クトゥルフ神話TRPGヨタ話#88~11年目のキーパーテクニック(後編)~

 11年目の再評価ぐらい大目に見ろよ
 11年前だって評価されたクオリティだと思いますけど。
 さあ内山先生直伝のキーパーテクニック後編だ! 実践に話題が移るにつれて、胸が痛くなる体験談もますます増えていくゆえ、ちょいと心臓の悪い読者は早く卒塔婆に墨入れな!

4.情報提供の流れを工夫する
 前回の記事に倣って
・インパクトのある事件で興味を引き
・探索者だけしか知らない情報で自発的に動いてもらい
・情報収集は多様なNPCで演出する
 てな流れが出来てきたところで注意されているのが、「調査方法に選択肢を複数用意すること」。
 つまり一本道シナリオはイカンということでしょう、耳にタコができるほど聞いてますよ俺らならそんな初歩的なミスあり得ないっすよ小指でひねってやりますよマジで、とマジン調に息巻くところだが、よく読んでみよう。内山先生曰く、ここで言う一本道のシナリオとは、最善の行動選択肢が簡単にひとつに絞られてしまうシナリオのこと。ゲームの目的が謎を解くことであれば、その最善の行動をしないことは、ほぼあり得ない。ならば、それは行動選択肢がないことと同じではないか?
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 ちょっとお見苦しい所をお見せしましたがだだだ大丈夫、探索者は次々イベントに遭遇しているんだから退屈しない……という甘い幻想は「そんなに驚ける新鮮なイベントなんて思い付くもんじゃないし、だんだんとプレイヤーは考えることに飽きて、想像力を失ってしまう。それはシナリオへの好奇心が失せるのと同義だ」という言に打ち砕かれる。
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 さて砕け散ってばかりでもいられんので、じゃあどうするか、を考えると、気を付けなくてはいけないのがプレイヤーの情報の質。ひとつの情報を手に入れたら、すぐに次のイベントが明示されるようでは、前述のような選択肢がありそで結局一本道なシナリオとなってしまう。情報を得た探索者の前には、複数の行動選択肢が示されるのが理想だ
 行動選択肢の提示は、「次の展開がはっきりわかるものではなく、少しだけ思わせぶりに、ぼやけた情報を渡す」ことで実現させる。人物ならば直接指定するのではなく、「偉大にして深淵なる魔術師」などと人となりを迂遠に表現したり、「私の最も尊敬する人物」のように、情報源との間柄で示す、など。
 明示されていない情報というのは、それだけでプレイヤーの興味を引き、想像力をくすぐるもの。こうじゃないか、ああじゃないかと手探りしている間は妥当な選択肢をすぐに導き出すことなんてできないし、そうするうちにKPの予想を超えて、より面白くなる可能性さえある。KPだけでもPLだけでも思いつかない展開を思いつく、これぞTRPGの醍醐味。これを誘発できるのがベストの情報の質というものだろう。
 ひとつ付言するなら、クトゥルフの場合、呪文のようなブレイクスルー手段を探索者が頼りづらいのを考えると、「少し考えればわかる」程度にぼかした情報を並べるのがちょうどいいと思う。あんまりややこしい情報だとそれにかかりきりになって展開が詰まるが、かといって単純すぎる情報は上記の一本道シナリオに抵触してしまう……そこで、そこそこにぼかした情報を並べて、吟味するという思考をひと手間加えることで、単純さを補うという寸法。
 まとめ、探索者の想像力をかき立てるような情報を。次の行動を簡単に特定させてしまう情報はNG

5.形あるものを残す
 この項は情報収集の補足といった感じ。曰く、「探索者に物的証拠を与えよ」。
 内山先生喩えるところによると、口頭の情報収集がクトゥルフの“”なら、物的証拠は“”。謎めいた形状のナイフ、犠牲者の握っていた不気味な彫像……一見しただけではその意味を読み取れない物品は、図書館を頼ったり、NPCに聞き込みに行ったり、という調査の出発点となる。
 それに、探索者の手元にあって、いつでも調べたり考えたりできる謎めいた物品というのは、心理的な土台となってくれるという効果もある。常軌を逸した事件が連続し、事実を直視するのが難しくなった時でも、物的証拠が手元にあるというのは、事件が妄想でも幻覚でもなく、現実のものであるという確信を抱かせてくれる。
 最後に、大事なのは、物的証拠は量より質。数が多いと目移りしてしまって、ひとつひとつの印象が薄れてしまう。決め手となる物的証拠なら、ただそれだけを見ていればいいぐらいのイソパクトを付与してやるのだ。
 まとめ、物的証拠で調査の足場を作る。奇妙な物品ひとつでプレイヤーの気持ちを掴め!

