TRPGこぼれ話#218~2014年のTRPGは重き荷を背負うがごとし~

 徳川家康は人の一生は重き荷を背負い坂道を登りゆくようなものと言っていた。『戦国じゃんだらりん三河物語』で山本正之も言っていた(『桃の花』は名アルバム)。
 今年のTRPGおよびアナログゲームを思い出すと、妙に重い荷物を背負っていた気がする
 十数年前、3e発売当初、私は燃える3e熱に突き動かされ、コアルールブック三冊を毎日のようにリュックサックに詰めてサークルに通っていた。TRPGが、D&Dが、3eができる! その情熱に支えられていた当時の私にとって、ハードカバー×3の重量も苦ではなかった。あの当時、私の背面装甲はサイコガンダム並であったろう(『PSYCO-GUNDAM』を遊んだ人ならこの例えはわかってもらえるはず)。後ろから暗殺者に狙われたとしても、背中である限りは大丈夫。
 しかし、3eの検索性はお世辞にも良いとは言えなかった。特にレベル順、クラス順ではなく五十音順に並んだ呪文表には阿修羅閃空を体得できるぐらいの殺意の波動に目覚めかけたものである。おかげで、呪文や特技はあらめて見やすい形でエクセルで打ち直すという、自助努力の大切さを学んだものです(これは後に私の趣味となる)。当時はそこまでインターネットにサマリーとか落ちてる時代でもなかった……気がする。
 結局、4eが出るまではずっとコアルールブックを持ち運んでいたのだろうか? 有志の方が作ってくれたサマリーを活用するようになったのは、PF以来だし。4e発売直後からあんまりセッションできない時期があったのだが、その頃は『迷宮キングダム』が中心であり、王国ブックと迷宮ブックの二冊で済んだので打って変わって軽量で……済まなかった。A4版とデカい上に、王国シート、キャラクターシート、迷宮シート、戦場に配置するコマとかさばる要素には事欠かなかったのです。まあ、ハードカバー三冊よりは軽かったのでハンドバッグで済んだが、パンパンに膨らんでしまったそいつを抱えて山手線に揺られていたのがもうすぐ5年前……なんか10年ぐらい前のような気がする……(おじいちゃんゲーマー)。
 Encountersに参加していた時には、エッセンシャル2冊で良かったから珍しく軽量だったな。ただ、ルールを参照しようとしてPHBを持ち込むこともあったから、そうなるとハードカバー再びであったが。さすがにプレイヤーやるならMMとDMGは持参しないよ!
 PFに至ってはサマリーがばんばん作られていた上にすべて電子化されたデータを参照できるため(ありがとうprdj@ウィキ)、ノーパソ一台あれば十分ハードカバー三冊の重量グッバイさようなら、とはならなかった。オフライン版だとタッチパッドでは参照がつらい上に、そもそもノートパソコンがめちゃくちゃ重かった。バッテリーが死にかけてるんで、アダプタをねじ込むのがまた大変だった。さらに、PCの閲覧用に印刷したデータをクリアファイルに入れてみたら、軽く四冊ぐらいに達していた。これまたハードカバー三冊よりはマシだが、結局迷キン以上にパンッパンになったバッグを抱えて、西武新宿線沿線をうろついていたものである。で、PFキャンペーンが終わったのって去年だったっけ……一昨年のような気がするんだけど……(おじいちゃんゲーマーNEXT)。
 パラサイトブラッド(レポート来年には仕上げます、すいません)や六門世界2ndもサプリは適度に出た……といっても軽く5冊ぐらいには到達したので、タテ幅はあまりないが厚みは相当のモンだったな。また六門は参照性がおにちくの悪さで、しかもトレハンやサモナーなど頻繁にルールブックを見返すもんだから、これまた泣く泣くページの大半を印刷してクリアファイルに突っ込んで参照用にしたものよ。おかげでまた厚さが増えるし。
 あっそうそう、D&D5eでまたハードカバー×3冊の日々が始まりそうなんだった
 ボドゲサークルである東方領土研究会では、盛況な時はドミニオン二卓が立っていたので、ストレージボックス2つをガッツで持ち運んでいた。最近は皆さん忙しいようで、一卓で十分な少人数になった……が、筆者の好むゲームは箱がでかいので、結局大荷物になったり。いやボドゲぐらいなら生易しいほうで、本年の最大荷重は『PSYCO-GUNDAM』。基本ルールブックだけで100ページ、可変MSが動き出すと軽く10ヘクス20ヘクス飛ばすんで、ヘクスシートはA3×2じゃないと狭すぎる。さらにチットケースやら資料用のMS大全集やらをぶち込むおかげで、旅行バッグ一つが満杯になってしまった。こいつをえっちらおっちら左右のバランスを取りながら中央線に飛び込むと、なんだかハードカバー三冊を背負っていた頃を思い出す。
 でも、重い荷物を抱えて歩き回る機会が多かったというのは、それだけセッションをする機会が多かったということでもあるし、セッションをする仲間にも恵まれていたということでもある。あのハシャいで笑って5時間ポッキリを体験できるというなら、私は喜んで天を支えるアトラスのごとく、セッション道具を抱えて東京都内を歩き回ろう。
 来年もそんな風に重い荷物を背負う日々があることを願いながら、本年最後の更新としたいと思います
 今年は本当にありがとうございました。皆様よいお年を。また来年もyrsk。



