TRPGこぼれ話#230~ゆうべ、一人の男が死んだ~

 訃報が続いている。
 特に声優業界の痛手は深刻だ。『ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日』の続編を待ち続けてきた筆者にとってもただごとではない。中条長官に一清道人、鎮三山の黄信、十傑集なんて半数が他界されている。そういう年代というなら頷くしかないが、それにしても世の無常を嘆かざるを得ない。
 身内の不幸には、ここ最近遭わずに済んでいる。というのも、筆者の親類の高齢な方々は十年も前に皆亡くなってしまったからだ。遺された身内は、これがまた壮健と来ている。関節技とか仕掛けたら返し技で逆襲されそうなぐらい元気だ。自転車のハンドルに肘をぶつけて悶絶したり、ちょっとしたことで激昂したりする筆者と比べ、心身ともにはるかに健康そうに見える。長生きしてね。
 TRPGにおいて、死んだPCというのは数えるほどしかいない。覚えている限り、ソード・ワールドと、シャドウランと、セブン=フォートレスV3、キルデスビジネスでは死んだことがある。クトゥルフはどうだったかなー。中でもソード・ワールドは生涯忘れることはないだろう、それはなぜかと問うならば、初プレイで死んだからだ。冒険者レベルによるダメージ減少を知らなかったので、それはファイアボールを連続で浴びれば死ぬしかなかったが、2.0を10年近く前に先駆けていたというのかオレは。
 それからTRPG歴1×年、目の前で死んでいった数々の他のPCのことを思えば、片手で足りる程に収まっているとは、こと「生き残る」という点にだけは運がいい方なのかもしれない
 しかし、PCの死という劇的な場面でありながら、自分にせよ他人にせよそれほどドラマチックな幕切れであった覚えってほとんどない。「え? これで終わり? ウッソ?(スーさん風)」と、全体的に“?”の多い、呆気なくマヌケな死に様の思い出ばかりだ。リプレイにあるような、凄絶な最期を遂げ、仲間たちに惜しまれながら看取られる、なんてかっちょいい今際は皆無であった。あれは読み物でツクってるんだから当然だよまったくこれだから○○○○リプレイは、などとプロレスラーにこの八百長野郎、などと叫びそうな「正しい人」のタイクツ音頭が聞こえてきそうだが、それにしたって味気のない死である。仲間も悲しむというより呆然として( ゚д゚)ポカーンとかける言葉も思いつかず、「じゃ、まあそういうことで…」などと曖昧な別れで済ませていた。ホル・ホース曰く「人生の終わりってのはたいてーの場合あっけない幕切れよのォー さよならの一言もなく死んでいくのが普通なんだろーねえー」というゲンがぴったり当てはまる。
 不思議の負けはない、という言葉の通り、死んだ理由はそれぞれ明白だ。ソード・ワールドなら冒険者レベルのダメージ減少忘れ、シャドウランでは罠を察知できず重傷を負ったところを襲われた。セブン=フォートレスV3ではサンプルシナリオのボスが魔法ダメージン十点とかご無体なことを言われて悶死した。キルデスビジネスは単に出目が悪かった。どれも後から見直せば「まあ、死ぬよな」という状況である。
 しかし、そのどれもリアルタイムでは「死ぬな」と確信はしなかったと思う。セブン=フォートレスV3で猛烈な魔法ダメージを喰らって一人また二人と倒れていく中、「いや、さすがにTRPGなんだからそうそう死なないでしょー、なんか打開策あるでしょ」と使用していたサンプルキャラやボスのデータを見比べていたのだが、本当になんもできずに死んでいった。この「TRPGなんだから……」という思考は甘えでもあるけれど、それはあの状況なら、いやどんな状況でもTRPGユーザとして持っている思考でもあるだろう(意識無意識はおいといて)。
 現実においても、人の死ってそんなものなのかもしれない。いかに何が起きてもおかしくない、それこそ明日冷たくなって発見されるかもしれないという事実が背中合わせだとしても、誰もがそれを意識していることはない。病床で余命いくばくもない人ならともかく、「でもその未来が待っているのは俺じゃないもんね」と思っているはずだ。まだ若いのに思ってなかったとしたら、多分精神を病んでいるからお医者さんに相談した方がいい。
 そんな心構えも覚悟もない状態で、ポーンと情け容赦一切ナシの「死」という不条理に晒されたら、それこそ人は「え? これで終わり?」という、少しもカッコ良くもなく、マヌケな感想と死に様しか残らないのは自然いやさ当然である。その死のしまらなさは、不意のファンブルで死んでいったTRPGのキャラクターとまったく同じだ。実に呆気ないPCの死と、それを巡るプレイヤーの当惑は、死という自然現象の容赦なさ、それに対する人間の用意のなさのシミュレートだったようにも見える。
 たかだかゲームの死と現実の死を同一視するなんて不謹慎な、とお叱りの言葉もあるだろう。しかし何から人生を見出すのも人の勝手である。詩人は温泉宿のマッサージ椅子からも人生を見出す。ましてや、架空の出来事であるとしても、一人の生き様のワンショットを切り出すTRPGに人生を見出せずして何を見出すというのか。
 今回はなんか大袈裟で難しい話になってしまった。ともあれ、今夜も世界のどこかで散っていくであろうPC達に合掌。押忍。



君は人のために死ねるか君は人のために死ねるか
(2004/09/29)
杉良太郎

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