D&D5e余話#180~汎用パワーよもう一度~

 日本語版の発売が目と鼻の先……と言うほど近くないな……じゃあ額とアゴの先……これじゃ意味が違うな……まあいいや、とにかく迫っているけど、PCが7レベルに達したもんだから4レベルウィザード呪文を自力で訳さねばならなくなった。んで、ハリューサナトリ・テレインの効果を見ながら、
幻の情景を被せる呪文か……4レベル呪文が解放されたから訳すけれど、これをPCが使う日は来るのだろうか……
 と、思ったその瞬間、4eに存在していた汎用パワーの意義を電撃のように理解できた
 前々から筆者の呈してきた疑問であるが、「使い道の明確な効果と、局所的な効果を同列の価値として選択肢に並べていいのか」という問題。上の例で言えば、前者がアイス・ストームみたいな攻撃呪文、後者がハリューサナトリ・テレインのような言っちまえば一発ネタな呪文。
 こういうことを書くと「戦闘の事しか考えない和マンチが!」という説教が聞こえてくる(実際に言われたことは一回しかないから幻聴かもしれない)し、効果文を読むと秘められた悪辣さ(例えばオークの軍団の進軍を遅らせる場合は、このような大規模な呪文でないと難しいだろう)は理解できる。のであるが、しかしこういう呪文って輝く時は卓をあげて感嘆されるほどのまばゆい輝きを放つが、そうでない時はザ・置物、どっちを修得するのをオススメするか、と聞かれたら、悲しいかな私はアイス・ストームと即答するアイス・ストームなら敵の大群を見たら中心にぶち込む、という明快な使い道があるものの、ハリューサナトリ・テレインがキャラクターシート上なら付着した文字様の黒い粉、ゲーム上ならウィザードの頭の中で準備枠を食うノイズとして終わる様を想像するのはさほど難しくない。ただでさえ5eの呪文準備数って余裕が無いのに。
※ついでに書いておくと、ハリューサナトリ・テレインみたいな呪文の成果はDMの裁量が大きく働くのも評価を難しくしている。上記の例で言えば、オークの進軍を遅らせようと裂け目を作った場合、オークは何の疑問も持たずに進路を変えるだろうか? 突然の裂け目を不審に思ってもそれはアンフェアなマスタリングではないだろう。かといって4レベル呪文スロットというリソースを支払った効果に見合った対処となると、DM次第としか言いようがない。
 思うに、こういう呪文はDMが「物凄い力を持つ黒幕が、PCを騙くらかすために地形にまやかしをかけた」という演出で使うものであり、PCが積極的に修得して使うのにはあんまり適してないんじゃないか、と思うのだが。リソースを割くにしても演出的に使う神業、もしくはシーン効果ってやつだね。ただ、何をするにつけてもいちいちデータを用意して、かつPC側にも使える権利を与えようとする生真面目さと律義さが、5eやPFなどD&D系列の良いところでもあり悪しきところでもある。使えるぞ、と言われても
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 としか答えようがない呪文を、ごくごくスタンダードな呪文といっしょくたに並べられてもね……というかそのせいであのくそ長い、やる気ディスインテグレイトな呪文リストが出来上がっておるのだし。
 生真面目さ律義さと言えば、余談だけれど、別システムのシナリオをd20モダーンでやろうとして、ヒロインをさらったザコ敵が瞬間移動で逃げ去るというシーン、D&Dで言うとむちゃくちゃ高レベルの呪文使いになってしまうのでバイクで2ケツして逃げるという、デーハーな物語な割にみょうに地に足の着いた演出になった、という話があったな。
 で、そんな時思い当たったのが4eの汎用パワー。
 この種の一発ネタ呪文を当てはめるのに、これほど適格な枠はなかった……。
 汎用パワーだけに多少尖った使い道でもいいし、使われなかったとしても「まあいいや」とそんなに惜しがる思いをすることもないし(実際には4eの汎用パワーもだいたいが戦闘向けで余ることはそうないのであるが)。よく使う呪文、使い道のはっきりした呪文は通常の手段で修得し、使うかどうか定かでない呪文は汎用パワー枠で修得するようにすれば、この手の一発ネタ呪文ももっと日の目を浴びるし、「面白いんだけどスタメンはちょっと……」という人も安心、それに膨大な玉石混交の呪文リストより選択する手間も省けるのではなかろうか。DM用に汎用パワーで演出効果をガンガン追加するようにすれば、クリーチャーのレベルを上げずにエクスキューズが取れるぞ。F○ARゲーみたいなこと言うなって? す、すいません。
※なお、一発ネタ枠というなら4eでは儀式の方がよりふさわしいが、エッセンシャルではオミットされ、5eでは発動時間10分間と引き換えに呪文スロットを使わなくていいまったく異なる概念に変わってしまったことを鑑みるに、イマイチ浸透しなかったようだ。ちょっと求める物が多過ぎたか。ウォーター・ウォークコンプリヘンド・ランゲージズを金とブツさえあれば発動可能、というのは助かるのだけれど。ナウいシステムにそのまま導入するのは相応しくないと考え、ここでは「汎用パワー」で統一した。
 何かと前後の版と比較される(この話は激論になりそうなのでスルー)4eであるが、今にして思えば、4eは「使い道の明確な効果と、局所的な効果を同列の価値として選択肢に並べていいのか」という問題に対し、パワー取得という形で応えてくれた数少ないD&Dだった。ウィザード2レベルの汎用パワー、ジャンプ(フリー・アクションで跳躍のための〈運動〉、助走付きとみなして判定+10)も、仮にアイシー・テレインのような攻撃パワーと同列の遭遇毎パワーに並んでいたら、取るのは相当通好みの士だろう。が、そこを汎用パワーという補助的な枠に据えることで、選択の余地を作り出すことに成功している。しかも使う際には同じ呪文スロットを消費するのではなく、パワーごとになっているから「マジック・ミサイル一発をすごい跳躍と引き換えにして良いのか」というあまねく術者共通の悩みを抱える必要もない。ここは5eだと儀式発動で対応しているが、まだまだ儀式発動できる呪文も限られておることだし。一発ネタ呪文を使用も取得も思い切りよく行ける、これは5eでも拾うべきアイデアだったのではないでしょうか。まあオレはジャンプの存在する2レベルの汎用パワーなら絶対シールドの方を取るけれど、それをゆうたら話が進まないので。
 特技に関してはガンガンの戦闘系でないものにも能力値+1、イニシアチブ+5なんかを与えることでうまく釣り合いを取っていた。このバランス感覚が呪文にも発揮されてくれると必ずやE感じになるでしょう。
 D&DやPFの呪文修得には無秩序に選択せい、というのではなく、一種のテンプレートを与えるのがイイのではないか、と思ったが、これからはこの汎用パワーをテンプレートに加えていきたいと思う。じゃあそのテンプレートってなんじゃいな、となると、これは主題からズレるのでまた次回。

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D&D5e余話#179~UA:アーティフィサーについて~

