D&D5e余話#185~ウォーロキアンへの道・後編~

 前回はウォーロックの「らしさ」を構成するであろうパズルのピースをあれやこれやとみつくろったところで後編はビルド実践編だ。
 んで、「これは」と思ったのが悪魔の視覚/Devil's Sight+ダークネス戦法。まずはここから考えてみよう。
 このダークネス戦法のあらましをもう一度整理しておくと、
ダークネスは術者を中心に発動する(暗闇に覆われる範囲は半径15フィート)。
・こちらを視認されないため、攻撃ロールに有利が乗る。
・敵に視認されないため、敵からの攻撃に不利を乗せられる。
・ダークネス内に存在するクリーチャーは自身の攻撃に不利が乗るが、攻撃される側も攻撃者を視認できず有利を与えるために打ち消し合う。つまり、有利も不利も乗らなくなる
・対象が視認できなければならない呪文を無効化できる。
・敵に視認されなくても、隠れていない限り居場所はわかる(攻撃の対象にはなる)。
 これらを鑑みて、至極妥当な判断ではあるが、あまり変な事は考えずエルドリッチ・ブラストからの砲撃を主体としたい。接近して敵も味方もダークネスに巻き込むと有利が乗らなくなるのはクラスによって困ることになるし、姿が見えないからといって攻撃の対象にならないのはもちろん、機会攻撃を受けないというルールも5eにゃ無いのだ(DMによって判断は変わるかもしれないけど)。薄いACをフォローするための一撃離脱戦法は、ダークネスだけでは有効性に欠ける。敵が“連携戦闘”持ちだったりすると、敵味方とも闇に巻き込む意味も一応はあるかもしれないが、それはケースバイケースということで。今思い付いたけどこれ楽しそう。ならず者とかに有利を与えずキリキリ舞いさせてやりたい(一番そうさせてやりたいのはコボルドだが、どうせダークネス使えるようなレベルになったら出てこねえだろう)。
 “妖しの嘆願/Eldritch Invocations”は悪魔の視覚苦悶の爆発/Agonaizing Blastで安定と言ったところだが、呪文と“異世界の後援者/Otherworldly Patron”“契約の恩恵/Pact Boon”はどうするか。
 ダークネスは集中が必要の為併用はできないが、やはりヘックスウォーロックの魂故修得しておきたい。専用呪文ってスペシャル感出るじゃない。それに敵に魔法の闇を見通せる奴がいるとこの戦法詰むしな。なお、ダークネスを他者にかけてもらえばまさにパーフェクトであるが、ダークネスを使える術者というとだいたいウィザードかソーサラーで秘術役モロかぶりなのがいただけない。専用呪文と言えばヘリッシュ・リビュークも滅多にウォーロック以外の呪文リストに出てこない呪文だった。ダークネスを鬱陶しがって攻撃(特に範囲攻撃)を仕掛けてくる敵に脅しとして使い、抑止力としての効果を期待するというのはアリかも。もっともダークネスの精神集中が切れていたらしまいであるし、そうでなくても二度以上ヘリッシュ・リビュークを唱える呪文スロットはそうそうないと思うけれど……。
 ミスティ・ステップもいきなりダークネスの暗闇が飛び込んでくると思うとなかなか面白い。場所自体は闇の中でも結局悟られるので殴られるし、闇の外に攻撃する時も上記の通り不利無しになるのを考えると、有効なのはやはり対象を視認できないと苦しい呪文主体の敵か。
 悪魔の視覚による偵察能力を強化するような呪文となると、インヴィジビリティメジャー・イメージあたり。ウォーロック呪文リストだとあまり存在しないのが惜しい。
 “異世界の後援者”はいずれもこれぞ、という相性の良さなワケではないが、どれかというならフィーンドか。単に攻撃ロールの必要な呪文がリストにあったスコーチング・レイ)というかなり
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 な理由であるが、一応14レベルの“地獄送り/Hurl Through Hell”も攻撃のヒットが条件なので、ダークネスからの有利を活用しやすいぞ(そのレベルだと無視界知覚の敵ばっかりだとかダークネスに頼らなくても有利取れるとか言わない)。実際、フェイの“霧歩き/Misty Escape”の不可視状態や、グレート・オールド・ワンの“エントロピーの守護/Entropic Ward”で与える不利と貰える有利はダークネス戦法で最初っからついてるんで噛み合ってないのは事実なのだが。
