昭和かよぅ

 阿佐ヶ谷ロフトで開かれている『オーケンの名曲喫茶』に足を運んだ。
 この企画はのほほん学校の一環で、オーケンorゲストのセレクトによる懐かしのエー曲を聞いて、その間にトークが挟まるだけというひじょうにシンプルな構成。大槻さん本人まで「曲かけるだけでみんな結構聞いてくれるもんだなあと」「俺、もしかして今まで色々やり過ぎたんじゃ?」とのたまうぐらいであるが、これはこれで楽しいですよ。あんまり音楽に触れてられない多感期であったから、聞く曲聞く曲が新鮮であるし。それに、「面白い話とかしません」といいながら、ついついこじゃれたトークを披露してしまう大槻さんのサービス精神が好きだ。
 その中で、「家が厳しくてテレビを七時~八時の一時間しか許してもらえず、歌のベストテンとか見た事なかった」という発言があったが、私もそうだった。チャンネル権がない上に「流行り物=悪しき物」という2ちゃんのオタクみたいな思考の親だった(この嗜好、今のオレにソックリ)ため、流行り歌とか人気アイドルなんかまるで知らなかった。あの当時、SPEEDのメンバーを一人も知らない少年はかなりのマイノリティであったろう
 代わりに親が大音量で流すラジオからJ-POP以前、所謂「歌謡曲」を散々浴びせられてきたため、一時代前の音楽への親和性はバッチリだ。カラオケに行く度に年齢詐称疑惑を受けるのは、恐らくこの辺に根っこがあると思われる。今時の音楽にいまひとつピンと来ないのも、流行歌がプロトカルチャー扱いだった少年期のコンプレックスが原因だろう
 で、いにしえの名曲めぐりなんかをしていて思ったのだが、どうして歌謡曲ってああも悲しい歌詩ばっかりなんだろうか
1.実らない愛の歌
2.実らない夢の歌
3.別れ歌
 が異様に多いことに気づかされる。聞いているだけで
to6.jpg
 となれる、演歌ならぬ怨歌とでも言うべき三上寛的情念が炸裂している。無論希望を歌っている歌だって無いわけではないんだが、どこかしら諦念や挫折などマイナスイメージを抱え込んでるような気配を感じる。
 当時の働き盛りの生年を考えればまだまだ戦争の傷跡癒えぬ頃、焼跡の中から立ち上がって来た人々だ。そんな生い立ちからすれば、ノー天気な歌詩なんてとても書ける気分でもなかったんでしょうか。そういう世界に「好きな人とキャッキャウフフしてウルトラハッピー」な歌詞を持ち込もうというアイドル文化とは、相当にパンクな行為だったのだなぁ。一体いつから出てきたのかワカらんけど。
 あと80年代ジャニーズ系の男性アイドルの歌って例外なくダサいな。当時はその青春サワヤカ路線の若々しさで売り込んでいたんだろうが、今聞くとあからさまに「未成熟な若者の声」で、聞いてるとえもいわれぬ気恥ずかしさに襲われる。それも含めて許容できちゃういい曲ももちろんあるのが歌のパワーってやつですが。今でも光GENJIの『STAR LIGHT』は好きだ。
 ほんじゃもっちゃここから先はサビぐらいしか知らなかったが、あらためて聞いてみたら「なんじゃこりゃ??」と仰天した懐かしの曲の話でも。

●狙いうち(山本リンダ)
 フルバージョンで聞いて最もブッ飛んだのはコレ。
 まず、ウララウララウラウラよ、って、何? アパッチの雄叫び? 天地を喰らうの張飛? というかリンダさん「ウダダウダダ」って歌ってるし。とりあえず「狙いうち」というタイトルを彷彿としないことは確実である(少なくとも、俺は「ウララウララウラウラよ」がタイトルと思っていた)。それなのに採用しちゃうところが作詞界の帝王・阿久悠先生たる所以か。
 その上「この世は私のためにある」「神がくれたこの美貌、無駄にしては罪になる」こんだけ超上から目線なのに狙いは玉の輿か、という大槻さんのツッコミが冴える。なんでしょうね、この傲岸不遜極まる歌詞。どこからこの自信が生まれるのか。山本リンダさんの低音バリバリに効いた歌声に乗ると不思議とハマってるんだけど。
 ちなみに『奇跡の歌』というノストラダムスブームに乗っかったと思われる曲も聞いた。「信じる? 信じなぁーい?」と胡散臭さ全開のイントロから、以後まったくそれと関係のないウララウララと同じようなリズムが続くバカ歌です。