 3eでは【知力】が技能ランクに直結しているため、バカキャラに厳しくブサメンには比較的優しいゲームだった。
 4eだと技能ランクから解放された上に、反応防御値は【敏捷力】を使えたのでだいぶバカキャラが増えた。一方で【魅力】を意志防御値に使えるようになったぶん、【魅力】12~13程度のややイケは増えた。
 5eではブサメンのバカキャラばっかりだ!
 【魅力】の伸びる種族と【魅力】を使うクラスは多い、っていうか多過ぎるぐらいなんだけれど、特に【魅力】型クラスに関しては使い方がやや変則的でな。
 なんであれ、あんだけ【魅力】を推してる割に【知力】を使うクラスがウィザードしかないのは如何なものかと思う(実は【知力】メインって4eのPHBでもウィザードしかいなかったのだが)。……【知力】技能だって〈宗教〉や〈神秘学〉、〈自然〉と使う機会の多い技能なのに、【魅力】以上に軽んじられるという論調はなんでなのだろう。やっぱりセーヴの機会の差かなあ……【魅力】セーヴは稀にあるけど、【知力】セーヴって極稀だし(マインド・フレイヤーの脳髄抽出とか)。下手するとPCによっては1回も振らないかも。
 UAにて登場したアーティフィサーは、そんな風にバカキャラの蔓延する5eにやっとこさ現れた【知力】メインの第二のクラス。即大休憩にてシフターの姉さんがやってた、ひたすらマジック・ウェポンを外してたというアレだ(ちゃんと後半当たるようになりました)。あと一部にびみょうに人気があったからといってシーカーと混同しないように(オレだけか)。
 アーティフィサーは魔法のアイテムの造詣が深いクラスであり、火炎瓶(錬金術師の火に非ず)や“雷鳴の砲/Thunder Cannon”と呼ばれる、早い話が銃のような、各種錬金術道具を扱うことに長ける。イメージ的にはPFで言うアルケミストにガンスリンガーをチョイ足しみたいな感じ。道具だけでなく、呪文を使うことも可能。3レベルからとちょっと遅いが。また盗賊道具にも習熟しており、6レベルからは機械仕掛けのしもべを連れるようになり、つまりウィザードっぽくもあればローグっぽくもあり、またドルイド……は5eだと動物を連れないんだったな、改めレンジャーっぽくもある。これじゃなんだか全然ワカりませんな。修得呪文を考えると、ウィザードというよりバードの方が近そうなのだが。おっと、貴重な【耐久力】に習熟する呪文使いでもあるのですよ。
 クラス特徴は、HDはd8と標準的、軽装鎧と中装鎧に習熟している。メインで無いとはいえ、最初から中装鎧に習熟しているのは嬉しい限りだ。なんと初期装備に最上級の軽装鎧、スタデッド・レザーも含まれとるんやで! 弓術ファイターが歯ぎしりして悔しがるぞ。ちなみにもう一択はスケイル・メイルね。武器は単純武器全般に習熟。後述するが、アーティフィサーが普通の武器を使うことはあんまり無いので、さほど気にはならないだろう。
 道具は先述の通り、盗賊道具に習熟。2レベルからは、ローグのように習熟ボーナスを倍にできる。ほか2つの道具に習熟。
 セーヴは【耐久力】と【知力】。さっき散々使わないと言った【知力】セーヴであるが、マインド・フレイヤーに脳髄引っこ抜かれることだって無いとは言えないんだから文句たれるんじゃない(他に使う機会がぱっと出てこない)。精神集中に使う【耐久力】に習熟できるだけありがたく思わねば。
 技能はローグには及ばないものの、3つとかなり優秀。【知力】型らしく【知力】技能に穴は無い。と思ったら、あれ、〈知覚〉に習熟しないんでないの。そういえば〈隠密〉も無い。ローグっぽい技能というと〈手先の早業〉と〈はったり〉、それに先に挙げた〈捜査〉ぐらいか。まあ、元から技術屋であって盗賊稼業は専門外なんだから仕方ないか。地味に〈治療〉を取れたりもする。
 初期装備ではライト・クロスボウを最初から支給される。選択肢によっては遠距離の相手に使うこともあるかもしれないが、まったく使わないこともある。そういう場合は最初から持ってないウィザードやモンクなんかに渡しておくといい。ハンドアックスとライト・ハンマーは何を想定しているのかさっぱりわからない。技術職っぽい近接型武器ということで選んだのかもしれない。重装鎧を着るでもなきゃ【筋力】8のヒョロガリが基本の5eにおいて、有効活用できる道は少ない。素直にダガーでも貰っとこう。
 細かい事だけれど、珍しく装備品パックが地下探検家パックで固定のクラス。学者パックでもよさそうなんだけど……地下探検家パックに盗賊道具が固定装備のクラスで、〈知覚〉にも〈隠密〉にも習熟しなくていいのかなあ。
 アーティフィサーはクレリックと同じく、1レベルからアルケミストガンスミスか、いずれかを選ばなくてはならない(“技術家の専門分野/Artificer Specialist”)。
 アルケミストの場合は、様々な特殊効果を持つ薬瓶が入った“錬金術師の鞄/Alchemist’s Satchel”を得られる。つまりかばんちゃんだな(恥も外聞も風化も恐れず流行り物に乗る根性)。そのかばんちゃんから飛び出すのは火炎瓶やら酸瓶やら発煙棒だったりするのだが。お前はどこの全共闘世代だ。それとも熱狂的なひばりファンか。
 かばんちゃん(こだわる)に何が入っているかは、“錬金術師の処方/Alchemist’s Satchel”で決定される。て、まんまPFのアルケミストのパクリじゃねっすか。そんなことだからWoCがねこたまに(以下略)。基本で入っているのが錬金術の炎/Alchemical Fire(まぎらわしいけど一般用アイテムの方はAlchemist's Fireね)、錬金術の酸/Alchemical Acid、それに一種類の処方。錬金術の炎/Alchemical Fireは30フィートの射程を持つ火炎瓶で、半径5フィート以内に【敏捷力】セーヴを行わせ(DCは8+【知力】ボーナス+習熟ボーナスのいつもの)、失敗した場合1d6の[火]ダメージを与える。これが何度も使えるというのはオドロキだが、初級呪文の効果を考えればこんなもんかも。だが、アーティフィサー専用というだけあって、初級呪文と比べてダメージの上昇が4レベルで2d6と早く、しかも3レベルごとに1d6ずつ(最終的に19レベルで7d6!)どんどん伸びていく。錬金術の酸/Alchemical Acidもあるので、[火]に完全耐性がある奴がいると泣くような爆弾アルケミストのような心配はいらない。こちらは単体攻撃である代わりにダメージの伸びが早く、2レベルごとに1d6ずつ上昇(最終的に19レベルで10d6)。物体に使用した場合自動的に効果を及ぼし、最大値のダメージを与えるという特性を持つ。どっちも何度も使える攻撃手段としてはなかなか頼もしい。難点は、どっちも防がれやすい【敏捷力】セーヴであること。あと、2レベルまでは錬金術の酸/Alchemical Acidが使われる機会はあんまり無いかも。
 残りの一つは選択。治癒の薬/Healing Draughtはアクションとして飲むことで1d8のhpを回復する薬瓶を取り出す。これは取り出すのはアクションであるが、使用するのは他人のアクションということが回復呪文と異なる。つまり事前に渡しておいて使ってもらう回復アイテム。1時間で消えてしまうので、取りあえずダンジョンに入る前に渡しておくというのは難しく、かといって戦闘中に使うのも二重の手間がかかる。まあ、別に使い減りするもんでもないから取り出すだけ取り出しておいて、1時間経って消えちゃったらまた渡せばいいだろう。もしくは、戦闘後の治療に使うか。薬瓶が存在する間は再使用できないから、やはりこちらの方が適当か。1度効果を適用した相手には、大休憩を終えるまで使用できない。これは《癒し手/Healer》より厳しめ。回復量も1d8のみながら、1レベルからばんばん使っていけるんだからそれほど気にもなるまい(第一こんだけ回復リソースがシブい5eで人数分の1d8回復が用意できると思うだけでも十分)。回復量も、2レベルごとに1d8増加(最終的に19レベルで10d8)と伸びが良い。
 発煙棒/Smoke Stickは3eユーザには懐かしい名前の処方。手に持って使うだけではなく、投げて使うこともできるようになった。射程は30フィート、半径10フィートの暗視すら遮る煙幕を作り出す。1分間に1度しか使えず、レベルが上がっても使用回数が増えたりしないので、使い所は十分に考える必要がある。
 速歩の薬/Swift Step Draughtボーナス・アクションで移動速度を1分間20フィート増加させる薬を作り出す。て、これ本当に何度も使えていいんですか。ううむ、1分経つまで再使用不可としか書いてないから、確かにそのようだな。これも他人に渡してアクションとして使用可能であるが、1分間で消えてしまうから、治癒の薬/Healing Draughtと違って明確に戦闘中に作って渡すものだな。取り出すのはボーナス・アクションだから、すぐに自分で飲むことも、他人に飲ませることもできる。
 足留め袋/Tanglefoot Bagみんな大好きローグの最終兵器最終兵器というか急所攻撃に耐性がある奴にはこれぐらいしかやることがない、という事実は秘密だ! 足留め袋/Tanglefoot Bagと言いつつ拘束状態にするのでもなければ移動不能にする効果もなく、これの何が足留め袋/Tanglefoot Bagか……と思いきや、セーヴもなんもなく、効果範囲内でターンを始めたら移動速度半分ってマジ? しかも半径5フィート以内が移動困難地形って……え? あ、これも1分間に1回ね。
 雷石/Thunderstone、これも3eユーザには懐かしさで涙ちょちょぎれそうな名前。ただ、轟音ではなく衝撃で吹き飛ばす。射程は、30フィート、そこから半径5フィート以内のクリーチャーは、【耐久力】セーヴに失敗すると着弾ポイントから10フィート強制移動させられ、さらに転倒する。ダメージよりも転倒、そして何より5eでは珍しくなった強制移動効果が強烈。例えば、ウェブに突っ込ませたり、足留め袋/Tanglefoot Bagの範囲に叩き込んだりすると……?
