D&D5e余話#63~5eセッションレポート「呪われし魔女のしもべ」後編~

 ドーベン先生が利用していた山小屋はすっかり無人となっていた。
 てっきり予定を早めて冬越村に降ったのかなあ、と思ったが、それにしては暖炉にいまだ火はくすぶっているし、そこにかけられていた鍋の中には、まだ温かい、それこそ作ったばかりのようなスープで満たされているしかも荷物はまったくの手つかずなのだ
 この事態は一体? 何の痕跡も残さず、教授と護衛を連れ去るとはいかなる手口か?
 もしかすると、教授の話していた邪悪なフェイ、“霜の魔女”と関係があるのかもしれない
 エルダーテイルは、ドーベン先生の荷物から地図と古文書、そしてエラティスの印章が刻まれた箱を発見。ディテクト・マジックを儀式で発動すると、箱には魔力の反応があった
 まず地図であるが、この周辺を示したものらしい。山小屋から半日ほど歩いた東と北東の方角に×印が、その間を縫うように進んでいった先に○印がある
 そして古文書。こちらにはやはりドーベン先生も口にしていた、“霜の魔女”に関する伝承が。“霜の魔女”がネラス帝国の騎士と戦って相果てたのは聞いての通りであるが、その戦いの間にもう一人の登場人物がいた“霜の魔女”を裏切った腹心がいたというのである。この離反によって彼女は倒され、封印されることとなったが、代償として腹心も呪われ、怪物化して山中を今も彷徨っているらしい。また腹心は何かを“霜の魔女”から盗んだとか。雪を呼ぶ“霜の魔女”の伝承に、ドーベン先生の残したこの資料、そして無人と化した山小屋。これは尋常ならざる怪異のニオイがしてきましたぞ。
 最後に、箱をエルダーテイルが解錠して開くと、中には詰め物がされており、ちょうどオークから取り戻した聖印が納められそうなスペースが設けられている。ためしに聖印を置いてみると、箱からは眩いばかりの光が生じた。うおっまぶしっと驚いたものの、だからといってナニが起きたというわけでもないんですが。むしろ、その光は徐々に弱まっているとセトが気付いたぐらい。
 それって聖印の力が弱まってるんじゃ? と懸念されたが、<調査>判定の結果からすると、特にそういうことでもないようだ。言われてみれば、第一聖印じたい魔法の品物でもなんでもない古物だったしなァ。現段階では判断しかねます。
 ひとまずは雪が弱くなるまで山小屋で待機し、それからは地図上の○の場所へ行ってみることに。聖印を回収するというミッショソは終わったにしても、このまんま放置して下山するという選択肢はないでしょう。
 翌日、雪は収まり綺麗に晴れ上がった空が我々を出迎えてくれた。早速出発して地図上の場所を目指していくと、巨大な足跡が。それも人型。え、えーと……オーガぐらいでしょうか。ジャイアントだと、一番弱いヒル・ジャイアントでも脅威度5なんでカンベンしてほしいんですが…でも出てこないこともないんだよなあ経験点枠的に。
 と思いきや、DM曰く、足跡が大きさの割に沈んでいないという気になる情報が伝えられる。普通、雪を歩く場合は踏み固めてしっかりした足場を確保しながら進む都合上、歩幅というのは狭くなるもの。故に足跡も踏みしめられ、深くなる。それが、この足跡はまるで雪中を苦にせず、スイスイと大股で歩いていっているのだという。む、すると“雪渡り”を持っているってことでしょうかな。「大きさの割に沈んでいない」と聞いて体重:なしのウーさんか? と間の抜けた連想をしていたのだが、意外と外してなかったようだ。