 “契約の恩恵”は近接戦闘をやらんと決めた以上、でなければどちらでも。でインプを偵察のお供にするもよし、で汎用性の高い呪文を加えるもよし。ウォーロックは技能が偵察向けとは言い難いので、ガイダンスの出目で補強するのが特にオススメ。どっちも専用の嘆願で鎖の支配者の声/Voice of the Chain Master太古の知恵の本/Book of Ancient Secretsという使いでのあるものが用意されている。
 種族で戦法にこの上ないほど合致しているのはゴブリン。“素早い脱出”でボーナス・アクションで隠れられるため、視覚に頼る相手には範囲攻撃以外をほぼ完封できる。ただし【魅力】が種族修正で上がらないし、他の種族特徴は小型の割に30フィートの移動速度ぐらいしか見るべきものが無いのが悲しい。そもそもモンスター種族を候補に入れるなっちゅう話もあるが(そんなことでは【魅力】クラスがどいつもこいつも呪文抵抗と完全耐性:毒持ちのユアンティになってしまう)。
 小休憩で回復しないが、ダークネスの使用回数が1回増やせるドラウも相性は良い。〈知覚〉に習熟できれば、レイピアに習熟するので接近戦もそこそここなせ、ショートソードも使えて妙技特性+二刀流するしかねゑって感じ。問題はひとたび日光下でダークネスの外に出ると高確率で〈知覚〉も攻撃ロールも死ぬってことだな(元からある暗視120フィートがちょっともったいない気も)。能力値と技能の相性ならタバクシーの方が実用的だろう。〈隠密〉と〈知覚〉というこの上ないほど偵察役向けの技能を素で習熟してくれるのが大変ありがたい。
 人間の場合は特技が取れるワケだが、さて何にしよう。無難なのは《戦闘発動/War Caster》か《儀式執行者/Ritual Caster》あたりだが、それじゃ当たり前すぎて面白くねぇ、というなら前回挙げた《中装鎧習熟/Moderately Armored》は変わり種と言えるんではなかろうか。スケイル・メイルと盾で【敏捷力】+2どまりでもACを18まで持っていけるし、強化ボーナスでさらに伸ばせるため、破れかぶれでダークネスに撃ち込まれた不利付きの攻撃による事故を劇的に防げるようになる。さらに《盾の巧者/Shield Master》まで取れればダークネス破りの範囲攻撃につきものの【敏捷力】セーヴに強くなり、かつ半減ダメージも受けなくなる……そこまでするか、という気もあるが。シールドに習熟していれば《盾の巧者/Shield Master》を優先できるものの、残念ながらシールドに習熟できる種族は今のところ存在しない。流石のマウンテン・ドワーフや戦闘狂のホブゴブリンでも盾の扱いまでは学べないらしい。
 どうしてもダークネス戦法と近接攻撃を組み合わせたい場合は《機動力/Mobile》をオススメするダークネス戦法で近接戦闘を考えなかったのは前線に居続けることの難であって、前線に居続けないのであれば問題はない。またダークネス戦法(とヘックスも)は攻撃回数が多ければ多いほどそのシナジーは大となる。二刀流という割と早期に攻撃回数が多くなる手段が用意されているため、の恩恵で片手武器を作り、逆手に軽い武器を持てば有利付きの攻撃が1ラウンドに2回飛ばせる。渇く刃/Thirsting Bladeが解禁されれば、3回攻撃だ。エルドリッチ・ブラストと比べて強いかと言われると俺は明確に弱いと思うのだが。特技はいるし両手が塞がって呪文の構成要素を満たせなくなるしそもそも5レベルでエルドリッチ・ブラストを2本飛ばせるようになるのだし。ちなみに、実はゴブリンだとこれも特技がいらない。しかも離脱アクションなので攻撃した目標に限らず機会攻撃を受けない。
 の恩恵は武器攻撃という点でエルドリッチ・ブラストと異なる性質であり、戦術に組み込むのであればこの一点に活路を見出したい。考えられるのはマルチクラス