 一番カタいのは言うまでも無く治癒の薬/Healing Draughtであるが、足留め袋/Tanglefoot Bagのいやらしさや雷石/Thunderstoneの制御能力も捨て難いものがあるな。また投擲型の処方はどれも射程が30フィートと短いので、無駄に敵に接近しなくていいように、速歩の薬/Swift Step Draughtを仕込んでおくというのも手ではある。追加の処方が得られるのは3レベルだが、その先が9レベル、14レベル、17レベルとかなり長い。いくら回復リソースがシブく1レベルのhpが低いからと言って、治癒の薬/Healing Draughtで一枠潰してしまうのはもったいない気もする。
 ガンスミスは特殊な武器、“雷鳴の砲/Thunder Cannon”に習熟する。両手で使用し、2d6[刺突]ダメージ、射程150/500のごおっつい雷鳴バズーカじゃ。て、[刺突]なんだから[雷鳴]ぢゃないじゃん。あ、いやいやレベルが上がれば銃から様々な攻撃が飛び出し、[力場]や[電撃]や[火]ダメージを与えるようにもなるのだ。て、やっぱ[雷鳴]ぢゃないじゃん。
 ダメージ種別はさておき“雷鳴の砲/Thunder Cannon”は現状唯一の2d6ダメージの射撃武器。“秘術の弾倉/Arcane Magazine”で40発もの弾薬をセットできるというビックリドッキリメカだ(小休憩ごとに10発補充)。3レベルになると“雷鳴の運び手/Thunder Monger”でダメージが1d6アップ、以後2レベルごとに1d6ずつ上昇していく(最終的に19レベルで+9d6)。急所攻撃つきのローグ並の打撃力は保証されてるってワケだな。
 本官さんのようにバンバン銃をぶっぱなすだけでなく、9レベル(遅ッ!)で“衝撃波/Blast Wave”が使用可能に。15フィートの円錐に向けて衝撃波ぁぁぁっ!(ゴッドマーズ調)を解き放ち、2d6の[力場]ダメージを与えつつ10フィート吹き飛ばす強制移動を生じさせる。……このレベルで2d6(13レベル、17レベルで1d6上昇)というのはかなり寂しいが、そこは強制移動の方を買おうか……あと、珍しい【筋力】セーヴであることも……でも、このレベルへの脅威度を考えるとマッシブな野郎ばかりな気も……。14レベルの“貫きの一射/Piercing Round”は幅5フィート、長さ30フィートの直線状に【敏捷力】セーヴ失敗で4d6の[電撃]ダメージ(19レベルで6d6に)、17レベルの“爆裂の一射/Explosive Round”は“雷鳴の砲/Thunder Cannon”の射程内の半径30フィートに【敏捷力】セーヴ失敗で4d8[火]ダメージ、正直言ってこれらも修得レベルに対してハッキリ言ってしょぼい。セーヴに成功されると半減ダメージすら与えられないのも厳しい。基本的には生“雷鳴の砲/Thunder Cannon”を叩き込み、一体一体撃っていては間に合わない場合やACの高い敵にこれらの特殊攻撃に頼ることになりそうだ。威力はしょぼくても、使用回数の制限のない特殊攻撃であるのだし。言うてもサブ的な攻撃となると、これらのセーヴ難易度に関わる【知力】よりは命中とダメージに関わる【敏捷力】を優先するのも仕方ない……ん? 【知力】型クラス……? あ、それとアーティフィサーは初級呪文を使えないのだが、ガンスミスは“鍛冶の達人/Master Smith”でメンディングを使えるようになる。
 さて、冒頭に“技術家の専門分野/Artificer Specialist”を長々と紹介してしまったが、やっとこさアーティフィサー本体のクラス特徴の話を進められる。
 1レベルでは他にディテクト・マジックアイデンテイファイを儀式発動できる“魔法のアイテム分析/Magic Item Analysis”がある。アイデンテイファイというと物質要素を1レベルでは絶対に用意できない哀愁の呪文だが、
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 使えるんです。
 2レベルになると“道具習熟強化/Tool Expertise”で、習熟している道具類の習熟ボーナスを2倍にできるのは書いた通り。また“驚異の発明/Wondrous Invention”で、なんとなんと魔法のアイテムを作り出し、所持することができる。以後5、10、15、20レベルで新たな魔法のアイテムが作成可能になる。ヘルム・オヴ・コンプリヘンド・ランゲージズで通訳したり、アイズ・オヴ・マイニュート・シーイングで〈捜査〉を強化したり、やや不安のある技能職としての仕事はこれでカバーしたい。魔法のアイテムの効果はDMGを見よと明記されているので、使いたければDMGを買うしかねぇなぁ(商売っ気フンプンの笑みで)。あと、この手の能力を見ると絶対に考える奴がいるだろうが、作り終えて得られるのは指定のレベルに達した時だけ。作ったものを売っ払って小金を得るのは必ずや後悔するんで止めた方がいい。
 3レベルでようやく呪文が解禁。呪文は勿論【知力】で使用、呪文の準備が必要ないタイプで、儀式発動はできない。
 呪文のレパートリーはキュア・ウーンズで回復もできればサンクチュアリシールド・オヴ・フェイスで守る一方、アラームディスガイズ・セルフジャンプで冒険の補助もできる。ダメージを与えることを除いたウィザード+クレリックという感じ。秘術呪文と信仰呪文の複合という点ではバードに似ているが、修得呪文はだいぶ異なる。バードには使えず、かつウィザード呪文リストにあってクレリック呪文リストにない、逆もまた然り、なロープ・トリックプロテクション・フロム・ポイズンがリストに含まれるところが特徴。
 4レベルになると、修得した呪文を“魔法注入/Infuse Magic”で非魔法的なアイテムに込めることができるようになる。呪文は、注入したアイテムを持っている者が発動可能。対象が自身の呪文も、これで他人に使用可能となる。て、これアルケミストのエキスのパクリじゃねっすか。そんなことだからWoCがねこ(以下略)。アーティフィサーの呪文リストを考えると、キュア・ウーンズを込めておいて、クレリックを待たずして自力回復したり、ディスガイズ・セルフで他人を変装させるような使い方がメインとなるだろう。一度に注入できる呪文の数は【知力】ボーナスまで。
5レベルでは“優れた同調/Superior Attunement”によって、通常3つまでの要同調アイテムを4つまで使用可能に。“驚異の発明/Wondrous Invention”で魔法のアイテムに触れる機会の多いアーティフィサーなら、恩恵を得る機会も多いだろう(15レベルで5つに)。
 6レベルにてレンジャーのように“機械仕掛けの下僕/Mechanical Servant”で相棒を得られる……だんだんなんのクラスかよくわからなくなってきました。相棒は脅威度2以下の大型の野獣のデータを持ち、人造なので魅了されず、[毒]と毒状態に完全耐性を持つ。作成者の言語を理解してくれるのも便利(ただし話せない)。最初から独自のイニシアチブを持つと記述されているので、旧ビーストマスターのようなワケのワカらん行動制限に悩まされることもない。アーティフィサーが近接攻撃の対象になった時、アーティフィサーはリアクションで相棒に命じることで、近接攻撃を行ってきた目標をリアクションで攻撃できるオマケつき。
 難点は人造のせいで、キュア・ウーンズヒーリング・ワードといった回復手段が使えないこと。hp修復には手立てを考えておく必要がある。メンディングじゃダメだろうなぁ。死亡した場合は、リヴィヴィファイなどで蘇らせることはできるし、大休憩を終えると1hpでまた動き出す。意外と立ち直り早いな。脅威度2より強くなることはないから、あまりガンガン前に出すのは考えものかもしれない。
 さてはてこんだけ錬金術に気合を入れたフューチャーをしてきたのだから、20レベルでどんな物凄い発明が待っているのかなぁ( ^ω^)ワクワクとしてたら、なんでか“アーティフィサーの魂/Soul of Artifice”はセーヴ強化。思わずズッコケそうになるが、同調しているアイテム一つに付き全てのセーヴに+1( ゚ω゚)!? ……これは確かに目を疑うような物凄い発明だ。
 第二の【知力】型クラスにして盗賊道具に習熟している、あってよさそうなのに無かった立ち位置は満たしている感じ。ローグであっても盗賊道具の習熟ボーナスは“習熟強化”で指定しなければ通常通りであるし、その点アーティフィサーは2レベルで自動的に2倍になるから、罠解除の腕前は(1レベルを除けば)遜色はない。その代わり〈知覚〉や〈隠密〉に習熟しておらず、習熟ボーナスを伸ばせるわけでもないので、技能職としてはやや頼りなく、呪文のサポートに期待したい。
 “技術家の専門分野/Artificer Specialist”は【知力】、個人的にはいっぽんで食っていけるアルケミスト派であるが、こちらは3レベルで錬金術の酸/Alchemical Acidが2d6ダメージを与えられるようになるまでは、戦闘中ダメージでかなり寂しい思いをしそうだ。ダメージが欲しければd8ダメージで【敏捷力】ボーナスの乗るライト・クロスボウを併用すべき。その他の処方も、使用回数の増加が見込めないところが気になる。一方でガンスミスは【知力】と一緒に【敏捷力】を伸ばしていかないといけないのがつらい。
 正式採用に至っては、処方の使用回数の増加(治癒の薬/Healing Draughtをレベルが上がると同時に複数本起動できるとか、1分間に1度のやつは複数回使えるようになるとか)に相棒の強化、それらと共に、7・11・13・19のクラス特徴のなんもない所を埋めてほしいものである。確かにアルケミストにせよガンスミスにせよダメージの伸びるタイミングなのだが、もっと色々仕込めそうなクラスなのに、びみょうにネタ切れ感が漂っているので

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D&D5e余話#178~エルフのエルドリッチ・ナイト作成案~

 PFのエルフは【知力】が伸びるし呪文抵抗に強いしで、我こそウィザード向けの種族第一人者でございってツラしてるが、3eの頃は敏捷力】しか伸びなかった(“エルフの魔法”もなかった)。おかげで「お前それでよく適性クラスはウィザードとか“ウィザード呪文はエルフが作った!(`・ω・´)キリッ”なんて言えるな」と失笑を買っていたものです(笑っていたのはオレだが)。ついでに言うと知覚系技能に強く、隠し扉の自動発見まであったせいで、「エルフは生まれついての盗賊」などという失礼な放言まであった(これはオレが言ったんじゃない)。
 が、種族の項をよくよく見ていたら「エルフの間ではファイター/ウィザードはごく当たり前の存在である」という爆雷がまだ眠っていた。当たり前の存在である、じゃねえよ。
 PFならまだしも、あのファイター苦境の時代、それも秘術系のマルチクラスが困難な時代で一体どんなビルドが当たり前の存在になっていたのか……しかもコレPHBの記述なんですけど。サプリマシマシでもなく、あの限られたデータでファイターとウィザードのマルチクラスか……トゥルー・ストライクのように動作要素が存在しない呪文をメインにするのは誰もが考えると思いますが、数少ない呪文にスポットを当てるなら、呪文スロットの多いソーサラーの方がよくない? 呪文のレパートリーや修得スパンで将来性はウィザードの方が高いと言っても、マルチクラスする以上それを活かすのも難しそうだしなー。
 何よりも、エルフでファイターとウィザードをマルチしても、あんまりいいことがなさそうなのが……【耐久力】は下がるし(hpが下がるだけでなく、〈精神集中〉までヘタクソになる)、別にファイターを取らなくてもロングソードやロングボウは使えるし。
 そんな疑惑のビルドなエルフだったが、5eでは呪文発動における防具の制限がエラく緩くなった(習熟してれば邪魔しない)んで、「ファイターとウィザードの双方で修行を続ける」(ベーシックルール22P)という記述もおかしくなくなった! やったぜ! ……ただ、ファイターをマルチする目的が軍用武器と鎧習熟なら、クレリックで戦の領域や嵐の領域を選んだ方がいいんじゃ(くそ野郎の弁)。まあ【判断力】13がちょっと面倒だし、最初にファイターを選んでウィザードをマルチクラスする方がスマートであろうな。それでも、どっちをどこまで伸ばすのか、という問題が付きまとうけど。なんせファイターは一本伸ばしにしないと追加攻撃や能力値上昇が生きてこないし。ウィザードも学派が解禁されてからが本番、レベルが上がれば上がるほど外道呪文が増えていくし……ただ、前述のマルチクラスの問題を考えると、ウィザードは後からマルチクラスし、サブとして使うのが主流になる気がする。一応、“秘術回復”があるから、小休憩でフル戦力が整うファイターとは相性がいいと言えるかも。余談だけど、ウィザードをマルチクラスして得られる習熟はありません(ソーサラーも同じく)。
 最初から、ファイターと呪文を併用したければ
         -─ヽ ` v '⌒ ゝ
         /          \
        /        ∧.    ヽ
      i    , ,イ/  ヽト、!  N
       │r‐、 ノレ'-ニ」  Lニ-'W
       |.| r、|| ===。=   =。==:!   エルドリッチ・ナイトに
       │!.ゝ||. `ー- 1  lー-‐' !    すれば
     /|. `ー|! r   L__亅 ヽ|   ええんちゃう……?
   /  |  /:l ヾ三三三三ゝ|
 ‐''7    | ./  `‐、, , , ,ー, , ,/ヽ_
  7   ./K.     ` ー-‐ 1   ヽ-
 /   / | \       /|ヽ   ヽ
 という話ですけど。
 いくら呪文の使用回数の伸びが悪いと言っても、ウィザードを一緒に伸ばしてd6のHD混じりで前に立たないといけないというのは、ちょっとね……ファイターをやるなら、いち早く追加攻撃や能力値上昇で押していきたいというのもある。あとマルチクラスで悩むのが面倒臭ぇ(これが一番の理由)。占術ウィザード/嵐の領域クレリックで「クレリックをいつ2レベルにするか」と尻から屁が出そうなほど悩んでいる前例を見ているので(完成形はライトニング・ボルト最大化&占術で強制セーヴ失敗)。
 エルドリッチ・ナイトにするからには大事なのが【知力】、故にエルフはエルフでもハイ・エルフとなる。ただ、【筋力】が上がらないので肉弾戦能力はやや落ちる……と見せかけて、5eには妙技特性という新要素がある。これ1つあれば【敏捷力】で斬ってダメージも与えられる、【敏捷力】いっぽんで食っていけるようになる凄い奴、これを利用しない手はない。敵が使う場合は散々ディスってたって? そりゃDMに使われる側とPCで使う側なら発言は180度変わりますよ!(そう言ってる奴に限ってウェブエンタングルを喰らって、捨てた【筋力】セーヴで泣くことになる。まあファイターは【筋力】セーヴに習熟するから……)
 エルフは【敏捷力】の上がる種族なので、妙技特性の武器を持てば【筋力】型のファイター並の近接戦闘力を持てる。故に、武器はレイピアで決定。優雅なハイ・エルフに人間や半豚や髭ビール樽の振り回す泥臭い武器は似合わない。蝶のように舞い蜂のように刺す華麗な戦法には細身のレイピアがピッタリ。レイピアの習熟はドラウじゃないと取れないじゃないかって? 元々3eでは習熟できてたからいいんです。種族修正の【敏捷力】+2と相性のいいレイピアは、公式が推しのドラウ(4eで懲りてないのかね)に掠め取らせたに違いない、いやそうに決まった!(偏見) どうでもいいけど、カシアス・クレイは戦い方はともかく、優雅というより割とごつい外見だった。
 【敏捷力】型ファイターの場合、鎧をどうするかという問題がある。重装鎧にすると【筋力】13以上ないと移動速度が落ちるが、【敏捷力】いっぽんで食っていくと決めた以上そんな無駄能力値は作りたくはない、つーか能力値ポイントが足りん。いっそ「そんなもん知らん」と移動速度20フィートで戦う手もあるが、それがどんなにツライかは3eとPFの前衛やクレ公で骨身に沁みてワカっているので……。そうなると軽装鎧中装鎧で手を打つことになるけど、ファイターの初期装備ではチェインメイルとレザーの二択しかない。レザーを選ぶのは論外として、チェインメイル並のACを保とうとすると、スケイルメイルが必要。これ50gpもする(この際【敏捷力】ボーナス上限が+2なのは仕方ない)。仮にチェインメイルを売り払って買い直す場合、背景で貴族を選ばないと所持金が追い付かない。高慢チキなハイ・エルフに貴族背景はピッタリだから、これはまあいいか。言うても装備品の置き換えが許される優しいDMなら最上であるが、売ってあらためて買うのが許されるだけでも僥倖、それすらも不可の場合は移動速度20フィートで亀のようにずりずり歩き回るしかないだろう(ああ早くも優雅なイメージから遠ざかっている)。
 【耐久力】には一切手を付けられないため、最低でも14は確保しておきたい。【敏捷力】は種族修正コミでボーナスを+3に持っていくとして、後は【知力】。セーヴDCや呪文攻撃能力を気にしないならそんなに高くしなくてもいいのだが、せっかく【知力】の上がるハイ・エルフでエルドリッチ・ナイトにしたるばいと鼻息荒くしたから、これも【敏捷力】並にしておきたいよね……というか、もしかするとこれ以降一切伸ばさない恐れもあるしヘッドバンド・オヴ・インテレクトくだち!)。余った能力値ポイントは【判断力】に回しておく。
 イケメンのハイ・エルフなのに【魅力】8でいいのかって? まあ、美形でもモブ的な美形かもしれないし、顔は良くても性格ブサメンなら【魅力】は低いでしょうから……。
 そして、これが【知力】をおろそかにしなかった主要な理由、ハイ・エルフは初級呪文を1つ修得できるトゥルー・ストライクのような両手が埋まっていても使える“仕込み”呪文もいいが、ここはファイターが苦手な「AC以外の攻撃手段」として、ポイズン・スプレーを選ぼう。ただの術者の場合、深刻な問題になる射程距離10フィートもファイターならば問題無しだ。何より貴重な初級呪文で【耐久力】セーヴ、脅威度の低いクリーチャーにありがちな「どうせ妙技特性があるしー初級呪文は【敏捷力】セーヴだから相性いいしー」などと甘っちょろい事を考えている小型種族どもは泡吹いて悶死するがよかろう! アンデッドやエレメンタル、人造と効かない奴が物凄く多いのは困るけど、まあ辛い1レベルの間を耐えるための選択だからね。初級呪文はエルドリッチ・ナイトになれば増えるし。
 レイピアで行くと決めたからには、当然シールドを持つ。ポイズン・スプレーを唱える場合は武器を捨てないといけないのがちょいと面倒だけど、その他のアクションが余っていれば拾うことができるので今んとこは問題ない。問題になるのはエルドリッチ・ナイトになってから。どうせ力術か防御術しか覚えられないなら、アーケイン白羽取りことシールドは修得したいが、シールドは動作要素を必要とする。そのためには防具の方のシールド(ややこしい)を諦めるか、自分のターン以外では武器をしまっておかないといけない。ACを考えたら後者だが、機会攻撃をまったくできないというのは、それはそれで問題だろう。
 この問題には、《戦闘発動/War Caster》が解決策となる。両手が埋まっていても動作要素OK、ついでに機会攻撃も呪文で行える=高ACの敵に機会攻撃でもセーヴを振らせることができる。精神集中に強くなる能力は、スペルキャスターなら必須となるんでエルドリッチ・ナイトだって取って損はしない。ただ4レベルでこれを選ぶか、能力値上昇を選ぶかは悩ましい。敵のACも上がりづらい代わりに攻撃ボーナスも伸びづらくなった5eでは、固定値1点とて決して笑えない数値。これはファイターの能力値上昇の多さでカバーするとして、4レベルで早めに押さえてしまうか。人間なら1レベルの内から取れるのに、という一瞬よぎった思いは、それは触れてはいけない問題なので忘れよう。ハイ・エルフじゃないと初級呪文もついてこないしこれでいいんだ。多分。もっと言うと筋力】で両手武器を振り回せば《戦闘発動/War Caster》もいらなくなるのだが、それは意図してでも無理矢理にでも忘れること。
 3レベル、エルドリッチ・ナイト取得直後では《戦闘発動/War Caster》がないから、武器を納めておかないといけない。武器を抜く→攻撃をするとその他のアクションを使ってしまっているため、手をフリーにするには武器を捨てるしかない。敵前で武器を捨てると「その武器を拾う」と言われるとかなり困る……と思いきや、エルドリッチ・ナイトにはボーナス・アクションで武器を瞬間移動させる“武器との絆”がある。ボーナス・アクションで武器を手に戻す→攻撃→武器を納める、で見事武器を捨てずして空手で待機するサイクルが完成。武器落としされない特性や武装解除された際だけでなく、こんな使い方もあったのだな。“底力”でボーナス・アクションを使う場合はちょっと困るのと、結局機会攻撃できねえじゃんと言われるとすごく困るのだが。
 エルドリッチ・ナイトに進むなら両手武器が最適で、妙技特性のある両手武器が存在するなら迷うことなくそっちにしたのだがね。生憎そんな都合の良い武器は用意されてない。こんだけ妙技特性でブイブイ言わせてるクリーチャーが低脅威度でウロウロしてるなら、それも当たり前か。HoDQにいた、ひたすらシールドで防ぎつつ金属鎧の前衛にショッキング・グラスプを使いつつ殴るだけのクソ寒い戦い方のエルフのエルドリッチ・ナイトなんてぜってえ使ってただろうな。うーむ、スパイクト・ガントレットが5eにもあったらな。
 あ、そうだ、ファイターの戦闘スタイルは片手武器戦闘だろう。リアクションをシールドで使うことを考えると護衛スタイルは活かしづらいし、ただでさえ片手で非力なぶん、防御スタイルでガチガチに固めるのは後ろ向きにも過ぎる。レイピアでそれなりの打点を出しつつ、打撃だけでは難しい敵、数の多い敵には呪文で崩しにかかる、これがハイ・エルフのエルドリッチ・ナイトの戦い方。
 エルドリッチ・ナイトは初級呪文が2つ、1レベル呪文が3つと修得呪文はすごく少ない。特に初級呪文は7レベルでコレを発動しつつボーナス・アクションで殴れる“戦の魔術”に関わり、かつ10レベルまで増えないので厳選が必要。一枠は、効かない奴が多いポインズン・スプレーだけでなのはしんどいから、安定安心のフロスト・バイトにしておくか。サンダークラップで範囲攻撃も考えたものの、これ以上射程の短い呪文を増やしてもなあ。で、あと一枠、トゥルー・ストライクで有利を得つつ殴るのもいいが、それなら追加攻撃で2回殴った方が手っ取り早そうだから、ブレード・ウォードにしておこう。ちゃんと魔法の武器相手でも機能する抵抗だ。
 1レベル呪文はシールドは確定として、あと1つ力術か防御術を選ばないといけない。ウ~ム、そうなると防御術では他にあまりいものがないし、やっぱマジック・ミサイルか? 【知力】を問われることもないし。日頃「マジック・ミサイルが呪文リストにあった場合修得しないと条例違反だぞ」と人を脅しているけど、ありゃ最初から呪文発動能力を持ってる奴の話ですんで……。バーニング・ハンズも悪かないが、範囲が狭いんだよなあ。ま、ボディーブローにマジック・ミサイル、範囲攻撃用にバーニング・ハンズと両方取ってもいいか。スリープでいきなり眠りに落したり(セーヴもいらない)、作ったグリース範囲に立ち塞がって足止めなんてのもいいゾ。
 というワケで、組んでみたハイ・エルフのエルドリッチ・ナイトはこんな感じになる(3レベル時点)。

●エルフのエルドリッチ・ナイト
種族:エルフ 背景:貴族
筋力】8 【耐久力】14 【敏捷力】16 【知力】16 【判断力】12 【魅力】8
hp:28 イニシアチブ:+3 AC:18(スケイルメイル、シールド) 移動速度:30
技能:〈軽業〉〈看破〉〈説得〉〈知覚〉〈歴史〉
クラス特徴:戦闘スタイル(片手武器戦闘)、底力、怒涛のアクション、呪文発動、武器との絆
近接武器:レイピア/攻撃ボーナス:+5/ダメージ:1d8+3
遠隔武器:ライト・クロスボウ/攻撃ボーナス:+5/ダメージ:1d8+3/射程:80/320
0レベル呪文:ブレード・ウォードフロスト・バイトポイズン・スプレー
1レベル呪文:シールドバーニング・ハンズマジック・ミサイル

 結局1レベル呪文は【知力】16にしたことだし、それをセーヴDCに反映させることができるバーニング・ハンズにした。グリースでトリカゴも考えたが、バーニング・ハンズの難点、起点が術者を解消できるシナジーを評価。それに
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 魔法戦士のイメージにピッタリな中坊臭さを買った。
 そこまで現実味のないビルドではないと思うがいかがでしょ。あとはどうやって3レベルまで、そしてその先生き残るかだが、そこはどんなPCにとっても共通の課題なんで、各位の奮闘に期待する。

テーマ : TRPG
ジャンル : ゲーム

We are Pathfinders!#272~PFことはじめ記・いつかパスファインダー協会員になるために PUバーバリアン後編~

 PUバーバリアン後編も前例に倣って実用的な話。
 “激怒”がバーバリアンのはじまりであるが、“激怒”に身を任せてはいけない。「怒りのハイパーモードは使ってはならん!」とシュバルツ・ブルーダーも言っている。
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 ハラは立てつつもそれに流されず、殺るべき奴を見定め、群れからはぐれたところを速やかに殺るハンティングスタイルがPUババリソの戦い方だ……これじゃレンジャーじゃない?

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テーマ : TRPG
ジャンル : ゲーム

We are Pathfinders!#271~PFことはじめ記・いつかパスファインダー協会員になるために PUバーバリアン前編~

 ファイター・ローグ・クレリック・ウィザード……じゃなかったアーケイニストで筆者が勝手に考える四役がそろい踏みとあいなったところで、一周して次のはじめてさん向けクラスの選別に移ろう。そうなると優先されるのはやはり前衛クラスになるワケで、まあなんというか技能ポイントの多いクラスは戦い方も変則的で面倒だし、呪文を使うクラスはその数倍面倒で記事を書く方も大変でねぇ(アーケイニストなんて修得呪文だけで1回使っちまったい)。
 などという泣き言はさておいて、昔は特技修得で悩むファイターよりワカりやすいと思ったけど、意外と繊細な奴だと知って後回しにしたこの人。いや、↓こんな見かけだけど実際戦い方に細やかな気遣いがいる奴なんです。
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3e時代のババリソのアイコニック・キャラクター、クラスク君。見さらせこの絵に描いたようなザ・蛮人っぷり。実際あの頃のハーフオークは【筋力】が伸びる代償に【知力】と【魅力】が下がる正しく脳筋で蛮人であった。
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そして時を経てPFのババリソのアイコニック・キャラクターは女子(筆者イチオシのアミリたん)に。角刈りカットの凶漢からギャルになったあたりに時代の変遷とPaizoの柔軟性を感じます……蛮人っぷりはあんまり変わってませんね。

PUバーバリアン

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テーマ : TRPG
ジャンル : ゲーム

好きな歌#02~喝采~

 以前、「どうして歌謡曲ってああも悲しい歌詩ばっかりなんだろうか」という疑問を提言した。
 昭和30~40年のヒット曲集のCDを聞いてて確信した。
 こんなに負の念が渦巻く音楽ジャンル、歌謡曲以外にそうそうねぇ。別れとか破局とか挫折とか死とか、即死級のネガティブチャネルエナジーが飛び交っている。特に死。デスメタルかよってレベルで死が出てくる
 外国人が聞くと演歌はロックに聞こえるんでウケが良いと言うが、あの歌詞はロックっていうかパンクだよ。反社会反道徳の極みだよ。
 個人的にロックというのは実らない恋やうまくいかない世の中をケッ飛ばして「負けてたまるか、俺はまだ負けてない!」という反骨心を歌うものだと思っているんだけど、歌謡曲だと既に負けてるからね。実らない恋ならいっそ殺してとか死ぬわとか。『昭和枯れすゝき』なんて「貧しさに負けた いえ 世の中に負けた」なんてド直球で出だしから負けてるじゃねえか! 負けた自分を歌うのはそりゃロックじゃなくてパンクの領域ですよ! ついでに言わせてもらうと、オーケンも思ったらしいけど、なんでそういうことを歌にして聞かせるのよ!? 聞かせてどうしろってのよ!
 歌謡曲というのは日本語独特の世界であり、決して日本語以外ではできない世界であり、剛柔を多様な表現で演出できる複雑な言語だからこそあの世界は成立する、と考察するワケですが、その妙なる言語で人生に打ちのめされて敗北した悲哀を歌われたんじゃ、聞いてる方はいろんな意味でたまんねえわな。実際たまんねえ。なんであんなに後ろ向きな歌詞と曲調なのに心に響くんだろうか。やっぱり日本人に染み付いた負け犬根性なのだろうか。
 オレ的に一番やばい歌詞の歌は『お金をちょうだい』と『お母さん、いい加減あなたの顔は忘れてしまいました』が二大巨頭なのだが、昭和30~40年代のCDを聞いてる中で発見したこの曲も相当やばい。

喝采(ちあきなおみ)


 最初は流し聞きをしている中で「お、なんかこの曲心に残るな」程度だったんですが、繰り返し聞いている内に曲の内容を理解していって、こんな顔になって
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 こうなった。
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 これはやばい。第14回日本レコード大賞を受賞するのも納得であるが、審査員から「もう決まったかと思ってたのに悩ましい曲を書かないでよ~」とボヤかれたエピソードもワカる。作曲した人も「まさか」の受賞だったそうだが、その気持ちもワカる。
 これ程までに人の心をズッタズタにする歌、そうそうありませんよ。
 別れた想い人を置いて恋の歌を歌う歌手の元にやってきたのが、想い人の訃報ですよ。想い人の死に流す涙さえ忘れた歌手が、いつものように、「それでも」恋の歌を歌うですよ。
 この時点でもうマッスルスパーク天と地が極まっているのに、それでタイトルが『喝采』。そんな歌い手が恋の歌で浴びる『喝采』。もうアロガントスパーク入ってるよ。必ず殺すと書いて必殺だよ。
 しかも歌い出して数節で入る手紙に黒い縁取りというくだりが、もう開幕必殺技。これで筆者は完璧に打ちのめされた。この言葉を「変えろ」と言われてもガンとして変えなかった作詞家の姿勢は全肯定されるべきであるし、「これがこの歌詞の核だから」という訴えも
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 と百万回首がもげるほど同意ヘドバンする。黒い縁取りなんてぇ単語、この曲で出さなきゃ音楽業界の歴史で二度と出てこない可能性ありますよ。『イタコLOVE』まで待たなきゃいけないよ……ってかこの曲が元ネタだろうなあの歌詞は。
 一番もキツイが二番もまたキツイ。暗い待合室、一人座っている自分の耳に、想い人を置いてきた自分の恋の歌が響く、もうやめてくれってレベルでキツイ。
 歌詞もベタ褒めしてますが、こんな歌詞に悲哀たっぷりの曲調を乗せるでなく、穏やかな、っていうかのどかで明るいとさえ言える調べを合わせたというところがまた歌謡曲ならではのニクさ。想い人との過去の別れと、この世との別れが重なる複雑でどうしていいかわからない感情を、実に淡々と優しく歌い上げる、冷徹なアイロニカルは和製音楽と日本語じゃなきゃあできない地獄のコンビネーションですよ。ほんとに歌謡曲は地獄だぜ。一種、キツイ歌詞には明るい歌を合わせるという、北斗の拳的もしくはススムちゃん大ショック的発想を感じる(生々しい話ほどデフォルメされた絵でやれ、突拍子もない話ほどリアルな絵でやれ、という指針)。
 ちあきなおみさんと言えば、直球のやばい歌『夜へ急ぐ人』、一方こちらは変化球のやばい歌、力の2号技の1号って感じ。やっぱり、素晴らしい作品凄い作品というのは、人を引かせるぐらいのパワーが無いと、人の心をズッタズタにできる感性が無いと、人の心を動かすことはできないんだって思い知らされますね。
 自分もそういう人の心をズッタズタにするようなものを作ってみたいな、とは常々思っているんですが……特に自分と接点の多い娯楽のTRPGで、他の参加者の心をズッタズタにするようなことをしちゃ、色々マズイわな。

テーマ : 70年代 歌謡曲
ジャンル : 音楽

D&D5e余話#177~モンスター注意報! 第六回 NPC術者・秘術呪文使い編~

 前回、ウィザード話で「単身突撃して後続が来ないナーと思って振り返ったら、自分以外が全員寝てた、そんな状況を作り出せる輩なんて敵に回したくないだろう!?」で書いた。
 確かに敵に回したくないんだけど、なんかさあ、やたらと出てくるんだよな、公式シナリオだと。NPC術者が。
 貧弱な1レベルの間の遭遇は「すぐ死ぬシステム(正確にはすぐ気絶するシステム)」という印象を持たれがちなうん、決して間違ってないD&Dだけに、多少の無茶ブリや一天地六の賽の目次第で大惨事、も風物詩みたいなモンと割り切って「ひでえ遭遇だなあ」と笑えないことはない。
 しかし、敵が多いとか強いとか以前に、「どうすんのよコレ」と真顔で呟くことになりやすいのがこのNPC術者。不幸にも1レベルの時に出会った場合は、戦術とかダイス目以前に、ターンが進むごとに確実な死がPC一人一人に訪れる虐殺ショーの幕が上がる。今回の記事はなんでそんなことになるのかの分析と対策、および術者NPC(特に秘術呪文)を取り扱う際、公式シナリオに出てくる術者NPCを基準にすることへの警句も含めた内容となっている。ヘイトが相当滲み出てるので気ィつけてね。
 なお、MMに掲載されている術者なら、そこまで理不尽な惨状にはならない。術者の脅威度はだいたいが2以上、1レベルPCではそうそうお目にかからないだろうし、何より信仰呪文使いだ(狂信者とかサフアグンの女司祭とか)。1ターンに一人ずつ死んでいくような一方的な展開にはなりづらい。まあ、せいぜい大量の取り巻きの向こうからスピリチュアル・ウェポン1回とホールド・パースン2回が飛んでくるぐらいのもんさ(憤怒の表情)。
※今回のアドヴァイスはPCが1~2レベルの場合の話。3レベルで各クラスの特徴が解禁されると、いかに術者NPCがクソでも暴力で片付けられる余裕が出てくる。

1.脅威度が低い
 まずそもそもの問題として、NPC術者は術者レベルに対して脅威度が低い。これは脅威度の割り出しの際にPCと同様のルールで作成されたデータを基準にしているフシがあり、「1レベルのPC一人の実力がこんなもんなら、NPCにした場合の脅威度も同じようなもんだろ」とかなり機械的な査定をした感がある。
 でも、ちょっと考えてみればワカるだろう。複数の遭遇を1日の呪文数でこなさないといけないPCと、1遭遇にありったけのリソースを投じられるNPCを同じ基準で考えちゃいけない、なんてことは。
 ちなみに、最もレベルの低い術者の侍祭は脅威度1/4。1レベルの術者と書いてあるのだが、呪文数を見るとどう考えても2レベル術者だったりする(1レベル呪文スロットが3個ある。どんなイカサマだ?)。
 例えば、前述の狂信者は4レベル術者。サフアグンの女司祭の場合は、えっ6レベル術者相当かよ。これで2レベルのPC4人が相手にして「通常」の難易度になるかどうかは、判断の分かれるところだろう。特にサフアグンの女司祭に3レベル呪文スロットでホールド・パースンスピリチュアル・ウェポンを発動された場合はかなり死ねる。2レベルPC相手に「普通」の遭遇どころじゃない。呪文能力があまりよろしくないことが救い。
 これが司祭になった場合はさらに死ねるボーナス・アクションとして1レベル呪文スロットを消費することで3d6追加ダメージ、上のレベルの呪文スロットを消費すると、1レベル上になるごとに+1d6とか頭おかしいことが書いてある。狂信者よりコイツの方がよっぽど狂っている。どうせ2レベル呪文スロットなんて、スピリチュアル・ウェポン使ったら手つかずなんだから、全部コレに回すつもりだろう。なお、コレでこいつ狂信者やサフアグンの女司祭と同じ脅威度2。呪文能力も二者より高い。
 その代わり、防御能力はお粗末。ACは低いしhpも脅威度2にしてはかなり低い。速攻を仕掛けられれば完封できる可能性もある。その点を加味すれば、「イニシアチブを取りさえすれば楽勝なんだから妥当な脅威度である」という主張もまあ聞いてやらんでもない(#^ω^)ピキピキ 大抵取り巻きがごっちゃりいて触りに行くことも叶わんのだがな。
 そういう苦しいフォローが言えるのは、支援がメインの信仰呪文使いだから。術者レベルが高くても、一気にPCを無力化するような呪文を使うのは、信仰呪文ではなかなか難しい。2レベル術者の呪文数なのに1レベル術者相当と言い張って脅威度割り出してる侍祭にしても、司祭のようにガイディング・ボルトを仕込むような殺意はないから、基本的にはそこまで害はない。
 問題なのは、一気にPCを無力化できるような呪文が多数搭載されている、秘術呪文使いも同じような基準で脅威度が割り出されてるってことね。Encountersで出会った術者レベル6で脅威度2とかアホなことをぬかした秘術呪文使いも、恐らくサフアグンの女司祭の脅威度が2だから、とかそういう基準で設定されたんだろう。
 呪文の質がまったく違うのに、同じ術者レベルというだけで同じ脅威度を設定したらどんな事が起きるのか、そういう脅威度だけに低レベルのPCにぶつけたらどうなるか、それは次に述べる。