桃の花桃の花
(1998/02/21)
山本正之

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テーマ : TRPG
ジャンル : ゲーム

D&D5e余話#49~リチャードと遊ぼう2014~

 歳末どつきあい企画、5eセッションレポートに続いて本日は特別に、『マジック:ザ・ギャザリング』のデザイナーであり、現在でも『キング・オブ・トーキョー』など精力的に新作を発表されているリチャード=ガーフィールド氏をお呼びしました。歴史ある『マジック:ザ・ギャザリング』の制作秘話や、ゲームデザイン論などいろいろおうかがいしたいと思います……ん? 何でしょう、そのお手元にあるカードは。おおっ、《Black Lotus》を筆頭に、moxシリーズに《Ancestral Recall》《Time Walk》《Timetwister》……これがパワー・ナインというものですね。Forgeではいやと言うほど見てきましたが、この目で現実に拝めるとは光栄です……ああっ、何をするんだ! そんな、パワー・ナインでショットガン・シャッフルするなんて、札束に火をつける戦争特需の成金みたいなマネをしちゃいけないっ。お? 今度はシャッフルの終わったパワー・ナインを円を描くようににテーブルの上に並べて……今度は『ブタのしっぽ』でも始めるつもりでしょうか? (リチャード氏の手拍子に振り向く)あああっ! まさか、そのグツグツ沸騰するスープで満たした鍋はっ!? やめろリチャード、やめるんだっ! パワー・ナインを鍋敷きにするなんて、マーク=ローズウォーターが泣くぞっ! 「これが本当の《熱いスープ/Hot Soup》だ、装備していたクリーチャーを破壊するだろう?」なんてギャグを飛ばされても笑えない! どうせ鍋敷きにするなら《蒼ざめた月/Pale Moon》《苔男/Lichenthrope》にするんだーっ!

 ……以上、歳末どつきあい企画、『リチャードと遊ぼう2014』でした。
 大槻ケンヂのオールナイトニッポンを知らない人にはサッパリわからんネタだったと思います

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テーマ : TRPG
ジャンル : ゲーム

D&D5e余話#48~秘儀の参入者たち~

 種族が人間の場合、特技は何を取るか。取らずに能力値全て+1という人生向かい風を選ぶなら止めはしないが
 前衛クラスかつ重装鎧に習熟してるなら《Heavy Armor Master》はマスト取得であるが、スペルキャスターであるなら、限定的な発動能力……《Magic Initiate》《Ritual Caster》もかなりいけてると実プレイを幾つかこなして思ったので紹介しておく。