6.最後の盛り上がりに虎穴を用意
 情報収集で全貌が明らかにされたら、いよいよクライマックス。
 ここを上手くシメれば、終わり良ければ総て良し、逆に言えば終わりがしまらなければ全てがパーデンネンになるデッドエンドフェーズだ。あ、そうそう、終わり良ければ総て良し、を曲解して途中の情報収集なんておろそかでええんや、とかぬかす輩には「はじめ半分」という言葉もあるかんな!(by大熱言)
 ただ、情報収集とプレイヤーの推理で謎を解き明かすクトゥルフでは、全貌が明らかになった時点で目的が達せられたと気が抜けてしまいがちなのが危惧されている。消化試合扱いされないためにも、プレイヤーの興味は最後の最後まで引っ張ってやらねばならない。
 故に、クライマックスに必要なのは虎穴を用意しておくこと。大手同人ショップなどというありきたりなギャグや梶原一騎的プロレスラー養成機関などと昭和ジョークを放つ輩は一人残らず《ニョグタのわしづかみ》の刑だ。
 全ての謎が解けたら問題点を排除して終了してしまうこともあれば、良質なミステリにアクションシーンなんていらんのや、という人もいるかもしれない。が、道中こんだけ謎と危機を煽っておきながら無難に終了したんでは腰砕け。それに見合った緊張感があってこそ、カタルシスは生まれるのだ。
 んで緊張感を生むために手っ取り早いのは、「探索者を危険に立ち向かわせる」こと。
 最後の最後までガッチリプレイヤーの心を掴むには、全ての謎が解けた後でも、どうしても残ってしまう危険をKPは用意しておけばよい。そして、その危険はどの程度なのか、はっきりわからないようにしておくのが、なお理想。どうしても立ち向かわねばならない障害とあらば、プレイヤーはその危険を少しでも軽減しようと頭を搾り、入手した情報を総ざらいするだろう。プレイヤーが夢中になっている間は、シナリオに対しての好奇心が失われることはない。
 またあまりにも絶望的で無理竜な危険にしてしまうのは、ハナっから諦めて投げ出される恐れがあるから禁物。それまでの事前調査と推理、それにひとにぎりの勇気で乗り越えられる危険が程よい。まあ絶望的な危険というハードモードもありっちゃありだが、危険が大きければ大きいほど、その対処方法には確証を与えてあげるべきだろう。「危険は大きいが、探索者が集めてきた対策があれば対処することはできる」という保証がなければ、いくら遊びとはいえプレイヤーだってヤになって当然よな。
 さて、そのクライマックスの危険だが、ここからが本項の大部分を占める。というのも、クトゥルフでどつきあいで決着をつけるというのはなかなか難しい。何度もネタにしてきたように、クトゥルフの戦闘ルールはまじめに運用すると運用できない(内山先生は「ややアバウト」と控え目な表現に押さえているが、「やや」どころじゃないよ!)というポンコツであり、かつそれを意図して組まれた探索者でなければ、戦闘能力の確保は難しいため。それまでの地道な努力が、ちょっとの不運で露と消えたのではプレイヤーも納得しまい。かくて「クトゥルフは理不尽」などと触れ回るプレイヤーを自らの手で生む業を背負わねばならぬ羽目になる。
 ところでオレは何度も戦闘で解決させられてきたが、それはプレイグループの傾向が偏っていたからであり一般論と同一視するのは危険だろう。ついでに言うと、怪物の鉤爪に襲われて死にかけるより、操られた味方の拳銃に殺されかけた方が遥かに多いのもその証左だな。
 それではクライマックスの危険を戦闘以外でどう排除するのかというと、「これまでの情報で明らかになった手段」を「何度かの判定の成功」で行えるようにすると良い。クトゥルフが頭脳ゲーム中心であれば、その解決策もまた頭脳ゲームというのはごく自然な帰結。邪神が召喚される儀式ならば、狂信者や邪神を倒すという解決方法より、儀式に必要なアイテムを破壊する、封印の呪文を先に唱える、魔法陣を壊す……など、いかにして阻止するか、という方向性に持っていった方がよりクトゥルフらしいクライマックスとなる(この時、4の「複数の手段を用意してプレイヤーの好奇心を引く」を応用するとなお盛り上がる)。
 そして、この時自動的に成功するのではなく、何らかの判定も要求するのがポイント。全ての情報を組み合わせた最適解を得た上で、最後の一押しに判定の成否が関わってくるのも、クライマックスのスリルには相応しい。判定自体が単純なものでも、生死の関わった状況でのロールは場を盛り上げてくれるもの。
 ただ、使う判定はあまり無茶なものでない(誰も取ってない〈地質学〉ロールとか)こと、それに探索者の調査の進み具合や工夫を反映させたボーナスは積極的に汲んであげること、そして判定に取り組む機会は二度以上与えてあげること。いくらスリルが重要でも、d100ロールひとつでこれまでの成果が否定されては台無し。ひとつひとつ判定の成功を積み上げて解決に近付いてゆく展開は、達成感と同時に情報収集パートにない緊張感を演出してくれる、これぞクライマックスならではの展開というもの。それに諦めない心と努力は報われるべきで、失敗したとしてもヤクザの世界に二度目はねーぜ、などと凄まずチャンスは与えてあげてほしい。
 戦闘自体も、この「何らかの判定」に含まれる。戦闘ルールに難儀があるなら、それ自体を解決策にせず、危険を阻止するための一環に含めればいいのだ
 もしも判定抜きで事件を解決できるようにするなら、前述の絶望的なまでに危険が大きい場合と、支払うリスク(マジック・ポイントや耐久力)が取り返しがつかないほど大きい場合が望ましい。直面する危機が大きいと、プレイヤーは判定を求められた場合、刺激以前に「ここまで段取りしておいてなおロールが必要なのかよ」とストレスに取られかねない。また、よくわからんが取りあえず火を点ければ解決できる、てな最善策というのは、緻密な情報戦を下地にしておくにしては、あんまりにもあんまりだ(『パラダイスの終焉』は知っている人ほど最善策に辿り着きづらい意地悪い仕掛けになっているので…という考察を聞いたことがあるが、そんなシナリオをルールブックに掲載するなっちゅーねん)。
 最後に、失敗した場合の脅威を提示しておくのもクトゥルフでは大切なこと。プレイヤーに真に伝えるべきはその一点、とさえ内山先生は訓戒している。
 事件の真相に近付けば近付くほどその脅威を知るのだが、それでもなお探索者には立ち向かう決意をしてもらわねばならない。もしもそれが放置されたら、そして探索者たちが投げ出した場合、人間社会にはどんな危機が迫るのか? その切迫感があってこそ、探索者は最後までシナリオに取り組む姿勢を保てるのである。同時に、その危機が「探索者の手で対処できる」ことを明示するのも同じぐらい大事。わかっていて危険に取り組むとしても、探索者がアクションを起こせば解決できるというシナリオ上の保証、そういうプレイヤーとKPの信頼関係があれば、「クトゥルフは危険を無理強いされる理不尽なシステム」などと揶揄されることはないだろう。
 まとめ、終わり良ければ総て良し。失敗の恐怖と成功の達成感をプレイヤーに与えよう

 ……11年前、『クトゥルフ2010』さえ登場してなかった時期に執筆されたKP講座、如何だったろうか。
 もとよりシナリオやマスタリング作法というのは時代を越えて通用するもので、今のKP諸氏が読んでも頷ける内容、納得できる内容であったと思う。今では手に入れるのがちょっと大変だが、Vol.99のキーパーの十戒、それに最新のVol.162のキーパー・デビューと併せて読んでみていただきたい。冒頭のイラストが、女物の下着姿でハイヒールと網タイツ(と恐らくカツラ)を着用したオッサンが魔法陣の上に大の字に倒れている、という逆方向に全力で舵を切ってる代物な以外は素晴らしい記事だ。

  
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ジャンル : ゲーム

クトゥルフ神話TRPGヨタ話#87~11年目のキーパーテクニック(前編)~

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 クンヌシサン! Role&Roll Vol.162に私の執筆したパスファインダーRPGサポート記事が掲載されているから買ってくだち! あと告知ツイートでRoll&Rollとまちがってるの見逃してくれないとさっきゅん泣いちゃうんDEATHけお…
 などとけおけお喚いていたけど、そのVol.162で巻頭特集してるのはクトゥルフであった。まあパスファインダー特集は昨年末のVol.159でやったからね。
 その内容はアーカム計画スペシャル「クトゥルフの春 キーパー・デビュー!」。始業シーズンそして出会いの春とゆうことで、新しい環境に合わせてKPを始めようかしらとお花目(古典的少女漫画のようにパッチリした目)で吐息熱く胸ときめかしているヤングもこれにてウサミンハートにメルヘンチェンジということだな。この字面はデビューという字から『メルヘンデビュー!』を連想したのと、俺が安部菜々推しであること以上に特に意味はないので気にしなくていい。

 アーカム計画ではこの手のKPはじめ記事を何度かやっており(キーパーの十戒もそのひとつ)、その都度いいこと言ってるなぁーと感心していたが、Vol.32という初期も初期(でもこの頃は30冊続いただけでも驚いていたんだヨ)の特集号を見たら「なんだこれものすげえいいこと言ってるぞ」と夜中跳ね起きた。ナウいKP指南はVol.162の記事にお任せして、老人ゲーマーらしく今回はかれこれ11年前に掲載されたKP指南を復古するとしよう。

この頃は950円(税別)だったのだ
 取り上げる記事は、Vol.32のアーカム計画スペシャル2(この時は1年ぶりのクトゥルフ特集だったのだ)「クトゥルフの再臨」に収録されている「好奇心は探索者を活かす-内山靖二郎のキーパーテクニック-」かの内山先生自らのKP指南だ

序 好奇心は最高の引き
 内山先生曰く、クトゥルフは「引き」…プレイヤーキャラクターを事件に駆り立てる動機のことだ…が弱い。
 冒頭の話題が前置き無しにコレである。KPならば誰もが悩むクトゥルフの弱点を容赦なく突くシュートスタイル、破壊された指をさらに砕く独歩ちゃん並に容赦ないです。しかしKPならこれほど頷ける話題もないし、しょっぱなから対処せねばならん問題を包み隠さずつまびらかにするあたりが、これより取り組む問題に真正面から向き合うズ根性をうかがえようというものだ。
 事実この課題はクトゥルフにおいて大変頭が痛い。「おれ、しかしなんでこんな事に関わってるんだろう…?」探索者の呟きに胸を痛めぬKPがいるだろうか、いやいまい。探索者の抱える問題というのは常人なら触れたくないっちゅうか投げ出したくなる超自然的な問題であるのだが、それから逃げちゃあおしまいよ、というのが神話的事情というもので、ヤでも正気を危うくする真相究明に踏み込まねばならない。
 これはしばしばクトゥルフの構造的欠陥として指摘されるものであり、「目に見えた危険に自分から近付かねばならない」展開にストレスを感じるというのが主な意見。
 解決策としては「押し」…意思に関係無く、否が応にも事件に取り組まねばならない状況のこと…が挙げられている。なるほどこれを使えば、動かねば死という差し迫った危機のために、探索者は超自然的事件の調査に奔走するのは必至。が、これも結局は自発的に危険に近付かねばならない、という押しつけがましさと変わらない…というか余計にストレスが強くなる恐れがある。それに近代~現代社会を舞台にしたクトゥルフで、毎度毎度全員ケツに火が点くような状況というのも正直考えづらい。米花町かよ! ってな危険地帯だな。
 では何を馬の前にぶら下げるニンジンにするかというと、「好奇心」を内山先生は推している。この好奇心というやつは探索者にとってゲスラにチョコレートみたいなもんで、大体探索者というものは好奇心は猫も殺すというか、猫も近寄らないような危険に好奇心に負けて破滅するような社会不適格者なんだから仕方がない。原作でもそうだしな。が、いくら探索者がそういう生き物だからといって、やはりプレイヤーとは同一でないんだから、好奇心だけで動かせるもんなの? ……という疑問には、次の項でオススメの展開が触れられている。

