はっきり言ってやるぞ、お前のパーマは失敗だ

 今やネット通販でたいがいのものは手に入ってしまう世の中だけど、今でも私は店頭であれはないかこれはないかと直に探すのが好き。
 半年ほど前もそうして歩いていたらレア盤『勉強』(電車)を発見して喜びに浸ったのであるが、今度は同店で『電車トーマソ』(と、『GO! リュウケンドー』のマキシシングル)と遭遇。ハチミツを目にしたグリズルの如くニヤピクしながらベタ足鞭毛歩行で即行確保してきた。だから好きさこの地域って。中野王国民でヨカッタ(筆者は高円寺には名誉住人という肩書きで所属を許されている)。
 一番聞きたかった『パーマのブルース』はケース裏面を見るとPart2しか書いておらず、ラジカセ(いや正確にはCDラジオか)にかけても隠しトラックは1つしかない。ってことはPart1かPart3はライブ盤の『電車英雄』収録か? と首を捻っていたら、最後にPart1とPart3がいっぺんに入っていた。なあんだ。1と3の間にかなり長い無音が挟まっているので、疑いのひとときを耐える羽目になったが一安心。空手バカボンのナゴムコレクションほど長い無音じゃないしな。
 一枚目がこのアルバムってのは色々凄い。『勉強』もかなりアングラ色強かったけど、コレに比べるとまだキャッチーに思えてくる。オーケンをして元たまの石川浩二さんは「間違ってもこの人を紅白に出しちゃいけない」と言われていたが、電車もMステに出したりしてはいけない。タモさんに呼ばれて演奏した曲が『お別れの背景』とかならまだいいが、『喰らわれた女の歌』とかおっぱじめられたらお茶の間が凍り付きますよ。結婚式場で『船頭小唄』を披露するぐらいまずいしかも三上寛ver。お~れ~は~河原~の~枯れす~す~き~お~な~じ~お~前も~枯れす~す~き~ど~お~せ~二人~は~この世で~は~は~な~の~咲かな~い~枯れす~す~き~♪(すすり泣くような声で)
 まあ表現活動なんかやる人の勝手なんでええですけどね。むしろマイノリティにこそ称賛されるような表現活動はずんずん推奨したい。そういうところに惹かれるひねくれモンだしねぇ。
 さて電車のアルバムで残すところは『電車英雄』だけとなったが、果たして現物を目にすることはあるだろうか。『電車トーマソ』も来世までに手に入るだろうかと思っていたらこうして買えたんだから、いつか出会うこともあると思いますが。その日までまた界隈をブラブラしよう。

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AVガレージで古いCDを買って 高円寺古本市で古書を買って…

 作者に還元されないから悪いなあ、と思いつつ、古本屋と中古CDショップは利用している。
 本はやっぱり出版された当時のサイズ、できればハードカバーで読みたい派だが、昔の本だったりすると絶望的に手に入らないので、そういう場合は地道に古本屋めぐりをするしかない。本そのものは我慢すれば文庫で読める場合もあるが、昔のCDとなるともっと絶望的になる。運よくデジタルリマスター化や紙ジャケットとかで再版されたりしなければ、探偵ナイトスクープばりの捜査能力を要求される(DL販売というのはこういう入手しづらいタイトル、それもインディーズ時代もサポートしてくれるからありがたい)。
 この間中野のブロードウェイを巡っていたら『機甲猟兵メロウリンク』のサントラを発見し、ムヒョップと小躍りしながら買ったついでにディスクユニオンに寄ると、これまた来世まで手に入らないとも覚悟していた電車の『勉強』を発見、あやうくうれションするところであった。いや近所というのは歩いてみるものですな。
 また、先日セッションに参加後足を運んだ古本屋で、文庫版すらなかなか見つからん『みるなの木』のハードカバーを発見。シーナ・ワールドの中で最も好きなこのタイトルを2015年にもなって、10年以上の時を経て入手できるとはいや僥倖僥倖。
 セッションは後で考えてみたらイニシアチブと死亡セーヴしか振ってねえ! というだめなアーキタイプを選んだシャドウランみたいな驚愕の結果でした(別にシナリオに失敗したわけではない)が、全体で見てよい日であった。



みるなの木みるなの木
(1996/12)
椎名 誠

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そうだ、電車聞いた

 筋少ニューアルバムは相当前のライブで告知されていたので知ってたけど、電車再結成は大槻ケンヂさんのブログで知って、慌ててセッション前にディスクユニオンに駆け込んで確保してきました