 例えば、ローグなら急所攻撃の武器攻撃という条件を見事に満たしているし、有利が乗っているため単独で行動していても発動する。1ターンに1回という制限は残念だが、ダークネスで集中していてヘックスを発動できないぶんの火力の穴埋めにはなる。2レベルまで上げれば“巧妙なアクション”で闇の中に隠れることさえ可能になる。なお、急所攻撃が発動するのは妙技特性が必要なため、の恩恵で作り出すのはレイピアとなるだろう。それと、1レベルでも技能一個のオマケはもちろん、“習熟強化”が非常にオイシイ
 戦闘スタイル目当てにファイターという手もある。片手武器戦闘スタイルや二刀流スタイルで威力の底上げを図るもよし、両手武器戦闘スタイルでヘックスと一緒にグレソをぶん回してもよし。それに中装鎧と盾に習熟できるので、そこまでACを気にしなくていい。
 鎧の習熟目当てでは、クレリックなら一足飛びで重装鎧に習熟できるものの、【判断力】13が少々つらい。その代わり領域呪文に1レベル呪文スロットが2つ、領域特典と得る物は多い。クレリックで得た呪文スロットは大休憩でないと回復しないが、これを使ってウォーロック呪文は発動できる。スロットのレベルを問わない呪文、端的に言えばヘックスをコレに当てられる。信仰の領域は追加呪文で【判断力】の関係無い物を使える、がマッチしている。これもローグ同様に2レベルまで上げると“神性伝導”が解禁されるためかなりドリーミー。フィーンドを選んでいるのなら、“暗きものの悪運/Dark One's Own Luck”で攻撃ロールに+1d10を足せるため、ダークネスの有利と併せて《大業物の達人/Great Weapon Master》もロマンではない《大業物の達人/Great Weapon Master》は戦クレ公が“神性伝導”で使う特技、みんな知ってるね! が、そこまで頑張るかはキャラクター・レベルと相談しよう。あと“戦闘司祭/War Priest”は【判断力】を思うとそう頻繁に使えまいが、どうせ小休憩で回復すると思えば呪文同様にそこそこ気軽に使っていいかもしれない。UAが解禁されてる場合はシールドを使えて鎧を魔法化でさらにAC底上げのできる鍛冶の領域/Forge DomainもE感じ。
 “異世界の後援者”はの恩恵にするなら前回はフェイかフィーンドか、と言っていたが、あらためてフィーンドを強くススメる。10レベルの“魔物のしぶとさ/Fiendish Resilience”で[殴打][斬撃][刺突]のいずれかに抵抗を得られるため、前衛として踏み止まる能力がだいぶマシになる。どれを取るかは敵次第なので要情報収集ながら、ノー手がかりなら噛みつき対策の[刺突]だろうか。この業界爪や手足はなくとも口はある奴は割と多い筈だ(インテレクト・ディヴァウラーとかが相手だったらすまん)。
 思った以上にのウォーロックの項が長くなってしまった。しかも後半割とダークネス戦法と関係ない。まあ、の恩恵は一応ウォーロックならではの特徴であるし、ここまでやれば火力を出すだけでなく、前衛を張れるぐらいのACは実現できるだろう、多分。それでもエルドリッチ・ブラストによる遠隔攻撃と、“妖しの嘆願”で汎用呪文をちょこちょこ増やしていった方が火力が出るし秘術役的な仕事も兼ねられるよという内なる声に打ち勝つことは難しいが。
 さて、ここまで述べてきたウォーロック案をまとめて筆者がやってみたいビルドを構想。まずは順当なエルドリッチ・ブラストの遠隔砲撃役から。
・ダークネス戦法を鑑みて、種族はゴブリン。【魅力】は種族で伸びない故、呪文能力はちょいと落ちるがそこは“素早い脱出”でカヴァーだ。“小兵の怒り/Fury of the Small”は、まあ思い出した時に使うぐらいでいいや。ウォーロックは〈隠密〉に習熟できないので、これは背景で選ぶ。〈知覚〉も欲しいが無い物ねだりはしてられねぇや。
・“契約の恩恵”はキャラクター的にはで口達者なインプを連れてると凸凹コンビっぽくて楽しそう。ウォーロックは初級呪文でセーヴを攻めるのが苦手だから、ヴィシャス・モッカリーを増やすことも考えたけど、【魅力】が劣るからねぇ。