1.何事もスタートが肝心
 その手法とは、「シナリオの導入にインパクトのある事件を置くこと」。
 ド定番もド定番であるが、これは「キーパーの十戒」でも言及されていた基本にして至高の手段。まず大事なのは、探索者もろともプレイヤーにシナリオの方を向いてもらうこと。そのために必要なのが、クトゥルフならではの怪奇事件だ
 そして、ここで起こす事件は奇妙な殺人事件が取り上げられている。ミステリ小説には不可解な状況で死体が発見されるパターンが多用される。誰も入ることのできない密室、首のない死体、それに童謡や旧習を再現したかのような見立て殺人…これらは、見た人の知的好奇心をかき立てる小道具として最適。
 さらに、クトゥルフは超自然的存在という大変便利なガジェットがある。本格的なミステリのように、いちいち整合性を考える必要はない。密室でも殺人やらかすなんて、ティンダロスの猟犬や夢のクリスタライザーの守護者なら朝飯前だ。トリックを超自然的な魔力に頼んな、とはノックスの十戒のお言葉であるが、キーパーの十戒なら事件は超自然的な魔力に頼らんかいと言うておることだし、こういう時は都合の良いギミックにテッテ的に頼るのがクトゥルフとしては正しいのだ。それにクトゥルフにおいてトリックが超自然的存在の仕業だなんて! とフンガイするのはカツ丼を頼んでおいて天丼の味がしない! とイチャモンつけるようなもんだから、その手のクレームは心配しなくてよかろう。
 もう一点、殺人事件をクローズアップしたのは、れっきとした犯罪ということだ。いかに奇妙であろうと、犯人は探し出さねばならないし、動機を明かさなくてはならない。好奇心で「引き」つつ、社会規範で「押し」にかかる、ハサミ討ちの形になるわけだな。
 まとめ、導入はインパクトが大事。怪奇な殺人事件は王道かつ、効果的なイベントである
 ……殺人事件に話が収束しちまっていいの? というツッコミはもっともであるが、それは次の項の「フリ」であるのよ。

2.探索者だけが知っている事実
 んで、いきなし「殺人だけではどうもマンネリだなあ」という読者の代弁からこの項始まっていきなりズッコケさせてくる。然りごもっともなんだけど、あんだけ殺人事件を推しておいてこの立ち合いの変化のうまさ、ほんまにようやるよ。
 ではどやって他に魅力ある事件を考えるかというと、ヒントになるのが実際のニュース。事実は小説よりも奇なり、まんがよりむちゃくちゃなり、の言葉通り、なかなかに現実世界の中でも不思議な事件というのは多い。特に狙い目はテレビで放映されないような胡散臭いニュース。
 内山先生がススめているのは、そのような事件に遭遇させる場合、探索者が突っ込んでいける「すき」を作っておくこと。
 いくら心惹かれる事件を作り出すことができても、ただ目の前で起きただけでは、一般人の探索者では何もできない。目の前で大地が沈み、家が飲み込まれるような光景はインパクト十分だが、探索者は事件の目撃者以上の行動を起こすことはあるまい。事が大きすぎて、どう手出ししてよいかわからなくなってしまうからだ
 そこでKPが与えるべきは、探索者だけが知っている、事件との因果関係をほのめかす情報。大陥没の前に呪文のような声とよだれをすするような音を聞いた、断層に白い触手のようなものを見かけた…など。このような情報は、明らかに事件に関連しそうではあるが、あまりにも現実離れしているため、警察など公的な機関に頼るのは難しい。なんかあったら官憲に駆けこむというのは、クトゥルフだと大いに困るが現実では大いに正しい。そのような「見えている禁じ手」をあからさまに封じずに済み、かつ自発的に探索者が事件に関わらねばならない、動機づけとなる。これが「すき」だ。
 この「すき」となる情報は、ちょっと露骨すぎるぐらいの方が、見過ごされる心配もないし、行動方針を決めやすい。それに大事なのはつかみのインパクトという前項の要点を忘れてはならない。
 最後に、カコミ記事として現実の事件への配慮が書かれている。リアリティを持たせるために現実の事件を参考にするのは大いに有効であるが、選択する事件には十分配慮しなければならない。悲惨な事件はもちろん、宗教・思想・政治・国際問題に関わる事件となれば、一度間違えれば面倒臭い思考を叩き起こしてセッションおいてけぼりの空中戦に発展しかねない。シナリオに含めるにしても、サラリと触れる程度に留めるのが無難だろう。一方、生物学・考古学・天文学のような知的発見に関しては奨励されている。
 まとめ、探索者につけいる「すき」を与える。独力で探索に赴こうとさせるのが大事

3.NPCは情報提供の華
 さて死体や事件で興味を引くのもいいが、セッションを進めていく中でプレイヤーを引っ張ってくれる存在では、やはりNPCが欠かせない。情報収集がメインのクトゥルフでは対話は欠かせないし、日記や新聞のような提示手段と比べて探索者のアクションによって反応が変わるNPCは感情移入しやすく、KPにとっても大変便利なギミックである。
 このNPCを扱い際に、内山先生が気を付けるべし、と指示しているのは以下の二点。
 ひとつ、性格付けを疎かにするなかれ
 あったりめぇのことじゃねえか、と言われそうだけれど、「慣れたKPだとアドリブで対応すればよいと考えて、結果没個性なNPCになってしまう」という本文の指摘に胸を痛めないKPはいないのではないか。俺はとっても痛いぞ。
 ただ、ここで指南しているのは「名前を付ける」「口調を決める」という大変簡単な性格付け。どちらも最低限であるけれど、シナリオに関係するNPCならこのぐらいは意識せずに用意したいもんである。ちなみに外見ではなく口調にしているのは「どうせプレイヤーには見えていないんだし、くどくど説明しても覚えてくんないから」ウウッまた胸が!
 口調は誇張気味にした方がどんなNPCなのか印象付けやすい、これは名前にも共通する。シナリオの根幹に関わるようなら、多少ムチャノリでも一度聞いたら忘れられないような響きぐらいの方がちょうどいい。公式シナリオに出てくるNPCの名前もこのような倣いか特殊なものが多い。んが、ちょっと捻った程度の名前だと実在の人物やプレイヤーの本名とカブってしまうというジャイ子的な事情の方が大きいのかもしれん。
 そしてふたつ、NPCの数は適当であれ
 やたらNPCを大量に出してプレイヤーを困惑させるのは新米マスターなら誰しもはうあ心臓が苦しい!(今日はやたらと胸が痛くなってばかりだ) てなよくある失敗ながら、NPCが少な過ぎる……というか、名有りNPCが一人しかいません、というのはいくらなんでも問題がある。黒幕でも協力者でも探索者対一人のNPCというのは、構図としてシンプルに過ぎるものになってしまう。これが二人、三人と増えていくことで情報の検証はより難しくなり、さらにNPCの態度が別のNPCの態度を変えていくようにすれば、物語の構造は複雑化していく。
 大切なのは、この複雑化で「楽しく悩む」ことを実現すること。悩むこととは関心を持っていてくれることとニアイコールである。関心を持ってくれているならば、その関心対象のNPCに力を入れて演出することで、よりゲームに引き込むことができる。これぞ理想的なNPCの使い方。一方で、NPCを増やし過ぎて複雑になり過ぎると、プレイヤーは情報の整理だけでウンザリして、ただ「苦しんで悩む」だけになってしまう。この「楽しく悩む」と「苦しんで悩む」の見極めができるか否かが、KPステップアッペレの第一歩であろう。個人的にNPCの数はプレイヤーの人数と同数以下に押さえた方が、ちょうどいいと思う。探索者一人一人に何か関係を持つNPCを配置することができれば、存在を忘れられることもないし、把握しきれないということは防げるはずなので。探索者は最低限、自分と関わりのあるNPCだけを覚えておけばヨシ。何かNPCとコンタクトを取る時は担当探索者が決まる、アイドルとPの関係いうわけだ。今回はよくわからんがバンナムの回し者ぎみになっているらしい。
 まとめ、NPCでプレイヤーの関心を引こう。口調に気を付けるだけで、NPCの個性付けは可能だ

 キーパーテクニック心得の条はその6まであるのだが、記事が長くなってきたので今回はここまでい!(擦) 4以降は次回に回すとしよう。特に6は全6ページ中、1ページ+αを占めてまで熱を入れた語りとなっているので、心して読まねばならぬ。後編も突然胸が痛くなるありがたい指南がいっぱいあるぞ! くれぐれも心肺機能には気を付けてな!