 まず《Magic Initiate》は、2つのキャントリップと、1つのレベル呪文と専用のスロット1つを与えてくれる。1レベル呪文のスロットは、大休憩を終えるまで再使用不可。キャントリップの数は案外少ないし増えないので、ドルイドやウォーロックのようなキャントリップの極端に少ないクラスはこれで補強したい。ウォーロックも「何だよお前念力も使えないの?」とかディスられずに済むだろう。また、今回鎧に習熟さえしていれば呪文発動の制限にはならないので、呪文発動に関わる能力値さえ十分にあれば、スペルキャスター以外でも活用することができる。例えば、【魅力】の高いパラディンはバード、ソーサラー、ウォーロック呪文とか、【判断力】の高いモンクはクレリック、ドルイド呪文とか。能力値があまり関与しない呪文なら、クラスを問わずに使ってもよい。スペルキャスターに取る余裕のない、メンディングのような便利系をフォローしてあげるとか、レジンスタンスの壁を張るとか、トゥルー・ストライクで“仕込み”をしておくとか、使い道はいくらでも。ちょっとしたエルドリッチ・ナイトかアーケイン・トリックスター気分。
 また大休憩を取らないと再使用できないとはいえ、使い切りのスロットが1つ増えると考えるだけでも、十二分に強力。決定した呪文は変更が利かないのでよく考える必要はあるが、使用頻度の多い呪文で埋めておけば損はないだろう。例え最低レベルで発動しても、役立つ呪文は数えたらキリがない。ぶっちゃけヒーリング・ワードとかでもいいと思うよ。準備される&呪文リストにあるとしても。使い切りという意味でなら、ブレスヘックスなんかを覚えておくというのも相当外道で良い(構成要素と精神集中には要注意)。

 《Ritual Caster》は【知力】か【判断力】が13以上、[儀式]タグの呪文しか選択できないという制限はあるが、2つの1レベル呪文を獲得できるのは魅力的。さらに、書面の形態になっている呪文を書き写すことができる。これまた呪文のレパートリーが少ないスペルキャスター垂涎の能力であるが、何よりも儀式として発動できる点が最大のセールスポイント10分間費やすだけで、スロットを消費せずに呪文を発動できるのだ。常にスロット欠乏に喘ぐD&Dのスペルキャスターすべてに推奨したい(ちなみに、ウィザードとクレ公とドルイドとバードは最初から儀式として発動できる。ちゅええ)。これでじゃんじゃんコンプリヘンド・ランゲージズでバイリンガルったりディテクト・マジックで探知したりできる寸法やな。特に、便利系の呪文でスロットを食わなくなるのは、これまでスペルキャスターが抱えていた共通の悩みの種を解消するアイデアとして大いに評価したい。
キュア・ウーンズ使えなくなるけど通訳しようか?」とかほざいたなら、
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 と叱責されるのがオチだったからな。
 【知力】13or【判断力】13というのは決して低くないハードルであるが、前者は知識系担当するにあたって、後者は呪文のセーヴにおいて使うものと思って、耐え忍んで割り振りたい。
 逆にいえば、最初っから儀式として発動できるクレ公やウィザードが、いかにスペルキャスターとして安定した立場にいるかワカるな。他のクラスなら、序盤だとまず出番のない便利系呪文をハナっから時間はかかるとはいえスロット抜きで発動できるんだから。どうせ1レベルの呪文なんてヒーリング・ワードキュア・ウーンズスリープマジック・ミサイルで使い切る(以下略)。



Player's Handbook (D&D Core Rulebook)Player's Handbook (D&D Core Rulebook)
(2014/08/19)
Wizards RPG Team

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テーマ : TRPG
ジャンル : ゲーム

好きなアニメ#02~機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争~

 明日はサイクロプス隊の一番下っ端の命日なのでその話。
 なお、今日はドズル・ザビ中将の命日です。

 ドラマとは葛藤であるという。ストーリーを作ることとは、このドラマ=葛藤をいかに見せるか、であると。
 一番簡単な葛藤の作り方は、善と悪の対立だ。善い奴と悪い奴がイデオロギーの違いでぶつかり合う。善い奴は社会における良識で立ち向かい、悪い奴は非道の限りを尽くして踏み潰そうとする。これは物語作りの基本というものだろう。
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 こういうアニメの場合はどうなるのか。よくわかりません!
 しかし時と共に視聴者の目も肥え、地球の裏側で起きている戦争を見物できるほど情報技術の発達した今ではなおのこと、単純な善悪の対立では「リアリティがない」と共感を得ることが難しくなる。そうなった時に取られた手法は、善の中にも糾弾されるべき悪しき部分があると善い奴も悩んだり、また悪い奴にも悪なりの事情という善がある、という構図。これは葛藤をより複雑にし、深みを与える効果を確かに持っていたが、「善の中にある悪」にも「悪の中にある善」にもそこに至るまでの過程と結論がしっかりしていないと、リアリティがない以前にまるっきり説得力のない、共感を欠いた物語になってしまう。
 ここ最近やたら槍玉に挙げられる「実は善い奴だった悪党は飽きた」という問題であるけど、これは構図そのものよりも、「実は善い奴だった」という素顔を見せるまでの描写がおざなりになっているからだろう。後は、改心した後の罪と罰の配分かな。いくら善い奴でも然るべき罪には然るべき罰がなきゃ納得できねーよ。
 じゃー「善い奴と悪い奴が戦う」の次が、「善い奴と実は善い奴だった悪い奴が戦う」なら、さらに進めて「善い奴と善い奴が戦う」とどうなるか?
 物凄く意地の悪い話になる。

 『機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争』はそんな話だ。

機動戦士ガンダム 0080 ポケットの中の戦争 vol.1 [DVD]機動戦士ガンダム 0080 ポケットの中の戦争 vol.1 [DVD]
(1999/12/18)
浪川大輔、辻谷耕史 他

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テーマ : 機動戦士ガンダムシリーズ
ジャンル : アニメ・コミック

TRPGこぼれ話#217~未来のTRPGマシン~

 TRPG用タブレット話の続き。
 最近タブレットPCにシナリオを入れてセッションに出向いているGMを見て、おうやるなっと思った。ノートPCにシナリオやキャラクターシートを入れて管理するのは今に始まったことじゃないけど、なんだかんだでノーパソって結構でかいからね。セッション中に取り扱うとなると、あのぐらい小型な方が適正でしょう。
 特にタブレットを活用していたのは、EncountersのDMの皆様。世間ではイニシアチブ管理用のアプリなんてものを作る人もいるんですなぁ。また、Encountersのシナリオに付随してくる大量の画像をプレイヤーに示す時、タブレットは素晴らしい威力を発揮する。印刷物をバサバサ取り出す以前に、画像を検索してサッと出せる手間のかからなさは正しく文明の勝利って感じだ。ルールブックやシナリオもPDF化している中、タブレットとはまさにTRPGのために生み出された製品と言えるだろう(いやそれは違うか)。
 ところで、シナリオやキャラクターシートを管理できるこのタブレット、どっかで見たことあるなーと思ったら、おーこれは『RPGなんてこわくない!』に出ていた未来のTRPGマシンではないですか一台でいろんなシステムのシナリオやキャラクターシートを管理するという小型のアレ。多分、あの漫画に描かれていたような使い方だと、ルールブックとシナリオとキャラクターシートをいくらぶち込んでも容量余るぞ。確かにあの当時からすれば、タブレットPCって正真正銘、空想の中にしか存在しない未来の技術だったんだろーなぁ。フューチャーインザナウってやつだね。
 漫画の中ではタブレットに比べてかなり小さかった覚えがある(懐かしい言い方をするとポケコンか)が、実際にTRPGで使うとなると、あれでは画面が小さ過ぎてつらいと思われる。情報量の多いゲームの性質上、ディスプレイにはある程度の大きさが必要になるものですが、さすがに8インチとかじゃ未来マシンにはデカくて絵にならないと判断されたのでしょうか。
 また、ダイスを振るのだけはコンピュータに任せず自分でやる、という主張……ダイスのアプリも作られてはいるけど、これはまったくその通りだと思います。21世紀になった今でも。
 私の場合、データの打ち込みはパソコンで行っているが、シナリオの作成については昔からずっと大学ノートにずらずら書き込む方式を続けている。多分これからもずっとそう。思いついたことを端から場所を問わず書いていくスタイルなので、文書作成ソフトのような整然とした構成にまるっきり合ってないのだ。おかげで、他の人が読んでも意味不明の文章の羅列になっているので、PLに見られたりしてもまったく困らない。あと、ノートにペンを走らせてびっしり字で埋めていく作業が好き、というのもある。
 データの管理をタブレットなどの機器に頼るようになったとしても、多分私がマスターをやるときにはいつまでも傍らに大学ノートがあることだろう。



RPGなんてこわくない! (ゲーム・フィールドコミックス)RPGなんてこわくない! (ゲーム・フィールドコミックス)
(2000/11)
こいでたく

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テーマ : TRPG
ジャンル : ゲーム

D&D5e余話#47~『ゴブリン王ナムスギルの財宝』始末記~

 歳末どつきあいの一環として開催された5eセッション。筆者にとって初のクローズドセッション&DMとなった。
 その感想はと言えば、大満足である。前回の「D&Dの楽しいところだけを遊べる」という言葉はお世辞でもなければ嫌味でもなく、心底からの本音で、かつ事実だ(つっても俺G文庫と3eと4eしかやってないけど)。3eで培われた雰囲気づくりや、4eによって進められた簡略化のいいとこどりで、以前と比べて信じられないぐらい手間なくD&D味を堪能できる。かつてD&Dを楽しんでたけど、英語だからちょっと……と迷っている人がいるなら、大丈夫だよ、十分遊べるよと背中を押してあげたい。
 この成功の秘訣は、ひとつは状況によって細かい修正値を乗せていく方式を捨て去り、有利・不利という大胆な判別に切り替えたことだろう。割とシンプルな3eでさえ重く感じられたのは、ゲーム内で生じるであろう状況状況に対する判定への修正値が律儀にひとつひとつ設定され、しかもそれを参照する機会が多かったことに起因している(これは3eに限ったことではなくて、一昔前のTRPGやSLGによく見られた傾向。ツクダホビーのSLGとかFASA社のゲームとかFASA社のゲームとかFASA社のゲームとか)。異なる状況には異なる数値を……これはリアリティを高める上で確かな意味を持っていたが、既にその路線はPFという強烈な対抗馬がいるので、これと競合しない形を取ったのはごく自然な判断である。戦術的優位に一括した4eでも、今度はパワーによって上下する修正値が多く、行動に時間がかかるという問題の解消にはつながっていなかったから、それらを思い切ってばっさりカットしたのは、結果的に新生D&Dを誕生する上で、大いに正解だったと思う。
 もうひとつは、状態異常が頻発しないことか(これは4eと比べての話)。4eの末期になると、どんなレベル帯でも状態異常が発生しない遭遇って考えられないようになっていた。ミニチュア戦闘を彩る要素として必須ではあったが、そのために敵も味方も何かを「させない」戦法が横行するようになっていたのは、賛否両論あったところだろう(意外と高レベルモンスターでも、状態異常への耐性は甘い)。攻撃が命中したら問答無用で即適用、も多かったしね……いくら1ターンで終わるとはいえ。また、それを脱するためのセーヴが特技やパワー以外で手の出しづらいダイス目任せ、それも忘れやすいターン終了時ということで、鬱陶しく思うことも少なくなかった。無論5eでも低レベルで状態異常を与える効果もあるが、それらは有限のリソースかつ使用回数を回復させることがそれなりに難しくなっており、基本は武器とキャントリップのどつきあいに回帰している。ミニチュア戦闘がPHBに記載されない(!)ぐらい戦闘の比重を落とした5eにおいては、これぐらい軽量な方がちょうどいいということだろう。
 モンスターのデータ・ブロックをさっぱりと削ぎ落としたものにしてくれたのは、DMとしてありがたい限り。3e系列の、ごっちゃり擬似呪文能力が記載された路線に戻すのはやめて4eの方針を継続しましょう、と判断したデザイナー陣はエライ。ほとんどのモンスターが多くてもデータ・ブロックは1/4~半ページに収まっており、参照性が格段に高まっている。それと、前述の通り戦闘にこだわりすぎない姿勢のため、理不尽な効果がだいぶ控え目になっていてホッとする。ACで物理攻撃も一部の呪文も防げるようになったぶん、「能力値修正+5で得意な防御値じゃなきゃ九分九厘通る」ような状況も少なくなることだろう。まあ、それでもフライング・ソードみたいな輩はいるワケですが……。個人的には、モンスターもPCと同じ方法で作られるように戻ったことも歓迎したい。PCが使うとしょぼしょぼのダメージなのに、モンスターが使った途端、何のパワーも特技もないのに2dダメージに早変わり、とかがものすごく多かったからさ。4eのモンスターはPCと違うルールで作られているとはよくいったもんだ。
 数少ない不満点は、呪文の選択方式を3eに近い形に戻したこと。何度も言ってるけど、あの呪文リストと呪文表に首っ引きで取り組まねばならないのは、いくらゲームが軽くなっても大いなる負担と言わねばならない。クレ公なんて使用域にある呪文を一度に全部覚えるんですぞ。あと、地味にキくのがMMに脅威度順の索引を付けなかったこと。PCのレベルに合わせた遭遇を作るのに、俯瞰した視野を作りづらい。ゲームの出来がいいだけに、こういう細かい不備が目につくところだ。
 それと、修正値を乗せる手段が少なくなっただけに、d20一発勝負の出目が偏ると危ないところがより強調されることとなった。事故ったボス戦も、PCの出目がもっと良ければ素早く片付いていたでしょうが……とういか、そういうゲームなのに何故デザイナーどもはどいつもこいつもパック・タクティクスを加えたがるのかと(以下略)。そのようなストレスを解消する手段として、インスピレーションというルールを作ったのかもしれないけど、これも天羅の気合と因縁のようにシステムと密接に結びついていないので、割と忘れられがちになる。慣れてないシステムで、しかも作ったばかりのPCで遊ぶ人などは素のプレイになってしまい、ロールプレイをする余裕がないと、ますます縁の遠いものになるであろう。1点しか保持できないため、使いどころに悩むのも困りもの。取りあえず覚えている人は率先してバンバン使い、DMもケチらずバンバン渡して回していくことが、存在をアピールする第一歩だと思うがどうだろう
 あとは諸々の細かい感想を。

・《Heavy Armor Master》が強い。強すぎる。ザコ敵の攻撃ボーナスとダメージが上昇した5eにおいては、これのあるなしが前衛の価値を左右すると言っても過言ではない。故に人間以外ならば、持てるなら盾を持ってがっちり防御することを推奨しておく。
・《Healer》の回復量もアホみたいに強い。クレ公以上に回復している気がする、という発言は伊達ではない。5gpを持ってたらHealer's kitをドカスカ買ってあげよう。
・バーバリアンは激怒すると別次元の強さを発揮する。激怒したババリソが沈む時は、パーティが壊滅する時。そのぐらいの粘り腰を見せる。一方、激怒していない時は高いACもダメージ軽減も持てないので非常に脆い。激怒回数を確保できない間は、やはり激怒抜きでどう生き抜くかが最大の課題となるだろう。個人的には、みんなでお金を出し合って盾を買い、サブで片手武器を持っておくのがよいかと思うが。
・ババリソのような高いHDもなく、《Heavy Armor Master》も持てないモンクはやっぱり相当厳しい。コボルドのスリング一発でhpの大半を持ってかれる脆弱さは致命的。ACのために【判断力】を要求されるのも辛い。DMG掲載のマジック・アイテムによる補強が待たれる。
・ダンジョン行のような、小休憩を気軽に取れない状況だとウォーロックの価値はだいぶ落ちる。また必然的に戦闘で呪文スロットを切らざるを得ないので、呪文で状況を動かす秘術呪文使いのポジションはあまり期待できない。まあ、↑に書いた、状態異常を与える効果を小休憩ごとに使える(アーチフェイの契約)で何贅沢言ってやがる、って感じですがね(ケッ)。
・移動→攻撃→移動は遠隔攻撃主体のキャラクターにとって非常に有用。覚えておくといいだろう。
脅威度が同じでも強さは全然違う。データはちゃんと見て遭遇を作ろう。「ルール上適正な数値なら何をやってもいい」それが許されるのは前世紀までだ。同じ脅威度1、1レベルPCにぶつけるならゴブリンズ・ボスにしとけ。バグベアはやめとけフライング・ソード×4とかはもっとやめとけ



Dungeon Master's Guide (D&D Core Rulebook)Dungeon Master's Guide (D&D Core Rulebook)
(2014/11/18)
Wizards RPG Team

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テーマ : TRPG
ジャンル : ゲーム

D&D5e余話#46~D&D5eセッションレポート『ゴブリン王ナムスギルの財宝』後編~

 ゴブリンの王になるには、先代の王を暗殺しなくてはならない。故に、もっとも愚かな者だけが首領の座を目指す。

-バーナウッドのゴブリンの性質について―

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テーマ : TRPG
ジャンル : ゲーム

D&D5e余話#45~D&D5eセッションレポート『ゴブリン王ナムスギルの財宝』中編~

Q.寝ないで作ったデータをプレイヤーにスルーされてしまいました。どうしてくれましょう。
A.まず寝ましょう。

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テーマ : TRPG
ジャンル : ゲーム

D&D5e余話#44~D&D5eセッションレポート『ゴブリン王ナムスギルの財宝』前編~

 今TRPG業界にはごく局地的に5e《大旋風》が巻き起こっている!
 今やPHB、MMに続きDMGも発売され、未訳だけどコアルール三冊揃い踏み! TRPGオリジンの最新バージョンを遊べる環境が独自翻訳が必要ながら整った今、英語圏しか発売されないとしても世界的ですもんね乗るしかないでしょうこのビッグウェーブに! この流れに乗り遅れたやつゴーリラ!
 私もようやっと自分のサークルで5e遊んできたですよ