・戦闘は自分を中心にダークネスを張り巡らせ、有利付きのエルドリッチ・ブラストを撃ったらボーナス・アクションで隠れるのが基本となる。どうしても味方を巻き込んでしまうような狭い場所、ACの低い敵にはヘックスで攻める。
・呪文能力を優先する場合(もしくはモンスター種族がダメな場合)はタバクシー。【魅力】【敏捷力】に〈隠密〉〈知覚〉習熟で悪魔の視覚などを使った斥候役を存分にこなせる。登攀移動速度も地味に役立つ。【魅力】を16までもっていけるから、こちらはの恩恵でヴィシャス・モッカリーを修得、ガイダンスも用いて技能判定も強化しておこう。
・まったく関係ないが筆者がプレイする猫人種族のツラ構えは大体↓である。
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の恩恵ウォーロックでは、人間を選択してダークネス戦法との兼ね合いで《機動力/Mobile》。の恩恵解禁までは置物と思うかもしれないが、いやいや待て待て誰がそれまで接近戦をしないと言った。上でも書いたがダークネス戦法もヘックスも攻撃回数が多ければ多いほど相乗効果は強くなる、つまり二刀流を仕掛ければエルドリッチ・ブラスト一発よりもその総合的破壊力は大となる(きっと)。また刃の恩恵で作るのは両手武器にする=【筋力】型だと、ハンドアックス二刀流できるのだヘックスを使えば2d6+【筋力】修正値に逆手で2d6が飛ぶ。どうだ。どうだ、と言われても困るかもしれないけど。
・ちなみに【筋力】型にするとガントレッツ・オヴ・オーガパワーを拾えたら19まで持っていけるので放置してよいというメリットがある。売価が設定されてない魔法のアイテムをアテにするのもどうかと思うが。
・“妖しの嘆願”は悪魔の視覚魔物の活力/Fiendish Vigor、5レベルで渇く刃を取ってしまうと12レベルの命を飲み干すもの/Lifedrinkerまで急いで取る物が無い。ので、7レベルで影の鎧/Armor of Shadowsを取ってもまあいいか。
・能力値的に無駄が無いのは妙技特性武器(レイピア)なのだが逆手に持つのがダガーでたった1d4ダメージなんてしゃらくせぇ、やっぱり男は両手武器よ! で、ダークネスの有利に“暗きものの悪運”と合わせて《大業物の達人/Great Weapon Master》とくらぁ! といきたいが、“暗きものの悪運”が6レベル解禁であることを考えると、流石に4レベルでこれは早過ぎる気がする。渇く刃も5レベルであることだし、ここは8レベルまでガマンするか。
・最終形は12レベルの命を飲み干すものだが、《大業物の達人/Great Weapon Master》をやるからには戦のクレ公2レベル積みたいなー。というワケで万全を期すなら完成はキャラクター・レベル14ということになる。なんかこのレベルになるとの恩恵云々以前に考えないといけないことが多過ぎる気もするけど、とりあえず理想は理想ってことで。
 ……と、つらつらとウォーロック「らしさ」を追求してきたのだけれど、前回・今回語ってきた事は“妖しの嘆願”や“契約の恩恵”が中心。故に、1レベルでは殆ど使用できない。この段階でウォーロックのキャラ立てすることはエルドリッチ・ブラスト一代男+ヘックスの火力以外にないと思う
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 後はグレート・オールド・ワンを後援者にしてクトゥルフに媚びる電波キャラを演じるとか……。
 小休憩で呪文が回復することを利用して範囲攻撃のバーニング・ハンズを撃ちまくる……にしても結局1戦闘に1発という縛りと1レベルだと1回の小休憩でHDを使い切って2回以上する意味がねーよメーンという状況に陥りやすい事を考えると、ウィザードと大差ないかもしれない。っていうか小休憩挟まれるとウィザードの方が呪文数で恵まれていたりする可能性ある(素で2スロット、小休憩で1スロット回復できる)。だからそういう役目はソーサラーだろうと
 種族によって能力値の大きな差異を出すのが難しくなった&ライトフット・ハーフリングローグのような失禁ものの相性の良さを作り出し難いクラス特徴からすると、やはりここは人間のヴァリアント、特技でプラスアルファを産むしかないと思うのだが。