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クトゥルフ神話TRPGヨタ話#86~少しまじめに考える戦闘システム・ハウスルール編~

 基本的なルール・技能編と二回にわたってお届けしたクトゥルフ戦闘ルール、既に
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 空気が漂っているっちゅうか、普段の数倍の分量の記事を書いた気がするのだが、なんかクトゥルフの戦闘ルールのダメっぷりはあまねく知れ渡っているんだから、あんなに苦労しなくとも別に良かったような。いや自習的な意味で書いたんだからいいんだ、うん。
 で、マトモに回そうとしても回さないってことがワカった(嗚呼苦労に全く見合わない結論)ワケで、じゃあそれをどうするのかと問うならば、TRPGにおいていやさ万事に共通する格言、「無い物は作れ」。素晴らしい金言だな! マイナージャンルのエロ同人が無ければ自分で作るのが一番手っ取り早いのは、地続きの業界だけに皆様よくご存じでしょう! いやいくら地続きでもマイナージャンルのエロ同人はなかなか描かねえか。
 そう、このズブズブな戦闘ルールに我らがすべきことは、マトモに回らないなら、回るように改造すればいいじゃない! TRPGというかルールのある娯楽として色々間違ってる気がするが、実際素直に回すとようけわからんことになるんだから仕方がない! なあにもうちょっとまともに動くがユーザ各自の思惟の入る余地が物凄く多いT&Tというシステムだって立派に商売成り立っている!
 予告通り、今回は筆者がクトゥルフの戦闘を扱うハウスルールの話。公式見解でもなければ、他所のレギュレーションではまったく通じない話なんで、話半分もしくは都合のいいところだけを摘んでいく程度の気持ちで読んでくだち!

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テーマ : TRPG
ジャンル : ゲーム

クトゥルフ神話TRPGヨタ話#85~少しまじめに覚える戦闘ルール・技能編~

 前回さんざなんだこのズブなシステムはとかこれでよくもベーシック・ロールプレイング・ゲームと名乗れたもんだとかそれにつけても金の欲しさよとかディスったクトゥルフの戦闘システム、これ以上掘り進めても「各自でハウスルールを作って回さないと話にならん」と う結論に落ち着きそうな空気がふんぷんとしているのだが、始めちまったもんは仕方がねえ。そう、クトゥルフの戦闘ルールは前回押さえた基本的事項だけでなく、戦闘に関わる技能それぞれにも個別のルールが記載されているのだ! だからそういうことは戦闘ルールに包括しておけよ!
 早くも怒りのあまり歌舞伎揚げバリューパックを一袋空けてしまいそうな険悪ムードが漂ってきてますが、そんな既に敗北感たっぷりのクトゥルフ戦闘システムおさらい記事、今回は戦闘関連技能特集60分一本勝負だヨ!

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テーマ : TRPG
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クトゥルフ神話TRPGヨタ話#84~少しまじめに覚える戦闘ルール・基本編~

 故あってクトゥルフのルールを再確認している時、ふと「そういえばオレまじめに戦闘ルール読んだことねえな」と思った。
 本当に読んだこと無かった。まじめに戦闘する気が無かったから。
 護身用に銃ぶっぱなすとか空手蹴りするとかならともかく、KPから戦闘ルールを読み込んでいないと生き残れないほどのガチンコファイト倶楽部を挑まれるというのは、それは探索者のシナリオ的敗北だろうという古い考えが染み付いたウサミン世代なので。確かにKGBもといその前身のチェーカー相手にドロップキックで飛び回る大ハシャギをしたこともあるが、ありゃ若気の至り(あと装甲をもらえたし)であり、クトゥルフのシナリオってのは頭脳パズルで、足で稼いだ情報をひらめきで組み合わせれば必ず道は開ける! というのが基本的方針は今でも疑っていない。まあその割にオレが参加するシナリオはなんか独立種族に引っかかれたり狂人に銃で撃たれたり狂人が操った味方に銃で撃たれたりとやたらと物理的戦闘を強要された記憶ばかりなのだがな!
 とは言えいつまでも仲間内のゆるゆる裁定に与えてルールを疎かにしていると、いずれ来る全てをTRPGで解決するホビーアニメ的な世界において脱落し、ひとりジャパリまんを食い損ねるフレンズに落ちぶれる危険性も否定できない(もう言ってる方もわけわからん)。ここはひとつ卒業シーズンであることだし心機一転、少しはまじめに戦闘ルールを把握してみるか、とルールブックに手を付けた。
 手を付けたんだけど、本当にクトゥルフのルールブックって戦闘ルールパート少ねえのな
 およそTRPGにおいて戦闘というのは重要なファクターであり、それが占めるルールブックの割合というものは結構なものとなる。D&DやPFなんてそれだけで一冊の本が……とは言わない(考察や分析を含めるなら楽勝)が、小冊子一冊ぐらいはできそうな分量があるし、読めば読むほど新しい発見がある。オレ戦技を試みる前に機会攻撃でダメージを受けたらダメージぶんのペナルティを受けるなんてこの間初めて知ったよ。いやそもそも機会攻撃受けるような状況で戦技しなかったからさあ。大抵GM側で《(戦技)強化》持ってる奴ばっか使ってたから。
 対して、クトゥルフの戦闘ルールは6ページで終わる。そのうち4ページはスポット・ルール、さらに細かく見ると4ページ中2ページは火器のスポット・ルール。銃器の携行が許されていない現代日本だとまるで見ない可能性もある。見開きでルールがまとまる番長学園!! もなかなかに衝撃であるが、これでベーシック・ロールプレイング・ゲームを名乗るケイオシアムのふてぶてしさも相当なモンである。みくは〈頭突き〉がキャラクターシートに最初から印刷してあるシステムはベーシックではないという意見を曲げないよ。
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曲げない前川
 なんか記事にするほど熱心に読み返さなくてもいいような気がするけど、なんせ今ナウでイマいヤングに大人気のクトゥルフ、あたしもクトゥルフの戦闘ルールを把握して一人前の探索者になったるばい、ととんでもハップンする博多女子も見ているかもしれない。方言で喋る女性キャラを見ると興奮する性癖の筆者としては方言女子とエンカウントのチャンスを逃すわけにもいかないので、ここはひとつ本気(まじ)モードで戦闘ルールを再確認してみた。それに、戦闘ルールの記述こそ少ないが、実は〈回避〉や〈組みつき〉は技能個別の解説に重要な事柄が記載されているので、実際に把握せねばならないルールは見た目以上に多いのだ(この記述の散逸っぷりは何とかしてほしい。7版で直ってるといいネ)。

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クトゥルフ神話TRPGヨタ話#83~クトゥルフ神話怪物図鑑~