〜再度運転〜「そうだ、電車聞こう」〜再度運転〜「そうだ、電車聞こう」
(2014/11/05)
電車

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 結成からして、日比谷の野音で何かやろうと言われて大槻さんが女囚さそりのコスプレして参加したらイイ感じだったので続けようという話になり、最初は“野球”という名前だったのにいつの間にか“電車”になっていたワケのワカらないバンドなのですが。そして大槻ケンヂさんの脱退理由がこれまたケッサクで、「メンバーのダジャレが嫌になったから」。ロック史を紐解いても空前絶後の脱退理由である。そして10年越しの再結成となったワケだが、大槻さんこれでいくつのバンドをかけもちしてるんだろう。筋少に特撮、大槻ケンヂ&20Thバンド、ケンヂ浩司、NESS村にもお邪魔してるしFOKでソロの弾き語りもやってる、この精力さは凄いな。こんなにエネルギッシュなアラフィフもなかなかいない。オレもd20の出目に一喜一憂するような40代でありたいでもアラフォーになるまで周りにTRPG遊んでくれる人がいるかな~!? いたら最高だと思うけど、それはそれで怖い気もする
 またベラサン、サトケンさん、小畑ポンプさんにしても、御自分のバンドがあるのに10年越しの再結成をするのは、心の底から音楽が好きなんだ伝わってくる。メジャーだろーがインディーズだろーが武道館満員だろーがただ一人相手だろーがプライドを持ってやればいいのだ、という大槻さんの主張を実践してる方々だ、流石はダチだよとシャッポを脱ぐグッレイト(ケロッグ)。
 して、結成とメンバー脱退の経緯に負けず劣らずワケのワカらない音楽だ昭和歌謡っぽい音楽をやろう、というコンセプトだけに、2010年代にもなってこんなノスタルジーな音色を耳にできるとは。また大槻さんの歌詞が、筋少や特撮とも空バカとも違う、暗く淀んだドロドロを感じる。まだ人権意識とかが薄かった頃、もう何でもやったるでぇという音楽が反体制の象徴だった時代を彷彿とさせる凶器攻撃が炸裂しておる。……実は電車が活動していた時期って2000年代だから、その頃にこんな音楽と歌詞のバンドが存在してたってのも凄い話だな。
 いやほんと、聞いた感想は全曲通して
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 であった。繰り返して言うけど、2014年、セカンドイソパクトが来年という年にこんな音楽を耳にできるっていうのは、あらためて音楽の自由さと可能性を思い知らされましたよ。ダークでムーディな旋律から、いきなり「お前のパーマは失敗だー人生みたいに失敗だー」だもんなぁ(ハッキリ言ってやるぞ、お前のパーマは、失敗だ!! が無かったのはチョト残念)。オーケボーマンの敵役『生まれてビックリ団』の出だしはてっきり必殺仕事人かと……『星屑と赤い闇のブルース』なんて、「プログレかよ!?」って重々しい曲調に乗せて、大槻さんが延々トミーなる男のように夢を見ろ、と語り続けるとか。
 流行りのJ-POPではなく、歌謡曲で育った私には勿論ばっちりハマった。私もアウトサイダーぶりたい日陰者だから、絶対カラオケに入らないような曲を好きになっちゃいますしね。三上寛の『夢でよかった』とか絶唱したいのに。退かれると思うけど。
 ラストに『お別れの背景』を持ってきたのには、拍手喝采。私も、コレを聞きたいがためにアルバムを買ったようなものです。大槻さんのサウンドストリート21で一度聞いてどハマリし、どうしても聞きたかったんだけど、とっくにアルバムは廃盤で……ヤフォークとか行けばまだ残ってるかしら。
 この曲が印象的なのは、電車の方々による昭和歌謡テイストの演奏と、オーケニズムが最も激しく化学反応を起こしているからだろうこの歌のやるせなさは物凄い。別れ歌に明るい曲調という食い合わせからして一層物悲しい(大槻さん曰く、明るい歌には悲しい歌詞を、だそうです)が、皆に称賛される男がかつて人殺しという最も重い罪を犯し、皆から追い詰められる罪人がかつて人を愛するという最も美しい営みをしていたという対比、ここに大槻さんの常々語ってきたテーマが抉り出されている。「人は生まれた時は皆裸で同じ」「それなのに世間や社会や組織から勝手に値打ちをつけられてしまう」「好きで辛い思いをしてるワケじゃないのに」「一体、人に値段があるとしたら誰がつけるんだ?」そんな怒りや悲しみを、ふんわりとした優しい音色で包み込む。
 何よりも、最も大槻さんのセンスが発揮されているのが、「だけどもう、いいじゃないか…」という一言。罪を背負った英雄も、人を愛した咎人も、そして恋をした女性の心も、全てを赦して背を向け去っていく。これ。これなのだ。慰めは無いが赦しはある、この距離感こそが、大槻さんのマイノリティに向ける優しい目線なのだと思う。
 10年越しの再結成も、「だけどもう、いいじゃないか」といういろんなことへの“お別れの背景”を済ませ、そして10年の月日は流れて別れの先にある新しい何かが見えたから、もう一度バンドを組んでやってみようという決意になったんじゃないでしょうか。ちょっと931こと言っちゃったかな……gff……。
 そういえば再結成ということはニューアルバムもあり得るということか。昭和歌謡愛好家として期待しちゃいますよ! カラオケに絶対入らないような曲を、2010年代でももっと聞きたい!

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