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D&D5e余話#184~ウォーロキアンへの道・前編~

 ボーッとしていたら一ヶ月更新されてへんで広告が表示されていたので慌てて執筆。
 でもそんな久々の更新だけどディスり記事なんだ。仕方ないよね。当局における5eの歴史はウォーロックディスりと共にあったんだし。なお4eの歴史は途中からドラウディスりと共にありました。どこからそうなったのかは忘れた。
 んで5e発売以来ひたすら罵詈雑言を浴びせてきたウォーロックであるが、恵まれてるか恵まれてないかで言えば、これで恵まれてないと言ったら生レンジャーとモンクがツープラトンを仕掛けてくる(ただしレンジャーはUAで裏切りました)。呪文のスロット数回復に関してはガンとして大休憩を求めてくるD&Dにおいてまさかの小休憩で全回復。それも使うスロットは全てその時点での最高レベルとみなされるとか、
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 スリープのダイスを増やすために血眼になってウェブ用の2レベルスロットを切る他クラスの苦労をなんだと思ってるんだ。しかも秘術枠ヅラしながらHDはd8、軽装鎧に習熟とかバード舐めてんの? 秘術枠なんだけど秘術枠じゃないんですアピールしたければあのぐらいの中途半端さを意識しろっての。ったくこれだからデザイナーとコーデルに守護られてるクラスはよー。
 はい今日のノルマ終わり。
 ひとくさり「いつもの」って感じの儀礼的決まり事は済んだワケだが、しかし実際ウォーロックを運用してみると、ポテンシャルは高そうだが実際こいつは何ができるクラスなのか、という点で疑問が生じる。火力になれるのは間違いない。ウォーロックの魂ヘックスを乗せたエルドリッチ・ブラストが炸裂すれば1d10+1d6ダメージ、比較的安全な後列からこのダメージを叩き出せるというのだから1レベルとしては十分である。
 ただ、5eの他クラスを見ていると、火力を出すだけのクラスというのは少ない。パラディンなら厚い鎧と高いHDがあるし、ローグなら技能がある。そういう火力+αが売りになっているクラスに対して、ウォーロックが火力がただ出せるだけとなると、ぶっちゃけウォーロックでなくてもいいじゃん、という話になってしまう。しかも、ウォーロックの呪文の幅は狭い。あのソーサラーより狭いんだから情けなくって父ちゃん泣けてくらあ! とはっちゃく他ない。呪文修得数が少ないのは仕方ないにしても、初級呪文数まで少ないために、プレスティディジティションマイナー・イリュージョンメイジ・ハンドなど小細工の通じる呪文を揃える余裕までないもんだから、いよいよ大砲になるしかなくなってくる。
 それに、いくら小休憩で回復すると言っても呪文スロット数の少なさもまた、やはり厳しいもんがある。自慢のヘックスも一発撃ったら1時間休まないと再使用できないし、それを許してくれる環境というのはシナリオに依るところが大きい。で、そういう状況で貴重な呪文スロットを秘術役に求められるような汎用系呪文に回せるかと言えば、ウィザードでさえ「俺のマジック・ミサイルの回数が一回減るんだけど浮かぶ円盤作っていい?」とかそうそう言い出さない低レベル環境では是非もない。もっともクレリックにコンプリヘンド・ランゲージズディテクト・マジックの儀式発動をねだったりしたら、「コイツ何のためにいる秘術役なんだろう……?」と思われかねないけど。
 あと、砲台になるだけなら2レベル以降レンジャーにだってできるしな。ハンターズ・マーク+ロングボウで武器のダメージ・ダイスはちょっと落ちるが、能力値修正を乗せるにはウォーロックは苦悶の爆発/Agonaizing Blastを取得せねばならない。攻撃回数に関してはエルドリッチ・ブラストが5レベルで2本、11レベルで3本、17レベルで4本とファイター以上の早さの攻撃回数増加(ふざくんな)となるので流石に差が付くだろうが、一方で呪文は固定値を伸ばすのが結構難しい。《射撃の名手/Sharpshooter》のように特技で増強することができないからだ。3本になる11レベルまでは意外と伸び悩むかもしれない。それにダメージを出すだけじゃ、結局ウォーロックでなくてもいいじゃんという話に戻ってまうしな。