 クトゥルフの新サプリ、『クトゥルフ神話怪物図鑑』が9月30日に発売されるそうですな。意外と近くてあせった。
 仮面ライダーAmazonの解説によると「野外観察図鑑(フィールドガイド)」の体裁を取り、クトゥルフ神話の神格・クリーチャーをカラーイラストで紹介、さらに緻密な生息地や分布、警告を網羅した『図鑑』の名に相応しい内容(と期待を込めて★×5)であると探索者及びKPならばハチミツを発見したグリズルの如くニヤピク必須の紹介がなされている。
 モンスター・データなら『クトゥルフ・モンストロム』でお腹いっぱい胸いっぱい、一生かかっても使い切れなそう(そんなマイナーな独立種族や神格を掲載されても)な分量を収録しておったが、その姿は文章描写のみに留められ、真贋のうさんくさい参考写真や関連物が小脇に添えられていたのであった。あのセンスはムチャクチャ好き(シュブ=ニグラスの項に載せられているウィルヘルム・レームブリュック作・『黒山羊』の知らない人が見たらそうですかと納得してしまいそうなそれっぽさを見よ!)だが、あらためてイラストで、それも大々的にカラーで悍ましくも名状し難い姿を紹介してくれるなら、これは新たなクトゥルフ神話TRPGグッヅとして必携の一冊となるでしょう。BRPだと分厚くてプレイヤーに開いて見せづらく、イラストもちょっと小さくて見づらいのよね。
 当然のことですけど、クリーチャーの外見と言うのはそれだけで問答無用の個性と説得力であり、絵面のみでシナリオを一本組ませるぐらいの破壊力がある(実際オレは3eのMMで外見から何本もシナリオを作った)。こういうところに力を入れてくれる点がD&DやPFをはじめとした洋ゲーは本当に羨ましい。日本になると市場規模が小さく単純にカネがないんでいちいちクリーチャー一体ごとにイラストなんて付けてられるかベッキャロウと言われると反論できないのだが、そんな中で迷キンやサタスペで一モンスターに一イラストを貫いた冒企はエライ!
 解説文を読んでいて気付いていたのだが、これはつまり『クトゥルフ神話図説』の現代版と思えばええのかな

 あの本も奇天烈なイラストとユーモアとウィットに富んだ文面(「ドールは惑星を荒廃される生き物なので、地球上で出会ったらすぐに関係当局に報告すべきです」とか小学生向けの夏休みの友的警告文が笑える。まずどこが関係当局なのか、そして当局に報告してどうにかなるのか)がサイモンとガーファンクル、チョコラータとセッコ、MIO(現在MIQ)と『怒りの獣神』のような相乗効果とハーモニーを見事に奏でる名著であった。文章の全てが出典元の作者のものではなくラヴクラフト先生の手によるものとなり、かつダーレス的神話観が丸無視されていたのも思い出深い
 手元にある一冊の奥付によると1994年、8月31日に初版が発行とある。実に22年前、その時を越えて同様のコンセプトで作られた書が世に放たれようとは、クトゥルフというコンテンツのしぶとさとファンの熱意、それにドッ根性にはたまらずシャッポを脱ぐグッレイト(ケ○ッグ)。『図説』も最早中古ショップでン千円で取引される稀覯書、持ってるだけでもステイタスだ。筆者はこの本を何気なく足を踏み入れた、まったくTRPGと関係ない古本屋で安値で売られているのを目撃し、値段をひとケタ間違えてるんじゃないのか、はたまたドッキリかと無意味に挙動不審になってしまった。チェーン店系の広く浅く、な古本屋でも意外とひと昔前、ふた昔前のTRPGが売っていたりするのかなかなか油断ができない(この間は年始にやったガンダム戦記が3500円ぐらいで売っていた。確かイエサブだと中古で5000円ぐらい。350円なら買ったかもしれない)恐らく引っ越しや進学など諸所の事情でTRPGをできなくなった若者が売り払った置き土産であろうが、とりあえず近くにカメラが潜んでいるとか発信機が取り付けられているとか新手のスタンド攻撃とかはなさそうだったので、グフグフ笑いながら確保したのでありますよ。あれは思えばTRPG人生において五指に入るほどの幸運であったな。まあ、後に同じ古本屋で『比叡山炎上』と『ダーク・エイジ』が並んでいるのを見て悩んだ末『比叡山炎上』の方を選んでしまうTRPG人生において五指に入るやらかしをしてしまうワケですが。

テーマ : TRPG
ジャンル : ゲーム

クトゥルフ神話TRPGヨタ話#82~これからクトゥルフを始めるみんなに言っておきたいことがある~

 かなりきびしい話もするが俺の本音を聴いておけ。
 いつの間にやらシマによってはTRPGと言えばD&Dでもなければソードワールドでもなくましてやマルチバースでもない(適当に浮かんだ名前を書いただけ)、クトゥルフと答えられるそうで吃驚。各種メディアで急速に取り上げられるようになったのもあるが、いやはや世の中何が起きるかワカらんもんだ。もしかしたらオレの終生の夢であるアマゾネスの住む秘境に迷い込んで子孫を残すためだけに拘束されて一生を終える、そんな野望も実現するかもしれんな! ちなみに火付け役がニコ動の卓上ゲーム動画という分析は『古きものたちの墓 クトゥルフ神話への招待』で森瀬繚氏が指摘しておられるが、オレもそれを読む前に同じ意見を提示していたりするのだフフン参考記事)←アオイホノオで鼻で笑われていた自慢。
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 せめて本が出る前にこの分析を記事にしてたらまだ格好がついたのにね。でも、たまーに「N◎VA新版ではマキナでINAUSが焼けなくなったよ」という四月バカの嘘が本当になって釈明に追われたりするから、ほんと世の中何が起きるかワカらない。あの時はスパイ扱いで追及されてマジで焦った。
 話の腰がボキッとエンマ号のマストのように折られたが、ともかくクトゥルフがTRPGのイメーヂになってるのは事実、クトゥルフをやりたくてTRPGを始めるという人も少なからずいることだろう。なんせ始業シーズンだしな!(とってつけたような時事ネタ) ただ、クトゥルフって決してTRPG全般のイメーヂとして適当でもなければ、初めて遊ぶのに適したシステムではないと思う
 これはクトゥルフ自体のシステムに問題があるのではなく……いや割とあるが……TRPG全体の中でも特殊なケースであることは認知しておかないと誤解を招く。さらに言うとクトゥルフ自体がメディアでの取り上げられ方やネタにされ具合のせいもあるが誤解を生みやすいシステムだったりする。この辺の認識の差があると、いざ実際にクトゥルフ卓に参加した際、経験者との間で齟齬が生まれ悲しいTRPGデビュー、場合によっては同時にTRPGにバイならする衝突事故にもなりかねない。
 というワケで、今回はクトゥルフ初めてさんが知っておいて欲しい、クトゥルフにありがちな誤解特集全部ポンチ野郎の筆者がやらかした痛い目を見た誤解なので、読むまでもなく「言われなくても知っとるわい」という内容かもしれんが、まあ痛い体験談とでも思って見てくれや! つまりクトゥルフ版しくじり先生だな!(そうなの?)

1.クトゥルフはバカゲーではない
 クトゥルフはバカゲーでもなければギャグゲーでもない。決してB級ホラー映画のようにあからさまに危険に突っ込む、わかっていてバカをやるゲームではない。確かにわかっていても危険に突っ込むB級ホラー映画以上に問題のある登場人物が多い……っていうか原作だとそういうセッティングはかなり多いんだけど、バカゲーじゃあないんだ! 信じてくれ! テキトーにヤバそうなものに触れてアッパッパーになるのを見てゲラゲラ笑うだけのゲームではない。初回は許してもらえるかもしれないが、繰り返すと多分不興がられるプレイである
 じゃあ何ゲーなのよ、というと、クトゥルフは一応ホラーゲーである。一応人知の及ばない神話的存在に遭遇する恐怖や狂気、人間の卑小さ、その上でいかに抗うかを楽しむというのが本題のはずだ。
 言うてもホラーとして楽しむというのは、実は結構難しかったりする。正気度を始めとしたシステムがハタから見るとバカっぽい上にネタとしてあまりに使い勝手がいいため、どうしてもギャグとして取り上げられがちであるし、そういうイメージを払拭するのも簡単ではない。しかも文章で盛り上げる小説や視覚・音響に頼れる映像とは違って、その場その場のKPの語り口という非常に心許ないものから想起される恐怖なので、実際にコワい思いをするかどうかは保証できない。
 ただ、人知の及ばない神話的存在の、この「人知の及ばなさ」は間違いなく保証できる。見たら発狂する存在だけあって、クトゥルフに登場する神話的存在どもはどんな思考回路してたらこんなもん思いつくんだろう、という風体や性質の連中がガンクビを揃えている。率直に言って創始者のラヴクラフト先生は危ないクスリでもヤッていたのではないのか。神秘的な夢をしょっちゅう見たというし(ショゴスは麻薬中毒患者の夢にしか出てこないという説があるが、それを克明に描写できる先生は……)。
 クトゥルフで遭遇する神話的存在は、恐らく今まで知っていたどんな創作物よりも気色悪くてヘンテコで、しかも面白いはずだ(原作風に言うと冒涜的ってヤツだね)。知らない、想像もつかないものに遭遇する、そういう楽しさがあることは期待してもらって間違いない。無論本当に怖かったならそれはそれでOKだ。思う存分怖がりまくって、一人で夜中トイレに行けないぐらいになってくれるとKPも喜ぶ

2.クトゥルフは狂うことが目的ではない
 想像もできない神話的存在との邂逅、そんな未知との遭遇も大きな楽しみだけれど、クトゥルフの楽しさはそれだけではない。
 だがそれは正気を失ってアッパッパーになることではない! これまた原作だとどいつもこいつもダメ人間どもが好奇心に負けて破滅する話ばかりだが、そういうラストはクトゥルフだと失敗を意味する。あと意外と完璧にアッパッパーになった奴は少ない。
 前述した通り、クトゥルフの目的は人知の及ばない神話的存在に遭遇する恐怖や狂気、人間のちっぽさに慄くと共に、それにいかに抗うか人間サイドとしてできる限りの抵抗を求められるゲームなんである
 しかし近くの者は見て狂い遠からん者は聞いて狂う神話的存在をたかだか人間が、それも後述するように貧弱な探索者がどう攻略するのか。それは論理的思考力に基づいた謎解きだ。神話的存在には物理的な手段は通じないが、太古の知識や禁断の書物に記された、封じられるに至った経緯や弱点がある。そうした対策を地道な調査で掘り起こし、実践するというのがクトゥルフの王道シナリオ。いきなり襲われるとか監禁されるとかスタートは異なるが、足で稼いだ情報を組み立てて対策を編み出す、という流れ自体はそう変わらない。もしもどうにかする手段がなんもありません、とか言われたらルールブックを投げつけて小説でやれ、と怒鳴っていいぞ!
 そうした調査の中で正気度はどんどん減っていくだろう。だが、狂ってアッパッパーになるのはあくまでも結果論、それも酷い場合の話なのだ。神話的存在を封じ、人類と世界の危機を救う事がクトゥルフのシナリオの成功であり、目的の達成を意味する。
 アッパッパーなロールプレイは狂っちゃったら初めて全力で行うべし、その時こそ許されるであろう。

3.クトゥルフで正気度はそんなに減らない
 2に関連して。
 確かに見たら一発狂人モノの脅威も存在しているが、そういう輩は簡単に出会うものではなく、大体が探索者の行動が失敗した場合の結果として出現する。セッション中に頻繁に遭遇する脅威の多くは、正気度損失は微々たるもので、一時的狂気=一度に5点失うようなのは結構重い方なのが事実(無論そうでない場合もある)。
 かといって、そんなに正気度が減らないからってお気軽にホイホイ突っ込んでいいものでもない。正気度というのは削られて笑いを取るものではないのだ。あくまでもHPやMPのような、キャラクターの存在にとって大事なリソースのひとつ。自発的に削るものではなく、シナリオを完遂するまでできる限り大事にしなければならない。第一、自分から削りに行かなくたって、ほっといても正気度を減らされるような脅威は押し寄せてくる。シナリオを成功させるために正気度の損失を求められることもある……多くのシナリオでそうだったりする。そして、ごく普通のKPならそう簡単に不定の狂気や永遠の狂気に陥るような正気度損失は起こさない多大な正気度損失の大安売りは脅威を薄れさせ、ゲームを陳腐化させるからだ……これもKPとしてやらかした上での体験談だったり。ジワジワと脅かされていく正気に焦りながらも真相究明を急ぐ、このスリルもまたクトゥルフの楽しみだ。真綿で喉を絞められるような削り方でなければ、こういう緊迫感は維持できない。
 自分から無闇に減らしに行くのは論外であるが、ビクビクし過ぎてもいけない。適度にびびってほしい。シナリオがうまく行っているようなら、減らされる正気度もまた正解の合図なのだ。怖れはしない飛び込めばいい(ウォウォウォー)←ダンバイン調。

4.クトゥルフは自分だけ生き残るゲームではない
 これまた2に関連して。
 死にやすいゲームと知るとついつい自分の生に固執して危険を他人に押し付けがちだが、クトゥルフで自分だけ生き延びようとする選択は、それが止むを得ない場合はともかく、えてして最悪の結果を呼ぶ(関わっているのが旧支配者クラスだと大体国がひとつ滅びる)。時には玉砕覚悟でシナリオ成功のために突撃しなければならない場合もある。なんか俺の参加したシナリオはそんなのばっかりだな! 命も正気も粗末に扱ってはいけないが、それらも必要経費と割り切る思い切りの良さが各人には必要だ。
 魔導書を読むなど、自発的に正気度を減らさなくてはならない場合は正気度が高い人が率先してあげるなど、分担もグループ全体の正気度を保つことになる。どうせ呪文発動にはMPや正気度がコストになる=POWが高い人=正気度が高い人が適しているのだし
 何よりクトゥルフだってTRPG。参加者全員がエンジョイ&エキサイティングの精神で取り組むゲームなんだから、他人を陥れてまで身の安全を優先する姿勢がそもそも間違いだ。ていうか他人を犠牲にして自分が生き延びても、シナリオが失敗したら神話的存在復活の巻き添えになって結局死ぬとか無駄なあがきになる場合が多いんであんまり意味ないぞ。度合いが酷いと探索者は生き延びてもプレイヤー生命が終わったりしち

5.クトゥルフの探索者はヒーローではないが一般人でもない
 クトゥルフの探索者が世間一般のゲームのキャラクターと比べて貧弱なのは、プレイ経験が無くてもご存知だろう。実際探索者はTRPG界のヒエラルキーにおいてはかなり下層に位置する。これだけショボいTRPGのキャラクターがPCとなるのも珍しい。他はガープスベーシックとか? 間違ってもばったばったと敵を薙ぎ倒すヒーローではない。人間を薙ぎ倒すぐらいの探索者は場合によっては生まれるが、神話的存在相手だと高確率でばったばったと薙ぎ倒される
 かといって、モブのように死んでいったり日和ったりするのが許されているわけでもない。あくまでも探索者は探索者、謎を追い怪奇を暴き脅威を封じるために神話的存在に立ち向かうことを宿命づけられたSRI怪奇大作戦な生き物なのだ。恐怖を知った上で戦いを挑む、人間賛歌は勇気の賛歌的スタンスないしは相手の技は受け切って見せるプロレス的スタンスが求められる。でも、受けたら死ぬ技を見極めるライン取りも覚えておきたいテクである。
 また、クトゥルフではカルティストや犯罪者など、意外と人対人の対決に巻き込まれる場合も多い。ハナっから物理的手段による解決に頼る思考は間違っているが、何らかの戦闘手段や〈回避〉を高めておくのは悪いことではない。特にダメージ・ボーナスがある場合は〈こぶし〉〈キック〉など格闘戦闘力を確保しておくと安心感がだいぶ異なる。ビッグザ〈武道〉まで取るのはやり過ぎかもしれないが。
 あ、そうそう、クトゥルフ以外のTRPGではばったばったと敵を薙ぎ倒すヒーローもできるでよ。最近じゃそっちの路線の方が多いぐらいじゃないかなぁ。中にはクトゥルフ以上に死にやすいシステムもあると覚えておくといいだろう。

※2~5を総合すると、クトゥルフで重要なのは踏み越えていいのかマズイのか、そのラインを見極める事。この線引きが探索者を長持ちさせるコツだ。

6.クトゥルフは原作を読む必要はない
 これは意見分かれるかもしれないが、筆者は無理して読む必要はないと思う。「クトゥルフを遊ぶには原作読んで勉強しないといけないのかなぁ」とか思ってるようならしんぱいごむよう。読まなくても解説書や関連サイトを見て回ったぐらいの予備知識でも十分遊んでいける。第一、原作を読んだところであの通りに進むシナリオなんて珍しいし、下手に原作っぽいシナリオをやろうとすると地味でつまんねぇという評判だったりする(具体的に言うとラヴクラフト先生の短編を元にした場合)。
 もしも原作に触れてみたい場合は、まずBRP版冒頭の『クトゥルフの呼び声』を読んでみればいいだろう。読めばワカると思うけど、ものすごく回りくどくて大仰な言い回しがず―――っと続くので、アレに耐えられるなら他の先生の作品も薦められる(流石に話は面白いのだが)。クトゥルフを始める前に本家を読んで勉強しておくか! と意気込んでラヴクラフト全集を手に取ったらあまりの読みづらさにウンザリしてテンション落としていては本末転倒。ラヴクラフト先生以外の作品だと読みやすいものもあるが、作家によってギミックや設定の取り扱いが全然異なるので、一本読んだだけではクトゥルフの全体像を掴んだことにはならないから厄介だ(っていうかオレだっていまだ掴めてねぇ)。
 もしもクトゥルフに関して事前に勉強したいのであれば、前述の通り解説書も関連サイトも世に溢れているからそこから入っていけば良し。ただ、解説書も森瀬氏がご指摘されているように、「80年代で時間が止まったような古臭い解説」だったりするのは珍しくないし、校閲が入っていない個人サイトなんかはもうバイアスかかりまくってる危険性がある。ルールブックを持っているなら、参考セクション及びクリーチャーと神格の項をサラッと見ておくといい。後者はKP向け内容だがデータバレして困るシナリオなんて少数だから気にするな。クトゥルフというTRPGについて勉強する、という意味なら、公式シナリオを読むのも一つの手きょうび公式シナリオなんてGM各自が手を入れて当然と言わんばかりの出来が横行する中、クトゥルフの公式シナリオは稀有なクオリティの高さを誇る。サプリの実用性も含めて、『2010』や『2015』あたりのシナリオがオススメ。勿論、一度そのシナリオを遊んでから読み込むのがベストだ。
 
 リプレイの顔役『るるいえ』シリーズは最初からクトゥルフをわかった上での行動が多いので、参考書としては経験者向けかもしれない。話の面白さ、シナリオの参考としては非常に役に立つので、何度か遊んだら是非読んでみてほしい。君も内山靖二郎先生のキモシナリオに戦慄するんだッ!
 ちなみに、クトゥルフの原作を読みたい場合は、青心社の暗黒神話体系シリーズが文庫で出ており、安価で割と読みやすい作家が揃っている。ただ、如何せん訳が古い。訳の新しさでは、扶桑社ミステリーの『クトゥルフ神話への招待 遊星からの物体X』『古きものたちの墓 クトゥルフ神話への招待』の二冊。前者には『クトゥルフの呼び声』の新訳も掲載されている。……こっちもこっちで神話作品の参考として適切か悩む『遊星からの物体X』が入っていたり、キャンベル作品に偏っていたり、で収録作にはやや難ありだが。再版された真ク・リトル・リトル神話体系シリーズは、収録作のマニアックさという点では比肩するものが無い。本当にここでしか読めない作品も多いので、通ぶりたい人は迷わずコレだ。訳に関してはこの中でも最もクセが強い。注意されたし。
  
 ラヴクラフト全集は原作の中でも最も手ごわい部類に入る。御大の文章が迂遠な上に訳も特に古いため。セッションを重ねたり、アンソロジーで何篇か触れて興味が生まれたら初めて読むぐらいでも十分だ。読むのは大変だが『インスマスの影』『チャールズ・ウォードの奇怪な事件』『時間からの影』『ダニッチの怪』などクトゥルフ史にサンゼンと輝く錚々たるメンツが揃っている。四巻収録の『狂気の山脈にて』を読んで延々続く古のものかんさつにっきに骨を折りつつ、その運命に慨嘆してみないか?

 最後に、ちょっと意地悪な物言いになるが、「読む必要はない」けれど上辺だけでクトゥルフを理解したつもりになるのも間違いだ。お手軽に集めた情報だけで通を気取るのも非常に嫌がられるプレイスタイルである……まあ、半端な知識を振りかざすのはクトゥルフに限らず何処でも嫌がられるけど。読んでもいないクセに「ダーレス? ああクトゥルフ神話の設定を滅茶苦茶にした駄作家でしょ?」とかぬかしたら『幻想と怪奇』1巻で殴りかかるぞ!

7.クトゥルフはスタンダードなTRPGではない
 一応クトゥルフはベーシックロールプレイングを名乗っている。が、頭突きがデフォでキャラクターシートに印刷されているようなシステムをベーシックとはオレは認めない
 そんな小ネタはさておいて、知名度という点ではクトゥルフがTRPG界において抜きん出たかもしれないが、アレをもってTRPGを知ったと思うのは早計というものだ。貧弱なキャラクターが頭脳を駆使して謎解きをするというシステムは、TRPG全体で見てもかなり珍しい部類に入る。システムにしても、技能ポイントと正気度(≒EDUとINTとPOW)でキャラクターの能力の八割が決まるとか相当なキワモノである。
 てか、普通のTRPGなら直接敵をぶちのめすとか、もっと物理的手段に頼った解決法が望まれている。そういうどつきあいに適した強さを保証されたキャラクターがほとんどだ。クトゥルフと同じノリで戦闘を必死で回避しようとしたり特攻精神を発揮したりすると周囲のプレイヤーやGMも困った顔をするだろう。TRPGのジャンルが千差万別であるように、その遊び方もまた然り。一つのシステムで通じた遊び方が他のシステムで通じるとは限らない。クトゥルフ以外を遊ぶ時は、イチから勉強し直すつもりで取り組むべし。郷に入っては郷に従う柔軟性をTRPGでは忘れないでほしい。通用する遊び方があるなら、それはそれで貴重な財産。じゃんじゃん活用してネ。

 以上の内容は初めてクトゥルフを遊ぶプレイヤー向き。
 初めてのクトゥルフでKPに挑むナイスガッツな初心者はあまりいないと思うのでそちらは割愛するが、KP向けの体験談もいくつか含まれているので、そちらを汲み取ってほしい。クトゥルフは謎を解くゲームであり探索者が狂ったり死んだりするゲームではない、狂気の大安売りをしてはいけない、原作そのままをやっても面白いシナリオになるわけではない……など。R&R99号の“KPの十戒”はそのものズバリ、KP版しくじり先生な内容なんで、こちらも探し出して参考にすべし(記事にしたこともあります)。クトゥルフからはみ出すが、MTGのマーク=ローズウォーター氏の“20の教訓”からも学ぶことが多い。取り上げた記事中でも書いたが、クトゥルフは特に論理的思考による謎解きに頼るゲームのため、プレイヤーが考えに詰まると消化不良のままバッドエンドに陥る可能性が非常に高い。解決法は呪文を唱える、所定の場所にアーティファクトを安置するなど出来る限りシンプルに、それでいてボディペインティングして火の回りを跳び回るとか珍しい動物の臓物を生贄に捧げるとか、外面を思いっ切り凝った方が成功しやすいしウケもいい。そしてプレイヤーが謎を解けなかったからといって無情に切り捨ててはいけない、解けないようなら解けるように導いてあげるのだ折角用意した謎を謎のままで終えてしまうことこそKP最大の恥と知れ。真相は受け手のご想像にお任せするのが美しいなんて、そんなエヴァンゲリオンシンドロームは二十年前に捨てっちまえ!
 そういえば最近は「ニャルラトテップオチはもういいよ」という飽きられムードだそうで、安直な種明かしにウンザリしていた筆者としては実に喜ばしい。
 そして経験者の方々は、もしもクトゥルフを遊んでみたいという人が来たら邪険にしたり「えっ動画勢かよ」と過剰に警戒するのでもなく、優しく迎えてあげてほしい初めてなんだからクトゥルフ的知識や流儀をわきまえてなくたって仕方ないじゃないか。彼らだって自発的にゲームを荒らしたいわけじゃなくて、ただ知らないだけなんだから。というか、経験者だってクトゥルフを初めて遊ぶ時は同じような誤解を抱いていただろうし。むしろ今回取り上げたような誤解を一つも抱かず、最初から思考力で謎を解くゲームという正しい認識をしていた人はどれだけいるんだろうか。前にも書いたけどベジータクラスのクトゥルフ超エリートじゃなかろうか、それ。
 それに原作からであろうとリプレイであろうと卓上ゲーム動画だろうと、新しいユーザが増えるということ、これは裏心なく喜ぶべきことだ。後は、間違った道に進まないように先人が導いてあげつつ、二度とTRPGから逃げられないようにガッチリ関節技で固めて深みに沈めればいい(グフフ)。冒頭で紹介した2年前に書いた記事の言葉を繰り返すと、誤解は解いて理解は深め合おうぜ!