●ブーメランストリート(西城秀樹)
 帰ってくる人という題材に、ブーメランをモチーフにもってくるその風雲拳的発想(これも阿久悠先生。この言葉選びから生まれたフレーズのためか、子供にもヒットしたらしい。恐るべし)も凄まじいが、何より衝撃を受けたのはその曲調。いきなり「ブゥゥーーーメランブゥウーーーメラン」という待ちガイルもかくやのタメっぷりを見せておいて、ブーメラン以外の箇所は結構ハイテンポで進む。歌詞に「ブーメラン」という単語が登場するたびに、「ブゥゥーーーメラン」という超スローボールの変化球を叩きこんでくるのである。こんな物凄い変調よくつっかえずに歌えるもんだ。
 しかもしかも、この歌詞も曲調もヘンな歌が、またカッコいいんだー。暑苦しいビブラート付きで「戻ってくーるーだーろーおおおー!」と絶唱するヒデキのセクシーさに惚れない人類がいるでしょうか!? てかホントに当時22歳!? デビュー当時からヒデキ30歳説が流れていたのもうなずける。

●太陽がくれた季節(青い三角定規)
 君も♪今日から~は♪のくだりを、よく親がネタとして口ずさんでいたのでそこだけは覚えていた。
 実際聞いてみたら驚いたよその構成に。名曲喫茶というこの企画以上にシンプル。AメロBメロの繰り返しだけで完成している。実は↑の『狙いうち』もそうなのだが、メロが短いもんだからよりシンプルさが際立つ。その短時間の繰り返しで青春のなんたるかを語り切っているのだから、これはもう職人芸と言えよう。
 また青春を燃える若さではなく、未熟故の哀切という切り口で表現するところがグッと来る。「逃げてゆく白い鳩、それとも愛」とか「届かないあの手紙、別れた夢」とか、実はみょうに歌詞が後ろ向き。ここらへんは、上記のやたら悲しい歌が多かった時代の影響か。それらを乗り越えた上でこそ、「僕らの仲間、飛び出そう青春の海へ」という呼びかけが震えるのだ。
 今の若い人が聞いたら、きっとこの青春像に笑ってしまうことだろう。でも、当時の人々にとっては、これが青春のすべてだったと思うんだよね。

●夜へ急ぐ人(ちあきなおみ)
 オーケン幼少期のトラウマ歌。家族だんらんでテレビ見てたらコレが流れてきたそうですが、正直エロシーンが流れるより気まずいと思いますなんだよ怖いよこの歌! 最初から人を暗い気分にさせるつもりの歌というのは探せば結構出てくるが、それにしてもコイツぁ演出とかを越え、入り過ぎてて怖い。「おいでおいでぇ!」の後に、ソッポ向いてブツブツ呟く所とか、大槻さんでなくても「壁に向かって話してるよ~…」と泣きが入りますよ。カンカン照りの昼は怖い、正体現す夜も怖い、って俺はアンタが怖くて仕方ないよ!
 日野日出志か丸尾末広かってジャパーニズホラーの世界、こんな歌現代にぜってぇ出てくるわけがない。混沌と自由の昭和が生んだ鬼子、奇形児だ。

●DESIRE(中森明菜)
 これはもう、単純に曲の完成度にオラおったまげただ
 歌唱力・歌詞・演奏・振りつけ・ビジュアル、全てにおいて完璧。アイドルマスターに出たら全てのパラメータがカンストしてチートかと疑われる。時代・業界・才能がガチッと噛み合った時にだけ発される無敵感とはコレかぁ! 怒りの天使アクローマも真っ青の無敵のオーラだ。
 オカッパ頭って私あんまり好きでない髪形なのだが、この映像を見てしまったら、もーこの人にはオカッパしかないと納得させられる。ビブラートをかけてる時の悩ましい表情には数十年前の映像とワカっていても君に胸キュンいやさズギューーーン状態である。
 歯~ニラ~という替え歌でしか知らなくてすいませんでした。