2.PCの抵抗できる余地が少ない
 秘術呪文は一発で勝負を決めるものではなく、戦況を動かすためのもの、とPF記事でも5e記事でも書いた。マジック・ミサイル一発で敵を倒せると思わないこと、とも。
 それは敵がボス格の話であり、マジック・ミサイルもちゃんと3本収束させて撃てば、決定打にはならないが脅威度1/4ぐらいの相手なら即死させることができる。
 つまり、同じぐらいのhp(10前後)の1レベルPCに撃てば、高確率で瀕死に陥るか気絶する。1レベルの秘術呪文使いとはそういう相手ということだ。
 で、ここまで書いたら目の前にいる敵が秘術呪文使いのNPCであることが、どんだけ危険であるか説明するまでもないだろう。そういう奴の脅威度が信仰呪文使いと同じ基準、というかPCを基準に割り出されたりしたら、たまったもんじゃない。それが例え1レベル術者であろうと、ウィザードがどこに投じるべきか、尻から屁が出るほど悩んでいた呪文スロット2つを、遠慮なく毎ターンマジック・ミサイルという、確実にPCを瀕死にできるダメージ手段として注ぎ込めるのだから。
 これはマジック・ミサイルという抵抗を許さない攻撃手段に限った例であり、その他の呪文、クロマティック・オーブだったりウィッチ・ボルトだったりしたら外れる可能性という逃げ場はまだある(まあ前者は当たったらほぼ確実に死ぬだろうが)。が、そういう呪文はNPC術者はまず使ってこない。ダメージを与えるつもりなら、九割方マジック・ミサイルを飛ばしてくる。呪文スロットを1戦闘に全てを注げるNPC術者にターンを回すことは、毎ターン3d4+3ダメージを確実に奪われることと同義とすら言える。
 じゃあ信仰呪文使い同様、速攻をかけて畳み掛けるかというと、実は肉体的に貧弱な秘術呪文使いの方が物理的に叩きのめすのが難しかったりする。まず、メイジ・アーマーの存在。秘術呪文使いNPCの場合は、これまた九割方戦闘前からこれを張っている。ACを向上させる手段であるこの呪文、少ない呪文スロットをやりくりせねばならないPC術者ではなかなか唱える余裕もないが、リソース配分を考える必要ない上に、PCとの戦闘が待っているとワカりきったNPCなら使い放題だ
 それでもACは15、低くも無いが高過ぎる値でもない、殴れば当たる見込みの多い数値だが、さらにシールドが阻む。これで伸びた後のACは20、相当出目が良くなければ突破できないし、最悪なのは1ターン続くこと。攻撃ロールが必要な攻撃手段では、常に高い出目を求められることになる。マジック・ミサイルも無効化されるから、強引にhpを削ることもできない。
 一番タチが悪いのは、これらを防ぐ手段が無いということ。ホールド・パースンなら【判断力】セーヴ次第で抜けられるし、打撃やスピリチュアル・ウェポンには回避アクションで不利を与えるなど、抗しようも幾らかある。が、絶対命中のマジック・ミサイル、防御手段のメイジ・アーマーシールドには、低レベル段階では妨害する手立てがない。呪文スロットをシールドマジック・ミサイルに集中されるだけでも、PC側は良い目が出なければ為す術なく一人一人倒れていくことになるだろう。そして、敵で出るNPC術者はそれができる呪文スロットも持っているし、大抵下手するともっと質の悪い高位の呪文を使ってくる恐れがある。いや、そうでなくても上位の呪文スロットでマジック・ミサイルを使われるだけで、より確実にPCは死んでいく。3レベル呪文スロットでマジック・ミサイルを撃たれただけで5d4+5ダメージ、最低でも10点ダメージですぜ?

3.つまりNPC術者との戦いは理不尽で面白くない
 冒頭で「どうすんのよコレ」と書いたけど、結論としては「どうにもならん」
 呪文スロット切れを起こすまで押し続ければ勝てるだろうが、術者のレベルが高い場合、それまでには多分PC側が全滅する。それも、殴ればシールドで防がれ、敵からの攻撃は絶対に当たるマジック・ミサイルで削り殺されるという面白味も戦術もなんもねえ殺され方で、だ。
 術者レベルが低くて呪文を濫用してこないなら話は別だが、筆者はあんまりそういう手合いと出会った試しがない。また術者本体の脅威度が低いだけに経験点枠の余裕があり、大量の取り巻きを連れていて殴ってシールドで呪文スロットを使わせる以前に攻撃すらできない場合が多い(ついでに言うと遭遇の難易度の割り出しをまったく気にしてないような構成だったり)。
 似たような呪文リストの術者NPCばかりというのもまた問題。本当にオレが出会った術者NPCは、メイジ・アーマーシールドで身を守ってマジック・ミサイルを撃つ奴ばかりだった。そうでなければホールド・パースン、こっちの呪文にはカウンタースペル。術者NPCと出会う度に、こういう「何もさせない」戦法が繰り返される。そうでなくても、NPC及びクリーチャーの呪文リストは戦闘の事しか考えてないような呪文リストだったりする。それで長期的な冒険を見据えて呪文を準備しないといけないPCと同じ基準で脅威度割り出されちゃねえ。
 仮に貴方がDMなら、公式で扱っているNPC術者のデータについては、脅威度及び呪文リストに注意した方がいい。特に、レベルが低いパーティにぶつける場合は。レベルが上がってPCにも暴力的な解決手段が増えれば、上記のような戦法を取っても「うるせえ知るか」と揉み潰すこともできれば、シールドをカンスペで、メイジ・アーマーディスペル・マジックで消したりの抜け道もある(嗚呼不毛な光景)。が、レベルが低く、取れる手段も効果も限定される期間に「何もさせない」ことを主眼に置かれた戦法で完封されたら、極端な話二度と遊ばんと言われてもオレは責められない

4.それでもNPC術者と低レベルで戦うことになったら
 が、望む望まざるをさておいてそういう敵とも戦わざるを得ないのがTRPGのさだめ。何甘ったれたこと言ってんだと掲載データそのまんまにPCにぶつけるのも、それはDMの指針とプレイグループの勝手であるし。
 そういう場合にPCが生きて次の夜明けを迎える(どうせ戦力はガタガタになるから大休憩必須だろう)にはどうすればいいか?

~あしたのためにその1 先手を取る~
 ターンを回せばマジック・ミサイルで確実にhpを削られていくのだから、術者にターンを回すのは絶対にマズイ。かといって接近するには取り巻きに邪魔されるのが関の山。それでもイニシアチブを取っておくことは、次のターン、そのまた次のターンにマジック・ミサイルを撃つ機会を潰せる見込みがある。それに、先手を取ってシールドを発動させればそれだけ早く呪文スロットを断つことにもなる。
 もしもインスピレーションを採用しているなら、イニシアチブで使用したい。イニシアチブも能力値判定のひとつであり、インスピレーションを乗せられることを忘れてはならない。シールドを考えると武器攻撃を行うクラスは取っておきたい気もするが、インスピレーションはロールプレイで取り返せる。NPC術者への怒りと憎しみを込めたロールプレイでインスピレーションを渡さざるを得ない空気を作るのだ!(こういう手合いとの戦闘だとロールプレイする余裕もなくなる気もするが、それはそれ)
 取り巻きがいて攻撃できない場合にしても、速攻は仕掛けるべき。時間を与えれば与える程、こっちが不利になっていくだけ。場合によってはファイターも離脱アクションを宣言して、術者NPCに接敵に行く必要が出てくるだろう。その場合はクレリックが後衛に攻撃が及ぶのを防ぐことになる。ヒーリング・ワードが必須となので、できれば彼我の距離は60フィート以内であってほしい。

