D&D5e余話#47~『ゴブリン王ナムスギルの財宝』始末記~

 歳末どつきあいの一環として開催された5eセッション。筆者にとって初のクローズドセッション&DMとなった。
 その感想はと言えば、大満足である。前回の「D&Dの楽しいところだけを遊べる」という言葉はお世辞でもなければ嫌味でもなく、心底からの本音で、かつ事実だ(つっても俺G文庫と3eと4eしかやってないけど)。3eで培われた雰囲気づくりや、4eによって進められた簡略化のいいとこどりで、以前と比べて信じられないぐらい手間なくD&D味を堪能できる。かつてD&Dを楽しんでたけど、英語だからちょっと……と迷っている人がいるなら、大丈夫だよ、十分遊べるよと背中を押してあげたい。
 この成功の秘訣は、ひとつは状況によって細かい修正値を乗せていく方式を捨て去り、有利・不利という大胆な判別に切り替えたことだろう。割とシンプルな3eでさえ重く感じられたのは、ゲーム内で生じるであろう状況状況に対する判定への修正値が律儀にひとつひとつ設定され、しかもそれを参照する機会が多かったことに起因している(これは3eに限ったことではなくて、一昔前のTRPGやSLGによく見られた傾向。ツクダホビーのSLGとかFASA社のゲームとかFASA社のゲームとかFASA社のゲームとか)。異なる状況には異なる数値を……これはリアリティを高める上で確かな意味を持っていたが、既にその路線はPFという強烈な対抗馬がいるので、これと競合しない形を取ったのはごく自然な判断である。戦術的優位に一括した4eでも、今度はパワーによって上下する修正値が多く、行動に時間がかかるという問題の解消にはつながっていなかったから、それらを思い切ってばっさりカットしたのは、結果的に新生D&Dを誕生する上で、大いに正解だったと思う。
 もうひとつは、状態異常が頻発しないことか(これは4eと比べての話)。4eの末期になると、どんなレベル帯でも状態異常が発生しない遭遇って考えられないようになっていた。ミニチュア戦闘を彩る要素として必須ではあったが、そのために敵も味方も何かを「させない」戦法が横行するようになっていたのは、賛否両論あったところだろう(意外と高レベルモンスターでも、状態異常への耐性は甘い)。攻撃が命中したら問答無用で即適用、も多かったしね……いくら1ターンで終わるとはいえ。また、それを脱するためのセーヴが特技やパワー以外で手の出しづらいダイス目任せ、それも忘れやすいターン終了時ということで、鬱陶しく思うことも少なくなかった。無論5eでも低レベルで状態異常を与える効果もあるが、それらは有限のリソースかつ使用回数を回復させることがそれなりに難しくなっており、基本は武器とキャントリップのどつきあいに回帰している。ミニチュア戦闘がPHBに記載されない(!)ぐらい戦闘の比重を落とした5eにおいては、これぐらい軽量な方がちょうどいいということだろう。
 モンスターのデータ・ブロックをさっぱりと削ぎ落としたものにしてくれたのは、DMとしてありがたい限り。3e系列の、ごっちゃり擬似呪文能力が記載された路線に戻すのはやめて4eの方針を継続しましょう、と判断したデザイナー陣はエライ。ほとんどのモンスターが多くてもデータ・ブロックは1/4~半ページに収まっており、参照性が格段に高まっている。それと、前述の通り戦闘にこだわりすぎない姿勢のため、理不尽な効果がだいぶ控え目になっていてホッとする。ACで物理攻撃も一部の呪文も防げるようになったぶん、「能力値修正+5で得意な防御値じゃなきゃ九分九厘通る」ような状況も少なくなることだろう。まあ、それでもフライング・ソードみたいな輩はいるワケですが……。個人的には、モンスターもPCと同じ方法で作られるように戻ったことも歓迎したい。PCが使うとしょぼしょぼのダメージなのに、モンスターが使った途端、何のパワーも特技もないのに2dダメージに早変わり、とかがものすごく多かったからさ。4eのモンスターはPCと違うルールで作られているとはよくいったもんだ。
 数少ない不満点は、呪文の選択方式を3eに近い形に戻したこと。何度も言ってるけど、あの呪文リストと呪文表に首っ引きで取り組まねばならないのは、いくらゲームが軽くなっても大いなる負担と言わねばならない。クレ公なんて使用域にある呪文を一度に全部覚えるんですぞ。あと、地味にキくのがMMに脅威度順の索引を付けなかったこと。PCのレベルに合わせた遭遇を作るのに、俯瞰した視野を作りづらい。ゲームの出来がいいだけに、こういう細かい不備が目につくところだ。
 それと、修正値を乗せる手段が少なくなっただけに、d20一発勝負の出目が偏ると危ないところがより強調されることとなった。事故ったボス戦も、PCの出目がもっと良ければ素早く片付いていたでしょうが……とういか、そういうゲームなのに何故デザイナーどもはどいつもこいつもパック・タクティクスを加えたがるのかと(以下略)。そのようなストレスを解消する手段として、インスピレーションというルールを作ったのかもしれないけど、これも天羅の気合と因縁のようにシステムと密接に結びついていないので、割と忘れられがちになる。慣れてないシステムで、しかも作ったばかりのPCで遊ぶ人などは素のプレイになってしまい、ロールプレイをする余裕がないと、ますます縁の遠いものになるであろう。1点しか保持できないため、使いどころに悩むのも困りもの。取りあえず覚えている人は率先してバンバン使い、DMもケチらずバンバン渡して回していくことが、存在をアピールする第一歩だと思うがどうだろう
 あとは諸々の細かい感想を。

・《Heavy Armor Master》が強い。強すぎる。ザコ敵の攻撃ボーナスとダメージが上昇した5eにおいては、これのあるなしが前衛の価値を左右すると言っても過言ではない。故に人間以外ならば、持てるなら盾を持ってがっちり防御することを推奨しておく。
・《Healer》の回復量もアホみたいに強い。クレ公以上に回復している気がする、という発言は伊達ではない。5gpを持ってたらHealer's kitをドカスカ買ってあげよう。
・バーバリアンは激怒すると別次元の強さを発揮する。激怒したババリソが沈む時は、パーティが壊滅する時。そのぐらいの粘り腰を見せる。一方、激怒していない時は高いACもダメージ軽減も持てないので非常に脆い。激怒回数を確保できない間は、やはり激怒抜きでどう生き抜くかが最大の課題となるだろう。個人的には、みんなでお金を出し合って盾を買い、サブで片手武器を持っておくのがよいかと思うが。
・ババリソのような高いHDもなく、《Heavy Armor Master》も持てないモンクはやっぱり相当厳しい。コボルドのスリング一発でhpの大半を持ってかれる脆弱さは致命的。ACのために【判断力】を要求されるのも辛い。DMG掲載のマジック・アイテムによる補強が待たれる。
・ダンジョン行のような、小休憩を気軽に取れない状況だとウォーロックの価値はだいぶ落ちる。また必然的に戦闘で呪文スロットを切らざるを得ないので、呪文で状況を動かす秘術呪文使いのポジションはあまり期待できない。まあ、↑に書いた、状態異常を与える効果を小休憩ごとに使える(アーチフェイの契約)で何贅沢言ってやがる、って感じですがね(ケッ)。
・移動→攻撃→移動は遠隔攻撃主体のキャラクターにとって非常に有用。覚えておくといいだろう。
脅威度が同じでも強さは全然違う。データはちゃんと見て遭遇を作ろう。「ルール上適正な数値なら何をやってもいい」それが許されるのは前世紀までだ。同じ脅威度1、1レベルPCにぶつけるならゴブリンズ・ボスにしとけ。バグベアはやめとけフライング・ソード×4とかはもっとやめとけ



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No title

レポお疲れ様でした。
個人的に、5eはかなり好感触。
ただあれ、《Heavy Armor Master》がなかったら死人が出てたかもしれませんな。
モンクの弱さもそうなんですが、極端なバランスになってる部分はあるかもですね。

でもまあ、恐れていたパック・タクティクスも、慎重を期せばそこまで脅威になるものではないことも分かりましたし、d20のもともとのポテンシャルもあって、いい緊張感があると思いますぜ。

もちろん、これまでのD&Dがダメという話ではないのですがw

No title

回復手段はレベルさえ上がれば呪文にせよHDにせよどんどん増えていくんで、かえってあのぐらいのダメージじゃないといけないのかも。
じゃそれらが無い1レベルはどうせいというのか、って話ですが。
1~3レベルは入門編とオフィシャルでも言ってるらしいので、さっさと2レベルに上げるか、1レベルはそんなにやるもんじゃないと考えられてるのか…

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Re: No title

ズバリおっしゃる通りど忘れしていただけです。
魔法のシミターなんだからダメージ軽減効かないじゃん。
爪などに関してはどうなんでしょうね? 以前の版だと「肉体武器」という表現もあったし、素手打撃が武器の表に載っているぐらいだから、効果があってもいいのでは。
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頑張りましょうと言えないのがとても残念です

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