事件を解決する」という共通の目的に向かって歩き出すことにつながる。むしろ早期に事件が起きないと、プレイヤーは何をしていいのかわからず、ダラダラとした無目的な時間だけが過ぎることになってしまう。気ままに場を離れてしまうプレイヤーには悪気があるのではなく、なにをしていいのかわからないから迷走しているだけの場合が多い、という一言には耳が痛い。
 そして重要なのはプレイヤーたちをいやがおうでも惹きつけるような「謎めいた事件」であること。ここんところがKPのセンスを問われる最初の関門、だそうです。押忍。

2.言うまでもないことだが、事件は超自然の力で起きるべきだ。
 元ネタは「言うまでもないことだが、推理小説に超自然的な魔力を導入すべきではない」。
 推理小説史上未曽有の完全犯罪が発生! 名探偵をも翻弄する幻幽怪奇、堅牢強固な謎の真相とは!?
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ドヤァ
 ……こんなオチの推理小説があってもベストセラーになったりシリーズ化したりはしないと思いますけど……わざわざ書く、ってことは当時あったのかな……興味はあるけど、存在を知ってもあんまり読みたくないなぁ……。
 さてこのクトゥルフ版の戒めには、「しかしお前」というムキもあるかもしれない。超自然的な力を扱わない事件であっても、クトゥルフのシナリオは成り立つじゃないか、と。
 これには筆者も一部同意する。が、内山靖二郎先生はこれに対して「そうでなければいけない」と強い語調で戒めを提唱している。その理由は、正気度ロールというシステムの根幹が揺らぐ恐れがあるからだ
 擦り減っていく正気度の切迫感はクトゥルフの華。いかに狂気に陥らず、しかしそれでいて真実に近づかねばならない、この折り合いが醍醐味と言える。そして一線を超えるほどの正気度の損失を引き起こすのに、超自然的恐怖とは「そんなもんに出会っては狂気に陥るのも仕方がない」という説得力を持ち得る存在なのだ。
 超自然的存在でなくても正気度は削れるが、狂気に陥れるほどの恐怖を演出するのは難しい。「クトゥルフだからといって超自然的存在に頼る必要はない!」と主張されても、人間が起こした事件の範疇でd20とかd100とか正気度削られたら、それはこっちが「しかしお前」と言うハナシである。そこまで極端でもないけど、たかだか下級の奉仕種族である“深きもの”との対面(1d6)に匹敵するほどの恐怖でさえも、具体的に描写しろと言われてもポンとできるもんでもない。むしろ、そうした現実性を重視したシナリオでドバッと正気度が削られることそのものが趣旨に反しているような。なんもいちどきに正気度を大量に削るのが善いというワケでもないが、少量ずつしか失われないというのは、それはそれで一時的狂気や不定の狂気の恐れがない、緊張感を欠いたセッションになってしまう。個人的な好みで言えば最終的に出会った恐怖で削られる正気度はでかいものであってほしい最低でも1d10、探索者がしくじって悪い方向に転がってたら、1d20ぐらいもってかれちゃうのと出会うぐらいが理想(正気度ロールに失敗した場合)。自分が探索者として参加する場合もそうであってほしいと思う。
 念のため言い添えておくと、内山先生は以下のようにおっしゃっている。超能力者のような超自然的な魔力が登場する推理小説はいまや数え切れないぐらい登場しているけど、それはあくまで「推理小説で超自然的な魔力を取り扱うこと」を主眼に置いているから許される。ノックスの十戒で槍玉に挙げられているのは、純粋論理で解き明かすはずの推理小説でいきなりポンと超自然的な魔力を登場させる不自然さであって、逆説的な作品をもって「超自然的な魔力が登場する推理小説だってあるぞ」という反証にはなりません。悪しからず。
 また超自然的恐怖が関与しないシナリオそのものを否定してもいない。が、それはクトゥルフにおいてはイレギュラーであり、事前にプレイヤーに趣旨を説明してコンセンサスを得るべし、とのことです。

3.探索者にシナリオのテーマを秘密にしてはいけない。
 元ネタは「秘密の部屋や秘密の通路は、せいぜい一つにとどめておかねばならぬ」。この戒めはいろんな解釈がされているようで、あんまりにもありきたりなオチだから推理小説で頻発するのはいかがなものか、と言いたいんじゃないか? と内山先生は述べている。
 さてKP版の戒めとして、この項は元ネタからかなり離れた、いろんな意味を含んでいる。推理小説なら「ありきたりなオチ」は忌避されるが、クトゥルフのシナリオならどうか? 内山先生はこれに否を唱えている。多くのKPは物語づくりのプロではなく、しかも探索者は手探りで物語を綴っていかねばならないのだから、あまりにも予想外な展開過ぎると
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 と反応される危険性を孕んでいる。
 そうなるぐらいなら、いっそありきたりなオチの方が予想がしやすく、失敗を減らすことができる。自分たちで物語を作っていくという面白味は、例えありきたりなオチであっても薄れるものではない、という主張がまず第一。
 第二の主張は、ありきたりなオチでもバリエーションはさまざま。故にKPにはこれからプレイするシナリオが、どんなテーマなのかを説明する義務がある、ということ。
 一部の人が大変イヤがる言葉を借りれば(ゲヒャヒャヒャ)今回予告とかハンドアウトを活用せい、てなワケですな。あれほど演出がからなくても、「今回はこんな雰囲気のシナリオですよ」と提示することを唱えている。ここでも内山先生は「した方がよい」ではなく、「すべきことである」と強い口調を使っている。
 ネタバレを恐れたり、意表を突くことばかりに気を取られていると、プレイヤーはどんな探索者を作ってもいいのか、どんなアプローチをしていけばいいのか迷ってしまうことになる。そうなっては、折角用意した謎も十分に解き明かされないまま、KPもプレイヤーも消化不良のまま、モヤモヤした最後を迎えてしまうだろう。TRPGは参加者全員の総合芸術なんだから、KPの用意した舞台を全力で遊んでもらうためにも、楽しんでもらう下準備は出し惜しみせず、プレイヤーに遠慮なく開示してあげるべき。謎に苦しむのはシナリオが始まってからで十分だ。これはクトゥルフに限った話じゃありませんな。
 いっそありきたりなオチの方がいい、というのは「うーん?」と思うところもあるが、それ以外は全面的に同意します。

4.医学や科学などプレイヤーの専門知識を要するシナリオを作ってはならない。
 元ネタは「現時点までに発見されていない毒物、あるいは科学上の長々しい説明を必要とする装置などを使用すべきではない」。推理小説には作家と読者の知恵比べという要素があるんだから、読者が「知ってるわけねーだろそんな理論!」てな種明かしはNGちうこと。
 TRPGに置き換えるとアレだ、「粉塵爆発」。この一言で説明できるから便利だなぁ。まあ粉塵爆発自体が今やありきたりで専門知識でもなければ説明の不要なネタになりつつある気がするけど。
 クトゥルフではプレイヤーに専門知識が無くとも技能ロールという概念があり、これに成功することでKPから解法を提供することはできる。これは専門知識が無ければ解けないシナリオなら、専門知識を技能ロールや調査によって得られるようにすべきだ、という主張と同義である。プレイヤーが持ってるとは限らない知識をシナリオの解決に持ち込み、それを見つけられなかったから失敗、なんて言われてもそれはただのKPの衒学的趣味を満たすだけだろう
 プレイヤーの立場における戒めも心に留め置く価値がある。
「プレイヤーはキーパーが持ちえないような専門知識を使って、ゲームを進めようとしてはならない」
 クトゥルフに限らず言えることだが、知識を振りかざしてゲームを有利に進めようとするのはマナー違反である(それが常識過ぎる事柄ならともかく)。いくら現実において是とされていることでも、それが是となるかはシステムの世界観において異なるのだし(ウォーハンマーでもルールブックでそういう輩にはその辺にあるピザとか投げつけていいと規定している)。先程の例なら科学的に粉塵爆発が起こり得るとしても、その世界でその原理が正しいとは限らないのだ大体ウィザードの指先からファイアボールが放たれるような現実とは違う法則で動いてる世界で、粉塵爆発の原理云々を語ること自体がナンセンスだろがよ! いや俺も粉塵爆発が起きたって別に不思議でもないと思うけどさ!
 またKPが持ちえない専門知識の解法というのは、KP自身が正しいかどうか判断できないのだから責任が持てない。最終的な裁定者であるKPが判断できないことは、いくら正しい知識であってもTRPGにおいてはグレーな位置なのである。言うても、「原理としては正しいかもしれないけど、俺は詳しくないんで今回はカンベンしてくれんかなぁ」とぶっちゃける腹を割った態度は内山先生も必要としているところ。

5.ニャルラトテップを主要なNPCにすべきではない。
 元ネタは「中国人を主要な人物にすべきではない」。怪しい中国人なら何でもできる、のはサタスぺだけで十分です。あと内山先生は「ハーレムにツンデレ貧乳お嬢様キャラを登場させてはならない」にボクは大好物だけど、とおっしゃっているが、俺はキャラ立てとツンデレの方向性による。「べっ別にアンタのためじゃないんだからね」とか単なるギャップ萌えをツンデレと産地偽装しているだけであれば、そんなテンプレのツンデレを見せるな! メシが不味くなる! と豪語して怒るぞ。
 話がそれた。
 「とりあえず生中」みたいにニャルラトテップを犯人にするのはいい加減やめたらどう、という申し出。
 いくら千の顔を持つからといって、何でもかんでもニャルラトテップのせいにされたらプレイヤーは食傷であろうし、すでに「すべてはニャルラトテップの仕業だったのだ!」はギャグとしてしか扱われていないというのに今更それをやられても。どんなに撃退したって千の顔のひとつを壊しただけに過ぎないのだよフハハハとか言われたら、文字通り正気を削って取り組んでいる探索者としてはモチベーションだだ下がりである。
 安直に困ったらニャルラトテップのせいにするのではなく、せっかく魅力的な超自然的存在は豊富に取り揃えられているのだから、それぞれの持ち味を活かした方がプレイヤーからのウケもいい。その方がクトゥルフ神話への興味もグッと増すだろう。そしてニャルラトテップを使ってはいけない、という意味ではなく、ニャルラトテップを黒幕にするのなら、ニャルラトテップにしか起こせない事件にすべきだ、という裏の意味も忘れてはなるまいて。

6.探索者に偶然や直感で事件を解決させてはいけない。
 元ネタは「探偵が偶然に助けられるとか、根拠不明の直感が正しかったと判明するなどは避けるべきである」。霊感を受けて解決するのは探偵の特殊能力であるが、その霊感を授かるには些細な出来事など、納得して然るべきヒントを元にして、である。単なる霊感で解決したらそりゃ探偵でなく電波なお人だ
 探索者が切羽詰まった状況で編み出したナイスアイデアがあれば、それはそれで採用して構わないと思う。というか、筆者の場合はっきり言ってKPの自分より頭がいい人がプレイヤーになってるので、より良い解決策を思いついてくれて、「それいいねえ」と進めることも少なくない
 が、偶然で解決できるシナリオというのは、探偵が電波なお人と変わらない。KPが思いつかないナイスアイデアを採用するにしても、そのナイスアイデアが生まれるまでには、ちゃんと入手した情報を組立て、プレイヤー間での推論が構築されていなければならない。この「偶然で解決できる」に、所定のロールに成功するだけで事件は解決すべきではない、というところに内山先生の着眼点が光る。技能ロールだって成功するか否かはダイス目まかせ、偶然と大差はない。それらを経て得られた情報で頭をひねることに、頭脳ゲームとしての面白味がある。
 これを実践するコツは、最低でも二つの情報を得られたことで、ひとつの結論を導き出せるようにすれば良い、だそうです。三つか四つだと複雑さが増して謎も手強くなるが、それぐらいで止めておいた方がいい、それ以上はややこしくなるだけだから。nrhd、心しておきます。

7.探索者自身が犯行を犯すべきではない。
 元ネタは「探偵小説にあっては、探偵自身が犯行を犯すべきではない」。意外性を求めて最後の最後で「探偵が犯人だった!」なんて裏技はアンフェアでしょ、てなハナシ。逆手に取った作品はあるけど、無論それらはちゃんと探偵が犯人であることを匂わせる高度で周到な仕込みあってのものですからねえ
 クトゥルフにおいては、「プレイヤー対プレイヤーはやめましょう」。
 探索者の中に犯人がいるとなると、他の探索者を妨害するために情報を握り潰したり、ガセの情報を流したり、とセッションの進行を妨げるような事態が頻発するのは想像に難くない。また個人個人の時間が長引けば長引くほど、そこにあるのはゲームの停滞、疑心暗鬼というTRPGの基本、協力体制とは相反する感情が生じることになる。それはそれで楽しみ方の一つかもしれないが、情報を積み重ねて真実に近づくクトゥルフにおいては少し外れてる……っていうか大方のシステムで外れてる気がする。パラノイアとかなら全然かまわんと思うが

8.探索者が解決のための手掛かりを発見できるようにすべきである。
 元ネタは「探偵が手掛かりを発見したときは、ただちにそれを読者の検討に付さねばならぬ」。推理小説で探偵が読者に伏せられていたな手掛かりで解決されたら、そりゃ6の「電波を受信した」と大差ない。
 クトゥルフにおいては、KPとプレイヤーとは推理作家と読者ではなく、推理作家と探偵の関係に似ている、と内山先生は読んでいる。推理作家が事件と謎を用意して、探偵に論理的思考で「解いてもらう」。この「もらう」が重要。KPはプレイヤーと対決しているのではない。面白い謎を用意して、探索者が四苦八苦しながら謎に取り組んでもらい、その真相にあっと驚いてもらう。そんな快感を得ることが、KPのモチベーションなのだと筆者は思う。謎が謎のまま消化不良で終わってしまっては本末転倒である。真相は意表を突くものであった方が面白いが、そこに行き着くまでの素材はプレイヤーに全て提示されるべき。一度の技能ロールで失敗したから情報を入手できない、ではなく、可能な限り第二第三の機会は与えて、オープンにしていく。その上で解決できなかったなら、それは根本的な落ち度とは言えないだろう。
 ついでに書いておくと、公式シナリオだと技能ロールに失敗した場合のフォローがない場合があるけど、それはスペースが無いから省略しているだけで、実際に遊ぶ段になったら別のアプローチで入手できる助け舟を出してあげてね、だそうです。

9.探索者のワトスン役(味方のNPC)が事件を解決してはならない。
 元ネタは「探偵の愚鈍な友人、つまりワトソン役の男は、その心に思い浮かんだ考えを読者に隠してはならぬ。そして彼の知能は、一般読者のそれよりもほんの少し(ほんの少しである)下回っているべきである」。ワトスンは読者に逐一情報を提供する役割なんだから、気付いたことは全部言え。そして探偵の相棒役であるからには読者が知ってるよそんなこと、と思うことも言わなくてはならないが、言われるまでもねーだろ、ということまでくっちゃべるようでは論理的思考を扱う探偵小説においては不自然。ワトスンが探偵より優秀で解決できるようだったら言語道断。
 KP版では俺様NPCが大活躍するような吟遊シナリオはNGってこと。簡単だね!
 NPCがらみの注意事項で「プレイヤーが間に入りづらい、NPC同士の会話は極力少なくする」はまったくその通り。年を取るとその辺の演出とか、プレイヤーを待たせる空気とかがだんだんツラくなってきました。
 余談ながら、キング先生は『ワトスン、事件を解決す』という作品を書いてます。

10.ミスリードは探索者が予知可能とすべきである。
 元ネタは「双生児その他、瓜二つといえるほど酷似した人間を登場させるのは、その存在が読者に予知可能の場合を除いて、避けるべきである」。このそっくりさんネタもわざわざ書かれるぐらい繰り返されていたのであろうか。
 TRPGにおいてミスリードというのは、内山先生もおっしゃっている通り加減が難しい。すぐバレてしまうようではミスリードにならないが、それに追い掛け回されて時間を浪費するのもKPの望むところではない。そしてミスリードとは「ハズレ」の情報であるから、散々注力して解明したのが「ハズレ」だったら、プレイヤーの憔悴は計り知れない。それがKPにしか見抜けんようなミスリードであったとしたら、もううんざり
 探索者に偽の情報を流して混乱させるのは謎解きのスパイスになるけれど、それはあくまでスパイス。本筋を外れてミスリードを追うようだったら、自分からボロを出して気付いてもらうぐらいがちょうどいい。これは本当にそうだと思う。ちょっとマヌケかもしれないし、ボロを出したKPのおバカっぷりを笑われることもあるかもしれないが、KPの自己満足のために無為な時間を延々過ごすよりはなんぼかマシである。そのぐらいの恥は笑って受け容れようじゃありませんかプレイヤーってKPが思ってる以上に悪賢いけど、KPが思ってる以上に賢いわけでもないことが多いし

 ……以上、内山先生が提唱する『キーパーの十戒』でした。
 クトゥルフに限らず頷ける戒めだったと思うけど、守るのと同じぐらい大事なのは、必ず守らなくてはならない、というワケではない、という点。決まり事とは破るためにあるように、やりようによっては突破口はいくらでもあるもんです。「約束ってなあする時より破る時のほうが刺激的で面白ぇんだぜ!」とゴステロ様もおっしゃっているように、お約束を破って浴びた喝采は、オーソドックスなシナリオで得る喝采とまったく別の快感があります。事実、「5.ニャルラトテップを主要なNPCにすべきではない。」と、「7.探索者自身が犯行を犯すべきではない。」を破った、大変面白そうなセッションの話も聞いたことがあります。聞くだけで胸がときめき、ぜひその場に居合わせたかった……(遠い目)。
 それでも、必ず守れたぁ言わないが気に留めておいた方がいい、という内容ではないでしょうか。『ノックスの十戒』が「こんな探偵小説は嫌だ」集だったように、『キーパーの十戒』も「こんなクトゥルフのシナリオは嫌だ」集なんですし。「今回のシナリオ、大丈夫かなぁ?」と不安になった時はこれを思い出してほしい、というのが正しい使い方。私もあらためてこの十戒を読んで、やってはいけなかった数々のセッションを想起して、二度とやるまいと胸が痛くなった思いであります。ウギャー



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