TRPGこぼれ話#287~射撃の思い出~
初めてやったTRPGのソード・ワールドではレンジャーが経験点少な目で伸ばせて弓も打撃力が高いので、ダメージ自体は割と高かった。ただマトックやモールに選択ルールの強打まで持ち出されるとちょっと厳しく、これに対抗しようとするとクロスボウという選択肢が人気だった。装填しておく手間はあるがダメージのレートはやたらと高いので、開幕の一発で使う分には強力だった。高レートに目を付けて使い捨てにする戦法が横行していたのか、装填のために糸を巻いておいた状態をどこまで認めるか、ちょっと議論になった覚えがある。その程度で議論になるんだから思えばのどかな時代だった。最終的に一番やばい火力は、ダメージ減少しか通じない上にクリティカル値が10の呪文という事実の前には屁みたいな問題である。SW2.0でも固定値はべらぼうに上げる手段こそ増えたが、結局この結論は変わってない気がする。
そういやSW2.0では射撃をするにはシューターと《精密射撃》が必要という余計な手間あり、かつフューチャーされているのがマギテックシューターのため、どうにもやる気が起きない。二丁拳銃の火力は確かに凄いが命中判定が必要な上に実現に時間がかかる、バカスカMPを使うことを考えると別にソーサラーで呪文を撃ってればいいんじゃねえの、という気がしなくもない。防護点が高くて回避の低い奴には強いと聞くが、基本的に防護点も高ければ回避も高い奴としか戦闘しなかったオレはどうにもその有用性を信じ難い(高レベルになれば強いと聞くが)。純正シューターは完全に未知数。用意されてる特技が《射手の体術》であることを考えると、何となくロクな扱いをされないんだろうな、という予感はする。
D&D3eでは弓矢だと【筋力】ボーナスを乗せるにはマイティ・コンポジット・ボウでなければならず、しかも等級を定められてるもんだから固定値を伸ばすのが結構大変で、《速射》による手数の増加は必須だった。それでも【筋力】ボーナス1.5倍の両手武器と《強打》から生み出される、あの狂ったような火力に対抗するのは容易ではなく、基本ローグで急所攻撃コミでやるもの、というイメージだった覚えがある。《武器開眼》とロングボウもそれはそれで強かったが。PFにて《致命的な狙い》という絶好の特技が加わった上に、3e系列にはびこるでかい=強いにのっとった接触ACのチョロい連中を恐怖のズンドコに叩き起こす最終兵器《針の目を通す狙い》という到達点まで用意されて至れり尽くせり。地位が補強されただけでなく、レンジャーのアイコニック・キャラクターのように、クロスボウによる一発狙いなど方向性も多様になった。ただ、相変わらず《近距離射撃》《精密射撃》の仕込みは面倒だけど。
4eはさらに制限が緩くなったが、射撃というとハンターがディスラプティブ・ショット撃ってた思い出しかないや。呪文と射撃の差もほとんど無くなってたなあ思えば。最終的に突撃してすごい火力を叩き出すことにみんな走っていた覚えがあり、これまた射撃の印象薄い。ただ暴れ役相手にディスラプティブ・ショットの動けない状態で足止めするのが物凄く楽しかったので、コレが一番熱心に射撃型のキャラクターをやってたシステムかもしれない。グリーン・ドラゴンを追加行動も含めて2ターンに渡って足止めしていたのが俺の射撃型PCのMAX。
5eでは射撃ファイターが一派として存在するが、ハンド・クロスボウを近距離で撃ちまくるあれを射撃型として認めていいのかには少々の議論が必要であろう。レンジャーがハンターの道を進むとかなり面白い射撃型キャラになりそうなんだけど、そこまでのレベルで遊べるレギュレーションを体験してない上に、レンジャーというクラス自体が見たこと絶無だったりする。まあ1レベルがワーストと呼べる弱さの上に、戦闘以外で経験点が入りづらい環境だったりすると選びづらいというのはよくワカる。