怪獣56 ウー怪獣56 ウー
(2002/06/15)
バンダイ

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 厚く積もった雪に悩まされながらも、一同は突き進む。特にレッドブルの“兆し”のツミコミを投入したのが大きい。
レッドブル「コレ、4eでも同じような能力があったけど、今回はタコい目を振ってもDMの出目にできるんで意味あるんだね
一同「つ、つえー」
 何気なく選んだ占術の系統でしたが、そんなヒミツがあったなんて……。
 さて、踏み越えていった先には雪に覆われた洞窟があった
 洞窟の壁は氷でできており、いかにも足跡の主と関連がありそうなヨカソ。またここにきて聖印を納めた箱が強烈な光を放ち出す。なんだなんだなんだ!? と即座になんだなんだ化する一同。
グレッグ「なんぞ我らを守ってくれるご利益でも発動したのかのう」
DM「そういうボーナスはないです」
一同「(´・ω・`)ショボーン」
DM「強いて言うなら、何かを探知してるような感じですかねぇ」
セト「この洞窟でそのアンサーを聞いて、箱が輝くとなると、どうも嫌な予感しかしないなぁ……」
 調査をする際も、きっぱりセト-エルダーテイル、グレッグ-レッドブルとイザという時に対処できるツーマンセル体制を取る我々。入り口から入って右手には氷の壁に阻まれた行き止まり。気合を入れて殴れば壊せないでもないが、そんなもんで崩落したら身も蓋もないので後回し。左手は通路となっていて、その先には広い空間があるようだ。
 ゆっくりと近付いていくと、先頭を行くグレッグの暗視に、部屋に突き立つ幾何学的に配置された柱と、その真ん中、散らばった金貨の中に倒れている人の姿が見えた
グレッグ「何ィ!? まさかドーベン先生か!?」
DM「そのようですね。hpは0以下になってるらしく、気絶しています」
エルダーテイル「なんか嫌な予感がするから、僕後ろを見張ってるよ」
 グレッグとセトが柱の間を駆け抜け、ドーベン先生の様子を見に行く。幸い、命に別状はないようで、グレッグの<医術>判定が成功すると容体は安定したようだ。
 が、それと同時に逆方向、さっき見た氷の壁のあたりから獰猛な唸り声が聞こえてくる。
DM「ねじくれた角と真っ白な体毛を持つ、巨大な類人猿がそちらに向かって突き進んできますな」
一同「で、出たーッ!」
 出現したのは、雪山に生息する魔獣のイエティ属性は混沌にして悪のナイスクソ野郎です。これはどうしても対話の余地すらありませんな! 第一イエティ語なんてオラ達しゃべられねえし!コンプリヘンド・ランゲージはあるけど)
レッドブル「距離が開いているから、まだ接敵はされないな。よし、フレイミング・スフィアーを発動させてすぐ離れるぞ」
エルダーテイル「雪の怪物だから、[火]に弱いとかないかなぁ」
DM「ウギャー痛い。弱点ってわけじゃないですが、物凄くイヤがってます
※イエティは“火を恐れる”特性があり、[火]ダメージを受けると技能・攻撃ロールに不利を得る。つまりフレイミング・スフィアーは最悪の相性。
 エルダーテイルはまだ相手が行動していない故に発動する急所攻撃を撃ち込みつつ、レッドブルと共に後退。部屋の奥にいたグレッグとセトもおっつけ到着する。
セト「しかし距離があり過ぎるな。無理に前に出ることもなかろう、俺はここで回避宣言をしておこう」
DM「しかしこちらには“凍れる凝視”があるのですよ! というわけで【判断力】セーヴしてケロ。失敗すると3d6[冷気]ダメージを受けた上に1分間麻痺します
セトまた麻痺かよ! うおお何とか耐えた!」
グレッグ「れ、レッサー・レストレーションを用意しといてヨカッタと心底思っておるぞ今回」
 最大のピンチを脱した一行、後は猛烈な反撃に移る。
レッドブル「よし、ギリギリの位置で届くな。フレイミング・スフィアーを再びイエティに向かわせる!」
DM「ギャー熱い熱い熱い!」
グレッグ「あんな麻痺の凝視喰らったら死ぬしかないわい、ここはセーヴ強化のブレスじゃあ!」
エルダーテイル「レッドブルの影に隠れながら射撃!」
セトお、クリティカル! しかもまだ戦術は使ってないから、幻惑打撃を入れれば4d6+2d8+3ダメージ! これでどうだ!」
DM「う、うーん、脅威を与えることなく倒されてしまった……」
 セトのグレートソードの一撃で、イエティは煙のように掻き消えてしまった。命を絶ったかは定かではないが、当面の危機は去ったらしい。
 プリザーブ・ライフでドーベン先生のhpを回復して話を聞くと、この洞窟は古代のドルイド達の遺跡であり、現在は“霜の魔女”の腹心であり、呪われた怪物と化した者の住処になっていたのだという。広間に散らばる財宝はイエティの収奪品。×印のあった箇所で例の聖印を納める箱を発見した先生は、古文書に記されていたこの地にも足を運ぶつもりであったのだが、そこをイエティに襲われたのであった。
DM「イエティは“凍れる凝視”で目標を麻痺させた上に命中すればクリティカルの往復ビンタが常套手段なんですな。しかも凝視で氷漬けにしてしまうので、あんまり血も飛び散らない。こうして一人ずつ誘い出して始末したんで、痕跡を発見することができなかったワケです」
一同「凝視に抵抗できてヨカッタ……(ゾーッ)」
グレッグ「そういえば“霜の魔女”の腹心とやらって倒しちまってよかったのかのう。裏切って騎士の味方をしていたとかなら気の毒じゃが」
ドーベン先生「いや“霜の魔女”の後釜を狙ってるような輩だったようですよ。イエティと化すような性根の持ち主でしたし」
グレッグ「なんだそうか。まああの姿のまま生きながらえるのも本意ではなかろうから、楽にしてやったと思っておこう。ナムナム」
 しかし少々の謎は残っている。聖印を収める箱はかつて“霜の魔女”と戦ったネラス帝国の騎士の持ち主である、とドーベン先生は語る。その効能がイエティ探知機であったのは今回証明されたのであるが、何故そんなものをオークが狙ったというのか? しかも、消えたもう一人のオークは何処へ向かい、そして何を目論んでいるのか? またイエティがドーベン先生だけを殺さなかった理由は? 氷の壁についてはイエティだけが通り抜けられるもので、壊した場合寂しく入り口から登場する予定だったらしい。
DM「それは……次のキャンペーンで明らかになるだろう
一同「( ´゚д゚`)エー」
 まーそれはそれとして、これにて懸案事項は一通り片付いた。洞窟から出た我々の頭上には輝かしい太陽が昇り、すっかり雪を溶かしていっている。その光はまるで春近し、を告げているようであった
DM「できればネタ的にひと月前にやりたかったんですけどねぇ」
一同「あー」

(完)



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