ちあきなおみの喝采 おぼえてますか、1972年の大晦日に見せた“伝説の歌唱シーンちあきなおみの喝采 おぼえてますか、1972年の大晦日に見せた“伝説の歌唱シーン"…。今こそ、ソロヴォーカルの神髄を!
(2013/10/23)
ちあきなおみ

商品詳細を見る
スポンサーサイト

テーマ : 昭和の歌謡曲
ジャンル : 音楽

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

銀河アズマ

Author:銀河アズマ
R&RにてパスファインダーRPGのサポート記事を担当させていただいております。

最新記事
最新コメント
月別アーカイブ
カテゴリ
タグ

D&D Pathfinder PC作成 5e 4e Encounters 初期PC TRPG クトゥルフ神話TRPG クトゥルー キャンペーン 六門世界 東方ドミニオン ARG レポート 3e 読んだ本 ボードゲーム 迷宮キングダム 小説 APG サプリメント ACG MM SW2.0 カードゲーム ザ・ペナルティメイト・トゥルース モンスター・コレクション メタリックガーディアン N◎VA UC パラサイトブラッド 音楽 大槻ケンヂ  エッセンシャル 一発ネタ PU 筋肉少女帯 ブレイド・オブ・アルカナ 漫画 MTG UE Season8 風神録 SF キン肉マン バカゲー ジョジョの奇妙な冒険 覚醒篇 中堅PC UM ウォーハンマー Princes_of_the_Apocalypes Season6 GM 野望のルーツ Season4 Season7 リプレイ 永夜抄 アニメ クトゥルフ2010 東方領土研究会 サタスペ ゲーム Bestiary EXTRA R&R パズル 紅魔郷 DMG PHB 椎名誠 天羅万象 伊藤勢 真・女神転生 Season11 妖々夢 クトゥルフ2015 死の国サーイ 地霊殿 UA PSYCO-GUNDAM スパロボ NEXT ガンダム シナリオ ファンタズム・アドベンチャー スティール・ボール・ラン Season3 Season5 Season9 MC 機動戦士Zガンダム 世紀末古代災厄公社伝説 バキ Forge 奇想コレクション シオドア=スタージョン Season12 好きなTRPG レッド・ノベンバーを救え! フィリップ・K・ディック 荒野に獣慟哭す 空中庭園エリュシオン コードウェル城奇譚 タイム・オブ・ティアーズ・アゲン ナイトウィザード シャドーオーバーミスタラ キャッスル・レイヴンロフト Volo's_Guide_to_Monsters 番長学園!! CRB Expeditions 映画 レジェンド・オブ・ドリッズト 五つの風 ジョジョリオン 電車 UCa 特撮(バンド) サタスぺ リボルミニ プロモカード フンタ パンデミック 特撮 パスファインダー・アドベンチャー 雑記 d20モダン アリアンロッド 三国志 Temple_of_Elemental_Evil ダンジョン・コマンド ACG T&T ラス・オヴ・アシャーダロン 快傑ズバット ダークブレイズ 即大休憩 アルフレッド=ベスター 装甲騎兵ボトムズ 機甲猟兵メロウリンク ビギナー・ボックス 真夜中の探偵 レイトショウ シャドウラン メガテン 東映特撮YouubeOfficial 手塚治虫 FEAR 異色作家短篇集 ガントレット・オブ・フールズ クトゥルー神話 三上寛 都筑道夫 刺青の男 ミストグレイヴ キテレツカップリングパーティ 絶体絶命 革命万歳 ポケットの中の戦争 OA ルーンロードの帰還 ログ・ホライズンTRPG 2nd Starfinder そっとおやすみ アーカム・ホラー レイ=ブラッドベリ 鉄腕アトム クソコラ VGtM エンゼルギア ラクラク大統領になる方法 魔獣使いの少女 ラフカディオ・ハーンと四つの顔 スティーヴン=キング 島本和彦 イベント キャット&チョコレート ウルトラマン ドラスレ パラノイア コズミック・エンカウンター 異色作家短編集 フレドリック=ブラウン 当方領土研究会 幻想少女大戦 モンスター画家 ジャングルスピード バイブルハンター セブン=フォートレス 東方領土研究会会報 MM2 Out_of_the_Abyss カットスロート・プラネット ゲーマーズ・フィールド ストーンオーシャン Pit 火の鳥 

リンク
FC2カウンター
D&D5e
Pathfinder
クトゥルー
検索フォーム
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード