We are Pathfinders!#231~ハローMr.Unchained ローグ編~

 Unchainedでモンクが穏やかな心を持ちながら激しい怒りによって目覚めた伝説のスーパーモンク人と化した、と書いたがスーパーサイヤ人のバーゲンセールが如くハイパー化もといスーパー化したのはモンク一人ではない! ローグもまたUnchainedにてスーパーローグ人と化したのである!
 ……スーパー化が必要なほど使いづらいクラスではなかった……モンクやババリソをディスっているわけではありません……と思うのだが、火力が急所攻撃だのみのため、完全耐性がある奴にはまるでだめ夫なところが要テコ入れとなったのか。あ、当然であるがローグの本体とも言える豊富なクラス技能と技能ポイントはバッチリそのままなので安心してちゃぼだい。
 さて最も目を引くのは"妙技訓練”。ローグで近接戦闘というと一工夫二工夫必要だったのが、《武器の妙技》を標準装備、しかも指定した武器ひとつは【敏捷力】でダメージを与えられるようになった。まるで気分は4eや5eローグ。【敏捷力】いっぽんあれば斬りかかれるというのは大幅にローグの可能性を広げてくれた。きょうびのTRPGたるもの、命中とダメージで能力値が違うとかダッサいよな! いやそうでもねえか(SW2.0やSRSを眺めつつ) その代わり《武器の妙技》で使用する武器じゃないとダメ、近接攻撃のみという制限はあるんで、間合い武器で悪さをしようとするとまた工夫が必要になってくる。《武器の妙技》が標準装備になったおかげで、"ローグの技”からローグの妙技は消滅。ここらへんはモンクの“戦技訓練”削除と同じだ。
 Unchainedローグのもうひとつの新たな技は"妨げの傷”。4レベルから急所攻撃でダメージを与えた目標にペナルティを与えられるようになった。当惑はACに-2、ローグからの攻撃にはさらに-2。こいつを一発仕込めば再度急所攻撃が命中しやすくなる。しかも10レベル、16レベルでさらに-8、最終的には-8。しどい。狼狽は逆に攻撃ロールにペナルティを与える。ACが低くなりがちなローグも、これを浴びせれば実質4点向上したようなもの。"妙技訓練”で近接戦もできるようになったUnchainedローグなら是非活用したい。
 個人的に一番キツイのは移動速度が半分に減少し、5フィート・ステップもできなくなる阻害エッセンシャルハンターのディスラプティブ・ショットの脅威再び。近接戦闘力しか持たない奴がローグに先手取られたりしたら、1ターン目は涙を呑んで移動だけで終えるしかない。さもないと毎ターン距離を取られつつ撃たれまくって完封とか、だめなダブルクロスの戦闘例みたいな惨事になるもん。5フィート・ステップ封じも挟撃を取られたまんま殴られ続けるとか地味にツライ。特に効果を発揮するのは狙撃手や呪文使い相手。〈軽業〉で防衛網を股裂きスライディングですり抜けて張り付いたら5フィート・ステップを許さず延々防御的発動を強いてやるのだ。PFになってどえらく厳しくなったからなアレ。
 "妨げの傷”は効果の重複はない(当惑狼狽を同時に、とかはできない)が、複数回ヒットすることで効果は持続する。《二刀流》《速射》持ちのローグが一度でも当惑を発動させたなら、以後そやつは"妨げの傷”の渦に飲み込まれるであろうてグフェフェ。なんといってもPFでは急所攻撃は1ラウンドに1回とか制限ないからな(すぐ忘れる)。徹底するなら"妨げの傷”で2つのペナルティを与えられる"上級の技”、妨げの重ね傷をyrsk。
 "超越技能”には技能解放とか聞きなれない単語が掲載されているが、要するにランクが高いと使用できる技能のオプション、課金すると貰えるDLキーみたいなもんだと思ってくんねえ。量が膨大なんでこれは後で詳述します。
 "ローグの技”は見比べてみると、ちょくちょく調整が入っている。例えば迅速解除は鍵を開ける際も1標準アクションでこなせるように。APGの素早き開錠を包含したということだろう。這い進みは伏せ状態でいることのペナルティが-2だけになった。屋根歩きは滑りやすい面での移動もサポートするように。グリースと組み合わせたらどうなるのかしらん不意討ち攻撃はダメージ・ローグにローグ・レベルの半分を追加、ますますもって奇襲の有用性が上がった。戦場のかっぱらいは6レベルの時点で条件を満たしているとみなすようになり、攻撃ボーナス+6を待たずともよし。跳躍の達人は達成値がDC15を5上回るごとにさらに落下距離10フィート無視、と拡張性が付与された。DCがけっこう低目なだけに有難い。機敏なる登攀者DCが10上がる計算式から、同じDCで反応セーヴとなった。成長しづらいセーヴ依存ではあるが、まあ【敏捷力】で生きるローグなら悪くなることはないんではなかろうか。長持ちする毒は持続ラウンドが【敏捷力】ボーナスラウンドまで伸びた。実質1.5倍~2倍と考えれば毒戦法もより現実的になった……かな。
 地味な調整だけでなく、大幅な刷新が加えられた技もいくつか。下級魔法使用まさかの回数使用制限解除。キャントリップの悪さのし放題、アーケイン・トリックスターの再来や! いや、それは上級クラスにいたな……。上級魔法はローグ・レベル2につき1回の使用回数に。これも使用回数が大幅に増えた……て、ちょっと待て。20レベルになったら10回も使えますのん? MJD? 回復力ローグ・レベルの2倍の一時的hpといきなり獲得量が倍率ドンしたので命綱としての安心感が断然違う。2倍になったと言えば息こらえもそうだ。2ラウンド増えるという地道な肺活量訓練がリザードフォーク並に。エラとか生えてそう。跳ね起きは即行アクションだが、機会攻撃を受けない選択肢もできた。いくらフリー・アクションで起き上がれても機会攻撃を誘発するものをわざわざ……と思っていた人には朗報。個人的に、伏せ状態を組み込んだ戦術はシブくて好きなのでオススメしたい
 強力急所攻撃は1の目を2にする効果から再ロールとほとんど別の能力に。ワンチャンスの期待は大きくなったが再び1が出ても振り直せない大業物戦闘スタイル仕様なことは無念である。
 新しい技(新しいと言いつつオレの知らないサプリに収録されてるだけかもしれん。だったらスマン)は、1日1回しか使えない"ローグの技”の回数を伸ばす多才回復力と併用すれば不死身の怪盗誕生だ。実はUnchained掲載の技だと1日1回縛りってあんまりなかったりする("上級の技”には上級多才が必要)ので、さらなる活用を目指すならがんばってサプリを読み込んでくれたまい。確実性は"超越技能”で選んだ技能の振り直し。多才と併用できるのが心憎い。
 上級の技も同様に調整アリ。変装の達人は標準アクションで変装可能に。技能体得は2+【知力】修正値だった個数が、【知力】修正値+"超越技能”となった。新しい能力がよりフューチャーさらた形と言えよう。
 致命的な急所攻撃は1か2の出目を振り直しとさらにハイリスクハイリターンに。ぶっちゃけ1と2の出目を3にする従来通りの効果で良いですと言いたい気もしなくもない。
 新しく追加された"上級の技”、先制射撃イニシアチブ判定時に即行アクションで遠隔攻撃が行える。イニシアチブに関わらず先手を取ってぶち込めるとかローグにとっては夢の技だが、攻撃解決後何事もなかったように通常ラウンド進行=ローグも行動するとか
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 敵にとっては悪夢の技である。っていうかコレSW2.0の《ファストアクション》のパクリじゃねっすか。そんなことじゃWoCだけじゃなくPaizoまでねこたまに(以下略)。身軽は移動困難地形完全無視。実にシンプル。シンプルであるが"上級の技”扱いも納得である
 また上級地形体得は地形体得のボーナスを強化。あえて新たな"上級の技”に地形体得強化とはシブイ。というか、UnchainedにCRB以外から収録されてる技は全体的にシブイ傾向にある気がするが、どうか木の葉隠れとか戦場のかっぱらいとか。
 あっそうそう、"打撃の極み”も【知力】依存から【敏捷力】依存に。アーパーじゃやってけないのがローグであるが、恐らく最も高い能力値に依存させてくれた気配りに感謝。
 というわけで別クラスといえるレベルの変貌を遂げちったモンクほどスーパー化は実感できないかもしれないが、元々持っていた強みはそのままにバージョンアッペレしたのがUnchainedローグ、違和感なく向上した使い勝手を実感できることだろう。特に、状況状況に応じて効果を選択できる"妨げの傷”は最適な効果を浴びせて優位を確保するのがナウいローグ道というものだろう
 ……ただ、急所攻撃だのみなのは変わらないため、完全耐性を持つ相手にはやはり苦戦を強いられそうだ。"超越技能”で技能職としての立場をさらに確かなものとしたのはいいとしても、この弱点をもう少し何とかしてほしかったというのが正直な感想。そうした相手への対処法としては、追い討ち先制射撃による手数向上だと思うのだが。

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テーマ : TRPG
ジャンル : ゲーム

TRPGこぼれ話#286~ハウスルールの話~

 一般にハウスルールとはどんだけ使われているもんなんだろうか。
 筆者はコンセンサスが取れていてゲームが崩壊しないとゆうのならばんばん使われていいし容認してもいいと思っている。TRPGはセッションと参加者が楽しくなるのであれば犯罪行為とロリ巨乳を除いてはありとあらゆる手段が許されるバーリトゥードな遊戯、地域限定ルールもどんとこい。
 昔はシステムが簡素なせいでハウスルールを入れていかないと行動が窮屈という必然性があったのであろうが、今でもD&D5eみたいに敢えて「プレイグループ各自の判断にお任せします」てな曖昧さを持たせている(はず)システムも存在していて、TRPGの自由度と奥深さというものを改めて実感させてくれる。余談だけどこの曖昧さのせいで、4eのようにシステムで効果や条件をキッチリ決めてくれるやり口に慣れたユーザーから微に入り細を穿つ怒涛のツッコミがQ&Aに押し寄せているようで、「各自で考えて下さい」と言いたげな気配を回答から感じないでもない。まあ某システムみたいに「常識で考えて下さい」で一蹴するわけにもいかんわな。その一方でハウスルールっちゅうか自己判断を下さないと回らないようなシステムもあったりなかったり。これから始めようとしてるメガテン覚醒篇もちょくちょくそのケがあって今から割と懸念している。

 言うてもハウスルール大歓迎と言っておきながら、筆者がマスターをやる時以外、あんまりハウスルールが使われている記憶がないのだが。遊ぶシステムが最近の物となるとカッチリしていて、ハウスルールを導入するまでもない、もしくは入れる余地がないっちゅうせいかもしれない。冒企ゲーなんかはボドゲ的仕様上プレイヤーの行動まできっちり指定してあるぶん、下手に曖昧さが入るとシステム自体が崩壊しかねんしな。
 SW2.0は先制判定と危険感知、それに隠密ぐらいは冒険者レベルで判定してもいいような気がするのだが、もしくはペナルティを受けて判定可能とか……が、先制判定できるようになっちゃうとスカウトの存在意義が《ファストアクション》まで無くなりそうな気がする(マギテックが【クリエイト・ウェポン】のあるなしで手の平返される現象の再来だな)し、ペナルティ受けても判定可能って言われても、中途半端に固定値があったところで平目と成功率大して変わんない難易度になっていくんだよなあのシステム。あとファイターは《武器習熟》《鎧習熟》《盾習熟》 が自動取得でいいんじゃないか……とはかなり以前から言ってきたけど、習熟シリーズはあるとないとで火力や防御力がジムライトアーマーとヘビーガンダムぐらい差がある現実を見てしまったので、今となってはそんな贅沢望んでられねぇのがつらい。

習熟のあるなしでスタイルが変わると言っても過言ではない。あといつ取るかが永遠のテーゼ。
 ブレカナRでは悪徳判定が【希望】一発振りだけではもったいないと思う。殺戮者の陰謀に立ち向かっていく様を演出できる、あんだけおいしいルールなんだから、悪徳に対する判定はもっと多様でいいと思うんですが……ってか悪徳判定を行うことができる前段階の方で多様な条件が指定されているのに、結局最後は【希望】判定になるのがな。オレなんかは悪徳判定に参加できる条件の時点で悪徳値を減らせてもいいんじゃ? とか考えてしまう。その代わり条件はキツ目にすべきでしょうな。

 筆者はハウスルール導入時反発を招いたという体験はほとんどないが、これは俺が持ち込んだハウスルールがよくできていたからでしょうなグフフと自負するところではなく、単に筆者以外にルールブックを持ってない&マスターをやんないせいで、どこまでがハウスルールでどこまでがそうじゃないのかプレイヤー側で区別がついてないだけなんじゃないかと分析してタメイキをついた。

テーマ : TRPG
ジャンル : ゲーム

D&D5e余話#149~秘術役だって前衛に出たいんだもん~

 魔法の達人だけど前衛にも斬り込んで刃をかわしつつ華麗に敵を薙ぎ払う、なんて中二病以前の思春期の妄想みたいなキャラの需要というのはお国柄・時代を問わずあるようで、よかった俺だけじゃないんだと心和むものがある。言うても筆者などは中途半端なキャラクターはTRPGだと痛い目を見るという強迫観念を植え付けられたせいで、滅多にその手の路線に進む気にはなれないのだが。あと、D&Dで剣も魔法も使えると聞くとクラシックのエルフというサマルトリアの王子的イメーヂが脳裏をよぎり頭痛を誘発するという持病のせいもある。
 まあ、別に5eでは秘術役が前衛に出られない道理もないのだが。脳筋ファイターでもヒョロガリウィザードでも習熟ボーナスは同じで技巧特性という抜け道はあるんだし。問題となるのはACがちょっと低くてhpがやや低いかすごく低いこの2点ぐらいだ。が、この2点がすごく重い問題な上に前に出るメリットがあんまりないせいで、別に前衛に出る理由がない。っていうか前衛に出ざるを得ない理由のせいで秘術役ばりのACで突っ込んでいかなきゃいけない人もいるのにそんな苦労をしょいこむこともないだろう。まあモンクのことなんですけど。AC以外を狙ってくる敵ばかりのせいでプレート着込んだパラディンよりウィザードの方がよっぽど固いなんて4e時代のことは忘れよう。あれはイビツな時代であった。
 とは言いつつもプレイヤーの希望に寛容なD&Dのこと、秘術役の中にも前衛で戦えるクラスはあるし、それに適したファイトスタイルというのも発見されつつある。バードは勇の徳によって中装鎧と盾に習熟するためACはまずまずの数値となり、追加攻撃も獲得することができる。【筋力】を上げている余裕はあまりないと思うので、武器はレイピアとなるだろう。"戦いの鼓舞”を自分に使えないのが本当に残念。問題なのは盾と武器で両手を埋めてしまうと、呪文の構成要素が面倒な事。うーん、シールド打撃が5eにもあればいいのに。あっそうそう、知の徳と比べて修得がだいぶ遅れてしまうけれど、"魔法の秘儀”はシールドを指定しておこう。
 UAで追加された剣の徳は中装鎧習熟と共に二刀流戦闘スタイルを獲得する。こりゃ激アツ。シミターへの習熟はショートソードに最初から習熟しているバードにとってほとんどいいことがないような気もする(ぶっちゃけシミターはダメージ特性を気にしなければショートソードに比べ良い事が何もない)が、まあ[斬撃]ダメージも必要になる時が来ると思ってもらっておこう。
 こちらは剣を用いた"演舞”が特徴で、ボーナス・アクションを消費して"バードの鼓舞”ダイスの出目ぶんACに追加する"防御演舞/Defensive Flourish”が強固な防御手段となるだろう。自分に"バードの鼓舞”が使える、こんなに嬉しいことはない。まあボーナス・アクションなんで二刀流の逆手攻撃は使えないんだけどなガハハってお前も両手埋まるせいで構成要素に悩むクチかい! ちゃんと追加攻撃はあるのでそこんとこ安心であるが。なお演舞は基本的にボーナス・アクションなので二刀流との併用は無理竜。
 "トリックスターの演舞/Trick Shooter’s Flourish”は攻撃ロールへのボーナスに鼓舞ダイスを使えるが、ダガー限定かつ投擲時のみのため、攻撃精度重視なら他の前衛に鼓舞ダイスを使った方が効率はいいような気がする。他人に鼓舞ダイスをばら撒きつつ、配る先が無くなったら自身の攻撃精度アップに使う感じかな。構造物に投げつける時だけは話は別だが。ってかなんでトリックスターが演舞すると構造物に2倍ダメージが通るんだろう。一番トリックが通じ無さそうな相手なんだけど、意志の無い構造物って。
 演舞の中で最も強烈なのは"狼狽の演舞/Unnerving Flourish”。直接的に戦力は強化しないが、近接攻撃でhpを0にした相手を敢えて生かさずコロッサス状態にし、【魅力】セーヴを落とすとどんな質問にも答え、命令にも従ってしまうというおっそろしい効果が書いてある。高レベルの敵になると大概高い【魅力】セーヴというのが不安であるが、4eでよくあった同士討ち誘発戦法を再びお目にかかれる期待を持てる。また無力化させた相手を攻撃した場合が「近接攻撃でhpを0にする」という条件を満たしているかは判断の分かれるところ(オレは敵を倒すことで困難を打破しているし、然るべきリソースを払ってるんだからいいと思う)であろうが、認められるならDM泣かせの尋問役に大化けすることだろう。残念なのはボーナス・アクションなので、逆手でhpを0にした場合は発動できない。これほんと残念。
 一部勇の徳にも言えることであるが、始終武器を両手に握っておく必要は、演舞でボーナス・アクションを使うことを考えるとないと思われる。《二刀の駆使者/Dual Wielder》まで取って二刀流に特化するのは考えもの。"バードの鼓舞”が回復しづらい間は二刀流で襲いかかることも多いだろうが、5レベルで小休憩で回復するようになってからは気軽に"防御演舞”する機会も増えてくるし。二刀流戦闘スタイルがちょっともったいないけど、基本は片手だけに武器を持って動作要素や構成要素に当てて、状況状況に合わせて逆手の武器を引き抜く方が秘術系のクラスの立ち回りとしてはふさわしいのではなかろうか。もしくは、ばんばん武器を投げ捨てまくるか、だな。勇の徳でコレをやる場合は《戦闘発動/War Caster》がオススメ。物質要素は無理でも動作要素は省略できるし武器を捨てたのを見て離れようとした相手に機会攻撃で呪文が炸裂する。なんにせよ修得呪文の構成要素のチェックは徹底的に、どんな時に両手で武器を使えるか使えないかを把握しておくべし
 ウォーロックは"契約の恩恵”で刃を選び、"妖の嘆願”で影の鎧を選択すれば前衛向けの能力が出来上がる。もうひとつの嘆願で魔物の活力まで取るかどうかは各人の判断に任せる。事前に作っておくのはともかく、消しておいた場合出現させるにはやはり1アクション使うので注意。また武器は作り出せても【魅力】で殴るとか器用なマネはできないので、【筋力】か【敏捷力】はできれば1レベル時点で16欲しいところ。
 ただ、前衛向けの能力ではあるが、前述のバードと比べるとやや心許ないところがある。盾でACを高めることはできないし、影の鎧メイジ・アーマーを発動させたとしても、ベストの【敏捷力】でさえACは16(13+【敏捷力】ボーナス)。チェインメイル並ではあるがイコール前衛職の最低クラスのAC。脅威度1/2程度の相手だと50%ぐらいで被弾をするACで標準的なhpのウォーロックがウロウロしている危険性は言及するまでもないだろう。かといって間合い武器や特技でヒット&ウェイの小細工をしようとすると、何のために前衛に出てきたのかサッパリわからなくなる第一、エルドリッチ・ブラストという超優秀な砲撃手段が最初から備わっているとゆうのに。距離に余裕があればブレード・ウォードなど防御策を張ることもあるが何分手が足りないし、同じことをやろうとすると基礎能力の差で勇の徳や剣の徳のバードにだいぶ劣る。
 やはりウォーロックたるものヘックスの火力ブーストあってこそで、これを活かすには契約の武器+通常武器の二刀流か。ACとの兼ね合いで【筋力】よりは【敏捷力】の方が高いと思うので通常武器はダガーで安定だろう。ヘックス戦法で最大の障害は精神集中が切れることで、これを避けるためにACは可能な限り向上させたいが、自力だとあまり良い手段がないのがつらい。集中のいらないミラー・イメージは必須と言える。
 実はこっちの方がつらいかもしれないが、ACや攻撃ボーナスを向上させるためには【魅力】以外を成長させないといけないのも頭が痛い。流石にウォーロック呪文の攻撃ボーナス・セーヴDCを全切り捨てというのは沽券にかかわるというか、それならヘックス目当てでウォーロック1レベルだけでいいんじゃないというアイデンティティ崩壊にも等しいツッコミが来そうなので【魅力】据え置きはありえないと思うが、かといって攻撃ボーナスはともかくACそのまんまというのもウォーロック前衛計画を破綻させかねないアキレス腱である。"妖しの嘆願”にしても攻撃能力は強化されても、防御策となると意外なほど少ない。一番手っ取り早い手段はマルチクラスなのだがそれだとウォーロック1レベルでいいじゃない問題が再燃しそうなので意地でもこれは避けて考えたい。安定なのは《中装鎧習熟/Moderately Armored》で鎧+盾で身を固めることなんだけど、両手が埋まるのは困るし二刀流しねえとヘックスのうまみが薄いんだよなァ。かといって中装鎧だけだと影の鎧に毛が生えた程度のACで終わってしまうし、うーむ。魔法のアイテムに期待するっきゃねえか。
 "異世界の後援者”はどれを選んでもあまり差はない感じなので好みで選んでよきかと。射程の短い"フェイの影響力”は前衛ウォーロックというコンセプトにバッチリなので特に活かせる能力ではある。フィーンドでブラインドネス/ デフネスで視界を奪って斬りまくるというのも手数で押したい前衛ウォーロックと好相性。グレート・オールドワンのターシャズ・ヒディアス・ラフターでも似たようなことはできるが効かない相手が多いのがな。防御に関してはダメージを受ける前に不利を張れるグレート・オールドワンに分がある。いくぶん決め打ちぎみになるが、フィーンドの"魔物のしぶとさ”で[斬撃][刺突][殴打]のいずれかを指定するのも味のあるダメージ対策である。そういえば3e系列だとつきもんだったフィーンド系列で肉体武器を得る特典はないんやな。前衛ウォーロックにピッタリなのに。3e系列よりよっぽど効果的に利用されただろうになあ(失礼)。
 さて、呪文の選択であるが前衛で戦える秘術役ということで、射程距離の短いものも遠慮なく使える。ここが最大の輝けるポイント。ポイズン・スプレーのような射程は短いが一発を狙える呪文もいいが、オススメは『Elemental Evil Players Companion』で追加されたサンダークラップキャントリップで使える範囲攻撃という破格の性能で、コマい動物やコボルドぐらいなら連打することでバタバタ掃討されていく。バッチリバードやウォーロックにも修得可能だ。バードならば1レベル呪文に同様の自身を中心とした範囲攻撃で転倒を誘発するアース・トレマーもある。また、サンダー・ウェイヴはダメージもさることながら強制移動がすごくヒドイ行為になることは、高所や段差にある場所に限らずいくらでも想像がきくでしょう。ウォーロックなら、前衛という被弾しやすさを逆手に取ってヘリッシュ・リビュークで焼きまくるのも、立派な戦法を活かしたやり口……と、言えるかなあ。それよりはミスティ・ステップで敵の防御網を潜り抜けた強襲か。
 秘術系の前衛と言えば最もフューチャーされるべきはブレードシンガーだと思うのだが、これは手元にデータがないので詳細を詰めることができぬ。スマソ。盾+プレート並のACを誇りつつキャントリップの範囲攻撃で雑魚を蹴散らし金属鎧にショッキング・グラスプ(これバードもウォーロックも使えないんだよなー)を浴びせまくり攻撃をシールドで回避する、口が裂けてもサマルトリアの王子などとは言えない獅子奮迅ぶりをこの目で目撃しておしっこちょっと出たので、興味がある人は『Sword Coast Adventurer's Guide』を見てくんねえ(肝心な所丸投げ)。

テーマ : TRPG
ジャンル : ゲーム

D&D余話#105~こんな夢を見た~

 夢でD&Dをやっていた。
 オレ以外のプレイヤーは既にPCを作成していたらしい。
オレ「んで、どんなクラスがいるんすか?」
プレイヤーA「オレはクレリック」
プレイヤーB「オレもクレリック」
プレイヤーC「あーオレもクレリックだわ」
プレイヤーDオレはモンクな

 ……オレはどんなクラスを選べばよかったんだろうか。

 PFキャンペーンでバードを選ばざるを得なかったプレイヤー氏の談です。
 オレ的にはウィザードかなあ。

テーマ : TRPG
ジャンル : ゲーム

銀河アズマのバカゲーとそれ以外だいすき#09~こんなゲームを考えたよ・出まかせTCG(仮称)~

 MTGが映画化というニュースをチラ見した。
 僕はアメ公の映画化決定は格闘家の引退発言並に信用できない(最上位に政治家と芸能人とクリエイターに類する人種の引退発言がある。ソシャゲの引退発言もかなり上位といえる)と思っているのですが、数年前から同じような話は何度かあったのね、やっぱし。あの規模から映画化話が舞い込んでこない方がおかしいだろうし。だいたいD&Dだって映画化されたんだしな! えっ? あれはダンジョン&ドラゴンだからD&Dじゃない?

知人氏曰く「ドワーフのくその役にも立たないぶりが印象的だった」。Encountersのシナリオに見られるドワーフ無能率は既にこの辺からあったのか。
 でもせっかくだから「ワンターンキルが横行して超一方的&超短時間で終わる戦闘シーンが大不評と見たね!」とかフカシこいたら「最終戦闘でロックデッキを緑ビートダウンが叩きのめす展開は最高だったね」なんて乗って来てくれた方がいて『知ったか映画研究家』みたいなノリに。むしろこれで『知ったか映画研究家』やりたいなー。第一声で「オレ土地を置いただけの相手をボコってゲームエンドにするあそこはどうかと思うんだよ」とか発言したい。

 いやさらに踏み込んで、『知ったか映画研究家』『真夜中の探偵』みたいな「言ったもん勝ちゲーム」のノリでTCGを題材にするのはどうかな!?(ブロッケンJr.調) プレイヤーの言いたい放題で新しいカードとかルール破壊がばんばん生じていって、対戦してない外野の発言で二転三転するような。最終的に勝ち負けではなく対戦者・外野の発言ひっくるめて一番「それっぽい」ことを言った人が最多得点。
 思いつくままにゲームのルールを書いていくと、

・初手のプレイヤーが競技者Aとなる。競技者Aの右隣のプレイヤーは競技者Bとなる。他のプレイヤーはギャラリーとなる。解説者でも実況でもいい。
・ランダム、もしくは任意に今回のテーマや状況、つまりは話のマクラを決定する。「カードの色」「コスト」「ルール」など。
・競技者Aがまずこのゲームに勝っているか負けているかを決定するセリフを言う。例えば「これで貴様の負けだ!」「くっ! このままではオレは勝てない!」とか。それから、何故勝っているのか負けているのかをマクラを基に言いたい放題言う。
・それを受けて競技者Aの左隣のギャラリーが肯定でも否定でも疑問でもツッコミでも言いたい放題言う。終わったら左隣のギャラリーが続ける。
・ギャラリー全員が喋り終わったら、競技者Bが状況を変えて逆転するなり変えないで敗北するなりを好き放題言う。
・競技者Bが宣言し終わった後、競技者Aが続ける意思があった場合、再び競技者Aから2周目を始める。
・競技者A・Bはいつでも「オレの負けだ」と宣言することで、ゲームの終了を宣言することができる。「もうちょっと続けたいな」と他のプレイヤーが思ったらゲーム続行。
・2周した時点で競技者Aは強制的にゲームエンドを宣言しなければならない。
・発言に矛盾があってはならない(故にメモ帳が必要となる)。
・全てのプレイヤーには、いくらなんでもムリがあると思ったアイデアを否定する権利がある。その場合、卓全体で修正に入る。
・重要なのは言い合いに勝ったか負けたかではなく、「いかにそれらしい出まかせを言ったか」。一番それらしいと卓から評価された人が高得点を得る。
・評価が終わったら、競技者Aの右隣のプレイヤーが次のゲームの競技者Aとなる。

 例えばゲーム風景はこんな感じになる。

競技者A「今回のテーマは『ルール』だな。OK、フハハハ、競技者B貴様の負けだ!」
競技者B「なにいっ!?(合いの手は自由に入れてよい)」
競技者A「このカードは"あなたが敗北することはなく、対戦相手が勝利することはない”アーティファクト・クリーチャー! そしてこのエンチャントによって"アーティファクトは破壊されない”! さらに"他のエンチャントは対象にならない”を2枚配置することによって全てのエンチャントは破壊されなくなっている! これで貴様は絶対に勝つことができんのだ!」
ギャラリーA「ほ……本当だ! あれは最新エキスパンションの中でも最もイカレたルール破壊カード! 絶対に敗北しない代わりに破壊されやすいアーティファクト・クリーチャーな上に高コストでてっきりネタカードかと思われ実用レベルには達していないと誰もが判断していたが……ショップでワンコインのカードにあんな使い道があるなんて! さすがプロプレイヤーは違うぜ!(ゴクリ)」
ギャラリーB「しかもあれだけのエンチャントを大量に配置するために、エンチャントを配置するごとにドロー出来るエンジンを搭載している……さらにドローフェイズにドローできず、アップキープに手札を一枚捨てることを要求してくるがあらゆるダメージを軽減するエンチャントまで用意して持久戦を挑んだのはこのためか! 完璧な防御策だ!」
競技者B「くっ……確かにこのままではオレは勝てない!」
競技者A「はっはっは、潔く負けを認めるんだな!」
競技者B「……だがこのドローがオレと貴様の運命を変えたぞ! このエンチャントは"全てのクリーチャーはあらゆる能力を失い1/1となる”! これによってアーティファクト・クリーチャーに与えた破壊不能能力も消え失せた! そこに敗北しないアーティファクト・クリーチャーに火力を撃ち込めばお前の防御網は崩壊だ! ……って感じなんだけどどうだろう」
参加者一同「えーっと、ちょっと待ってね。ゲームに敗北しないって能力は消えていいけど、アーティファクトが破壊不能になる能力は1/1になった後に付与されるとするとその解決策は無理なような……でも破壊不能が能力の一環とするならその手もまあアリかな。んじゃあ切り札が除去された競技者Aはどうしよう」
競技者A「なんかルール談議が疲れてきたんで終わらせていい気がするわ。んじゃ、し、しまった……まさかクリーチャーを除去するのではなく、クリーチャーの能力を除去してくるとは……! 盲点だった、オレの負けだ!(ゲーム終了宣言)」
参加者一同「よし俺達も疲れてきたんでこれにて終了!(掠れ声) 各自一番それっぽいことを言った人を選ぶべ」
(一同、ベストな発言者の思案に入る)
※好き放題言ってるようですが、ほとんど実在のゲームに存在する実在のカードを取り上げています。

 つーゲーム…どよ? 気に入ったからってパクんなよ。共同開発のオファーとかスポンサーになって下さるとかアイデアを買ってくれるアラブの大富豪とかなら大歓迎ですが。二千円以上くれるなら尻尾を振り始めます。
 別にTCGじゃなくてもホビーゲーム全般でできそう(とあるエロ漫画なんて決着がエロ漫画なのにマリカーだったりするしな)であるが、「明確なルールがある」「情報はカードのテキストで開示されている」「知識がある人なら誰でも状況を説明することはできる(便宜上は)」「説明がクドい」「無茶苦茶なカードが飛び出る」というTCGの特徴は、まさに言いたい放題ゲーのコンセプトに合致してると思うんですよ。プラモバトルとかボードゲームとかジャンルをランダムに決めるのも面白そうだが、そっちはコレがバカ売れした時の派生作品にするんでなグフフ。
 タイトルはもちろん、言ったもん勝ちのトンデモ新カードが乱舞するゲーム言うたらこれしかないでしょう! 『幽☆ギ☆WAR』!
「パク…」
 黙れ!!
「パク…」
 黙れ!!
「パク…」
 黙れ!!

テーマ : ボードゲーム
ジャンル : ゲーム

We are Pathfinders!#230~序盤の定番アイテムのお話(xph(梅酒)の日記さんより)~

 xph(梅酒)の日記さんで「PFはじめての人に贈る、はじめのうちに貰える定番アイテム」特集をやっていたので、自分も似たような記事をたまに書いていた手前恐る恐る開いてみました。
 幸い、それほど自分がハズしたことを言っていたわけではなかったようで一安心。同時に、人によって定番や早めに押さえておくべきアイテムの認識は変わるもんやなあ、となかなか興味深かった。
 例えば【筋力】前衛型では、高品質モーニングスターが殴打・刺突両方に対応できるサブ武器として最適な一品で
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 と頷いていたが、スパイクト・ガントレットとアーマー・スパイクで武器の持ち替えをせず組みつき対策ができるというアドヴァイスは考えてみたらPLに推奨したことも自分でやったこともなかった。片手武器なら組みつき中に殴りつけられるんでそれほど気にしたことはなかったけど、両手武器だとめんどいし、飲み込まれた時に軽い片手武器としてスパイクト・ガントレットを使えるから装備しておくに越したことはないのだな。55gpでできるし。なんでやらなかったかというと、見た目が悪いからだろう、多分。トゲトゲ全身アーマー装備の屈強な野郎とか男塾か闘将!! 拉麺男に出てくるザコみたいな外見になりそうだし。
 ボーナスが低目の魔法の武器でゴースト・タッチを推しているのは
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 1/2の確率で失敗とかクソみたいな仕様ではなくなったものの、通常武器無効魔法の武器でもダメージ半減鎧ボーナス無効とかなめくさった能力なのは変わりがないので、そういう輩は早々に片付けるに限る。
 その他の魔法のアイテムでは移動速度強化のブーツ・オヴ・ストライディング・アンド・スプリンギング。重装鎧による移動力低下は場合によって致命傷になりかねないため、これで足並みを揃えるのに5500gp払うだけの価値はある。てか、キャンペーン中出してあげればよかった
 ポーション・オブ・フライはいつか必要になる時が来るとは筆者も常に用心しているが、ヘッドバンド・オヴ・ヴァスト・インテリジェンスで〈飛行〉を指定するしぶさには思わず頭が垂れた。
 技能系はおおむね筆者の考えているラインナップと同様であったが、錬金術の火は手軽に[火]ダメージを飛ばせるのであんだけ評価が高いのか。確かにスウォームとかと出会ったら[火]ダメージをすぐ用意するの面倒だもんな。
 信仰系欄にあるロッドは全体的にお高いのであまりPLに渡す機会がなかったのだが、3000gpという結構お手頃な価格で買えるもんもあるんですね。サイレント・メタマジック・ロッド(レッサー)サイレンス中でも呪文発動できる、やりようによってはなかなか悪辣な戦術を生みそうであるが、擬似呪文能力中心のPFではどこまで力を発揮できるか。ウ~ム、5eで使えたらムチャクチャ強いのに。リーチ・メタマジック・ロッド(レッサー)は接触呪文を近距離に変更できるナイスロッド。注意点にあるようにキュア系呪文を任意発動しようとすると全ラウンド・アクションになってしまうものの、重装鎧習熟を失って防御力がやや低下しているPFなら近距離を保ちながら戦うクレリックというのもアリかもしれない。
 一番面白かったのは秘術系。ハラマキ・ミスラル製バックラーの秘術呪文失敗確率を被らない意外な防具が紹介されている。ちなみにハラマキは驚くべきことに【敏捷力】ボーナス上限すら存在しない。ジャガーノートやキャプテンアメリカが愛用しているのも納得である(違います)。しかもこれらの防具、判定ペナルティがないので例え軽装鎧や盾に習熟していなくてもメリットだけを享受できる。ACの上昇は微量でも、高めるのが大変な秘術系としては安価で出来る用心として覚えておこう。いろんな人の意見と言うのは聞いてみるものですなあ。
 あとはこれにUEで追加されたクラス別の装備パックをチェケラッチョウ。

テーマ : TRPG
ジャンル : ゲーム

D&D5e余話#148~オレが考える新道具特技~

 そういえば道具特技なんてものも紹介されてたじゃねえかジゲェ~ン(特に意味のないルパン調)。
 戦いに倦んだD&Dユーザの心を癒すひと時の安らぎ、一般道具の習熟・強化という戦闘外の冒険要素の拡張でほぐれた心に実用性ある追加効果がスーッと効いて……これは……ありがたい……。道具と習熟は武器並みのバラエティに富む(靴修繕道具とか誰が習熟取るんだろう。好きだけど)だけに、これまた新たなグッアイディア~の泉であろうひゅ~ほほほ。
 思えば《癒し手/Healer》って治療キットに関連した道具特技の先駆けみたいなもんだったのね。習熟と習熟ボーナスの記述は当然まだなかったけど、元から治療キット自体習熟関係ない道具だったし。案外、これが道具特技の元ネタになってたりして。

《名騎手/Jockey》
・君は全ての乗騎への習熟を得る。すでに習熟している場合、習熟ボーナスを2倍にする。
・君が乗騎に乗っている際、転倒させたり乗騎から落下させたりする効果に対するセーヴに有利を得る。
・乗騎が攻撃や呪文の対象になった際、君が乗っているなら君のリアクションを使用して乗騎の能力値判定を行ってよい。その結果をACやセーヴの結果として使用できる(ACの場合は【敏捷力】判定である)。
・君は鞍が無くてもペナルティを受けず乗騎に乗ることができる。
◆《騎乗戦闘/Mounted Combat》が“身かわし”を与えるとか3e系列のパラディンの馬みたいな強化だったので、昔の《騎乗戦闘》っぽさを出してみた。習熟ボーナスも関連させないともったいない。また一種類の乗騎だけでは《騎乗戦闘/Mounted Combat》に比べて見劣りをする(あっち乗騎の習熟に関係ないし)ので、乗騎全般に習熟してどんな足でも乗りこなしてみせる、『D-LIVE!!』『Switch』(どっちも好きな漫画)っぽい自在の乗り手を表現。後の鞍はオマケです。
 

《靴屋/Shoemaker》
・君は靴修繕道具への習熟を得る。すでに習熟している場合、習熟ボーナスを2倍にする。
・君と君の仲間(最大6人まで)は、強行軍に対する【耐久力】セーヴに有利を得る。
・君は大休憩の間に、靴を地形に適した形状に改修することができる。大休憩を取る際、君は以下のいずれかの特典を選ぶ。大休憩を終えた後、君と君の仲間(最大で6人まで)は24時間の間、選んだ特典を得る。
 ――地形ひとつ(荒れ地、岩地、草地、湿地、雪地など)を選ぶ。その地形を移動する際、最初の5フィートぶんの移動困難地形による移動速度の消費を無視することができる。ボーナス・アクションとしてこの特典を終了することを選んでもよい。そうした場合、ターン終了時まで選んだ地形の移動困難地形による移動速度の消費を無視することができる。
 ――足を用いた〈運動〉〈軽業〉判定の結果に通常の習熟ボーナスの代わりに君の靴修繕道具への習熟ボーナスを加えてもよい。これらの判定を行った際、リアクションとしてこの特典を終了することを選んでもよい。そうした場合、判定に用いたダイスを振り直すことができる。振り直しは判定の結果が出る前に宣言しなければならない。
誰が選ぶんだコレ、と真っ先に思った靴修繕道具の道具特技。オレこういう道具への特技とか考えるのって大好き
 特技の内容としては、前者は雪山用の長靴など用途に合わせた改造、後者は運動靴のイメージですね。24時間で特典が切れちゃうというのもどうかと思いますが、そこは工房を持ってない、あくまでも靴修繕道具を用いた精一杯の改修ということで。〈運動〉〈軽業〉へのボーナスはガイダンスのように1d4を足すのも考えたけど、習熟ボーナスを使わんのはもったいない(ましてや靴修繕道具なんてめったに習熟ボーナスを活かしそうにないもので)と思ったのでこうしましたが。細かい修正値を厭う5eではダイスを足す方がよかったか?

《薬草療法/Herbal Therapy》
・君は薬師道具への習熟を得る。すでに習熟している場合、習熟ボーナスを2倍にする。
・君が草木を摘める場所で小休憩を取る際、君と君の仲間(最大で6人まで)はhpを2+HD回復できる。この回復はひとつの場所では1回しか行えない。
・君は5フィート以内に存在するクリーチャーに毒や病気に対するセーヴを行わせるためにアクションを使用することができる。そうした場合、そのクリーチャーは有利を得て毒や病気に対するセーヴを行うことができる。この時、君の薬師道具(【判断力】)の修正値を使用することができる。一度この効果を受けたクリーチャーは、小休憩か大休憩を取るまで再度対象にできない。
◆《癒し手/Healer》とは違った角度の回復・治療役を目指しました。特にお気に入りは二番目。個人的に、小休憩を取るごとにノーリソースでhp回復ぐらいあっていいんじゃねーの、と(1レベルであっという間に底を尽きる回復リソースを横目で見ながら)つねづね思っていましたので。バードの“休息の歌”と違ってHDを消費しなくてもいいですが、一箇所では取れる薬草の数に縛りがあるので、延々小休憩を続けてノーリソースで回復し続けるてな手はやっぱし使えません。てか、そんだけ休むなら思い切って大休憩せえ。

《地図製作者/Mapper》
・君は地図職人道具への習熟を得る。すでに習熟している場合、習熟ボーナスを2倍にする。
・君は1時間観察した地形の地図を正確に描くことができる。
・君は1時間観察した建物の見取り図を描くことができる。
・君が1時間以上地図を見た場合、その地図に記された場所を移動する時に、自分の存在する地点を正確に把握できる。
・君は正しい道を選択するための〈生存〉判定に有利を得る。
◆1時間観察して地図を描く→1時間地図を見て正確に把握できるようになる独立コンボを搭載。建物の見取り図は、『魔獣使いの少女』のコルボ君の観察力から思いつきました。これで館、砦の攻略の際、地図を示しながら「(視界が通っていない所に)見えてはいるが君達には見えていない!」とかコトワリを入れなくてええワケだ(大変だよなアレ)。特技の英名を聞いて「マッパーがあるんならコーラーもいるんだな?」と思ってしまったお兄さん、お互い若くねえな(ほっとけ)。

テーマ : TRPG
ジャンル : ゲーム

D&D5e余話#147~オレが考える新武器特技・番外~

 攻撃ロールへのボーナスを与える特技が増えた……といえばもうひとつ、呪文でも攻撃ロールするのを忘れていた。まあ3eでも4eでも攻撃ロールはしていたのだが。思えば3eの頃は《武器熟練》で「光線」とか指定してたんだな。攻撃ロールへのボーナス特技のビッグウェーブが来たら呪文攻撃へのボーナス特技も一緒に作られてもおかしくはない。
 思い出したはいいが、果たして攻撃ロールする呪文って力術系統以外にあったろうか。あんまりそれ以外で攻撃ロールってする覚えがないのだが。そうであったとしても対立系統のルールなんて無いんだから問題ないけど、死に別れた奥さんから「アナタ、どうか競艇と力術系統呪文だけはお止め下さい」なんて言伝られたプレイヤーがいたりしたら困るかもしれんな。とかぐだぐだ考えながら調べてみたところ、ざっと見確かに力術以外で攻撃ロールをする呪文はほとんど存在しない。例外はソーン・ウィップマジック・ストーン(変成術)、チル・タッチヴァンピリック・タッチ(死霊術)ぐらいのもん。
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 それよりけしからぬのは、見ていて気付いたのが攻撃ロールが必要な呪文は呪文レベルが上がれば上がるほど少なくなっていくことヴァンピリック・タッチの3レベルでさえ相当高い方。あとはみーんなセーヴ要求型になっていく。せっかくACで呪文を防げるようになり、もう遠隔接触攻撃のせいで鎧ボーナスは適用されませーんとか、AC以外の防御値しか狙ってこないせいでパラディンのプレート習熟がくその役にも立たない(実話)とか悩まされずに済むんですね! とハシャいでいたのに、ぬか喜びさせやがってよお。どうせ「重戦士の鎧が呪文に優位性を与えるなんてありえない!」とか騒いだCD&D時代のマジックユーザー崇拝の老害でもいたんだろう。ケツの穴の小さい輩よ、けっ!(以上、筆者の勝手な憶測)
 てなわけで、呪文攻撃ロールにボーナスを与える呪文はほとんど力術専用、それにキャントリップが中心ということになる。それだけでも攻撃ロールへのボーナスというのは何であれ嬉しいものだから十分価値アリ、と思うが。むしろキャントリップに頼らざるを得ない、ヘックス+エルドリッチ・ブラストに命を預けたウォーロックにはダラジュルの特技となるだろう。

《呪文攻撃体得/Spell Attack Master》
・呪文攻撃の攻撃ロールに+1のボーナスを得る。
・攻撃ロールが必要な呪文攻撃のダメージ・ダイスの最小値は「3」となる。これはダメージ・ダイスが1個の場合で、ダメージ・ダイスの数が1個から1つ増えるごとに、この最小値は+2される。ダメージ・ダイスの数が2個以上の場合、最小値は出目の合計に適用される。例えば、クロマティック・オーブを1レベル呪文として発動した場合、ダメージ・ダイスの出目の合計の最小値は7である(ダメージ・ダイス3個)。
・君が遠隔呪文攻撃を行う際、5フィート以内に敵対的なクリーチャーが存在する場合の攻撃ロールへの不利を無視する。

 取りあえず作ってはみたが結構考えることが多かった。最初はダメージの最小値が「3」になるにしようかと思った。ダメージが1dのキャントリップが安定するならまあよかんべ、と判断するのが畜生のあさましさもとい素人の浅はかさ、キャントリップはレベルが上がるごとにダメージ・ダイスが増えていくのであった。また、中にはキャントリップのダメージに能力値修正を追加できるウォーロックやウィザードのようなクラスも存在する。そういう人には最小値を固定されてもまったく意味がない。
 次はダメージ・ダイスの最低値を「3」にする案が出たけど、これは《エレメンタル熟練者/Elemental Adept》と比べて強力過ぎる気がしたのでボツ。キャントリップならまだしも、高レベルスロットを使ってダイスを増やした場合ろくでもないことになりそうな予感もする。
 てなわけで、最終的に1個の場合は3、2個以上の場合は2点ずつ上げる仕様にした。ダイスの数が増えるごとにいまひとつありがたみに欠けていく気もするが、まあキャントリップ以外はオマケみたいなもんだと考えていただければ。それに、ダメージ・ダイスの最小値なので、“苦悶の爆発”などキャントリップに修正値追加する効果もちゃんと適用できる。【魅力】16でエルドリッチ・ブラストがヒットすれば6点確定。エルドリッチ・ブラストでめしを食っているような生き物である(しかも“妖しの嘆願”を一枠使う)し、ウィザードなら固定値が乗るのは10レベル以降、特技まで使ってるんだからいいんじゃないでしょうか。
 オマケで攻撃ロールが必要なキャントリップを1つ修得させてもいいか、という気がしたが、これは《呪文狙撃手/Spell Sniper》の特典とまるっきし被っているのでボツ。《クロスボウの練達者/Crossbow Expert》の呪文版にした。思えば《クロスボウの練達者/Crossbow Expert》を見た時、「え、これクロスボウでなくても不利受けないの? じゃあこれで5フィート以内の敵に遠隔呪文攻撃もやり放題だな!」と鼻の穴を無意味に広げていた悲しい記憶がある。当然、遠隔武器攻撃だけである……が、クロスボウでなくてもいいのはホント。5eは敵の接近を阻止するのが割と厳しいゲームであるし(壁を作っても抜けてくるような奴にはホント抵抗の手段がないんよね)、ブレードシンガーのようにアグレッシブに敵前へ飛び込んでいく学派が出来たことも追い風になるんでないかな。
 ダメージが1dで安定しづらいキャントリップもこれであんしんパパ、しかも敵に接敵された場合の対処もなされて至れり尽くせり。ちょっと戦闘向けの効果に限ってしまったし、出目の最小値が「3」というのは有利過ぎるかなあ、という気もするのだが、「いや呪文発動クラスが特技取るなら《戦闘発動/War Caster》の方がいいよなぁ」と思ったのでまあいいや。考えた本人がこんなこと言ったらイカンですが。

テーマ : TRPG
ジャンル : ゲーム

読んだ本#44~透明人間の告白~

 かつて本書が翻訳刊行された当初、本の雑誌の目黒考二さんは「十年に一度の面白本」とタイコ判を押しており、椎名誠さんも大いに頷いておられた。そして時は流れ“本の雑誌が選ぶ30年間のベスト30”にて本書は再びベスト1に輝くというマシンロボクロノスの大逆襲を見事果たしたのであった。
 新潮社からハードカバー版が最初に出たのは1988年。もうじき本当に30年が過ぎ去ろうとしているが、確かに30年経っても読むに耐える傑作でありますよ。

 透明人間の告白
 

 誰もが抱くであろうたわいない空想、「もしも空が飛べたら」「もしも大金が手に入ったら」そんな夢想シリーズの定番の一つに間違いなく「もしも透明人間になれたら」は含まれるであろう。ウェルズ先生の小説や映画の包帯男を紐解くまでもなく、透明であることのアドバンテージと人々が抱く憧れは想像に難くない。TRPGユーザならインヴィジビリティやインヴィジビル・ストーカーの脅威を思い浮かべてもらえれば速やかに理解してもらえるであろう。3eの説明文を読んで、「吊り橋の縄を切るのは攻撃ではないのでインヴィジビリティの呪文は解けない」とかなんて酷いことを考えるんだこの野郎はなどと震え上がったもんですたい。
 が、一時的に透明になるだけならともかく、ずっと透明であるパーマネンシィを使ったインプルーヴド・インヴィジビリティみたいなもんやね)場合、果たしてその人間が享受できるのはアドバンテージだけだろうか? 透明人間は場合によっては体のみが透明で、服を着ると宙に浮いているように見えてしまうため、透明の利点を活かすためには全裸でないといけないとかセクハラ案件もある。真冬とかだったらそれだけでもう透明の利点は死んだも同然。そうでなくとも、例えば透明人間がメシを食った場合、それらの食物は一体ハタからどう見えるのか? 透明なまんまの人間は日常生活に適合できるのか?
 こういう、「なったはいいが次々に浮かび上がる素朴な疑問」にいちいち応えてくれるのが本書の傑作たるゆえんだろう。前述の目黒さんは「透明人間の暮らしの手帳」と形容したそうだが、まったくウマい例えをしてくれるものです。主人公のニック=ハロウェイはかなりマッドな科学者の起こした事故に巻き込まれて透明人間になってしまう(余談だがこの事故を引き起こした若僧と、スクープを優先してニックを探しもしやがらない女記者を見ると「やっぱ学生運動とマスコミってクソだわ」と思える)のだが、この時身に着けていた衣服、事故の現場である施設とその一帯に存在していた机やカーテン、タオルや歯ブラシなどの日用品ごと透明になってしまう。透明であるために全裸にならねばならない恐れはないわけだが、実はそれより遥かに恐ろしい現実にニックはすぐに直面する。ミソは「身に着けていたもの」まで透明になったということ。即ち、メモを取ろうとしても、手帳に書いてあることは透明なんだから読むことが出来ず、ペンで書こうと見ることもできないのだ。D&Dのインヴィビリティは他人の目からは透明になっているからまだいいが、自分の目からも見えないということはおっそろしい窮地に立たされることでもあるのだ、とここが筆者最大の驚愕のポイント出会った。これぞ目ウロコ本(目から鱗がバラバラと落ちるような本のこと)。
 襲いかかる現実はそれだけではない。メモを取ることができないのはもちろん、例えばアドレス帳から友人に助けを求めようとしても、そこに書いてある番号が見えないのだから電話は全て記憶力でかけなくてはならない。サイフから札を取り出そうとしてもどれが何ドル札なのか区別できない。そもそも透明な人間がどうやって買い物をすればいい? さらに透明な人間が街を出歩くことが、いかなるリスクを生むか、ニックは身をもって体験することになる。横断歩道を渡る時は細心の注意を要求される。ドライバーからすれば、無人の道路なのだからスピードを緩める気など起きるはずもないのだ。雨の日は自分の身体が雨に濡れるところだけが浮かび上がり、好奇心に誘われた子供に追い回される。そして、石を投げつけられケガをしたところで、その度合いを調べるには自分の手さぐりに頼るしかない。医者に行こうにも、見えない傷をどう治療してもらう?
 もう一点、ニックが頭を大いに悩まされる問題がある。透明人間が食事をした場合、完全に血と肉、それに排泄物になるまでの過程、咀嚼され、喉を通り、胃で消化され……という人体のメカニズムがばっちり外から観察できてしまうのだ。このグロ画像を人目から隠すため、ニックは食べ物を極力選び、消化されない恐れがあるものは徹底的に避け、そして食事にありつくときは人のいない場所と時間を選ばざるを得なくなる。理由は後述するが、透明になったニックは自分のヤサに居つくことが出来ず、各地を転々としなければならないので、メシはどこぞに忍び込んで失敬するしかないのである。
 透明人間になれたら……とは、前述の通り誰もが夢見る望みであるが、こうしてみるとそんなに良い事ばかりではないと気付かされる。少なくとも「一時的に」かつ「他人の目からのみ透明に見える」この二点が満たされていない限り、理想の透明人間とは言えそうにない。第一、透明であるというメリットの筈の特徴も、ぶつかったりしたら何か変なモノがあるとバレるんだから、こっちから接触は極力控えなければならない。つまり存在が見えないのに存在を消さなきゃいけないので、むしろデメリットなのだ。また普通の品物、例えばメモ帳とペンなら普通に書きつけ見られるものの、宙に浮いたメモ帳にこれまた宙に浮いたペンがサラサラと書きつける、非常に奇妙な絵面が展開される。消えているはずの存在が、より鮮明に存在を主張し始めやがるのだ。こっそり宝石店に入り込んで宝石を失敬するなんて、こう考えると出来やしないとすぐに気づかされる。
 人間共通の願望でありながら、実現した場合は決して望み通りにならない、この鋭い観察力と発想はまさにコペルニクス的転回。クラシックかつ先人が強烈なイメージを植え付けた透明人間という題材を扱いながら、活字狂のお二人を耽溺せしめたのも納得である。モノが透明人間だけにまさに盲点、死角からの一撃であった。透明人間だけに(ちょっとウマいこと言ったつもりのムカつく顔)。四年がかりで取り組んだ労力は十分に報われたと言えよう。余談ながら本書以降作者のセイントは作品を発表しなかったそうだ。
 ニックは透明になったのを知られたが故に、情報機関に追い回されるハメになる。アパートをおん出されたニックは空きアパートや馴染みのクラブを転々として満足に食事や睡眠も取れない状況に陥る。買い物も満足にできない人間はどうやって生活を維持していけばいいのか? この難題をニックは証券アナリストの経験(序盤で出てきたこの設定は伏線なので覚えておくといいだろう)とニューヨークの不動産の利用状況を分析することで乗り越えていく、この対処法もリアリティに厚みを持たせているのだが、なんといってもニック最大の強みは超ポジティブ思考。どんな苦境にあろうと「大切なのは動きつづけることだ」と前進を絶対にやめない。この身の回りなんもかんもが透明になるという惨事に巻き込まれようと、決してへこたれず諦めずのドッ根性があるからこそ、最終的に情報機関をヘコませ自由を勝ち取ることができたのだろう。やはり人間飛ぶか留まるか迷ったら飛ぶしかないんである。
 ニックの状況が大いに好転するには好奇心旺盛な女性・アリスとの出会いがあり、協力者を得るとこうも透明人間であろうと日常生活を送るのは容易になるのか! とニックともども読者も目が覚める思いであるが、そのきっかけが下半身というのは何とも海外小説らしいというかなんというか。まあ金輪際他人との肉体的接触なんて自分にはあり得ないだろうと絶望していただけに、そういう欲求が湧くもの致し方なし、という気もしないでもないのだが、やはり社会戦で抹殺されかかっている時に頼れるのはビジネス仲間よりも関係:肉体スートということか!? そういえば透明であることを活用できた数少ない場面は情報機関からの脱走はもちろんであるが、セクハラもそうであった。こうして考えてみると、透明人間になってやってみたいことで十中八九思い浮かべるであろう覗き趣味というのは万国共通なんだなと安心させられる。解説だとアリスとの出会いがもっと早い方が良かったという指摘があるが、確かにアリスという協力者を得たニックがハロウィン・パーティやスキー場を大いに楽しむ解放感はしみじみと読んでる方にも喜びを伝えてくれ、もっとこういう日々も見てみたかった気もする、とフォローは入れておこう。
 情報機関との丁々発止は本書の見所のひとつながら、セキュリティや監視体制が向上した現代では流石に通用しないだろう(空アパートを転々としたり、クラブの鍵を漁ったりするシーンは良くも悪くもまだのどかな時代)。ここんところは古さを否めないが、逆に現代版の『透明人間の告白』が執筆されたとしたらどうなるのか、気になる。スマホがあれば大抵のことができちゃう現代なら生きていくこと自体は難しくないかもしれないが、市井の人間だろうと住所特定されたりする監視社会だと、宙に浮いてるスマホとか即行で拡散されそうだな。
 ちなみに、読んでいて感じたが椎名さんの執筆するサバイバル小説や超常小説、『走る男』、『デルメルゲゾン』はこれに相当影響されていると感じた。次から次へと襲い来るトラブルに細やかに対処していく解決策の提示、また何か一つが狂ったらその世界はどんなことになるか、そうした疑問にひとつひとつ応えていく丁寧な姿勢は、まさに本書で提示されていた面白さ。後の基盤になったと考えてもおかしくありますまい。
 
 ニックの披露してくれたサバイバル術(実際に顔を合わせずに講座を開く方法、電話のみで株を売買する方法など)は役に立ちそうであるが犯罪者でもそうそう役に立てられそうにない、それこそ透明になった人間でもなきゃ意味がないのが残念な限りである。D&Dで「自分の目にも映らないインヴィビジビリティ状態になる呪い」とか出してみようか。うーむ、自分にとっても他人にとっても恐ろしい呪いだな。