ウォーハンマーは射撃に対して回避も受け流しもできないため、一方的に撃たれまくると盾を装備して命中率を下げるぐらいしか対策がなく、非常にツライ。その代わり接近してしまえばピストルかクロスボウ・ピストル以外で射撃することができない。キャンペーンに参加していた射手はネズミ捕りのキャリアで手に入れていた犬をけしかけることで見事にこの欠点を打ち消していた。ダークエルフの射手との射撃対決でも、この犬を仕向けてダメージ・レースに打ち勝っている。クトゥルフでもそうだがやはり犬は正義。
そのクトゥルフは真面目にルールを運用しようとすると、回避した場合まったく行動がでけんので銃を持った人間に動物は絶対に勝てないそうな……銃を外さなければの話ですけど。言うても〈マーシャルアーツ〉蹴りの物凄い破壊力を見てしまった後だと、貫通する武器への耐性を持ってる神話生物がやたら多いのも含めてあまり銃器に走る気にならない(こういうことを言ってるから7版で〈マーシャルアーツ〉にメスが入るのだ)。それに、現代日本を舞台にしたシナリオが多いせいで、銃の技能を伸ばしてもそんなに撃つ機会がないし、そもそも所持してない場合が多い。所持を許されてる警察官でも無闇にバンバン撃つのは法治国家日本ではなぁー……と思ったけど、考えてみると周囲の警察官探索者はそれこそ天才バカボンの本官さんのように乱射するおまわりさんばっかりだった。そんなに気にすることないのだろうか。また銃器は圧倒的に撃った経験より狂人に撃たれた経験の方が多い。銃器のデータが『2015』で追加されて喜ぶのはKPだけ! というクソみたいな宣伝文句を見たが実際その通りで、毎ターン連射してくる銃器は場合によっては呪文や神話生物並に手を焼かされる。やっぱり近代兵器というのは怖いもんだ。
メガテン覚醒篇のシューティング技能は銃の威力の高さのために序盤は重宝されるが、意外と威力を伸ばす特技が無い(ピンホール・ショットだけ撃ってればいいっちゃいいが)。銃の威力依存の為将来性もやや厳しいため、個人的には射撃するなら弓を推奨したい。強さが必要なのが難だが、特技も武器の性能も高い。考えてみると、このシステムも悪魔の特技フルオートの方が鮮明かもしれない。みんな射撃回避は大体捨てているところに炸裂する全体を対象にした射撃攻撃のクソ特技。基本的に覚醒篇はマスターだったので撃たれた記憶はありません。
あー射撃全盛と言えばダブルクロスは射撃に必要な能力値を上げるとイニシアチブも高くなるので、凄まじく効率が良かったのを思い出す。キュマイラの完全獣化のダイス数で筆者も対抗はしていたが、内心近接戦に巻き込まれることもない安全圏から先手を取っての大火力を叩き込む様に震え上がっておったよ。3rdで全体的にシンドロームの強さが平たくなったけど、未だにGM禁じ手の一つに「退き撃ち」があるのを聞いて、もう少し何とかならんのかなあと思ったり。
サタスペは割合だけなら射撃型キャラの方が多かったが、あれは肉弾戦に入るまでが大変な上に、先手を取ってフルオートで大体カタがつくからという消極的な理由で選んでいたからで、4eのように能動的に射撃を選んだとは言い難い。六門2Eのシューターも強いんだけど使ったことないんだよなあ。
全体的に射撃型PCの機会が少ないと、やはりどうしても撃っているのを見た記憶か、撃たれた記憶の方が印象深いのう。しかしPCでやらなくても、マスターで撃った記憶もあるはずなんだけど……と考えて思い当たったのが、筆者の出す射撃型の敵って速攻で足止めの前衛を排除され、取り囲まれてボコられて終了とまるで射撃役としての仕事を果たさず散っていった輩ばっかりのせいかもしれない。