 実際、ただ火力が出せる奴が一人増えたところで、hpのおぼつかない低レベルにてPCが増えたからと遭遇の難易度を上げられたら、多分前衛がよりひどい被害を負うだけではないだろうか。火力はあっても攻撃ロールがある以上ちょくちょく外すし、低脅威度からACが高目の敵はしょっちゅう出てくるし、何と言ってもウォーロックは前線のどつきあいに参加しないだろうからね。増援も自慢の火力で薙ぎ倒すならともかく、なけなしのスロットをつぎ込んだヘックス+エルドリッチ・ブラストを外しまくったりしていたら、強化された敵戦力のぶんだけ前衛はとばっちりを浴びるハメになる。ただ火力を出せるだけというなら、他のPCは「それよりは両手武器持ちの前衛で参加してくれないかなあ」と、きっと心の中で思っていることだろう。
 いくら好きになれんとしても出会ってしまったのなら何かの縁、この恵まれたクラス能力に対していまひとつ立ち位置が見いだせないウォーロック「ならでは」の立ち回りを考えてみたい。
 で、あんだけ火力だけならウォーロックでなくてもいいじゃん、とは言ったが火力職として立つのがまずウォーロックの第一歩なのは否定しない。この最低限のポジションを確保するなら、選ぶべきはヘックスエルドリッチ・ブラストの組み合わせでまず間違いはないと思う。なんだかんだで防がれづらい[力場]のd10に1d6ダメージを90フィート(ヘックスの射程)から出せるんだからこれは大したもんだ。高レベルになれば本数は増えるし、それに全てヘックス苦悶の爆発が乗るとなれば、おさおさヒケを取ることはない。なお、ヘックスの追加ダメージは[死霊]なので防がれやすいのには注意されたし。また高レベル呪文になるとヘックスが乗ることはほとんどない。セーヴを強要する呪文がほとんどで、攻撃ロールの存在する呪文は稀だからだ。
 最大火力としては必ず殺すと書いて必殺のウィッチ・ボルトに違いないのだが、攻撃ロールが必要なことと、射程が短い(30フィート)のが厳しい。ACが低い敵限定で取りあえず修得しておく呪文と考えた方が無難かもしれない。
 戦闘ではヘックス+エルドリッチ・ブラストで立つのはいいとして、ではそれ以外のウォーロックらしさとは何だろう。呪文については正直修得の幅が狭すぎて、ここを「らしさ」の起点にするのは厳しいもんがあるので、クラス特徴の方に目を向けたい。
 最も注目すべきは“妖しの嘆願/Eldritch Invocations”、これだ。2レベルで修得できる“妖しの嘆願”にはウォーロックにのみ許される各種特典が、それも2つ選んで組み合わせられる。これと呪文、それに“異世界の後援者/Otherworldly Patron”を総動員することがウォーロックの「らしさ」を発掘することになるであろう。また“契約の恩恵/Pact Boon”が前提になっている場合もあるので併せて記述していく。
 苦悶の爆発を筆頭に、“妖しの嘆願”には戦闘向けのかなりいいもの、もしくはすごくいいものが揃っている。苦悶の爆発と並んで人気であるのが、恐らく影の鎧/Armor of Shadowsメイジ・アーマーを呪文スロット抜きで発動でき、術者クラスにしては高目のACを実現できる。【敏捷力】ボーナスが+3ならACは16、チェンメイル並の数値である。ただ、これは竜のソーサラーでも似たようなことができるし、8時間という持続時間を考えると、そこまでスロット消費無しという利点を活用できるとは言い難い(平時は朝起きたらまず発動して1時間小休憩、というムーブもできそうだし)。ウォーロックならではのウォーロックを目指すウォーロキアン(新しい造語)としてはもっとアクが強い嘆願を選びたい(モンクがいたりすると喜ばれるとは思うが)。