テーマ : SF
ジャンル : 小説・文学

D&D5e余話#146~オレが考える新武器特技~

 UAにて特定の武器に関する特技が発表されていたけれど、まだアイデア段階だけに数は少ない(わざわざ嫌いな特技に一枠割いたぐらいだしな)。いずれはサプリなんかにブラッシュアップを加えたバージョン、さらに充電中に生まれた新アイデアなんかも加えてドーンと掲載してほしいものです。
 して、未だ日の目を浴びていない武器に関する特技とはどんなものになるんだろう。UAにて刀剣類、斧・ハンマー、フレイル、スピアがヒモ付けられ、それに既存の特技でも一部間合い武器とクォータースタッフ、クロスボウには関連する特技が既に存在する。しかし5eの武器はデータ上の差異が大してないのにまだまだ眠っている。単なる下位互換で終わってしまう武器が多いという現状は、考えようによっては、特技で付加価値与えてプレイヤーにこだわり以外でその武器を使わせるように仕向ける、アイデアの宝庫と言えるかもしれない。
 今回はそんな「まだサポートされてないけどあの武器の特技はこんな感じになるんじゃ?」という方言記事だヨ。
 個人的に体得特技で攻撃ボーナスが1点上がるには反対の立場なのだけど、先例との統一を図るために採用しております。賛成の反対なのだ。

《ウォー・ピック体得/War Pick Master》
・ウォー・ピックを用いた攻撃ロールに+1のボーナスを得る。
・君がウォー・ピックを用いた攻撃を行う場合、目標の[刺突]ダメージへの抵抗を無視する。完全耐性の場合、それは抵抗となる。
・人造クリーチャーおよび土や金属で構成されているクリーチャーに対して追加の1d8ダメージを与える。
・ピックを手に持っている場合、落下に対するセーヴィング・スローに有利を得る。
何故かピックはエッセンシャルでハブられるとかD&Dにおいて扱いが悪いイメーヂがある。まあそんなに頑張ってピックをフューチャーする気なんぞ起きんという気持ちもまったくもってよくわかるのであるが。で、5eにおいてもしっかり「技巧特性がないレイピア」という下位互換扱いのこの処遇、単独の特技を用意せずにいられるか。いや、単にピックに類する武器というお友達が思いつかなかっただけなんですけど。
 で、ウォー・ピック→ツルハシということで、硬い岩石を一点突破でぶち砕くイメージから、抵抗を貫く特性を持たせてみたブルッツ・フォン・ポイントを打ち抜くってな寸法よ。あれはクォータースタッフでやってた気がするが。あと、これだと実体を持たないクリーチャー相手にも有効になっちゃうんだけど、非実体という特性を消したWoCが悪い。オレは悪くない。
 もう一つはツルハシらしくカタいものに対するダメージ上昇。クレイ・ゴーレムならまだしもガチガチのアイアンゴーレム相手にツルハシで撃ちかかるというのは本来の用法とはだいぶ違う気がするが、土だけだとちょっと限定的にも限定的過ぎる気がしてなあ。
 最後のは登山用具「ピッケル」としての使い方を引っ張り出してみました。戦闘ばっかりじゃ味気ないと思って。
 抵抗がない相手には攻撃ボーナス+1ぐらいしかうまみがないが、取りあえずウォー・ピック限定の特技としてはこんなもんじゃないでしょうか。《フレイル体得/Flail Mastery》よりはまだ局所的でないと思うが、どうか

《ボウ体得/Bow Master》
・ロングボウ、ショートボウを用いた攻撃ロールに+1のボーナスを得る。
・5フィート以内に他のクリーチャーが存在しない目標にボウを用いた攻撃が命中した際、その目標の移動速度を次の目標のターン終了時まで半分にすることができる。
・君がそのターン移動しない場合、ボーナス・アクションを使用することで、ボウによる次の攻撃への不利を無視することができる。
・ボウによる攻撃がヒットした際、君はそのダメージを半分にすることを選んでもよい。そうした場合、目標は次の攻撃ロールに不利を得る。
◆射撃に関する特技はちょくちょくあるが、ボウそのものへの特技はまだ無いので。クロスボウは装填の手間を省いたり、近接戦で撃てるようになったりと機動性を重視しているようなので、こちらは狙撃手をイメージした。実際のところ、《クロスボウの練達者/Crossbow Expert》と言いつつハンド・クロスボウ以外のクロスボウが使われてるの見たことがないので、アッチをクロスボウをフューチャーした特技というのは納得イカンのですが。隣接するクリーチャーがいない場合……というのは懐かしのエッセンシャルのハンターですな。不利を消す方は、あくまで1回のみとして有利になり過ぎないように自重。
 不利を与える特典は、目や武器などを狙って射るのを表現している。いわゆる戦技が横行する環境というのはいくないと思うのだけれど、ボウ限定、このぐらい処理が簡便なら許してもらえんかのう。ボウ以外で部位狙いをやるなら不利を受けて相手に攻撃、ダメージは最低限って感じになるかな。

《トライデント体得/Trident Master》
・トライデントを用いた攻撃ロールに+1のボーナスを得る。
・君のターンでトライデントを用いた攻撃を行っていない場合、次の君のターンまでに君にヒットした近接武器攻撃をトライデントで受け流すことができる。君はリアクションを使用して、トライデントのダメージ・ダイスぶん、君が受ける近接武器攻撃のダメージを軽減できる。
・君がトライデントを使う時、ダメージ・ダイスをd6からd8に、両手で使っている場合はd8をd10に変更する。
・君から5フィート以内の転倒状態の目標が起き上がろうとした場合、君はリアクションを使用して、その目標を押さえつけることができる。目標は難易度(8+君の【筋力】ボーナス+君の習熟ボーナス)の【筋力】セーヴに成功しなければ、立ち上がることができない。
キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━ !
 5e発売当初より全てのデータがスピアと同等かそれより劣るという謎武器中の謎武器トライデントにも、これでやっと存在価値が生まれた。なにひとついいことがないのにキャラ設定のせいでトライデントを使わされていたサフアグンも、喜びのあまり血の激怒に入ることだろう……ってトライデント使ってるの男爵だけじゃん(ちゃっかり並サフアグンはスピアを使っている)。
 三叉という形状を活かして、叉の部分で受け止める特性を付与した。これで片手に受け止めるためのトライデントを握っておく、ボーナス・アクション目当ての追加攻撃だけでない二刀流が生まれるワケだ……ただ、これだとトライデントがホントに受け止めることにしか使われない恐れがあるので、トライデントを使うこと自体のメリットも色々と付与。単純武器のぶんざいでトライデントの完全上位互換のスピアがあんだけ強くなったんだから、軍用武器のトライデントだって強化されてナニが悪いとゆうのですか。っていうかトライデントのダメージ・ダイスをd8にすりゃいいじゃんってのはナイショだ!
 転倒している相手を押さえつける効果は、これも三叉という形状にこだわったもので、結構気に入っている。いい仕事したんじゃないかと自画自賛しています(ムカつく顔)。

《パイク体得/Pike Master》
・パイクを用いた攻撃ロールに+1のボーナスを得る。
・君から5フィート以内の目標にパイクを用いて攻撃する場合、君はボーナス・アクションを使用してよい。そうした場合、目標から5フィート以内に存在する別のクリーチャーに、目標へのダメージの半分に等しい[刺突]ダメージを与える。
・ボーナス・アクションとして、君から20フィート以上離れている視認できるクリーチャー1体を選択する。そのクリーチャーが自身のターンに君のパイクの間合いに入ってきた場合、君はリアクションとしてパイクでクリーチャーに対して攻撃を行える。攻撃がヒットした場合、追加の1d10ダメージを与える。クリーチャーが移動に離脱アクションを使っているならば、この能力を使うことはできない。
◆なんで《スピア体得/Spear Master》にロングスピア含まないのん? と思っていたらロングスピアというデータ自体がなかったという衝撃の事実
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 てなわけで恐らく5eでロングスピアに相当するであろうパイクにも専用特技を作ってみたみょ。何故に《長柄武器の名人/Polearm Master》からハブられてるんだろうねやっぱり貧乏臭いからか。クォータースタッフに貧乏臭い呼ばわりされるのは心外なのだが……いや、貧乏くさいのは筆者の勝手なイメージだったな。
 《長柄武器の名人/Polearm Master》が技巧派な感じだったので、こちらは力任せに目標に隣接するクリーチャーを串刺しにする効果に。串刺しにするにしても間合い内に収まるように、ちゃんと隣接クリーチャーを刺す場合だけに限定している。あとは、D&Dで槍なら突撃への待機は欲しいよね。

 とりあえず目に付いたものはこんなもんかのう。あと残っているのはウィップとモーニングスターあたりか。ウィップは武器自体が特殊なんで、特技が無くても……って感じですが、モーニングスターもよく見たらウォー・ピックの完全下位互換だったりして、レイピアの下位互換のウォー・ピックのさらに下とか……。これは何らかの救済策があるんじゃないかなあ。なんぞアイデアが思い付いたらまた記事にしますねン。

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