~あしたのためにその2 セーヴを攻める~
 シールドでいくらACを高めようとも、セーヴの前には関係無し
 と言っても、セーヴを振らせることができるのは、初級呪文に限るだろう。信仰呪文はキュア・ウーンズヒーリング・ワードマジック・ミサイルで受けた傷を癒すのに使ってしまうし、秘術呪文使いはシールドで飛んでくるマジック・ミサイルを防ぐのに呪文スロットを使ってしまうため。2レベル呪文が解禁されるようなレベルで出会えば、フレイミング・スフィアーとかウェブとかやりようはあるんだけどね……。
 最初から初級呪文をメインの攻撃手段にしている秘術呪文使いはあまり問題ない。一方、戦の領域のクレリックのように、ウォーハンマーやモール、グレートソードなど、優良な武器を使っている場合はセイクリッド・フレイムをメインにしていいかは難しいところ。確かにセーヴを攻めた方が通る見込みは高いが、【筋力】の追加ダメージコミで一気にhpを削っていくのも必要だからだ。モールやグレソを使っているなら尚更。そういう場合はシールドを張っている時に限りセイクリッド・フレイムで攻める方がいいかも。
 貧弱な術者NPC殺しにはポイズン・スプレーが最適なのであるが、こういう時に限って修得してないのよな。ザネンム・ネーン
 この時、【判断力】セーヴを攻めるのはお勧めしない。NPC術者はPCと同じ手順で作られているので、セーヴに習熟している稀有なクリーチャーだからだ(#^ω^)ピキピキ
※術者なので【判断力】セーヴに確実に習熟している。「こいつソーサラーなんで【耐久力】セーヴにも習熟してます」と言ったら、まあ、ちょっと怒っていいかな。

~あしたのためにその3 呪文スロットは温存する~
 殴ればシールドで阻まれ一方的にマジック・ミサイルでhpを削られる、ついついシナリオライターとデザイナーへの悪罵と共にガイディング・ボルトを叩き込みたくなるが、それは術者NPCの思うツボ。ヤケになって出目任せの火力呪文を叩き込むのは、本当に追い込まれた時になってからでも遅くない。確実にマジック・ミサイルでhpが削られていくと言っても、即死に至るほどのダメージは出せない。例えまたすぐに倒れることになっても、傷ついた味方を起こせば、追い込むチャンスはまた生まれるのだ。また精神集中の必要な呪文に対して、マジック・ミサイルは覿面に効く(一発ごとに精神集中の維持が必要)ので、ブレスによる援護はあまりオススメしない。
 秘術呪文使いに対してマジック・ミサイルを使われた場合は、シールドが準備してあれば、無効化した上回復の手間を省略できる。これで稼いだ時間に可能な限りの有効打は撃ち込みたい……つってもこのレベルじゃ、手数で押してちょっとでも攻撃ロールで20以上の結果を出す確率を上げる、ぐらいしかないと思うが。
 ただし、シールドマジック・ミサイルを無効化するにしても、1発は1レベル呪文スロットを残しておきたい。それは次の項で紹介する、術者NPC殺しの特効薬のために取っておくからだ。回復手段が残っているなら、素直に受けて寝ておくこと。

~あしたのためにその4 結局はスリープ~
 低レベルでPCが大ダメージを与えるのは難しい。クロマティック・オーブガイディング・ボルトシールドに阻まれる。
 じゃあダメージを与えるんじゃなくて寝かせばいいじゃない。
 スリープはセーヴ抜きで合計5d8のhpを無力化する、ある意味1レベル時点での最大火力。これを集中して唱えれば、いかに強固なACにHDの高い術者NPCでも、所詮は秘術呪文使いのhp。多少の手傷を負った時点で眠りに落ちる。残り呪文スロットが一発なら、シールドマジック・ミサイルを防がず寝た方がいいと言ったのはこれが理由。
 難点は、この「多少の手傷」を負わせるのが難しいこと。セーヴを振らせる初級呪文ではダメージが安定しないし、物理的な打撃やマジック・ミサイルシールドで防がれる。一応、「シールドを宣言したらマジック・ミサイルを発動する」という待機アクションが取れるなら確実にダメージを通すことができる。ただ、待機した時点で呪文スロットを消費してしまうし、実際にシールドを唱えなかった時は無駄な待機になるし、保持するには精神集中が必要で、格好のマジック・ミサイルの的となる。1レベル時点では、これをシールドで消した時点で呪文スロットを全て消費してしまうから、これはレベルが上がって相当余裕のある場合に限られるだろう。シールドの宣言に割り込めるかもちょっとルール的に曖昧であるし。ここは前衛やローグの出目、それにセーヴを強要する呪文に期待するしかない。
 めでたくhpを削ったら、後は5d8の出目に期待。術者が寝た瞬間、一同思い付く限りの罵声を上げながらクリティカル・ヒットの断頭の一撃をブチ込んでやろう。無論、前回提示した待機アクションを用いた一斉攻撃で。脅威度詐欺に相応しい死に様だ。取り巻きが生き残っているとしても、うまくhpを削れたら最優先で術者NPCのみを対象にスリープを撃ちたい。こいつに手番を回せば気絶者が出るんだから。その際には取り巻きに起こされないよう、スリープともども待機を活用して割り込む隙を与えないこと。
 術者NPCがエルフだったら? 殴る時にいい目を出すしかないんじゃねえかな。

 散々術者NPCをディスってきたが、多少注意深いDM相手なら、ここまで酷い例はそう出会うことはないと思う
 筆者が遭遇したのもイベントでの使用でデータを大幅にいじることができない縛りがあった故で、クローズドなサークルであればいくらでも手心は加えられるし、5eの知識があれば、シナリオに掲載された術者NPCのまずさはすぐに気付けるはずだ。ちゅーかシールドを秘術呪文PCが準備していることを前提にしているが、そうでもないと本当にサンドバッグになるしかないからね。そのぐらい一方的にやられるのよ。
 公式も多少は反省したようで、VGtMで追加されたNPCはコピペ&戦闘一辺倒の呪文ではなく、準備呪文にウォーター・ウォークファントム・スティードを入れるような可愛げを見せている。どうせ使われることはないんだろうが、一枠クソな呪文が消えたと思えるだけでもマシである。ちなみに妙に似たような呪文リストが多いのは、最初はデータを作った奴がゴリ押したせいだろうと考えていたが、納期に押されてコピペで済まさざるを得なかった説が対抗馬。
 かといって術者NPCの脅威度割り出しの基準が変わらない限りは是正されないだろうし、そもそも呪文発動能力に対する査定が妙に甘いという体質からして、そうそう改善するとは思えんのだがダークネスフェアリー・ファイアーを発動できて、盾を使ってないのにAC15、ゴブリンの倍近くのhpで即気絶の毒持ちでスリープが効かないドラウが脅威度1/4とか舐めてんの?

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D&D5e余話#176~5eことはじめ記・いつかドラゴンスレイヤーになるために ウィザード編~

 PFはじめてさん向け記事では、CRBクラス縛りで役割ごとに紹介してきて最後の秘術役がアーケイニストというズッコケをかましましたが、こっちは普通にやりますのでご安心下さい。
 それというのも、ガストも臭気が抜けてグールになるほどに手間のかかる呪文準備システムのせいであり、クレ公同様にそれが是正された今こそ、秘術役の中でも選ばない理由がないってぐらい強力なあのクラスの出番。めでたくはじめてさんにも自信を持ってオススメできるようになりました!

ウィザード

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テーマ : TRPG
ジャンル : ゲーム

We are Pathfinders!#270~PFことはじめ記・いつかパスファインダー協会員になるために アーケイニスト後編~

 アーケイニスト編最終章は、2レベル以降の修得呪文編。秘術呪文の無法ぶりはあまりにも苛烈にして激烈にして残虐無道、この犬畜生以下! ヨグ=ソトースの息子! などと罵られるだけに、アーケイニストのクラス特徴の中核、いやなんかアイツ呪文の方が本体じゃないのか、などと噂されかねない超重要エッセンソ。ついついおっこの呪文はいいなあ、ほうほうこんな呪文もあるのかうひょひょひょ、と無秩序に書き散らしてしまってえらい量になってしまった。すまん。
 呪文はクレリックと被ってる所があるので、それぞれ補い合うように準備することになる。もっとも、どうせ修得するだけなら制限が無いんだから、便利そうな呪文を見つけたら隙あらばムリムリ呪文書に書き込んでいけばOK。
 例によってはじめてさん向け記事故、あんまり高レベルは想定していません。あとなんか召喚術と変成術に偏ってるきらいがあるけど、これは呪文抵抗:不可を優先したためかと思われる

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テーマ : TRPG
ジャンル : ゲーム

We are Pathfinders!#269~PFことはじめ記・いつかパスファインダー協会員になるために アーケイニスト中編~

 前半はとにかく
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 という話に終始していて、秘術役にいくないイメーヂを持たれてしまったかなあ、とちょっと反省。
 記事を書くのに数倍(クレリックは倍)時間がかかったのを思うと事実だから仕方ないじゃない、と思ったりもしましたが。
 とは言え、秘術呪文が読み通りに炸裂した時の快感、戦局を自分の一手で動かしてる喜びは代え難く、一度やったら止められませんよウッヘッヘッヘ、先手を取れたらニブそうなデカブツや呪文使いにちょっとグリースやらクリエイト・ピットやらを撃ち込んでみて下さいよウェッヘッヘ。

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頑張りましょうと言えないのがとても残念です

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