 一枠を苦悶の爆発に選ぶのであれば、もう一枠は冒険の補助に、汎用呪文の代用として使っていくのはどうか。例えばディテクト・マジックを発動できる妖しの視覚/Eldritch Sightとか、書いてある文字なら何でも読めるルーンの守護者の目/Eyes of Rune Keeperとか。儀式発動できないディスガイズ・セルフを使用する無数の仮面/Mask of Many Facesサイレント・イメージ霧の姿/Mistey Visionsになると、もっとウォーロック独自の個性が出てくる。
 特にウォーロックならではの能力として推したいのが悪魔の視覚/Devil's Sight。120フィートというドラウ並の闇を見通す能力に、魔法的な暗闇までもカヴァーできるオマケ付き。敵の群れの中にダークネスを発動してからエルドリッチ・ブラストを撃ち込む一方的攻撃が可能となるのだ。ただしダークネスは呪文集中が必要なのでヘックスと併用できないし、半径15フィートなんでアッサリ闇の中から抜け出せる。ダークネスを見通せるのは、普通悪魔の視覚を持ってるウォーロックだけなんで、それ以外のPCが困りそうだし。まあ、姿は見えなくても隠れていない限りは場所がわかるから、闇の中で殴り合った場合有利も不利も乗らんのだけれど。敵が見えないことによる不利と、敵も攻撃者を見えないことによる有利が打ち消し合って、結局ただの素殴りになるというガッカリ情報をそっと書き添えておかなければならない。不利が乗らなら別にいいじゃん、とはババリソの“無謀な攻撃/Reckless Attack”が死んだりするのを見ると、口が裂けても言ってられない。というかローグが特に死ぬ。ライトフット・ハーフリングローグなんて息してない。
 この戦法を取るなら有効なのは自分を中心に発動すること。こうすることで、味方の視覚を邪魔せず、かつ敵に自分の姿を見られることなく一方的に有利が取れる。クラウド・オヴ・ダークネスからの射撃みたいなもんである。隠れていない以上、場所を完全に隠蔽することはできないので攻撃は受けるだろうが、不利が乗るだけそこはマシだと思っておこう。ヘックスを乗せられない分威力は落ちるが、ホブゴブリンなどACがべらぼうに高い相手で、どうしても有利を取り続けたい場合は選択肢に入れてみてほしい。もうひとつ、防御策として優れているのは敵から視認されないため、「視認できる目標」と指定されている呪文を悉く無効化できること。見ることができない目標に撃てない呪文は実はすごく多い(原文を確認してみよう)。なんとマジック・ミサイルさえ無効化できる。範囲攻撃に関しては……味方を巻き込むことなく、自分だけを対象に使わせただけでも善しと思っておこう。
 なお、ボーナス・アクションで隠れることができるとダークネス戦法で完全に居所を埋伏することができる。これができる手っ取り早い手段はローグを2レベルまで伸ばすか、ゴブリンにするか。前者は確かに手っ取り早いにしてもちょっと悠長過ぎるので現実的なのは後者。その代わり1レベルで【魅力】を16まで引っ張り上げることはできないので、呪文に頼ろうとすると命中率やセーヴDCはやや下がる。
 2 つの精神の視線/Gaze of Two Mindsもなかなか面白い。他者の知覚を自分も共有できるようになる。危険な偵察・潜入任務の補助に大活躍するのは間違いない。シャドウランのアストラル投射のように使用中は無防備なため、周囲は信頼できる仲間に固めてもらおう。つまりこの能力を使用するウォーロックは、あたら仲間との関係構築を疎かにしてはいけない。何気なく「あの能力使わんの?」とか言い出されたりしたら、それは逃亡中に風呂を勧められるぐらい絶好の暗殺ポイントだ。
 さて、ここでちょっと嘆願と関係する“契約の恩恵”の話も。御存知の通り、“契約の恩恵”は鎖/Pact of the Chain本/Pact of the Tome刃/Pact of the Bladeの三種類。