D&D5eセッションレポート ゴブリン王ナムスギルの財宝

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テーマ : TRPG
ジャンル : ゲーム

TRPGこぼれ話#216~TRPG用タブレット~

 〆切の目の前も目の前にパソコンが壊れ、怒りに燃えながら新宿の某家電量販店に駆け込んで現品を買う羽目になった。あまりにも急な話だったので、郵送してもらう時間も惜しく、止む無く10キロ近くある本体を直接店→駅→電車→ヤサへ持ち運んだ。その重かったこと重かったこと。
 その時、展示されているパソコンを見て知ったのだが、タブレットやノートパソコンの値段がだいぶ下がっている。ものによっては、1万ちょっと出せば手に入る。
 私が持っているノートパソコンは5年ぐらい前に中古で買ったダイナブックである。確か2万ぐらいだったと思う。PFのキャンペーンを進めるにあたって、オフライン版をこれに入れてルールブック代わりに持ち歩こうという意図で買った。値段的には、自分で調べた範囲で最も安かった覚えがあるが、探せばもっと下があったような気もする。
 PCのスペック自体は目的が目的だけにまったく不満はなかったのだが、オフライン版を動かすとタッチパッドでは凄まじく操作性が悪く、自由に動かすためにはマウスが必要となり、実際の使用にはかなりの場所を食った。また当時としては普通だったのだろうが厚さが結構あって、マウスや電源ケーブルとバッグに入れていくとその他のTRPGグッズと合わせてパンパンになってしまい、セッションが終わった後詰め直すのが大変だった。おかげでサマリー類が充実するにつれて、次第にノーパソの出番は減っていった。
 一番困ったのが電源の問題。中古で買ったせいでバッテリーの寿命が尽きたらしく、最近は時間いっぱい充電していっても、2時間ぐらいで電池が切れてしまう。バッテリーを交換すればいい話なのだけれど、ここしばらくノーパソの出番そのものが減っていることもあり、わざわざ手間とお金をかけてまで寿命を延ばすこともないかなぁ、と放置してしまっている。
 そこで見かけたタブレットの出番というわけ(ちなみに一般的にタブレットといえばタブレットPCのことを想像すると思うが、私はまずペンタブレットが出てくるのでちょっと混同する)。筆者のようなTRPG目的ならば画面の小ささやスペックは大して気にならないし、PFもタブレット用のPRDなんてものも用意されてきている。何より軽量で取り回しが利く携帯端末を一台ぐらいは外出用に確保しておきたい。値段も前述のとおり、十分手が届く額になってきた(思ったほど売れてないという話なのでもっと下がるかもしれん)。
 ただ、タッチ方式だと使いづらいのは述べた通りであるし、筆者はエクセルでペシペシTRPGのデータを打ち込む作業が多いため、キーボードは用意すべきかと思われる。またそれ以外に、仕事上画像編集ソフトと筆圧感知機能を動かせるのが理想であり、それを考えるとウルトラブックとかノーパソもアリかなあ、という気もするのだが、これらの条件を満たすタブレットやノーパソを調べてみると、途端に値段やデカさが跳ね上がる。本格的に作業しようとは考えていないので、外出時にさささっと済ませるぐらいで十分なのだけれど、思った以上にハードルの高い要求だったらしい。ノーパソにペンタブレットを接続して作業する時の占有面積と苦痛はよく知っているから、直接描けるなら画面が小さくても我慢できるぞと思っていたのだが、そもそも直接画面に描くこと自体お高い機能みたいですね。あとタブレットPCだと導入できる画像編集ソフトが少ないというのも気になる。液晶タブレットは一番小さい奴でも相当デカく、かつ値段のケタが違うので論外。そもそもTRPG用という意図から外れておる。
 作ったエクセルと文章データを参照するだけなら安物のタブレットで十分なんだけどなあ。いやそれなら印刷して持ち歩けよって話か



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テーマ : TRPG
ジャンル : ゲーム

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頑張りましょうと言えないのがとても残念です

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