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クトゥルフ神話TRPGヨタ話#81~新サプリ『ダーレスのすべて』偽情報~

 クトゥルフの○○のすべてシリーズの次回作は『ダーレスのすべて』だそうですな。
 今までBRPで軽んじられた、というか露骨になかったことにされてきたダーレス神性の全てが今ここに! おなじみ四大元素説はもちろんのこと、ヨグ=ソトースが地属性など数々の珍妙なダーレス流解釈にも新たな分析が試みられている。ダーレスファンもそうでない人も(たぶん)納得の一冊となるだろうて。
 また謎のヴェールに包まれてきた善なる存在“旧神”も例によって例の如くケイオシアムが本腰入れて好き放題に作ってくれたので充実のデータ量となっている。ダーレス調のみならず、カットナー調のシナリオを遊びたいユーザも安心だ。参考データとしてクトゥルフに核を使用した場合のダメージや影響、クトゥルフ復活までに要する情報なども掲載されているんで思う存分核弾頭ぶちこんだり帆船で突撃したりしてくれい。
 インスマス発祥の深きものの一族がどう分布していったかの派生図、またダニッチやアイルズベリイ街道など、既存のサプリで紹介された場所に組み込める、ダーレス作品的新情報もあるそうで。インスマスとダニッチを組み合わせたまったく新しい神話作品とか、どう考えても鬼子にしかならないダーレスならではのシナリオもばっちり作成できるぞ。
 ラヴクラフト御大や優等生を尊重し、ダーレス流の大味な作風がないがしろにされてきたのに物足りなさを感じていた君はマストバイ。ダーレスというだけで低評価をつける意固地な原理主義者どもに思う様ねえ今どんな気持ち? してやろうぜ!

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クトゥルフ神話TRPGヨタ話#80~クトゥルフかるた~

#クトゥルフかるた
 ツイッターで見かけたネタから色々考えてみました。

「あ」悪文ではないトミノ小説みたいなもんです
・御大の文章が読みづらい読みづらいと言われるけど、トミノ小説と思えば納得できるんじゃ……読みづらいのは結局変わりませんが。せめて主語と述語の関係をハッキリしてくだち。

「い」犬はヨグ=ソトースの息子よりも強し
・無論ミ=ゴよりも強し。透明の方の息子は勘弁な。

「く」空鬼の元ネタはただのコスプレ
・特殊な指の形状とか次元を移動するとか、出典の『博物館の恐怖』だと全然出てこないどころか中身人間なんすよ。マジで(重大なネタバレ)。

「こ」好奇心は探索者を殺す
・クトゥルフ神話の登場人物って頭では拒否してるのに好奇心を押さえられないダメ人間ばっかり。故に保身が先立つチキンは推奨されないプレイなのです。

「し」漆喰が割れたら犬が来る
・「角に犬」もシンプルでいいかな、と思ったけどより原作に深く関わったネタとゆうことで。

「せ」戦闘がしたければ比叡山炎上をやりなさい
・クトゥルフでさえ無双プレイができないとブンむくれる人がいるって本当なんだろうか。想像上の生き物なんじゃないでしょうか

「た」ダーレスも駄作ばかりとは限らない
・クトゥルフが絡んでこない話だと結構面白い神話作品もあるんだぞ。

「て」添削どころかほぼ代作
・名義上は添削、ほとんどラヴクラフト先生の作品に書き直しちゃったタイトルもチラホラと。今なら炎上事案なんじゃ。

「な」なんでもニャルラトテップのせいにするのはやめなさい
・夢オチ同様安易に頼るとKPレベルドレインを喰らいます。

「に」日記に書く暇があったら逃げろ
・「窓に、窓に!」は素晴らしいオチだったけど、あまりにも繰り返されてる上に悲鳴まで記されるようだと流石にゲンナリする。そうまで迫真の文章をヒネり出せる思考力があるなら逃げろよ!

「は」発狂より失神
・迂闊に起きて宇宙的恐怖を体験して正気度ゼロになるよりは、失神してた方がマシという場合もある。というか神話作品で失神したまんま人生デッドエンドクライマックス迎えたケースの方が少ないような

「む」無表情と思ったら仮面
・喋ってるのに口が全然動かないとか言われたら、取りあえず顔を触ってみるといいだろう(そして正気度を失うハメになる)。

「ゆ」有色人種を見たら危険人物と思え
・ラヴクラフト御大の作品だと白人以外は大抵堕落した民族扱い。

 後は任せた。

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クトゥルフ神話TRPGヨタ話#79~第7版までに出てほしいサプリ~

 新版が告知された後のサプリ展開というのは色々思うものがあるなNEXTが出るでよ、と言われてからもなお4e新製品が出ていた頃を思い出す。旧ソードワールドぐらい死に体だったのなら後腐れなく乗り換えられるのだが。
 クトゥルフは第7版がアナウンスされているが、そいつが日本上陸する前に出してほしいサプリがある。クトゥルフ神話のクリーチャーはマレウス・モンストロムで一堂に会したので、同様のコンセプトで呪文だけを集めたサプリを作ってほしい。ちょくちょく呪文も増えてはいるので、サプリをまたいで参照せずに済む書籍が欲しいのれす。それにあれだけモンストロムに収録されたクリーチャーや神格がいるのであれば、当然その数だけの召喚/従属や退散、接触の呪文も増えて然るべきでしょうしね。ナガアエと是非とも接触したいりゅん、というカルティストだって世にはいるでしょう。
 一番の要求はマトモなレイアウトで呪文を参照したいってことなんですけど。レベル順ではなく五十音順に並んだ3eのリストより酷いのって俺あれ以外見たことが無い気がする。呪文名で改行しないとか、説明文とのサイズ差がほとんどないとか、不親切にも程がある見づらさはもちろんとして、五十音なのになんで時々従ってないのがあるんだ? と思っていたら、「神格との接触」とか同系統の呪文の場合、系統名は五十音順に従っているのだが、そこで個々の呪文をまとめて書いているからだったのか(系統名が「神格との接触」なら「心臓停止」の次、そこであらためて五十音順で神格との接触の呪文が並ぶ。だから「心臓停止」の次に「アイホートとの接触」が来るようなことが起きる)。わかりづらいよ! 買ってから10年以上過ぎてやっと気付いたよ!
 そういえば「あれより酷い呪文リストは見たことない」って言ってたけど、舌の根も乾かぬうちに『ラヴクラフトの幻夢境』がもっと酷いのに気付いた。
 別にカード化せいとか、ヒロイン全員を緑髪巨乳眼鏡にして不人気属性呼ばわりする輩に泡を吹かせてやりましょう、みたいなムチャなことは言いません。ただただ呪文名で改行して文字のサイズを大きくして、コストと詠唱時間と継続時間を別に書いてくれればそれでいいです。呪文だけだとだいぶ薄くなりそうな気もするが、その辺のレイアウトに気を遣えばだいぶ分量増えそうな気がするし。
 あと、出典作品も書いてくれたりすると直義。資料性がグッと上がるし、原作に興味を持ってもらうという意味でも良い情報になると思いまっせ。「精神交換」と「精神転移」みたいに名前は似ているが条件が随分違う呪文があったりするし。前者は『戸口にあらわれたもの』でアセナス=ウェイトが使ったもの、後者は『チャールズ=デクスター=ウォード事件』でジョーゼフ=カーウィンが使ったもの?

 

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銀河アズマ

Author:銀河アズマ
R&RにてパスファインダーRPGのサポート記事を担当させていただいております。

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