 インプを使い魔にできるの恩恵が前提になっている鎖の支配者の声/Voice of the Chain Masterは、使い魔とテレパシー可能と相性バッチリ。インプはインヴィジビリティを使える上に武器へのダメージ抵抗があり、仮に透明化がバレても一気に20点前後のダメージを受けなければ死亡しない。しかもインプもしっかり悪魔の視覚、と偵察役として抜かりなし。他に使い魔にできるクァジットはダメージ減少の質と怯え/Scareの一発以外はインプとほぼ同等かやや劣る。スプライトは毒状態にする外道ショートボウと“精神視覚/Heart Sight”という面白い特殊能力はあるが、いかんせんhpが低過ぎる(2点)。飛行していると〈隠密〉に不利が乗るのも頭が痛い。普段から連れ回すのは難ありのため、毒ショートボウ狙いの時のみ呼ぶことになるだろう。ああそれと、攻撃を放棄することで使い魔に攻撃を行わせられるという効果はあんまり気にしなくてはいいんではなかろうか。
 の恩恵は初級呪文が3つも増えるため、汎用性に乏しいウォーロックの修得呪文もかなりマシになる。それもウォーロックの呪文リストに無くても良いというのが素晴らしい。ほぼバード専用のヴィシャス・モッカリーを引っ張ってきてACの高い敵に備えたり、ガイダンスで単独行動能力を高めたり、これは明確にウォーロックだけに許された芸当。多角的な振る舞いが可能になる。太古の知恵の本/Book of Ancient Secretsを選べば儀式発動もできるようになり、秘術役としての立場も相当マシになる。人間でなくても、4レベルの特技取得で《儀式執行者/Ritual Caster》を待たなくて済むのは大変うれしい。ちなみにシャレイリを覚えて殴りかかるなんてマネも可能だ。一応。
 最後に、の恩恵は作った武器に習熟することが最大のメリットであり、それ以上を求められると結構苦しい。渇く刃/Thirsting Bladeで2回攻撃できるようになるといってもエルドリッチ・ブラストがアホみたいな回数撃てるようになるのを考えると、わざわざ武器を作って近寄って殴る危険を冒す必要性は薄いのではないかと思う。またエルドリッチ・ブラストの高性能ぶりに対して、作った武器攻撃がそれに比肩しうる打撃力となるかもやや疑問である。威力を求めるなら両手武器となるが、現状両手武器は【筋力】で殴るしかないし、エルドリッチ・ブラスト+苦悶の爆発の破壊力はそこいらの両手武器に匹敵するダメージとなる。敵に隣接するのがヤだからグレイブを作って間合い外からつつく、なんてやるぐらいなら最初からエルドリッチ・ブラスト+苦悶の爆発してろ、という話だわな。12レベルで命を飲み干すもの/Lifedrinkerが解禁されればダメージに【魅力】を乗せられるため、かなりの固定値となるとは思うのだが。【筋力】【魅力】とも魔法のアイテムで19まで引っ張り上げられることだけは救いだ。
 の恩恵で戦おうとするならACの増強は不可避ながら、前述の通りメイジ・アーマーは影の鎧に頼るより、呪文スロットで隙を見て仕込むことをオススメする。その代わり、魔物の活力/Fiendish Vigorによる一時的hpの壁で凌ぐのだ。呪文スロットを消費せず連打できるメリットは、メイジ・アーマーよりもフォールス・ライフの方に軍配が上がると筆者は考える。また、“異世界の後援者”で相性がいいのは敵を倒す度に一時的hpが貰えるフィーンド、もしくはフェイを選ぶと“フェイの影響力/Fey Presence”の射程の短さを無視できるようになる。どっちかと言うと前のめりなフィーンドの方が「らしい」か。
 これはの恩恵に限らないけれど、ACを上げたい場合は《中装鎧習熟/Moderately Armored》を取るという手もある。ウォーロックは最初から軽装鎧に習熟しているためコレを取得することが可能で、気合を入れれば盾無しでもAC17は目指せる。それに中装鎧と一緒に盾の習熟がついてくるのが地味に美味しい。後衛でも自衛策としては十分すぎるくらいだろう。ウォーロックは案外初期の所持金がある方(平均で100gp)なので、1レベルからでもスケイル・メイルとシールド、呪文構成要素ポーチを揃えるぐらいはできる。
 見た感じ使い魔や“妖しの嘆願”を絡めた斥候役を兼ねるのが良さそうであるが、実際にそれらを用いてどんなウォーロックを作成するのかは次に譲る。次回は今回取り上げたファクターをまとめ上げたウォーロキアンたるビルド、いざ参らん! まあ言った通り俺ウォーロック嫌いなんだけど。

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